ちょっと気になったこと

 ラカン派の小笠原晋也という人はカトリックらしいのだが、彼のブログ記事で次のようなところがあった。

福音書の話のなかで,イェスは僅かなパンと魚を分けて数千人の群衆を満腹させました.そのような満足が救済の具体的なイメージです.
http://ogswrs.blogspot.jp/2014/08/16.html

 これはちょっとミスリーディングだなと思った。引用した記事の後の方では「飢え渇いていること」が天の宴に招かれる条件だと続いているので、ある程度本質的な部分は分かっていると思うのだが、群衆がパンと魚によって満腹したことは、福音書の文脈の中ではあくまでも肉体的な満足でしかないのであって、イエス様はそういう満足ばかりを求めていてもだめなんだよ、という話をする。つまり、肉体的な満足をイエス様が与えた記事は、肉体の満足を超えた「永遠のいのち」にあずかることとの対比のために提示されているという側面があり、群衆が肉体的に満足したことを即救済のイメージに結びつけるのは福音書記事の文脈から考えて誤読の可能性が高いと思う。
 所詮、給食の奇跡を奇跡ととらえられない似非信仰者の言うことなどまともに取り上げても仕方がないのだが、少し気になったので書いてみた。ただ、やっぱりラカンキリスト教的な概念をキリスト教的な装いをしないで語っているようなところがあるよなあという思いを強くした。