まみ めも

2018-08-20 見えるものと観えないもの

この夏にきいた話で一番印象が深かったのは、大学の後輩が仕事から帰ったら妻子が荷物とともにさっぱりいなくなっていたというもの。彼自身の身に覚えがあるとしたら、その前日、風邪をひいた娘さんにうどんを鍋から食べさせていたのを、「せめてお椀にうつしなよ」といったことらしい。このエピソードに満ちる生活感がものすごい。人間の気持ちを決壊させる決定的な一滴がその発言だったんだ、そこに至るまでの日々のさまざまに思いをいたし、彼女も彼もわたしだと感じてしまう。

見えるものと観えないもの―横尾忠則対話録 (ちくま文庫)

見えるものと観えないもの―横尾忠則対話録 (ちくま文庫)

金木書店で300円。この対談ラインナップを見たら買わないわけにはいかない。

生と死と芸術と 淀川 長治

想いはエネルギーです 吉本 ばなな

宇宙の愛 中沢 新一

見えるものと見えないもの 栗本 慎一郎

夢は霊感の源泉 河合 隼雄

宇宙と狂気と愛 荒俣 宏

ヴィジョンの降臨 草間 弥生

芸術家畸人たれ 梅原 猛

想念の池にて遊ばむ 島田 雅彦

アートは異界への扉だ 天野 祐吉

芸術は真摯な遊び 黒沢 明

これまでわたしがスピリチュアルの才能とよんでいたことを、「直観野郎」と表現していて的確さにわらってしまった。横尾忠則直観野郎ぶりには憧れてしまう、地平のずっと先までいってほしい。わたしにも直観の才能があったなら。アウラUFOもみえないまま、なんの直観にもうたれずに淡々と油揚げを煮る月曜日。

2018-08-15 世界音痴

ひっそりと帰省中。朝は起き抜けに車に乗り込み病院にむかい、夕方に帰宅していぬの散歩と夕ごはん、風呂をすませ、こどもたちと寝る。夕ごはんは、牛丼をつくったり、冷や飯の炒飯、なすとひき肉の味噌いため、ししとうと豚肉の塩炒め、そうめんとなすの煮物、冷しゃぶなど。台所の冷房のあたりがつらくて、窓を開けて汗だくで料理をする。それからぐーっとビールを煽る。なかばやけくそだ。母のコンプレックスと自分のコンプレックスとこんがらがってしまう。思うように生きられない。雨あがりの虹をみて、慰められたり、してやるもんか。ちょっとテンションだけはあがる。

世界音痴〔文庫〕 (小学館文庫)

世界音痴〔文庫〕 (小学館文庫)

ト。

寿司屋で注文無視されて、夜中に菓子パンむさぼり食い、青汁ビタミン服用しつつネットで昔の恋人探す。啞然、呆然、爆笑、そして落涙の告白的エッセイ。

思うように生きられない穂村弘、同志。世界音痴というタイトルでだいたいわかってしまう。あなたは世界音痴ですか、そうですか、仲良くなれるかもしれません。

2018-08-12 猫は音楽を奏でる

先週、おひとりさまの水曜日は台風が近づいて三時に帰るよういわれた。躊躇せずタイムカードを切り、帰宅困難者を出したくない社の意向忖度し、最寄駅についたあとは自由謳歌することにした。向かうはブックオフ

タマリンドの木 池澤夏樹

知識人99人の死に方 荒俣宏

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。 高山なおみ

きらめくジャンクフード 野中柊

こちらあみ子 今村夏子

秘密と友情 春日武彦穂村弘

単行本のタマリンドが200円、文庫はすべて108円で740円。それから遠回りをしてお気に入りのケーキ屋に寄り、モンブランブルーベリーのタルトを買う。家に帰ってグリーンラベルを一気に飲み干したら、なんだかお腹がふくれてしまい、次の日の朝五時にケーキを食べた。朝イチのケーキは佇まいはソリッドだけどおいしさが減る。朝は舌があまいの支度をできていない。

猫は音楽を奏でる

猫は音楽を奏でる

ブ。いくらか忘れてしもた、108円か200円、たぶん。

人間を虜にしてやまない可愛らしくも妖艶な存在、猫。角田光代三浦しをん恩田陸北村薫養老孟司藤田宜永など42人が、愛猫について綴る。猫文学『ねこ新聞』掲載を単行本化。

猫は語る 角田 光代

性懲りもなく 小池 真理子

チャイクよ永遠に 三浦 しをん

味オンチ 出久根 達郎

得手勝手 養老 孟司

今は猫がいません 内田 春菊

猫に学ぶ 神林 長平

トラの生涯 夏目 房之介

焦げ茶の王朝 佐藤 賢一

猫とはつかず離れずが平穏だ 高村 薫

最後のペット 斉藤 由貴

ぼーっとした天使 渡辺 真理

萩尾さんちのねこたちです 萩尾 望都

ねこマキ 黒川 博行

猫との春秋 佐野 眞一

吾輩は猫である。まだ、なめられてはいない 北村 薫

猫になる幸せ。 高見 恭子

永遠の子供 楠田 枝里子

猫たちに 高橋 克彦

でかいチビ なぎら 健壱

お花のいる家 平岩 弓枝

一匹っぼっち 来生 えつこ

連れてゆきたい 浅生 ハルミン

ふたりのねこ持ち 江川 紹子

いつまでも一緒に 蝶野 正洋

ネコの館 牧 伸二

説教 石牟礼 道子

ゲバ猫と「裸のサル」 小松 左京

アレルギー 藤原 智美

漱石の家の猫 車谷 長吉

父のネコ、私のネコ 香山 リカ

僕のご近所さん 須藤 元気

ニャオ 山本 一力

猫の茗字 岸田 衿子

ネコと待ち合わせる駅 関川 夏央

ハチワレ猫ちゃん 宮城 まり子

外猫ケンさん 村松 友視

ユダヤの民 奥泉 光

うちのかま猫 内館 牧子

家内亡きあと、猫もいない 川本 三郎

猫占い 恩田 陸

“さささっ”の猫 藤田 宜永

猫本は買わずにいられない。かといってそこまで猫好きかといわれるとそうでもない。本の中のまぼろしの猫が好きなのかもしれない。神林長平の猫によると

「生きるのに努力なんか必要ない」

「猫をやるにも、苦労はある」

そうで、そういえば、努力も苦労もしていないような気がして途端に不安になる。木にものぼれやしない。

2018-08-10 アムステルダムの犬

あごにおできができたのを、いじくり倒して育ててしまい、きのこでもはえてきそうなでかいしこりになっている。針でつついたり、押しつぶしてみたけれど、なかなか根が深いようで思いきれずかえって刺激してでかくしてしまった。ぶよぶよとはせず、かたくしこりになって、一筋縄にはいかんようなので、仕事帰りに病院に飛び込み、クラリスとゲンタマイシンをもらってとぼとぼと帰って横になっている。ままならないことが多すぎて、生きづらいものだなと思う。おかあさん、おとうさん、と呟いただけでつい泣けてしまう。

アムステルダムの犬

アムステルダムの犬

ト。

踊るアホノラ犬との一週間。心がほのかにあたたかくなってくる。思い入れたっぷりの絶対オススメの本。文と絵でつづるアムステルダムの犬、パトラッシュのおはなし。

あほでそこぬけなほら話、いしいしんじ の真骨頂。おかあさんの中が懐かしいような気になり、暇さえあれば風呂でぼんやりと本を読む日々。

2018-08-08 たべもの九十九

家族と夏休みが合わず、ひとりで仕事にはげむウイーク。友だちがすくないので、ほとんど一択の彼女に声をかけて、きのうの夜はつきあってもらった。出張帰りのガラガラを引っぱりながらまちに繰り出す。iPhoneの地図がまったく違うところを指し示すので、まぼろしの店のまわりを一周してしまった。ビールで乾杯し、おかわりし、肉肉肉、赤ワインを二本あけたらへべれけになってしまった。せんべろの街で万札払ってべろべろ。帰り道があまりに遠く、朝はあまりに早くきて起床即出社の巻。

たべもの九十九

たべもの九十九

ト。

完璧よりも、ちょっと足りないくらいの方が落ち着くし、おいしい。アイスクリーム、いか、うど、えんどう豆…。料理家・高山なおみが、自身初の挿画と25のレシピとともに綴った、食べものあいうえおエッセイ。

まえに高山なおみとスイセイの本を読んだときには、あかんこれはエネルギーを奪われてしまうとヤバさを感じるスピリチュアルぶりだったけれど、この本では一転して落ちついていて、ちょっとほっとする。チーズ入りの甘い玉子焼きをまねして作った。