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2016-03-03

社内起業家育成プログラム「始動 Next Innovator」からの学び:パネルセッション・メモ

日本企業のオープン・イノベーションを支援する試みとして、経済産業省は「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」を行っている。その一環で、2015年に実施した社内起業家をシリコンバレーに送り込む育成プログラム「始動:Next Innovator」から得られた学びと課題を議論するパネル討論「イノベーション創出と新規事業人材の育成」を聴講した(2016年2月17日)。以下は、その時のメモである。

1. 導入

  • ソフトウェア・IT の分野での新事業創造・技術開発については、シリコンバレーにかなうクラスターはどこにもなかった。シリコンバレーを真似るのではなく、シリコンバレーとつながることで、大企業のオープン・イノベーションやベンチャー育成を図りたい。
  • 今回はそのために実施した「架け橋プロジェクト」からの学び・課題を、パネルセッションという形で紹介する。

2. 自己紹介

  1. 経産省:石井氏
    • 経産省が発起人となり、日産・志賀副会長(産業革新機構CEO)、WiL・伊佐山 CEO、デロイト・トーマツベンチャーサポートと一緒に、シリコンバレーとの架け橋プロジェクトを実施。
    • 下記のようなことを実施している:
      • 人材を選抜・育成する「始動」プロジェクト
      • 機会を提供する MOMENT カンファレンス
      • 企業支援:中堅・中小企業派遣
    • ベンチャー・エコシステム形成のために、など、日本の企業のオープン・イノベーション、大学改革に取り組んでいる。
  2. WiL: 伊佐山氏
    • シリコンバレー在住 15年。
    • WiL のミッション:大企業のオープン・イノベーションを支援、起業家精神を啓蒙して日本をベンチャー大国に、日本とグローバル起業家の架け橋となる。
    • シリコンバレーのベンチャー・エコシステムがそもそも違う。"Software Leading World" というトレンドに日本は取り残された。それを変えるには時間がかかる。スピーディにやるために、シリコンバレーに「出島」を作ろう、そこを実験やパートナリングの場としよう。
    • 450億円資金調達して下記を実施:
      • ベンチャー投資: 360M $: シリコンバレー企業との直接の窓口
      • ビジネスクリエーション:外部から大企業を指導・啓蒙、そのうち企業内に事業創造の文化が育つ。
      • 教育・人材育成
  3. 日産副会長:志賀氏(産業革新機構 CEO)
    • 日本の自動車産業は強い(世界シェア:29%、ドイツ: 16%)。しかしそれは 90% がハードウェアだから。これから車はソフトウェア製品になる。インターネットに常時接続し、自動運転の時代になる。そのとき、日本は自動車産業でも負けてしまう危機感を持っている。
    • 「すり合わせ」による品質維持という現場力が競争力の源泉であることは決して否定しない。しかしここに固執し続けると世界の進化のスピードに遅れをとる。
    • 大企業経営者の強いリーダシップで、新たなイノベーションを起こす必要がある。今回の「始動」プロジェクトは、大企業の中でイノベータが育成できるのか、を検証する試み。

3. 「シリコンバレーとの架け橋」プロジェクトをやってみて

  1. 経産省:石井氏
    • 「始動」では、応募のあった数100人の中から 120人を選抜、さらに 20人を選んでシリコンバレーを体験させた。その熱量が継続している。
    • 参加者たちのネットワークができた。
    • 会社に帰り、その企業文化に影響を与えるきざしが出てきている。
  2. 日産:志賀氏(メンターとして)
    • 日産からも「始動」に参加、別人のようになった。物見遊山ではなく、「チャレンジしない大企業の人間は、組織の最下層」とまで言われて、受けた刺激・大企業の中でイノベーションが起こしにくいモヤモヤ感を、自主的に企業内のグループで共有しつつある。
    • シリコンバレーで受けた強烈な刺激 vs. 大企業の組織・日々の仕事 というせめぎあいをどのように乗り越えていくか。
    • 大企業の中でイノベーションを起こすには?たとえトップの支持が得られたとしても既存のミドル・マネジメント層が壁になる。個人の力でそれをどう破るか。暖かく見守りたい。それは会社の寛容性・包容力の問題。
    • 『アライアンス』という本に、個人と企業の新たな関係が書いてある。企業が従業員に「成長の機会」を与えることで、個人のイノベーション力があがり、ひいては組織自体のイノベーション力をあげることにつながる。
  3. WiL: 伊佐山氏(シリコンバレーの世話人として)
    • シリコンバレーで「洗脳の儀式」で強烈な刺激を与えた。大企業の安定志向マインドは最下層とまで言われ、その刺激を帰国しても維持できている。大きく 5つの成果があった。
      1. ネットワーキング
        • 「始動」に応募する人は、企業の中ではうざいくらいの暑苦しい人たち。それなのに意外と内向き。社内を向いて 20年たつと市場価値がなく、自前主義に陥りがち。外向きの人材・ネットワーキングに価値があった。
      2. 20人選抜という競争原理
        • 仲間であると同時にライバル。競争原理を働かせることで、とがった人をさらにとがらせる。
      3. シリコンバレーという「大リーグ」世界を知った
        • 初日にコテンパンにやられた。「今の会社に退職届を出してきたのか?」「退路を断ってコミットしているビジネスなのか?」
        • 自分のビジネスプランがいかにダメかを思い知る。
        • Comfort zone から飛び出さなければならないこと。起業の「大リーグ」とはどういうところかを身をもって知ることができた。
      4. 20人→5人 にさらに絞り、会社に戻ってプロジェクト化した
        • 会社に戻り社長に直談判して、実際にプロジェクトとして実践している。
      5. 残りの 15人もフォローアップ
        • 燃料を注ぎ続ける必要があるし、これもワークしている。

4. 課題

  1. 経産省:石井氏
    • 「始動」は中堅向けだが、「イノベーション100委員会」にて、経営トップに企業内イノベーションについてインタビューした。、そこで下記のような課題が挙がっている。これは 2016/2/26 の日本ベンチャー大賞のカンファレンスで発表する。
      1. 今までの成功モデルから脱却できるか
      2. 既存事業の短期成果に固執していないか
      3. 本質的な(表層ではない)顧客ニーズがつかまえられているか
      4. 現場とトップがつながっているか
      5. 内部リソースに固執、自前主義に陥っていないか
    • これらの課題解決に向けて、下記を提唱:
      • 2階建て経営(効率と創造:1F は今、2F は夢)
      • 顧客の半歩先
      • 現場で実験
      • オープンイノベーション
  2. 日産:志賀氏
    • 日本企業は ROE も低いが、従業員・役員報酬も低い。一つの産業が「過当競争」になり、働いた成果のリターンが小さくなっている。
    • ノンコアをカーブアウトする、ベンチャーを買収するなど、ダイナミックに事業ポートフォリオを組み替えなければならない(創業事業にこだわっている場合ではない)。
    • ベンチャーを、日本の大企業は買収しない。コーポレート VC もうまくいかない。新規事業も「やっています」というポーズで、本気で取り組んでいない。この悪循環を延々と繰り返している。
    • Japan Corporation の短期業績・四半期決算にこだわるのも課題。
    • 経営者の「心の岩盤」をどう崩すか。大企業の経営者の理解を高めるには?
      • マインドセットを崩すだけでは難しいのでガバナンスの力を借りる、
      • 不採算事業を囲い込まないために、ガバナンスを持ち込むことも必要。
      • 会社のルールとしてポートフォリオ組替えを常に行う。
      • 社外取締役が不採算事業・将来のコア事業について意見する。
      • 四半期決算よりも中長期戦略を議論する。
  3. WiL:伊佐山氏 大きく 3つの課題がある:
    1. 経営者の心の岩盤を崩す
      • 形だけの新規事業ではなく、自前主義に陥らず
      • シリコンバレー・オフィスを社長が必ず訪問するというコミット
      • 大企業の内部だけではやりにくいことには、外部の力を借りる
    2. 社内環境の整備・イノベーション文化の醸成
      • すぐにやれる環境、(失敗しても)やり直せる環境
      • 社内に「出島」はあるのか
      • 組織内に失敗を許容する寛容さはあるか
    3. 外とのコネクション
      • 日経新聞が国内情報に偏っているように、日本人は外を知らなさ過ぎる。
      • 外の組織をうまく活用すべき

5. 大企業のイノベーションについてメッセージ

  1. 経産省:石井氏
    • 挑戦することを、経営陣が評価・発信する仕組み、若手を伸ばして欲しい。
  2. 日産:志賀氏
    • 企業風土・カルチャーを変える。多様性を重んじる、異なる考え方や意見を受け入れる、とがった人が働けるカルチャーが必要。
  3. WiL:伊佐山氏
    • 若い人のアイディアに、すぐダメ出ししないで、いいところを褒めるべし。欠点を探すのはノーリスクで簡単。
    • トライして失敗することを奨励。成功者は必ず失敗している。失敗するから成功の率を高められる。一歩下がって二歩進む。

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2016-03-02

社内起業家育成プログラム「始動 Next Innovator」からの学び

日本企業のオープン・イノベーションを支援する試みとして、経済産業省は「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」を行っている。その一環で、2015年に実施した社内起業家をシリコンバレーに送り込む育成プログラム「始動:Next Innovator」から得られた学びと課題を議論するパネル討論を聴講した(2016年2月17日)。この試み自体も興味深いが、企業内イノベーションについて、日産自動車・志賀副会長(産業革新機構 CEO)の話が聴けたので紹介する。

パネラーは経産省・石井氏、メンター役となった日産自動車副会長・志賀氏、このプロジェクトの仕掛け人である WiL・伊佐山 CEO(2001年からシリコンバレーに在住)。 シリコンバレーを真似するのではなく、シリコンバレーに「出島」を作り、そこで新たな実験の場やオープンイノベーション機会を作り、事業を創り、Next Innovator としての人材を育成していくのがコンセプトである。

Wil 伊佐山 CEO、日産・志賀副会長によれば、イノベータ人材育成という点で、下記のような変化・成果があったという:

  • シリコンバレーで初日からこてんぱんに叩かれて別人のようになった。「退路を断っていない、チャレンジしない人間は組織の最下層」
  • そこで受けた刺激を社内に持ち帰り、新事業に抵抗するミドルマネジメント層の壁を打破しようとしている。
  • 選抜された日本の企業内起業家は、もともと非常に暑苦しいくらいの人材なのに意外とは内向き。今回、会社の外との人材のネットワークが形成された。
  • シリコンバレーという「メジャーリーグ」という世界を知り、comfort zone から出ることを肌で感じた。
  • 500人→120人→20人とシリコンバレーに行ける人を段階的に選抜することで、競争原理が働き、とがった人がさらにとがった(始動:シリコンバレー派遣メンバー(PDF))。
  • その中でも 5人は会社に戻ってから、社長と直談判してプロジェクトを実践している。

日産・志賀副会長は、自社ビジネスの危機感をもって、イノベーション経営に対する考えを述べたが、経営者の「心の岩盤」という話は傾聴に値する:

  • ハードウェア主体の自動車産業は日本が強かったが、これからはソフトウェアの時代。ネット接続、自動運転でシリコンバレーに負ける危機感を強く持っている。
  • 「すり合わせ」による品質維持という現場力が、日本の自動車メーカーの競争力の源泉であることは決して否定しない。しかしここに固執し続けると世界の進化のスピードに遅れをとる。
  • 社内起業・新事業には、既存事業の組織・業務、それを担うミドルマネジメント層との軋轢がある。また経営者にとって、短期業績 vs. 中長期戦略というせめぎあいもある。これらの課題を乗り越えるには、経営トップの新事業に対する理解と、真のコミットメントが不可欠である(新規事業室を作って、新事業をやっているポーズをしている経営トップがどれだけ多いことか)。
  • ノンコアをカーブアウトする、新規ベンチャーを買収するなど、事業ポートフォリオを「常に」ダイナミックに入れ替える経営が求められる。自前主義に陥りがちで、これができない日本の経営者の「心の岩盤」をどう崩すかが鍵。場合によってはガバナンスの力を借りることも必要になる。
  • せっかくシリコンバレーで刺激を受けた社内起業家が、既存事業のミドルマネジメントにつぶされないよう、サポートしていく。
  • 企業風土・カルチャーを変えなければならない。多様性を重んじ、異なる意見を受け入れる、とがった人が働ける環境・カルチャーが重要。

一時の経営危機から V 字回復し、新たな事業に挑戦する日産自動車の志賀副会長が、短期業績と中期戦略のバランス、新事業へのトップの強いコミットメント、異なる意見を受け入れるカルチャーという話をしていたのは、参考になった。

本パネルセッションのメモも残しておく

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2016-02-27

8年ぶりの新型、Audi A4 を試乗した

8年ぶりに Audi A4 がフルモデルチェンジ、そのデビュー・フェアというので、ちょっとした気分転換のつもりでディーラーに出かけてみたら(もちろん買う気はない)、運よく A4 2.0 TFSI quattro sport という最上級車 S Line Package を試乗することができた。平坦な道、急な坂道の上り・下りを組み合わせた 20分ほどの試乗コースを一回り。そのスムースな走りを体感することができた。

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まず上位の A6、A7 にも積まれるパワフルなエンジン(2.0L、252PS、370Nm/1,600-4,500rpm)と 7速のデュアルクラッチ・トランスミッションが生み出す、滑らかな加速に驚いた。ゆっくりと発進、アクセルに素直に反応する形で素早く加速する。低速でもトルクがあり、また回転数を上昇させない(回転数の変化を感じさせない)。2,000rpm 以下で余裕があるので、アクセルペダルへのレスポンスがよいのだろう。結構急な登り坂でも、全く「頑張っている」感覚がない。僕の愛車であるレヴォーグ1.6L エンジン(170PS、250Nm/1,800-4,800rpm)と比較すると、エンジン音・回転数の変化、ターボ・ラグを感じさせない、静粛な走りが印象的だった。サスペンションもいい具合に道路の凹凸を吸収する。レヴォーグ 1.6GT のパワー・走りに不満はないが、A4 とは全く個性が違うと感じた。一度、レヴォーグの 2.0L エンジン(300PS、400Nm/2,000-4,800rpm)と比べてみたいものである。

車速に反応する電動ステアリングも面白い。低速になると急に軽くなるので、交差点での左折がやり易い。ただアイドリング・ストップの時にステアリングは動かないので、再スタートしてすぐに曲がりたい時は一瞬戸惑うことがある。まぁこれは慣れの問題だろう。

車幅は 1,840mm とレヴォーグより 60mm 大きいがあまりその違いは感じなかったし、ブレーキングの感覚もそんなに違和感がなく、すぐに慣れることができた。

残念ながら高速道路を走っていないので、渋滞に対応する全車速前車追随のアダプティブ・クルーズコントロールをアイサイト(EyeSight)と比較することはできなかったが、レーン・キープと相まって、半自動運転になると、ディーラーの方は言っていた。

旧モデルユーザにとって特筆すべきは、右ハンドルの運転席の左足の位置が広くなったことだと言う。ギアボックスの張り出しで、右ハンドルの場合、左足を置くスペースが狭くなっていたが、新型では解消されており、窮屈に感じない。エクステリアのサイズはほとんど変わらないが、軽量化されている。ヘッドライトのデザインもシャープなものに変わっているし、方向指示器の LED も単なる点滅ではなく、内側から外側へ流れるように光る。

新しい A4 には、Audi の最新技術が惜しみなく取り入れられている。詳しくは『アウディ A4 のすべて』という本に紹介があるが、最も印象的なのは、メーターパネルが 12.3インチの液晶になっており、スピード・メーターやタコ・メーターの大きさを変えられるばかりか、カーナビの地図や Google Earth の航空写真、車両の状態など、さまざまな情報を表示するバーチャル・コクピットである(これは自動的にハイビームを調光する LED ヘッドライトと抱き合わせのオプションである)。

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もちろんバーチャル・コクピットがなくとも、アイシン製のカーナビと組み合わせたディスプレイが真ん中に備わり、コントローラや音声認識・文字認識で操作することができる。その MMI コントローラは、ギアの上に手首を置いて操作するというきめ細かい設計がされている。そしてスマートフォンと連携(Apple CarPlay / Android Auto)するので、スマートフォンのカーナビ機能をそのまま使うこともできるし、Google の最新地図を表示することもできる。

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車内では WiFi を使うことができる。外との接続は SoftbankLTE。3年間は通信料を追加で払う必要はない(4年目以降については検討中)。

2-4人で乗り合わせてゴルフ場に行く日本のゴルファーにとって気がかりなのは、トランク。残念ながらキャディーバッグを真横に積むことはできない。この辺りは、レヴォーグなど日本車の方がよく考えられている。まぁ海外の人は、1-2人でゴルフ場に行くということなのだろう。

ステーションワゴンの A4 Avant は 2016年 5月にお目見えするとのこと。そして新しい A4 ベースの A5 Sportback の登場は年内とのことであった。A4 のディーゼル・エンジン版も日本に導入されるらしい。

新型 A4 の詳しい内容は『アウディ A4 のすべて』に詳しい。旧型とのサイズの比較、ライバルであるベンツ C クラスや BMW 3 シリーズとの比較記事も出ている。新規参入の Jaguar XE も気になる存在だが、新しい Audi A4 にはまだまだ敵わないと感じた。ただ A4 の価格は旧型よりも上がっている(同じセグメントの日本車の倍のお値段、さらには今の A6 との差が詰まってきた)のは気になる点である。

将来、自動車はインターネットに常時接続する Connected Car となり、自動運転となる。新しい A4 はその先駆けとも言える存在である。

AUDI A4のすべて (ニューモデル速報)

AUDI A4のすべて (ニューモデル速報)

2016.3.2 追記

昨日発売された『Motor Magazine』の特集が新型 Audi A4。その走りのインプレッションとして、静粛性の向上のほか、アクセル操作に対する加速のリニアリティに課題があると書かれている。僕は素直にアクセル操作に反応すると感じたのだが(所有しているレヴォーグとの比較において)、車の専門家からすると、多少の違和感があるらしい。

この本では、同じセグメントのライバルとして、Mercedes-Benz C200、BMW 320i Sport、Jaguar XE 25t Portfolio、Volvo S60 T6 AWD R-Design との比較がなされている。

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2016-02-18

レヴォーグと 4代目レガシィ・ツーリングワゴン(BP型)を比較してみる

4代目 BP型 レガシィ・ツーリングワゴン。エクステリアもしなやかな走りも気に入っており、これに運転支援システムアイサイト(EyeSight)が後付けできたなら… と、何度考えたことだろう。

レガシィは北米市場に向けて、5代目以降車体が大きくマッシブになっていた。4代目のツーリング・ワゴンを愛する僕のようなユーザのために、スバルが日本市場専用に開発したスポーツ・ワゴンがレヴォーグ(同 スペシャルサイト)である(Levorg = Legacy Revolution Touring)。

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4代目 レガシィ・ツーリングワゴン 2.5i から、レヴォーグ 1.6 GT に乗り換えてみての感想・印象を僕なりにまとめてみた。

  • 1.6L 直噴ターボは、低速でも力がある。発進時に、アクセルをレガシィと同じように踏むと前に飛び出す感覚があるので、慣れるまでアクセルワークには気を遣った。特に僕の場合、じわっと加速したいので、発進時のアクセルは弱めに踏むことになる。その際、もう少し踏み込むと今度は予想外にグンっと前にでる。ゆっくり滑らかに加速するためには、この中間のアクセルワークが必要である。
  • 無段変速によりシフトショックはない。レガシィは 4速だったが、レヴォーグは 6速になっており、滑らかにギアチェンジする。
  • レガシィでは、エンジンブレーキをかけるためにギアを意図的に落としていたが、レヴォーグではその必要な場面が減った。変速制御がうまく働いている。
  • 乗り心地は少し硬め。しかしドイツ車ほど硬いサスペンションではなく、少々の段差はいなしてくれる。路面状態は、レヴォーグの方が相対的によく拾う。
  • レガシィは静かなタイヤに履き替えていたこともあり、レヴォーグの方がロードノイズが大きいかもしれない。
  • エンジン音はレヴォーグの方がよく聞こえる気がする。ただし高速走行では回転数が低いのか、静かで会話はしやすい。
  • レヴォーグの燃費は高速道路を走ると 13-14km/l。市街地中心だと 10km/l。全体で平均して 11.5km/l。レガシィに比べると 2-3km/l は改善している。レギュラーガソリンというのも嬉しい。
  • アイドリング・ストップの威力もある。アイドリング・ストップがかかると、当然、車内が静かになる。
  • アイドリング・ストップの弱点というほどでもないが、止まっている状態から急にハンドルを切って走ろうとした時に、ハンドルが重くて動かないのに驚いたことがある。アイドリング・ストップ時は当然、パワステが働かないのだった。
  • エクステリアは、いかにもスポーツカー的な印象。正面からみた顔も、いかにも怖そう。インテイクが大きく、ジンベエザメのようだ。エクステリアについては、おとなしめの BP型 レガシィの方が好きである。
  • 室内の大きさはあまり変わっていない印象。後席の足元スペースも同じくらいか。1730mm → 1780mm と横幅は増えているが、その分、安全性能向上に使われているのかもしれない。たとえばドアは重くなっている。ドアの開口幅が大きくなっているので、勢いよく開けないように気を使う。
  • 荷室はレガシィよりも広い。長尺ドライバーの入る、大きめのゴルフバッグが真横に入れられる
  • ドア・ミラーの位置が絶妙で、Aピラー近くの見通しはよい。
  • ワイパーも自動、ライトも自動。地下駐車場に止めてエンジンを切った後もしばらくライトが点灯している。消灯するまでの時間が結構長いので、慣れるまで「あれ?大丈夫かな?」と思う。
  • 以前のレガシィは最終モデルということもあったのか、シートポジションを記憶するのも標準になっていた。レヴォーグだと、この機能を追加するにはレザーシートにする必要があった。
  • カーナビはパナソニックストラーダがビルトインされている。レヴォーグのマルチ・ファンクションディスプレイと連動する。

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2016-02-16

運転支援システム、アイサイト(EyeSight)にハマっている

この一年で、最もハマっているガジェットと言えば、iPhone 6s でもなければ、Amazon Fire TV でもない。スバルの運転支援システム、アイサイト(EyeSight)である。写真のようなステレオカメラによって前方を認識する。

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アイサイトの機能の中では、いざという時にシステムが急ブレーキをかけてくれる、プリクラッシュ・ブレーキが有名だが、実はそれよりも便利で快適なのは、全車速域(0km/h - 114km/h)で、前車に追随していくオート・クルーズコントロールである。アクセルもブレーキも踏む必要なし。足を床に置いておくだけである。

一般にはアダプティブ・クルーズコントロールと言われている機能だが、アイサイトが他社に比べて、一歩秀でているのは、低速域で、しかも 0km/h になっても動作することである。つまり渋滞の時にも前車に追随する。のろのろ運転で前車との間隔を調整するべく、アクセルやブレーキを踏む必要がない。床に足を置いておくだけなので、ものすごく楽である。完全に停止した場合でも、クルーズコントロール機能は HOLD 状態にあり、次にアクセルペダルを軽く踏むだけで、前車への追随を再開する。

それに加えて、レーン・キープ機能もある。レーンの真ん中をキープするよう、システムがステアリング操作をアシストする。たとえば運転手がステアリングを切り過ぎると、戻すような力がステアリングに働く。レーンをはみ出さないように、ふらつきを防止してくれる。

前車追随クルーズ・コントロールと、レーン・キープを併用すると、たとえば車が多く走っている首都高ではほぼ「自動運転」に近い状態になる。前の車に適当に加速・減速しながらついていく。アクセル、ブレーキも踏まず、ステアリング操作もアシストしてくれる。未来の「自動運転」はこうなるんだろう、ということを感じさせてくれる瞬間である。

そして、いざという時に止まってくれる自動緊急ブレーキがあるのは、心なしか安心である。前で減速している車に近づこうとすると警告音を発し、それでもブレーキが遅れて危ない時には、自動的にブレーキがかかる。高速道路の渋滞の最後尾に追突するような事故を避けることができる。逆にスバル車の前を走れば、追突されることも少なくなるのではないだろうか?

全車速追随のクルーズコントロールは、高速道路・自動車専用道路での利用が推奨されている。たとえば渋滞時の料金所など、目の前で横から車が割り込んでくる状況では、このクルーズ・コントロールは使いにくい。こういう時は自らアクセルとブレーキを柔軟に使い分ける必要がある。同様に、一般道ではこれらの機能を使うことは推奨されていない。歩行者や自転車の予測できない動きには、対応するのはまだ難しそうだ。つまりアイサイトは、自動運転システムではなく、あくまで運転支援システム。「つい、うっかり」を警告してくれるなど、事故の確率を着実に下げていると感じる。

このアイサイトが欲しくて、車を買い替えたと言っても過言ではない(「運転支援システム EyeSight にちょっと感動」)。もちろん、レヴォーグ(同 スペシャルサイト)という車自体も気に入っているが、アイサイトの効果と利便性を十二分に楽しんでいる。ゴルフに行く時など、ついついアイサイトの効能を同乗者に語ってしまう。同乗者も理系の IT 系の人が多いので、「お、今、前車を認識したね。」「あ、レーンはこういう時は画像認識できないんだ。」とか興味津々である。

一つだけ残念なのは、レヴォーグのマイナーチェンジの直前に買い換えてしまったことだ。レヴォーグは 2015年 5月に最初のマイナーチェンジとなったが、そこではアドバンスド・セイフティパッケージが用意されており、後方に向けてのセンサーがつけられている。これで車線変更時の死角となるところに車がいるかを感知する。また助手席側のミラーにもカメラがついていて、運転席から死角になる左前方をディスプレイで確認することができる。幅寄せ、狭い道でのすれ違いなどに便利な機能である。

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