マネジメント改革の工程表

マネジメント改革の工程表

マネジメント改革の工程表


コミュニケーション!!
コミュニケーション!!
コミュニケーション!!


PJ管理の中でも「工程表」を作成する点にスポットを当てた本です。

  • サバ
  • バッファ
  • 段取り
  • ゆとり
  • コミュニケーション
  • 目標

というキーワードなどを使って分かりやすく説明されています。

過去に紹介した「目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント 」と内容がかなり重なる点があります。
ですので、最初に「目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント 」を読んだ後に、これを読むと良い復習になると思います。
サバ→バッファの考え方について分かりやすくかかれています。

この本を読んで以下のサイトを見るとさらに理解が深まると思います。



http://www.toc-ccpm.net/index.html (TOC-CCPM情報サイト)




以下、メモ。経営に関するとことは流しました。

はじめに

プロジェクトが成功しない問題点
  • プロジェクトをなぜやるかの目標がはっきりしない。
  • 「手段」がプロジェクトの「目的」となってしまっている。
  • プロジェクトの最中に他の部署の協力が得られずチームワークができない。

※問題とは、あるべき姿と現実のギャップ。

「複数のタスク」を抱えて、それらの「優先順位が不明」で、そして、それらを「平行で」進めている人へ。
  • 質問1:2つの作業を互い違いにやるのと1つの作業に集中し、順番にやるのではどちらが早いですか?
  • 質問2:どちらのほうが、良い品質のものができますか?


だれでも直感的に1つに集中する方が早いし、品質も高いと考えるだろう。当然である。優先順位は明確に。

サバと責任感

サバが生まれるところ
  • 責任感が強い人ほど、信用が重要である。その信用を守るためには、安全余裕が必要と考える。つまり、サバが必要となる。「相手をがっかりさせたくない」気持ちがある人ばかりなのだ。
サバがあると人間はどうなる?
  • 締め切りまでにはまだ間があると考えると、「まだまだ時間がある」と思って、当初はゆっくりと始めてしまい、最後に切羽詰って初めて本気を出す。いわゆる一夜漬け。
  • さらに始末が悪い現象がある。人は「与えられた予算と時間をあるだけ使ってしまう」というパーキンソンの法則


しかし、サバは本当に悪いことだろうか?

サバは「悪いこと」か

「サバ」をめぐる対立
  • 「サバ読み」というと一般に悪いイメージがある。サバが悪いことなら全部取ってしまえばよい?では、サバを全部とってしまうと現場はどうなるか?
    • 仕事の余裕がなくなる
    • 万が一、問題があったら対応する余裕がない
    • 余裕がないからほかのプロジェクトが窮地に陥ったときにも助けられない


すると、「サバを取る」べきか「サバを持つ」べきかが対立してくる。

一般的には、「サバがあれば、社員は最大の効率で仕事ができない」と考えられている。

一方で、儲け続けるためには、良い仕事をする必要がある。

しかし、プロジェクトは不確実だし、何が起こるかわからない。

安全余裕、つまりサバは絶対に必要だ!!!

サバを適正に持ちながら、良い仕事をたくさんこなして、儲け続ける方法はないだろうか?

サバを取ると人間の行動は好ましくなる
  • 「サバ」を徹底的に削る。するとどうなるか・・・
    • 厳しい納期を要求することで、部下は自交流のやり方では間に合わないと自覚する
    • 厳しい納期でやりきるために部下はやり方をほかの人から学ぶようになる


心配なので、もっと早くする方法はないか毎日創意工夫するようになっていくかもしれない。

一方、本人がもともと見積もった一ヶ月でやる場合、自分なりのやり方で、自分でやる。そうすると、より良いやり方を考えること、つまり改善しなくなる。

しかし、厳い納期を要求した瞬間に、やり方は180度変わる。厳しい納期では自分流のやり方では間に合わないからだ。

そうすると、周りの先輩たちに教えを請い、伝わる「知恵の密度」も濃くなっていく。

常に短い納期を厳しく要求し続けること。

現場が「全体最適」を考えるようになる
  • いざというときに、部下を守るという機能と納期を不確実性から守る機能を準備することが必要。


いざというときに部下を守る、納期を守る親方のイメージもあり、その意味でこれを「親方バッファ」と呼ぶ。

  • 厳しい納期なうえにサバがないので、作業中の小さな問題でも、それが大きな問題に発展する前に早めに発展する前に早めに報告を上司に上げるようになる。
  • 早めに報告が来たら、上司は、その問題の深刻さに合わせて、自分の持っているサバの中で吸収するか、それとも自ら入り、部下を助けるか判断し、部下を支援できる。
  • 部下が早め早めの報・連・相を実施し、上司は、手遅れになる前に手を打つ先手管理ができるので上司と部下の信頼関係が増す。
  • 上司はイザというときに「親方バッファ」で守ってくれる。現場は守られているという安心感の中で仕事が進められる。


「サバ」は「バッファ」に変化し、チームワークの源泉となる。一方、サバを読んで隠すと不信感をつくる。逆にサバをバッファとして見せれば、「親方バッファ」として活用でき、それは信頼関係の始まりになる。

バッファはどこに置くべきか

バッファを置く場所で意味が変わる
  • それぞれのタスクについてサバ取りを行い、「できるかできないかのギリギリの納期」とサバを区別する。
  • このサバをバッファとして各タスク内のチームで共有しているのが2段目の段階。
  • さらにプロジェクト全体でチームワークを築いて協力してやっていきたければ、バッファをプロジェクトの最後にもっていけばよい。



約束した納期を守るために必要なサバ。このサバを隠すから個人プレーとなりチームワークが阻害される。逆にこのサバをバッファとして見せれば、チームワークの源泉となり、これをどんどん広い範囲で公開することで、さらに多くの人の助けが得られチームワークができるというメカニズムなのである。

バッファはどのくらいの量にすべきか

適度な緊張感をもたらすバッファの適正量とは


プロジェクトは遅めに開始するのが望ましい
  • 「プロジェクト」と名が付く仕事は一般的に期間が長い。期間が長いと不確実性はそれに応じて増えてくる。
  • むやみやたらに早く着手することは、プロジェクトの期間を長くするだけでなく、そのせいで予測できない不確実性が確実に増えるということ。
  • 市場や環境の変化によって予測できない不確実性のために、せっかく始めたプロジェクトが最初からやり直しになることも少なくない。


納期が守れる限り、遅く開始したほうが不確実性は減るのは当然だ。なるべく長く市場や環境の変化をつぶさに観察しておいて不確定要素をなるべく減らしておく。そして、やるとなったらなるべく短い期間でプロジェクトを完了させる。これが「プロジェクトの不確実性を小さくするための王道」だ。

重要タスクをつなげる「クリティカルチェーン
  • 工程表内の最も「重要な(=(クリティカルな)」チェーン。工程表の中で、重要なタスクが並んでいる列。これがクリティカルチェーン
  • バッファの消費量を見ていさえすれば、個々のタスクの詳細な進捗に気を回す必要もない。クリティカルチェーン上に集中して納期管理していけばよいのだ。
バッファの消費量で納期管理
  • バッファによる進捗管理は簡単だ。各作業で起こる遅れをバッファの消費量という形でチェックするだけでよい。
  • これにより、以下のことが可能となる。
    • 納期の遅れの可能性が、実際に遅れるはるか前にバッファの消費量というアラートで示すことができる。
    • バッファの消費量によって納期遅れが実際に起こる春構えに危険予知が可能となり、先手管理の対策をうつことができる。


「早め早めの報・連・相」と「先手管理」はプロジェクト管理の基本中の基本が実践されるメカニズムがここで入ったことになる。

「あと何日」の進捗管理

ごまかしのきかない「あと何日?」
  • 日常の進捗管理をするのはとてもかんたんだ。作業担当者に「あと何日?」と質問するだけだ。


「あと何日?」でやっていると、納期を守るためにこれから何をすべきか未来系でみんなが議論するようになるのである。納期を守るために必要な情報は、つきつめて考えると完了までに「あと何日」かかるかという未来の情報だけだ。
どんな作業でも着手前と着手後では、完了までの見通しは作業に着手したあとのほうが正確になる。それも日程が経つに従い、作業完了まで「あと何日」の見通しはますます正確さを増してくる。

    • 「あと何日」というかんたんでわかりやすい報告で作業担当者の報告の負担が大幅に軽減され、作業に集中できる
    • 何をしたかではなく。これから何をするか未来系で議論するので作業担当者の納期に対する意識が向上する
    • 予定までの進み具合が実感できるので、作業担当者の達成感が高まる
    • 作業が進むとともに完成までの見通しがきくようになり、納期を守れる可能性が上がる
    • 作業進行中に常に見積を訓練することになり、作業担当者の見積もり能力が上がり、人材の育成につながる


「あと何日」は新しいことではない。むしろ、日常では、普通にみなさんやっていることである。「普通のこと」を「普通にしましょう」ということなのだ。
「あと何日?」は報告させるのではなく、聞きにいくこと。

余裕があるから助けられる
  • 不確実性があるのがプロジェクト。いかに入念に準備したって、リスクを予測したって、問題は確実に起こる。
  • 問題に対処するためには、どうしても余裕は必要。
  • 助け合うゆとりの源泉が、「バッファ」。
  • 困ったときに相手を助ける「思いやり」、そして、「チームワーク」の重要性を常日頃から、教えられているわれわれだが、バッファ、つまり余裕があるということは「思いやり」あるチームワークの源泉となる。


もし、あなたが、助け合うチームワークが組織の中に欲しいと考えているのなら、バッファは必要だということになる。

人を育て納期を守るさらに良い方法「未来予知訓練」


未来系で議論するのにもうひとつ良い方法がある。これから作業完了するまで「問題があるとしたら何がある?」と質問することだ。

    • 「問題があるとしたら何がある?」は作業担当者に対してプロジェクトにおけるリスクを考える訓練を行う
    • プロジェクト進行中に完了までのリスクを未然に防ぐためのプロジェクトチーム内のコミュニケーションが活発になり、ベテランの知恵が若手に共有され、人材が育成される


ODSCで目標のすり合わせをする

心をひとつにする目標の作成、目標のすり合わせが大切
  • 成功しているプロジェクトマネジャーに話を聞くと例外なく重視しているのは、プロジェクトの目標のすり合わせだ。


目標のすり合わせを行う効果的な方法がある。目標を3つに分けてすり合わせを行う、「ODSC」という方法だ。プロジェクトの目標を3つ、つまり、O、D、Sに分けて議論するのだ。

  • 「O」はObjectives(目的)、「D」はDeliverable(成果物)、「SC」はSuccessCriteria(成功)の成功基準のそれぞれの略。
  • 成功基準に魂のこもった言葉を入れる。「魂のこもった言葉」は、プロジェクトの最中に、合言葉のように、メンバーのあいだで繰り返し議論され、メンバーが自然に成功基準にこだわるようになる。
ODSCはプロジェクトの大義名分
  • 「プロジェクトの大義名分」を明らかにせよ。つまり、大義名分を、目的、成果物、成功基準として明確にしめすのだ。これを明確に示すことはプロジェクトの求心力を飛躍的に高めることになる。
ODSCチェックリスト
  • 企業や組織の理念に合致しているか?
  • 経営目標やプロジェクトの本来の目標と合致したものであるか?
  • 参加メンバーが熱意をもってこのプロジェクトに参加し、そしてメンバーが成長するために、積極的でありながら、達成可能な内容となっているか?
  • 社会通念に外れていないか?(社会に貢献できる視点が入っているか?)
ODSCで人材育成
  • ODSCですり合わせしていく過程で、目的の記述の中に自分の成長視点からの目的を記述すること。このプロジェクトで、どう成長したいとか、成功したらこうなりたいとか、メンバーはどう成長するとか。
  • メンバーがめざましい成長を見せたプロジェクトをふり返ってみると、プロジェクトの成功とメンバーのなりたい自分の実現がオーバーラップしたときだ。
  • 使命感が生まれ、プロジェクトの成功の確率は飛躍的に高まる。

改革の工程表をひく

10時の電車に乗るためには
  • 人は普通の生活では、目標を後ろから確認して、「そのためには○○しておかなければならない」と考えて計画を練っている。そして、その手順を順を追ってやると目標が達成できるかどうか確認している。これが当たり前の考え方である。
  • 「段取り八分」という言葉が頻繁に使われるが、段取りとは、目標を達成するために前もって先手を打って準備しておくこと」と考えると、この方法は、まさに段取り八分の工程表の正しい引き方である。これを「科学的段取り八分工程表」と名づける。
科学的段取り八分工程表のひき方 → 見える化
  • 以下の質問を繰り返して、プロジェクトの最初の部分まで戻っていく。
    • 「その直前にやることは何ですか?」
    • 「本当にそれだけですか?」
  • 重要なのは、それぞれのタスクを「○○する」と動詞で表現すること。なるべく分かりやすい表現で。(一般的に、仕事ができる人は、むずかしいことでも分かりやすく説明できる。)


「○○する」と動詞で表現すると自然に期間のイメージや実際のタスクの作業のイメージが議論しているメンバーの中で共有される。それだけではない。「○○する」と表現するとほかの人にもわかりやすいのだ。むずかしい言葉や専門用語を使うとなかなか知恵が出しにくいし、「煙に巻く」という言葉があるとおり、ほかの人は作業の中身はよくわからない。しかし、「○○する」と表現するとみんな普通の言葉で議論し始めるので、さまざまな意見がみんなから自然に出てきやすくなるのである。

  • 一部の一握りの人間だけでやるのではなく。プロジェクト主要関係者全員(プロジェクトによる)でやると「魂のこもった工程表」ができあがる。
  • ここでは次のものが得られる。
    • みんなの知恵でつくられた「仕事の段取り」
    • 「科学的目標すり合わせ」で議論したODSCを実行するためのメンバーの意思統一
    • 「こうやれば本当に成功する」というメンバーの共通した気持ちとやる気
リスクの大きい工程は前に押し出される
  • 後ろから工程表作成をしていると、リスクの高い工程は、工程の前の方に「自然に」押し出されていく。
  • 工程表をひくなかで、この作業を行う「ためには」事前に何を段取りすべきかという議論を行うので、必然的に、リスクの高いタスクは前に押し出される。
  • ベテランからは「このタスクをするためには前もってこうしたほうが良い」という意見が出る。


「リスクの大きい工程は先に行う」というプロジェクトマネジメントの原則が徹底される。

うまくやるコツ
  • 「基本に忠実」
  • 「部門を越えてプロジェクトに関係する参加メンバーが議論に参加していること」
  • 「目標に戻って考える」
「木を見て森を見ず」に陥らないタスクの数にする
  • タスクの数は100以下(できれば50くらい)が望ましいといわれている。これは、このくらいの数だとプロジェクト全体の一覧性が良く「木を見て森を見ず」の議論が防げるので非常に良い。

サバ取りを行う実践手順

まず納期を確認する

※「初めに納期ありき」が現在のプロジェクトの現実。

タスクそのものの期間を短縮する
  • タスクそのものがなぜ長いのか議論する。
  • 関係する他部署や外部の担当者にも議論に入ってもらう。
タスクを分ける
  • 長すぎる場合はタスクを分けて考えるのもひとつの手。以下のようなさまざまな方法を検討して、工程表に反映させていく。
    • タスクを分けたうえで、並行にやることで、タスクを短くできないか?
    • タスクの作業の中で前もってやるように切り分けられるタスクはないか?
    • ほかにも前もって知らせておくことで相手の協力が得られ、納期を短くできることはないか?
タスクをまとめる
  • タスクを検討して一緒にやるべき仕事をまとめる。
  • マルチタスクはいけないが、一緒にまとめたほうが質の良い仕事ができたり、効率が上がったりするものもある。これらはマルチタスクではなく、本来は1つのタスクであるはずが、なんらかの経緯や、組織の問題、または従来からの慣行で別のタスクとなっていたのかもしれない。
タスクの順番を見直す
このサバ取りを行うことで・・・
  • ODSCを意識しながら、全体最適の視点でみんながぎろんするようになる
  • 段取り八分を集団でやる訓練になる
  • 1つのチェーンを意識してみんなが集中して議論しているので、目標納期達成のためのチームワークがさらに強くなる
  • 納期は、個々のタスクの担当者を責めても短くならない。チームで議論して短くするものということをみんなが理解する
  • プロジェクトが楽しく、ワクワクするようになる
プロジェクトの成功に欠かせない周囲の支援
  • プロジェクトの問題としてよくあげられるのが、次の問題だ。
    • 予算が足りない
    • 人が足りない
    • 客先やマネジメントの判断が遅れる
    • 情報がタイムリーに共有されない
    • 調達品の納期が遅い
    • 要求がコロコロ変わる
    • 周囲が助けてくれない
    • マネジメントの助けが得られない


これらの項目をよく見てほしい。すべての項目はプロジェクトの内部の問題ではなく、むしろプロジェクトメンバーの外側に起因する問題であることがほとんどだ。実際、プロジェクトの失敗の原因としてあげられる言い訳のほとんどがここにあげられたものである。プロジェクトメンバーは一生懸命やっている。なのに失敗してしまう理由は、周囲からの支援が得られていないことが多いからだ。


つまり、プロジェクトにおける成功の鍵はプロジェクトメンバー以外の周囲の支援をいかに得ることができるかに大きく依存しているのだ。

人を育てるクリティカルチェーン

  • 「科学的目標すり合わせ」はチームメンバーや経営幹部、その他もろもろのプロジェクトにおけるステークホルダーとプロジェクトの目標をすり合わせし、共有するためのコミュニケーションツールである。
  • 「科学的段取り八分工程表」は、後ろから工程表をひくことにより、目標達成の意思統一を図り、必要なタスクだけを拾い出し、リスクを前もって予測し、もれがないようなチームで議論でき、こうした「考える訓練」を自然に行うことで人材育成を実現し、目標に向かってチームワークで活動するためのコミュニケーションツールである。
  • 「科学的サバ取り段取り」は、プロジェクトメンバーがプロジェクトの成功基準を達成するために、クリティカルチェーンという最も重要なところに集中して議論できるようにチームワークをつくり出すコミュニケーションツールである。
  • 「親方バッファ」は、手遅れになる前に、問題が報・連・相され、先手管理をうながすコミュニケーションツールである。そしてそれは、チームワークを加速して、全体最適の視点で、作業者から経営幹部まで1つの分かりやすい指標で進捗管理をするためのコミュニケーションツールである。

以上。