まみ めも

2018-06-23 君がいない夜のごはん

わたし史上最高の忙しさがやってきており、どれだけこなしても仕事が次々とわいてくる。こなせばこなすほどわけがわからなくなる。帰ってごはんとおふろと寝かしつけを済ませてから、気持ちをおちつけるようにお絵かき帳に一枚分の手紙を書く。できるだけなんでもない暮らしのことを。きれいな色の洋服を着たいというおかあさんに、ユニクロで服を見繕って送った。やさしく明るく、肌ざわりのよさそうな生地を選んで。自分にできることのささやかさにちょっと絶望しながらも、やれることをやっていくしかない。

君がいない夜のごはん

君がいない夜のごはん

ト。

料理ができず、味音痴で、飲食店にひとりで入れない、菓子パンまみれのぐだぐだとした生活…。歌人・穂村弘の「食べ物」をテーマにした異色エッセイ集。『きょうの料理ビギナーズ』等の連載に加筆修正をして単行本化。

穂村弘が一番だと胸を張っていえるのは、菓子パンを食べた数ぐらい。くるみ蒸しパンやマロン&マロンなら、日本一のペースで食べていた時期があったかもしれない。あるものにハマるととことん食べ続けるくせがあって、いっときは人参ラペのサンドイッチを飽きずに毎日たべていた。いまは花のくちづけを毎日なめている。スジャータといい花のくちづけといい、花言葉に弱いところがある。花のくちづけは、自分の誕生花が出たらすこしおさまりがつくと思うのに、まったく出ない。誕生花とその花言葉を知りたい、グーグルでは知りたくない、花のくちづけで教えてほしい。

2018-06-18 知らない町角

水曜の夜からフーちゃんが熱を出して難儀したけれど、金曜の夕方にかがやきに乗って実家に帰ってきた。いま時季の水田のまぶしさ。お見舞いを繰り返し、なにをするでもない時間を共有する。目があったときに、目の中に光があるので大丈夫という気持ちになる。ここにいるということはなにをしなくてもおおきなものをくれ、元気づけるつもりで元気づけられた。

知らない町角

知らない町角

ト。

文章の達人が感度良好のアナログアンテナを四方八方にめぐらし、映画や音楽をはじめ、デザインや仕事の周辺など、独特のワンダーランドを気力あふれる調子でつづったエッセイ集。

知ってる町角で、知らない町角。

2018-06-14 オッパイ入門

上京した妹が土曜の夜にきて、泊まっていった。夜はふたりで何時間も話し、いくらでも泣けてしまう。ままならないことが多すぎる。ままならないことのなかに、細い光のようにひとの優しさがしみてくる。土曜は誕生日だったので、日曜のお昼をご馳走してお祝いをした。せんぎりじゃがいもとピーマンのスペインふうオムレツ松浦弥太郎はスパニッシュオムレツスペインふうオムレツと表記する、ひらがなになった「ふう」があざとい)、アスパラソテートマトライス、チキンソテー。あざといと言いながら半分は弥太郎メニューなのだった。妹に「猫なんかよんでもこない。」をプレゼントした。家族がとことんしんどい思いのいま、もう一度家族をやり直すことができるかもしれない。

オッパイ入門

オッパイ入門

ト。

謙虚にオッパイに向き合った表題作から、タオルへの「好き」が溢れ出た「タオルっていいな」まで。爆笑必至のショージ節エッセイ。中野翠との対談も収録。『オール讀物』連載を単行本化。

ほんの少し痩せたとおもったら胸がとたんにえぐれている。もともとなかったはずのわたしのオッパイはさらになくなった。ないものをなくすこともある。

2018-06-11 にょっ記

いろいろ悶々とするので髪を切った。それでどうなるわけでもないけれど、数十グラム、梅雨のしめった空気では数百グラムかもしれない、すこしでも感じるものを軽くしたかったのでとことん短くした。気分はニキータ。目の前のことからは逃げられない。ニキータみたいに無造作ヘアにボディコンシャスなタイトスカートでも似合えばいいけれど、そういう服は持ち合わせていないのだった。

にょっ記 (文春文庫)

にょっ記 (文春文庫)

ト。

他人の日常って、ほんとうに奇妙なもの。ましてや鬼才ホムラヒロシともなれば…。くすくす笑いとハイブロウな後味のウソ日記。挿絵はフジモトマサルのひとこま漫画。『別册文藝春秋』連載に加筆して単行本化。

りんごが横にカットされたイラストが表紙の単行本で。曽我部恵一昨日・今日・明日」は丸かじりのりんごが表紙だった。スパッと果物ナイフで半分にされたりんごはいかにも穂村弘っぽい、丸かじりじゃないよね、穂村弘は。曽我部恵一は丸かじりだよ。ちがいない。穂村弘のサインは穂村3ムだというツイッター上の情報。

2018-06-10 アバラーのぼうけん

今度はセイちゃんの遠足で、四時半にめざましをかけた。お弁当は、のりのつくだ煮のおにぎり、鶏もも肉の照り焼き、玉子焼き、きゅうりの塩もみ、枝豆、人参のソテープチトマトラジオを聴く気分ではなく、久しぶりにCDをかける。曽我部恵一の歌声が、夏の訪れる朝にぴったりだ。気がかりなことが頭をはなれず仕事中もそわそわしてしまう。こんなときに限ってプレッシャーのかかる仕事があり、基本的にプレッシャーには弱いので気が散っているうえに自信もまったくなかったけれどもなんとか形のつく結果になった。

ト。

かい主のヘンリーくんとはぐれてしまった犬のアバラー。帰り道をもとめて、行くさきざきでユニークな事件をおこすアバラーと、心配して待っているヘンリーくん。アバラーはヘンリーくんのもとへもどれるのでしょうか…。ハラハラドキドキが連続のぼうけん物語。

アバラーとがつがつ屋のノミ p5-40 

アメリカ一清潔な犬 p41-77 

アバラーとフローリーさん p78-116 

アバラー、マスコットとなる p117-161 

アバラーとフットボールの大熱戦 p162-189 

有名な犬 p190-230 

アバラーとアパート p231-277 

犬や猫がいなくなったことはわが家でも何度かあった。結局みんな帰ってきた。一番長かったのは、猫のみーちゃんで、半年近く帰らず、和歌をさかさまにして玄関にはりつけたり、ノラや状態であきらめきれない思いが途絶えかけたころに、朝、屋根の上で鳴いていたという。みーちゃんなんて大して愛嬌のある猫でもないし、捨てられていた三毛猫だったが、やっぱりいっしょに暮らしてかけがえのない猫になったのだった。ヘンリーくんとアバラーもかけがえのない相棒という感じがまぶしい。アバラーがついはしゃいでヘンリーくんのことを忘れかけてしまうところもよかった。