まみ めも

つむじまがりといわれます

長くつ下のピッピ

日曜、デパートの前で開店時間に待ち合わせをして、クリスマスプレゼントを買ってもらった。デパートのお買い物は久しぶりで浮ついた街の雰囲気にどうしてもときめいてしまう。厚手のたっぷりしたコート、毛布のようにすっぽり包まれるのを45rpmで選んだ。バスローブのようにベルトがついているのをくんくんに結ぶと、すっかり着ぶくれして、そのダサさがうれしい。あとはシンプルな皮のショートブーツ。それから、生まれてはじめて、デパートの化粧品売り場で資生堂の美容部員のお姉さんにお化粧をしてもらった。これまで完全自己流でまともなお化粧はしたことがなかった、丁寧に下地からやってもらい、眉と口紅をつけたら、顔がぱっと華やかになった。ひとそろい買ってもらったけれど、想像の二倍以上のお値段で、使いこなせる自信はまったくない。けれども、鏡にうつる顔が少しだけましになって、みじめな気持ちは春のだった。とりあえずしばらくやれるだけのことはやってみて、無理だとおもったら、わたしの顔ひとつが華やかになるよりも、木蓮も梅も桜も、すこしずつ萌しがみえてきていて、そちらのほうがよほど世の中をあかるくなるのだし、家の中に華やかさがいるのなら、お化粧の値段で花かくだものでも買って帰ればよいだけのことだ。

ト。

ピッピは世界一強い女の子。さると馬といっしょにごたごた荘に住んでいる。となりの家のトミーとアンニカが仲よし。町のいじめっ子をやっつけたり、どろぼうを手玉にとったり、火事の中の子どもを助けたり大活躍。

「世界一つよい女の子」の表紙にひかれて借りたら、とんでもない規格外の女の子で、これはたしかに世界一つよい、ちっともくよくよしたところがなくて、痛快そのものだった。木の上でコーヒーを飲んだり、床でジンジャークッキーの型抜きをしたり、できなくもないことなのに、ほとんどの人はやったことがないにちがいなくて、このほんのちょっとの川をとびこえることができない。ピッピは軽々ととびこえてくれる。