つげ忠男を読む

弟さんとは知ってましたが、一度も読んだことはなし。
お兄さんのほうは工場で働いていたり、
自転車屋をやってたり(ヨシボーの犯罪(余談 
すまないながらポケットに手を入れ
笑っているかのような不条理)


スーパーカブにリヤカーをつけたような車?
で野菜売りをしていた話は確認してましたが、
忠男さんは義春さんの漫画に出ていた記憶がない。
まあそれは余談ですが。



忠男さんも釣りが大好きなんですな。
つげ義春さんもイワナとか竿を振っているコマは結構ありますが、
より釣り好きであり、お兄さんよりも性格は明るいんじゃないかなあ、
・・・と思います。
ジーンズショップを開業したり、
人と会わずに出来る商売を模索していた義春さんより、
心の激しいゆらぎは少ない方と思われます。



記念すべき一冊、購入したのは釣り楽し、弁当旨しであります。
漫画ではなく釣りに関するエッセイですが、
ユーモアに富んで実に面白く、
出てくる挿絵はつげ義春さんとそっくり。
電子書籍ですが↓

義春さんの作品中に
忠男さんがアシスタントをしていた話は全くありませんが、
個人的には手伝っていたはず、と思いますね。
一長一短の物真似ではあの線と暗鬱たる黒は出せないはずです。
詳しいことは知りませんが、
長く兄貴のアシスタントをしていたと推察されます。



例えばこの絵。

つげ義春さんの、石を売る、助川助三が商売してた小屋。
川べりの掘っ立て小屋そっくりです。
こちらのほうが少し立派ですがねw
屋根にタイヤが乗っていたり、
むき出しのブリキが曲がっていないだけ立派です。
されどお兄さんの絵からは哀愁が漂い、
未来志向も持てず、ただ理解不能なうちにすうっと
堕落零落に誘うような錯覚にとらわれるのですが、
弟さんには、この本だけに関しては、全く感じられません。


こと釣りの話ですが、今度は釣ってやる、
という意気込みが強く、前向きであり、同じような絵柄でも、
なんか明るいのですな。
義春さんも明るい漫画、例えば、長八の宿(いつか行ってみたい)とか、
もっきり屋の少女とか多少あるんですが、
それでもその中に哀愁に傾いたコマがある。



まあつげ忠男初心者でこれ一冊のみの感想ですが。
次は無頼平野を読んでみようと思います。