喚いて叫ばざれば RSSフィード

裏取りは基本的にしてません。しない、できない、やる気がない。

2008-09-02

[][]三国演義を読め

三国系サイトやっててつくづく思うのは、三国演義の軽視なんですよね。たとえば史実の話をしてるときに演義の話を混ぜこむなってのは分かるんだけど、演義の話をしてるときに「それは史実ではありませんね」と得意満面で言いにくるバカをどうにかしろよ、とか、よく思います。それに話題が史実とも物語とも限定されてない段階でデフォルトで史実の話題をするのが当然と信じこんでるバカね。あーはいはい分かったから続きは手前んちでやっててくれ、って思っちゃうわけですよ。まあとりあえず寝言を言うひまがあったら「うっせえ、とにかく演義を読め」と言いたいのですよ。で、どこか演義を見下してる気配がある。史実は史実として、物語は物語として、それぞれに語る価値があるんだけど、そこが分かってないらしく、物語について語る意味なんかないんだと信じていらっしゃる。そういう手前だって三国時代に関心を持ちはじめたのは演義経由でしょ、十中八九。もうね、ほんとに、そういう下らない優越感はどっかに捨てて、演義について一切の言及をやめるか、さもなくば真正面からきちんと演義に取りくんでほしいわけですよ。

けど、演義に対して真摯に向きあおうとするwebサイトってなかなかないんですね。ファンは多いはずなのに、演義を見下すバカ一派に比べると存在自体が目立たない。わたし自身も、きちんと演義について何か言っておかねば、とは思いつつも、いまだにまとまったことは言ってないわけです。

そういう不満をずっと抱えてきたわけなんですけど、それが昨日、偶然にも演義をまじめに語るブログを見つけまして、今回それをご紹介したいなと。


【南飛烏鵲楼】。これ最強。


エントリはまだかなり少ないですが、その数少ないエントリを一目すれば瞭然、演義に関する知識の広さ、深さがばんばん伝わってくる。いやー、これ見りゃ史実がどうのと言いつのる連中の底の浅さってのが否応にも分かってしまうのですな。本気度の違い、つーか。手前らこれ読んで身の程を知れ、つーか。まあ、おバカちゃんの存在はさておき、とにかく読む価値のある三国系サイトって最近はなかなか見かけないから、これはかなり貴重。更新が月イチくらいしかないけど、がんばって続けてってほしいなと切に。

sengnasengna 2008/09/02 22:53 三国演義って中国の古典小説の中でも異常なほど完成度の高い小説で、あれくらい凄いのって考えられないというか、突然変異としか思えないんですよね…。
なのに、演義を演義として受け止める人が少なくて残念に思ってました。
大塚センセの説とかちょっとアレですけど面白いんですけどねぇ…。

mujinmujin 2008/09/02 23:08 わたしが読んだのは三国演義のほか西遊記、水滸伝、三国平話と、楊家将の始めのほうちょろっとくらいなんですけど、たしかに三国演義はちょっと毛色が違うんですよね。たんに文語体だというだけでなく、まず視点の置き場が違うし、ディテールの完成度が神がかってる。学術的な成果としても演義研究の方がはるかに先を行ってると思うので、きちんと整理しときたいですね。

巫俊(ふしゅん)巫俊(ふしゅん) 2008/09/03 01:00 私の小中学生の頃は、読み物として図書館に置かれるような出版物は史実であると称して演義から採ったネタを書くとか、そういうものばかり目立っていた訳です。
今の中国の流行の言葉で言うと「憤青」という奴で、当時の日本の三国志正史ファンの平均年齢は若かったからでしょうか、相手を弾劾するのに夢中で真面目に比較しよう、対話のテーブルに乗せようという気はさらさら無くなってしまった訳です。

その結果として、演義のサイトが学問研究としての範囲として振るわないのは当然で、でもイラストとか楽しく書いてるサイトは大半が演義系でしたね。

mujinmujin 2008/09/03 01:45 webでイラスト書いてる人はほとんどがゲーム経由ですね。そのゲームは演義をベースにしてるんだからそのまま演義に関心を持ってくれればいいんですけど、いきなり一足飛びに史書の方へ行ってしまうのが非常に残念というか勿体ないというか……。

巫俊(ふしゅん)巫俊(ふしゅん) 2008/09/03 06:09 昔、三国志連環でリンク先のイラストをよく見てたんですが、その時はこういうライトなイラスト層がwebの三国志ファンの下地なんだと思っていました。

世間では、やっぱりむじんさんも「正史派」という括りの中に入った扱いを受けていると思うんですが(根拠ナシ)、
実際のむじんさんは典籍や史料、或いは風説の類を一個一個手にとっている訳で、比率としては正史+地誌等の占める割合が大きいと思いますが、そこから何かを見出していって、虚実を判断し、解釈を加えていこうという態度は、正史にも演義にも差別がないんですよね。

さっき書いた「憤青」的正史ファンの場合、彼らにとって演義は「旧約聖書」に類するものだとしても、彼らの立ち位置は例えるとキリスト教徒ではなくイスラム教徒の立場なんですね。
(キリスト教は旧約を聖典とするが、ムハンマドにとっては参考にした先行の預言書のひとつというだけ)

そこに依拠するという気持ちがあるかが道の分かれ目だと思います。
私の場合、史実にしても物語にしても、人類の壮大な社会史を推し測る為の道具という色彩が濃くて、社会史という言葉ですべてを括れるかは分かりませんが、

そうですね、日本書紀が三国志など正史類を参考にして書かれた少年期の日本国家の著作だとしたら、
私にとって三国志などの古代史料は「三歳児や幼稚園時代の記憶を漢語(漢字語)で表現して気持ちを整理する小学生」のそれなのだと思います。

つまり根源的には私にとって三国志とは、あの幼稚園で辛酸をなめた(或いはささやかな栄光の)社会経験を、劉備や文辞に仮託した思い出とすることで、歴史的に叙述することなんです。
私は三国志を糧にすることで奮起し、小学校の同輩の貪欲な征服欲と戦い、或いは志半ばで挫折した際には過度に自分を責めて死に追いやるようなことを防ぐ為に、自分の体験した人生を歴史的視点に転換することで、自分の苦しみも壮大な人類の世界の小さな類型なんだと、自分を納得させたいんだと思います。

そういう点からすると、とくに演義を原典にしないといけない訳ではないのですが、演義から得た知識や体験は大切にしたいなと思います。

mujinmujin 2008/09/03 20:12 はい、2chで正史厨って言われたことありまーす。
史実は史実、物語は物語でそれぞれに真実があると思いますが、ただし物語の中から史実を抜きだしうることもあると思います。しかし原則としてはやはり史実は史実、物語は物語でしょう。しかし一方、それらに関わる動機は別にあってよいと思いますよ。

lakehilllakehill 2008/09/16 16:43 元の羅貫中の三国志演義そのものやその完約版は意外に読まれてないのでは?
多くの人が読んでいるのは『吉川英治三国志』ないし『横山光輝三国志』であって...

mujinmujin 2008/09/19 19:00 わたしが読んだのも完訳版ですが、たしかに原典や完訳を読んでいる人は、日本全体から見るとかなり少ないでしょうね。しかし横山光輝しか読んでないのに演義を分かったつもりになってる正史厨って、痛いなぁ。

あわわあわわ 2008/09/20 22:04 私はこのエントリーに触発されて、演義の完訳版読んでるんですが、よく「史実7割虚構3割どころじゃない」とか言われてるけど、まずこれを読破するのは肝要だと思いました。(新しい発見が多い)
ほんで、この月末、宮城谷の7巻とちくまの演義訳本3巻が同時に到着します。内容的に、連続してしまいます。
どっちか優先して読まないと、頭がこんがらがる恐れが(苦笑)

mujinmujin 2008/09/21 16:05 いちど史書を読んでから演義を読むと、作者がかなり史実を研究、というか参照してることがよく分かりますよね。そして、その史実をいかにして物語に昇華しているのか、その過程を読みとることで作者のすごさが分かる。そこが非常に面白いです。本当に発見が多いです。
いままで三国物語を書いた近年の創作にいくつか目を通しましたが、どれも演義に比べればはるかの下、とうてい演義の水準には到達できてないと思ってます。北方謙三さんのは食わず嫌いなのですが、どうせ読んでも演義に比べりゃつまんないだろう、という予断を持ってしまうんですね。宮城谷昌光さんにはもう少し期待してますけど、まだ読もうという気にはなれない、という程度の感覚です。一方で読めばハマるんだろうな、という気もしてますけど。

AAAAAA 2013/05/04 11:16 演義を見下す正史厨も、正史厨を見下す貴方も、私には同類に見えます…
精神年齢が同じレベルですね

mujinmujin 2013/05/04 15:19 とても精神年齢の高そうなコメントですね。

通りすがり通りすがり 2013/10/25 13:21 演義の凄さが分かる私SUGEEEって高二病は誰もが通る道ですねw

mujinmujin 2013/10/25 19:44 『三国演義』は庶民向けの読みものなので、それを読んだ高校生が自分をすごいとは思わないと思いますよ。

とはいえ、さすがに中国の古典文学ですから、現代日本のただの高校生が理解しつくせるものでもないです。それこそ中国文学のいくたの研究者が一生涯をかけて研究する良材となっているほどですよね。

もし興味をお持ちなら、今年の大会は終わってしまいましたが、三国志学会というものがありますので、足を運ばれてはいかがでしょうか。
http://sangokushi.gakkaisv.org/

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