今年のゲーム十選 2006 (3/3)

  • 電力会社
  • レイジ
  • カリフォルニア
  • R-ECO

カードゲームでは「レイジ」「R-ECO」がよかったのでそのまま入れた。

「レイジ」以外は、日本でいま専門店から買えます。

7.電力会社 新版

電力会社を経営。発電所と資源と土地を買って、電力を供給して規模を拡大する…という、マネジメントゲーム
プレイに3時間かかるが、長さを感じさせない。発電所カードを整理するルールが多少煩雑(枝葉が多い)だが、そのルールでバランスを取ったかいあって、序盤中盤終盤どこでも常に悩まされるし、マネジメントゲームなのに、展開も終わり方も劇的。
慢性的に金のやりくりでキリキリするゲームなのに、めくられたカードで「風力発電キター!」とか無邪気に楽しめるところが、ほっとさせる。カードの絵柄もいい味。
発電所を買うのがプレイヤー間の競りなのは、ゲーム中でスパイスにはなっているけど、ちょっとプレイヤー任せじゃないの…? という感じはする。

8.レイジ

10ゲームやる中で、手札枚数が10,9,8...と徐々に減っていくというシステムが特徴的。

で、10ゲームトータルで得点をつけろ、とある。ゲームの得点は自分の取るトリックの予想が当たるかどうか。
つまり、手札10枚の情報を元に考えた予想が当たる得点と、手札1枚のほぼ投げやりな予想の得点が、等価。まぁ、そういうゲーム。
ゲームに飽きてきても、それを補うようにバカゲー要素が混入してくるし、プレイタイムがどんどん短くなるので、カラっと終われる。
終わりに近づくにしたがって時間を短くする、というのは、ゲームとして好まれる要素になるかも知れない。

9.カリフォルニア

ミヒャエル・シャハトは好きなデザイナーなので、傑作とは呼べなくても、何か一つ選ぶことにした。
テーマとシステムの噛み合ってなさが相変わらず。新築の家に設置する床タイルと家具タイルを買う。家具を買うと、家具に対応したお客がやってきて、お客が二人以上になると「おみやげ」を持ってきてくれる。
意味がわからないなりに、二人目のお客を誘致できたときに「さぁパーティーやでー!」とか言ってみるが、やはり寒かった。
このデザイナーのゲームは、ワンアイデアゲームでもなく、重厚長大なゲームでもなく、システム的には「なるほどねー」と頷かせる部分があるが、総じて爽快感がないのである。
しかし、私は、この温度の低さがけっこう好きらしい。パーティーが何なのか、なぜおみやげが1点なのかとは関係なく、床タイルの落札で「アァーッ…まずい…」とか呻吟している時間は、「あんこうの干物」「うなぎパイ」のような、ちょっとした珍味だと思う。
あんこうの干物なんて、いつもいつも食うわけではないが、誰かに、あんこうの干物を作り続けてほしい。

10.R-ECO

ゴミを捨てに行ったらなぜか来たときよりも帰るときのほうがトラック山積みになっていた、というゲーム。
日本製。
10番目にこれを持ってくると、なんかどうも「日本のゲーム業界もガンバレ」的な文脈で読まれてしまいそうなのだけど、そういうの全然無視して、普通に面白い。あぁ、そういう言い方はまたフォローじみている…

いやまぁ、日本のゲームがこれだけドイツゲーム的なエッセンスを持っているという意味で、プレイして「え?」という意外な感じがあるのは確か。「カード出したくない」ジレンマもきっちりある。

私らがやってるゲームになじみがない人に「ゲームで遊んでます」というと、ウノみたいなもの? と聞かれることがある。

別にウノが嫌いな訳ではないけども、そういうもののせいで、一般的に、カードゲームというと、表に強さが書いてあって「アタック」したり人にいっぱい引かせたりするようなもの、という先入観があるのかも知れない。

カードゲームなのに「カード出したくない」と考えてしまうゲームを、私なんかはわりと当たり前のシステムだと思ってるけど、日本でふつうにウノとかで遊んでる人には、かなり斬新な仕組みなんじゃないのだろうか。

うーん…どれだけ書いても、「日本でもこんなゲームが!」みたいなところから離れられないから開き直る。個人的な好みとして「ビートルズ以上にビートルズみたいなバンド」みたいな煽り文句に弱いので、十選に入れました。

番外.そのほか気になる(もっとやりたい)

うんすんかるたはルールが多くて飲み込みきるまでに時間がかかる。
ミケリノスはもうちょっと何かありそう。
ケイラスはまだ全然見えない。適応的に手を作っていくしかないんじゃないのか。
新版も発売されるタージマハルは、3人が適正か。5人は全員が首を絞め合う辛い展開。お蔵入りに近かったのだが、面白さを再発見できてよかった。