最終最後の総仕上げ。「ホワイト・グリント完成編 その2」。そして……

はい皆様こんにちは。
今回はホワイト・グリント完成編の2回目。長いこといじくり回していた模型が、とうとう完成します。それでは早速。

箱絵のせいか、はたまたムービーのせいかイメージがこんな感じだっので、この写真でトップ画を作ってみました。

周りから見るとこんなふう。



上半身。カメラ・アイは電飾じゃなくガイアノーツ蛍光クリアーを塗ってUVライトを当てています。結構いけるでしょ。

カメラ・アイ部分は差し替えで「テンテンテンテン」っていうやつも再現。キットにはクリアブルー成型のものとクリアー成型のパーツの2種が付属していたので、クリアーのものを利用して「テンテン・バージョン」を再現しました。作り方はいたってマニュアル。

内径0.41mmの真鍮パイプをポンチ代わりに、マスキングテープを切り抜き、蛍光クリアーを塗ったパーツの上に貼った後、ブラック→ブルーと塗り重ねただけ。やや失敗気味ですが良しとします。

これとは別にシャッターが閉まった状態のパーツも付属。しっかり塗装しておきました。

下半身。各所のウェザリング具合と差し替えたメタルシリンダーが見せ所です。

たしかプロモーションムービーで、こんなポーズをとってたような気がする。


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ここへんで今回のウェザリングのしかたを説明しておきます。チッピングについての質問メールが、確実に来ると思うので。

まず用意するのはエナメル塗料のフラットホワイトとフラットブラックを混ぜたもの。写真はいつも使っているスミイレ用の物凄く濃いグレーです。油絵具のように塗料皿に出して固まったものに用材を加えて塗装します。左側の色の薄いほうが溶剤を入れた皿。溶剤にはNOUBEL社製のペトロールを使っています。
この「ペトロール」というのは元々油彩に使用する溶剤で、絵具メーカ数社から色々な種類のものが発売されています。有名なメーカーを挙げれば「NOUBEL」か「HOLBEIN」といった所でしょうか。どちらも老舗の画材メーカーです。プラモデル用のエナメル塗料はこれらの油絵具と同じ溶剤成分で希釈できます。では、なぜわざわざ専用溶剤ではないものを使うのかというと、専用の溶剤より若干乾燥が速いからなのです。
よく、「ペトロールを使ってスミイレするとプラが割れない」という勘違いをしていらっしゃる方がいますが、そんなことはありません。ペトロールでも割れます。実はラッカー塗料でも割れることがあります。これは塗料に含まれる溶剤成分がプラを犯して脆くするためで、力のかかっている部分のパーツに割れが生じてしまうのです。これを避けるためにどうしたらいいかといいますと、溶剤がプラを犯す前に溶剤成分を乾燥させてしまえばいいのです。具体的にはドライヤーで強制乾燥させるんですが、その時の乾燥がペトロールのほうが普通の溶剤より速いんですね。ラッカー系の塗料で割れが起こりにくいのは、エナメル系塗料より乾燥がうんと早いから。したがって気温が低い雨の日などに塗装をしていると、ラッカー塗料でもパーツの割れを起こすことがあります。
閑話休題
さて、続いての道具は「筆」。

大体この3本で用が足ります。



まずはラッカー塗装を終えて、軽ーくスミイレだけした状態のパーツ。ここに平筆で、薄く溶いたエナメル塗料を塗り、ドライヤーで強制乾燥させた後、溶剤を含ませたキムワイプでざっとふき取ります。キムワイプとは医療や精密機械などの分野で使われるティッシュのようなもので、細かい繊維が残らないため美しい拭き取りができます。大き目のDIYショップなどに置いてあると思いますし、無ければアマゾンなどでも買うことが出来ます。あると便利なので、購入しておくことをオススメします。エアブラシの掃除にも使えるしね。

そしてその拭き取りが終わった状態。この拭き取り加減が丁度良い「ムラ」を演出するので、意外と重要です。ヘビーな汚れを表現するには濃く=拭き取りを少なく、軽い汚れの場合は薄く=しっかり拭き取り、という作業をします。

拭き取りが終わったら、またドライヤーで乾燥させておいて、面相筆でチッピング(擦れ痕)を書き込んでいきます。この時塗料は薄め。下地が若干透けて見えるくらいが丁度いいと思います。

そして、それを何回か繰り返すと、こんなふうになります。この作業、もう殆んどお絵かきです。削れて跡が付きそうな所を、それらしく書いていきます。この作業は慣れるまで修練するしかありません。今回は若干オーバーになりすぎたので、綿棒に溶剤をつけて擦り取っていきました。一発で決まれば良いんですが、中々上手くいかないもんで、完成後でも全体のバランスを見ながらこの作業をしたりすることもあります。まあ、失敗しても拭き取れますから、訓練のつもりで、まずやってみるのが一番の近道です。

そして完成。


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さて、今回、本体に使用したカスタムパーツはこちら。

上半身、背面センターのバーニアはBSバーニア ロング 10mmを使用。

スネのバーニアはBSバーニア ノーマル 8mm、アキレス腱部分にはメタルシリンダーM。その他、肩のスラスターにはデュアルパイプの3mmと2mmを使いました。



そして、今回大活躍だったのがこれ「アクアリンカー」。HiQpartsさんから「これ良いですよ」ってな具合に勧められたんですが、バーニアなど力のかからない部分のメタルパーツの接着には最適です。何といっても希釈無しで使えるのが良い。乾燥後もGボンドなどよりかっちりと硬度が出ます。


続いて武器類。

ライフルはスターブライトアイアンで塗装した後、クリアーブルー、スモークブラックと塗り重ねていき、フラットクリアーでコートした後に若干削り作業をし、最後に少量の「こすって銀さん」で、部分的に磨きを入れました。ハンドウェポンは消耗品に近いでしょうから、本体よりもウェザリングを控えめにしました。

肩口のミサイルランチャーは本体色を塗った後に明るいグレーでざっとドライブラシ。その後、ごく控えめにチッピングを入れました。たぶんこれも使い捨て系の兵器だと思うので。


さあ、ここまで来たらこれじゃろ、ってことでオーバーブースト・モード。

でかい。でかくて写真に撮りづらい。

ちょっとアップで。


で、オーバーブーストと来たらこれですね。

「VANGERD OVER BOOST」略してVOB。VOBに関しては仮組みのまんま放置してたような気がするので、ちょいと詳しく写真を見せましょうか。


実は皆さんが気が付かないようなところに、ちょいちょい手を加えてます。例えばこんなところ。

頭の上のディティールは面出しもかねて一度削り落とし、ディテールをメタルパーツに置き換えています。いや、特にシャープさがどうこうという訳ではないんですが、ディテールのすき間にパーティングラインとかヒケとかがあると処理が面倒でしょ。例えばこんなふうに。

こんな時はいっそディティールを削ってしまって新しく付け替えたほうが早い、って時もあります。

まずはざっくりディテール面を削っておいて

センターに仮穴を空けます。そうしたら面位置まで削り、パーティングラインも消しておいて、

穴を1mmに広げます。

そこにリベットパーツを接着すれば完成。ここに使ったのはヘックスの1.5mmです。

塗装して取り付けてみるとこんな感じです。まあ、あまり目立たないので気にならない方はそのままでも。

ここも同じように処理しています。



そんなこんなで、基本塗装が終わった状態。この後デカール貼りトップコートを吹いたら、先に書いた手順でウェザリングを終えて完成です。VOBは使い捨てなのでウェザリングはごくあっさり目に。あ、今回バーニア類は全て差し替えていますので、この写真ではまだ付いていません。


そして、

完成。



VOBに使用したバーニアパーツは以下です。
メインスラスター:BSバーニア ロング 10mm
サイドスラスター:BSバーニア ロング 6mm
今回本体も含めてアウターパーツはグレー(ニュートラルグレーIII 85%+Ex-ホワイト 10%+フラットベース 5%)、インナーパーツはスターブライトアイアンで塗装してあります。



ちょいと目立つところではプラで出来ていた接続ラインを蛇腹チェーン ブラック1.5mmに差し替え。それなりの雰囲気があるパーツです。



デカールは本体ともどもNCデカール05 グレーの1/100用を使用。本体、VOB含め一枚で足りました。このデカール、薄くて糊がしっかりしているので、なれない方はちと手こずるかもしれませんが、仕上がりは最上級です。


さあ、ここまで来たら合体じゃ! 出撃じゃ!!

プロモの出撃シーンの感じ。ごごごごごごごご、って所ね。


なんだか暴力的な感じさえする。本体ブースターを繋ぐケーブルに蛇腹チェーンメッシュチェーンを使っても面白そうです。

いざ飛行形態で出撃。

やっぱり暴力的な感じがする。でもそこが魅力だな。

何といっても「二丁拳銃」がバカっぽくて素敵。



飛行形態時のラジエター? は差し替えと可動両方混在で再現できます。頭はすっぽり胴体の中に収納。こんなもんでいかがでしょう?

さて、今回の塗装レシピを紹介しておきましょう。
まずはグリント、VOB共々本体色は
白=Ex-ホワイト(90%)+Ex-ブラック(10%)+ナチュラルブラウン(少々)+フラットベース適量
グレー=ホワイト(15%)+Ex-ブラック(75%)+フラットベース適量

デカールを貼った後Ex-フラットクリアーでコート。この上からエナメルの濃いグレーでウオッシングし、調子を暗くしています。VOBはグリントより明るめに(拭き取りをきちんと)しています。
VOBの薄いグレーはバーニアのアウターパーツと同じ
ニュートラルグレーIII(85%)+Ex-ホワイト(10%)+フラットベース(5%)
で塗装しています。



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そしてここで、皆さんに重要なお知らせがあります。
突然ですが、このブログの更新は本日が最後になります。


前のブログから数えて約7ヶ月、色々とやってまいりましたが、この度、新しく出来た模型のポータルサイト「MODELER'S PRESS JAPAN」という所からお誘いをいただきまして、そちらに移転することにいたしました。実のところ、このブログを始めようと思ったのには大きな訳がありました。それは、このブログを始める前、雑誌で連載をしているころからの思いに端を発しています。


これまで、雑誌連載等で模型を作り続けてきた私ですが、メールでいただく質問を読んだり、あちこちで模型好きな方々のお話を聞くにつれ、「なんだか妙なことになっている」と感じていました。例えば、「模型を作りたいのだがランナーから部品を切り離すのが面倒だ」とか「誰々さん(某有名もデラーさん)のような完成品が欲しいのだが、どうしたら手に入るか」とか。そのような類の質問は、ごく一部の限られた人々の質問という訳ではなく、地域、年齢を境にすることなく、多数寄せられました。
また、こんなこともありました。
模型が趣味だという某誌の編集デスクは、手にしたMGモデルの中身を見て「こりゃあ組み立てるのに一生かかるよ。無理だ無理」と本気でいいました。
また、某誌の編集者がガンプラ集めが趣味だと言ってきました。へえ、ガンプラ作るんだ、と聞くと、彼は「いや、集めるのが趣味なんで、作りはしないんです」と答えました。プラモは作ってなんぼだろうというと、彼は、キットを集めるのが趣味で実際には作らない人も結構います、と答えました。


元々、模型というのは面倒な趣味です。いちいち厄介な作業を繰り返し、それでも自分の理想とする模型を完成させたいから苦労するのです。模型に限らず様々な作り物を職業とする私が、模型作りから教わったことは決して少なくありません。仕上がりを想定して計画的に物事を進めること。既成概念にとらわれずあらゆる手法と素材を駆使して完成に近づけること。観察と想像力で物事を組み立てる手法など、これらは皆、模型作りの中で培ってきたような気がします。そして何よりも「ものを作る喜び」を教わってきたのです。


模型関連の職業に就く知人と、居酒屋でそんな話になりました。

彼は「模型とトイの区別がこれだけ無くなってるんだから、そういう人間も出てくるさ」と言いながらジョッキを傾けています。
確かにそうかもしれません。しかし、いずれそういった人が体制派を占めた時、手軽に物づくりの楽しさを教えてくれる「模型」という文化がなくなってしまう。私はそう感じました。
私は「それじゃあ、いずれ模型作りなんてのは閉塞した、ごく一部の人たちの趣味になっちゃうよ。そうなったら模型作りで培われるはずの『何かを作る意思』みたいなものがなくなっていくような気がするんだ」といいました。
でもね――、彼はたしなめるように言いました。
「街から模型屋が次々と無くなって、『HOW TO BUILD GANDUM』も無くて、それでどうやって模型作るの上手くなれって、いや、どうやって模型作れって言うんだよ?」
私は言葉をなくしました。そうか、そういう環境を構築してしまった原因のひとつは、自分も含めた『メディアに関わる者』にもあったのだ。


それからしばらくして、このブログを始める事になりました。このブログでは様々な手法を採りながら、読者の皆さんに少しでも『模型を作ってみたい』と思っていただけるよう考えてきました。そんな時に「MODELER'S PRESS JAPAN」からお話をいただきました。どうやら私と同じように感じ、危機感を抱いていた人々がいたようだと、心から嬉しくなりました。そんな人たちと一緒に、模型を趣味とする人たちの力に少しでもなれたら、と思い移転を決心しました。これから先、一体どんな形になるのかわかりませんが、「線香亭無暗のやたら模型制作部」は続きます。模型を作る楽しさや喜びを一人でも多くの人に味わっていただけるよう微力ながら力を尽くしていくつもりです。


当ブログの読者の皆様、これまで本当にありがとうございました。
これまでご協力いただいたメーカー、メディアの皆様、心より御礼申し上げます。


そして、新しいサイト「MODELER'S PRESS JAPAN」共々、「線香亭無暗のやたら模型制作部」をこれからも宜しくお願いいたします。

移転先: MODELER'S PRESS JAPAN
アドレス: http://modelers-press.jp/

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てな訳で、なんとなく最終回っぽくなりましたが、移転先でバリバリ模型作りまっせ!!!
ああ、真面目な話書いたら肩凝っちゃった。
あ、このブログは当面残しておきますので、皆様のアーカイブとしてご利用ください。新しい記事は新サイトのほうで。

さあ、最後はホワイト・グリント君の雄姿でお別れです。

それでは皆様、ご機嫌よろしゅう。
これから新サイトで何が始まるのか、乞御期待!!!!

突然ですが……「ホワイト・グリント完成編 その1」

はい、皆様いかがお過ごしでしょうか。
突然ですが今回と次回にわたってホワイト・グリントの総仕上げをお送りすることにしました。最近再販されたせいか、当ブログに「ホワイト・グリント」をキーワード検索していらっしゃる方も多いようなので、この辺で一気に完成させてしまおうという趣向です。まあ、このままだといつまでたっても完成しない恐れがある、というのもありますが……。
そんな訳で、2周にわたって「ホワイト・グリント完成編」で、お付き合いのほどを。


さて、まずはこれまでの作業を振り返ってみましょうか。
たしか、「遥かなるホワイト・グリント」のコーナーを始めたのが4月20日でしたから、三ヶ月ばかりチビチビと弄繰り回していたんですね。

箱の中身はこんな風でした。

まあ、それからぽつぽつと仮組みを進めていったわけですが、

5月に入って本体の仮組み完成。仮組みした模型を見て「こりゃあ厄介だぞ」と気持ちを引き締めなおしました。

このホワイト・グリントという模型。基本的に非常に良くできています。まるっきりそのまま組んでも、フォルムやギミックなど十分見応えがあります。また、「ここの合わせ目は自分で消してね」的なパーツ構成の思い切りも良い。パーツ数も結構あるので、じっくりと取り組んで完成させると、人それぞれの個性が出るキットだと思います。同じ形状のパーツが沢山あるので根気は要りますが。


加工としてまず取り掛かったのは脚部。


合わせ目やパーティングライン消し、ヒケの修正、ウスウス攻撃、後ハメ加工などを行いました。


特にオススメなのがこの後ハメ加工。組み立てから塗装時まで、ずいぶんと作業が楽になります。


アキレス腱部分のシリンダーはHiQpartsのメタルシリンダーMに差し替えました。

キットのままだとブランブランしていたシリンダーの端っこも小改造で固定。詳しい作業は過去記事を参考にしてください。



そして続いては腕の加工。


基本的には合わせ目消し、スジボリの彫り直し、面出しなどが主体となりました。

後は各部の小スラスターにデュアルパイプを使ったくらい。大きいほうは3mm、小さいほうは2mmのものを使用しています。




ボディ周辺は基本的にキットのままですが、頭にくっついているアンテナだけは真鍮線と洋白線に差し替えました。



そういえば途中でVOBを仮組みしたりもしましたね。

で、ざっと下地作業が出来たところで仮組み、と。

このボリュームにやられちゃうんですね。これでも十分に充実感がある。このキットに手をつけた人でも、この辺で飾ってある人、結構多いような気がします。




で、前回はもう塗装に入っているという話を書きましたが、これが一筋縄ではいかなかった。
まずはこんなトラブルから。

着々と塗装を進めて「あれ、ここは白だっけ? 黒だっけ?」と思ってネットで調べてみたんです。「アマコア・フォー・アンサー」のオープニング。
あ、殆んど白じゃないか!
そうです。前の写真の足首ガードも脹脛の楕円形のパーツも、爪先の刺さると痛そうなやつも全部白。説明書には書いてなかったのに!! と悔やんでみても始まらない。こういうところでゲーマーじゃないデメリットがでるんだな。くそー。


という事でパーツをばらして塗りなおし。


で、塗りなおしたのがこれ。

しまった…… 今度は……
白い……
そう、白すぎるんです。
プロモーションムービーのイメージで言うともっとグレイッシュな色味です。一応テストはしているんですが、たまにこういうことも起こる。5秒悩んで、おもむろに混色しなおし再塗装です。


こうなりゃ一気にデカールまで貼ってやる、という事で出来上がったのがこちら。

微妙な差ですがこの白ならOK。混色比率は次回詳しく掲載しますね。ちょっと寄りで写真を撮ると中々良い雰囲気。デカールはHiQpartsのNCデカール05のグレー1/100用を中心に、若干市販のものを取り混ぜています。あまり目立たない感じがしますが、本家のムービーでもドアップのときにしか目に付かないので丁度良い大きさです。


で、今回の最大の見せ場。

わかりにくいですか? じゃあ、アップで。
 普段はこうで、
 ブラックライトを当てるとこう。
アイ・センサー部分にガイアノーツEx-蛍光クリアーを塗ってみました。

思ったよりも効果絶大。



さあ、出来た出来た。出来としては中々いいんじゃない?



???はい???

全然物足りないって?
はいはい、わかってますって。アレでしょ、あれ。
という事で、次週はVOBの完成も含め、ハゲチョロ等のウェザリングなどを終えて本当に完成させてしまいましょう。ずいぶん長いこと弄繰り回してたんで、ちょっとさびしい気もしますが、そこはそれ。やっぱり模型は完成させないとね。ついでに次週は重大発表もあります。いつもご覧いただいていた皆さんはお見逃しのないようお願いしますね。
てなとこで次週も火曜日更新。
乞御期待!!!

HGUCサザビー完成。1/144なりの「リアルな仕上げ」を考えてみる。

はい、皆様こんにちは。
今回はいよいよサザビー完成編。早速見ていただきましょう。

全体像はこちら。

いかがでしょう。このサザビー制作をリクエストしていただいた方の指定では「メタリックで」という事だったんですが、思うところあってソリッドカラーにしてみました。
三面はこちら。

前回のでは「宇宙空間機械のディティールってどんなんだ?」と考えてみたわけですが、今回の仕上げで「1/144の宇宙兵器の模型的なリアリティってどんなもんなんだろう?」という事をちと考えてしまいまして、あえてソリッドで塗ってみた訳です。

ええー実を言いますと、塗装の前の下準備としていつもの如くテスト塗りをしていた訳ですが、どうもメタリックだとしっくり来ない。なんだかやけにスケール感がおかしいような気がするんです。何故だ、どうしてだ、と色々考えてみた所、どうやら下地のシルバーの粒子の大きさが問題らしいと気がつきました。そりゃそうですね。シルバー塗料の粒子は大きいものに塗っても小さいものに塗っても144倍もの差はありません。通常、模型は実物のあるなしに関わらず「スケールダウンしたもの」として捉えられますから(1/1ガンダムはまた別ね)、いくらそれっぽいディティールを施したところで「塗装の粒子が粗い」という事が認識された途端に、頭の中で「コイツは偽者だっ!」という観念が浮かび上がっていた訳です。じゃあもっと細かい粒子で塗ればいいのかと思ってパールマイカ系の塗料も試してみましたが、やはりリアリティという点ではイマイチでした。じゃあソリッドで塗ったほうがいいんじゃないかと、実際に塗ってみたらそれなりにハマってます。
ただまあ、それだけだといつもと同じ仕上げになってしまうので、若干のウェザリングをしてみようと思い立ちました。自分が考える「宇宙兵器的なウェザリング」です。あれ、いけね、能書きが長くなったな。
じゃあ、とりあえずそれは置いといて、細部を見ていただきましょうか。


上半身:実はサザビーって赤2色だったんですね。説明書を見ていて始めて気が付いた。せっかく気が付いたのでなるべくはっきりわかるように、なおかつ違和感がないように2色に塗り分けました。首下のパイプにはHiQpartsのS2パイプ 3.0mmを腰にはS2パイプ 4.0mmをいずれも塗装して取り付けてあります。パイプの中身はアルミ線を芯にしたスプリング 特殊サイズ 2.4mm2.9mm。腕の関節にはマイナスモールドの5mm、肩口の小さなスラスターにはデュアルパイプの1.5mmを埋め込んであります。

下半身:股間の下にあるアポジモーター的なディティールにはデュアルパイプ3mmを。各部のデカールは殆んどNCデカール05 1/144 ホワイトを使っています。

足回り:殆んどスジボリとデカールですが、ヒザ横のツインサークルIIが良いアクセントです。

スカート周辺:サイド部のアポジモーターにはデュアルパイプ3mm。一番しっぽの大きなパーツはWAVEの角バーニアとプラバンによる新造パーツ。ここはスラスターではなくプロペラントの排出口だと考えました。バックパックのバーニアと、なんとなく角度が合わせられるようになっています。そういった排出物もバカになりませんからね。ハヤブサも燃料の噴出圧力で地球まで戻ってきたんだし。

頭まわり:モノアイはSPプレート 1.5mmセンサー用メタリックシール グリーンオーロラアイズ 透過タイプの組み合わせ。メタリックシートは余白を使って中央部のセンサーにも使ってみました。新しく作ったバルカンはシングルバルカン 1.3mm。でもよく考えたらサザビーって頭にコクピットがあるんだった。まあ、シャア総帥には振動と騒音を我慢していただきましょう。

胸の脇にあるスリットは開口して裏から黒いメッシュを張りました。殆んど見えないのが玉に瑕。

さてお次はバックパック。ファンネル・コンテナは後に譲るとして、バーニアはBSバーニア ショート 6mm×2とBSバーニア ノーマル 12mm×1を使用。バーニア横のモールドはマイナスモールド4mm2mmを使っています。

そしてファンネル・コンテナ。上部パーツの横にスリットを開け、チラ見せしています。

さらにチラリ。

そして御開帳。中はガイアノーツのスターブライトシルバースターブライトアイアンで塗り分けました。



ファンネルは元パーツの先端を3mmほど削っておいてフットバーニアM 6mmを取り付けます。

最初は普通につけようと思ってたんですが、アウターパーツをさかさまに付けると、よりそれらしい格好になることを発見。

結局、アウターパーツ逆さかまバージョンで仕上げることにしました。

ついでなんで、これまでで紹介できなかったパーツの加工をお見せしておきましょうか。

まずはシールドのネオ・ジオンマーク。キットではデカールで再現するようになっていますが、

これを0.3mmプラバンに貼って丁寧に切り抜くと、

ほら、こんなパーツが出来上がりました。これをシールドのパーツに貼り付けると、

はい、こんな風になります。これをスターブライトゴールドで塗り分けるとMGシナンジュ風の豪華シールドになります。

続いてバーニア。今回は全てソリッド塗装にしました。キットパーツは殆んどがベルまで一体成型されているので、ベルを切り離す前にセンターのモールドに合わせて穴を空けておいてから加工すると、バーニアの取り付けが簡単です。

それぞれの場所に使用したパーツは以下に挙げておきます。
肩サイドスラスター:BSバーニア ノーマル 6mm
腰サイドスラスター:BSバーニア ロング 6mm
脚部三連スラスター:BSバーニア ノーマル 8mm
脚部大型スラスター:BSバーニア ノーマル 10mm
今回はスラスターの交換だけでなくこんなパーツも使っています。

これは、主に組み立てた時のスラスターの見え具合を調節するため。ギア状のパーツですから普通に延長するよりも見た目の密度感を高めてくれます。

MJギア LMでスラスターがギリギリ見えるように調整しました。



最初のほうの写真でわかるかと思いますが、今回WAVEのパーツを使用してプロペラントタンクを長いものに交換しました。そこで余ったキットのプロペラントタンクを利用して、こんなパーツを作ってみました。

このパーツを肩アーマーの中に接着し、プロペラントの先にバーニアとMJギアをくっつけると、

追加のスラスターの出来上がり。

取り付けるとこんな感じ。なかなか異様でよろしい。

「スラスターだらけ」に水増しです。ポリキャップで上下に稼動します。

もちろんこんなふうに外すこともできます。まあ、使い捨てのプロペラント付きバーニアという設定で。


さて、そろそろ武器類も仕上げないとね。

まずはファンネル。開いたところもちゃんと作ってますよ。

ビームライフルはパイプ類をデュアルパイプII 1.5mm ゴールドに差し替え。銃口にはGテンプル ツインバルカン 2.0mmをその下のモールドにはデュアルパイプの2mmを使っています。


白兵戦用武器はサーベルにトマホーク2種が付属。

そういえば今回の塗装レシピを紹介してませんでしたね。大体以下のようです。
濃い赤:ブライトレッド80%+ナチュラルブラウン15%+Ex-ブラック5%+フラットホワイト少々
薄い赤:ブライトレッド80%+サンシャインイエロー10%+ブリリアントピンク10%フラットホワイト少々
黄色:サンシャインイエロー80%+フラットホワイト20%+ブライトレッド少々+ブリリアントピンク少々%
白:フラットホワイト95%+サンシャインイエロー少々+ナチュラルブラウン少々
グレー:前回のZプラスで使用したクールグレー。
ダークメタリック:スターブライトアイアン90%+Ex-ブラック10%
といった所でしょう。塗料は全てガイアノーツ製。塗り上げた後、フラットクリアーでコートして、エナメルのブラウンでウォッシング。その後ペトロールで吹き取りしています。



今回意外と良い感じに収まったヒザアーマーの分割可動。これはオススメです。



そんなこんなで、

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」

はい、今週はもう塗り始めてます。といっても、このホワイト・グリント塗装がメインになる予定なのでまだまだ先は長そうです。

この写真の後、塗装地獄に入っているのですが、それはまた後日。

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さてさて、そんなこんなで今週はここまで。サザビー完成編いかがでしたか?
コメント、ご質問も気兼ねなくどうぞ。
さて、来週は何を作ろうかなっと。

てな訳で次週も火曜日更新。乞御期待!!

空間機械のディテールって何なのかよく考えてみる。「HGUCサザビー」三回目。

はい皆さんこんにちは。
ワールドカップもいよいよ佳境を向かえ、夏休みのある人はそろそろ休暇の予定も立てちゃったりするであろう今日この頃。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
そんな一般の生活とは正反対、休みも有るんだか無いんだかという暮らしが普通の私線香亭。ワールドカップの盛り上がりもどこへやら、日々模型を作り続ける日々です。
そんな訳でサザビー三回目、張り切ってまいりましょう。


さて、前回までは右半身だけプロポーション変更が終わっていた状態でした。

今回最初の作業は、この右半身をゲージ代わりに左半身の加工をすること。


とにかく左右対称になるよう気をつけながら各パーツを加工していきます。この作業を写真で紹介すると、前回と同じ写真になってしまうので、いきなり加工後の写真。


上半身と

下半身のアップ。



作業途中で削り落としてしまったディティールの再生もしてます。0.6mm幅に切り出した0.5mmプラバンをそれぞれの長さに切り、両端を丸く加工して貼り付けています。意外に知らない人が多いのですが、ポリパテで加工した部分にでも、プラ用の接着剤でプラ部品を付けることができます。これはポリパテの表面には目に見えない微細な穴が開いているためで、接着剤で解けたプラがその穴に食いつくんですね。



ついでに腕の取り付け軸も若干削っておくと胴体と肩の間が多少狭くできます。


さて、ここまで来たら後はディティールアップして塗装という具合なのですが、今回は珍しく、ここでサフを吹きます。ガイアノーツサーフェイサーエヴォ・ホワイトを2倍程度に薄めて塗っています。

その理由は、今回の作例ではポリパテを多用したため、細かい気泡や割れなどがないかチェックするためというのと、ディティールアップ、特にスジボリの入れ方が気になってしまったからです。


梅雨中の作業なので湿度と気温は常に高め、そこにポリパテですからプラとの伸縮率の違いで割れや段差ができやすいのです。成型したときはきれいでも、後になって段差やクラックができるという場合もあります。しかも色が違うので発見しにくい。案の定、こんなところにクラックが発生していました。


サフを吹いたもうひとつの理由、スジボリの追加についてですが、一度削り落としてしまったディティールを再生しているときに、ふと考えてしまいました。

これって、どう考えてもリブだよなぁ。
「リブ」というのはパーツの広い面に強度を与えるために入れるものです。わかりやすくいうと、ドラム缶の横にある段々みたいなものですね。すなわちこのパーツは、少なくとも「リブ」の入っている部分は一体パーツだという事になります。これが別パーツであるなら組み付けシロ部分の面積を増やすとか、複合材を用いて強度を上げるといった方法があるはずですから、やっぱりここは一体成型だと解釈するのが正しいでしょう。

そう考えるとリブの部分は外してスジボリをするべきだと判断しました。もしリブと通常の外装が直接的にパネルとして繋がっていたら、極端に強度が違うため、外力が加わったときにそこに力がかかって壊れやすくなってしまいます。そういえばリアルな宇宙開発の本の中に、宇宙空間で工業生産ができる様になると、これまでとは比較にならないほど巨大な一体成型パーツができるようになる、と書いてあったのを思い出しました。なるほど、そう考えるとサザビーというのは非常にワンパーツが大きい機械なんですね。

ただ、それだけだとあまりにもそのままだなぁ、と頭を悩ませた末、辿り着いた結論が「宇宙空間機械としてのパネル分割」を再現してみよう、という事です。そうなるとプレーンな状態で模型全体を見てみたい、でもポリパテと成型色の赤でラインのメリハリが掴みにくい。だったらサフ吹いちゃおう、という訳です。


そうなると何かお手本が欲しいなぁ。実在する宇宙機械って殆んどが使い捨てだし、そうでないのはスペースシャトルとステーションくらいだし。どうやら今の宇宙機械は参考程度にしかなりません。そこで、しばし悩んで引っ張り出してきたのがMGシナンジュ。前にPCfan誌の連載で作ったものです。

モビルスーツ・デザインの流れで言えばサザビーの直系に当たる、このシナンジュ。お気づきの方も多いと思いますが、各部のユニット構成が殆んどサザビーと同じです。こういうところがカトキデザインの優れたところなんですね。このユニットデザインを参考にスジボリを入れていきたいと思います。


MGシナンジュを見てみると、単面にパネルラインが入っている場所が一箇所もありません。その代わり、各ユニットが細かく分割され、それぞれの意味を持つように構成されるという、非常に洗練されたデザインになっています。サザビーはそれよりも前の機体ですから、若干野暮ったくてもいいのではないかと思います。


まずは腕と腰のサイドアーマー。サイドアーマーというよりもスラスターユニットに近い役割を果たしていそうです。そこで可動部のユニットとディフューザー的な役割を果たすであろう部分を分割としました。「ここにならリブが入っててもおかしくないよね」的なパネル分割です。


肩部分は他の場所よりも狭い範囲に多くのリブが入っているため、スパイクの無いショルダーアーマーだと考えました。ショルダーアタックをしたときに碗部のサイドスラスターの保護も兼ねて大きめなんだろうな、と。パネルラインは破損の際の整備がしやすそうなラインというのを意識しました。


胸のサイド部分は上部に分割線を入れました。これ、この辺りで分解できないと「腕を外さないとパネルが外れない!」ということが起こると思うので。


脚部フェアリングは結構考えものです。悩んだ末にゲルググのVer.2.0を参考にリブ部分を避けて外周にアウトパネルがあるという雰囲気にしました。
 これはゲルググ

アップにするとこんな風。この後、若干スジボリを追加しました。


足首はシナンジュとほぼ同じパーツ構成で再現されているので、控えめのディティールを入れただけで良しとします。



さて、ここからはいつもと同じ手法でディテールアップ。
まずは新しく届いたこんなものから。

HiQpartsのセンサー用メタリックシール グリーンオーロラアイズ 透過タイプです。
メタリックシートの上に乗せてみるとこんな風に見えます。緑の部分はメタリックシール グリーン、ピンクの部分はメタリックシール ピンク、シルバーの部分は普通の銀紙です。別にイタリア国旗じゃないですからね。


これをSPプレート 1.5mm用に貼り付け、キットパーツのモノアイ部分と差し替えます。

ヘルメットを外すとこんな感じ。

良く光ってます。


ついでにもうひとつ。HiQpartsのリニューアルされたマスメツールを使ってみました。

新しいマスメツールには写真の三角形のものが追加されました。これを切り出して……

パーツに貼り付け、面打ちでアタリを取って……

アタリにピンバイスで穴を開けると、正確に正三角形のディテール穴が開けられます。



バックパックは整面も兼ねてディテールを削り落としてしまいます。

その後にマイナスモールド5mmを付けるとよりシャープな仕上がりに。



ついでに後部スカートのメカ露出部分にもマイナスモールド。4mmでぴったりはまります。



ファンネルコンテナにも一工夫。手前の物のようにスリットを作ると完成後も中のファンネルがチラ見えで良い感じになるはず。



肩のアポジモーターっぽいディテールはデュアルパイプ3mmに差し替え予定。こういう小さい部品は条件が許せばランナーに付いたまま加工すると楽です。


普通、ここまで来たら一気にバーニア類も、と行きたい所ですが、今回はここまで。
今塗装準備中なので触れないんです。しかも、この量。




そんなこんなで、

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」



前回の流れでいうと、こっちもディテールアップパーツの取り付けといきたいんですが、今やり始めると絶対にどれがどのバーニアパーツだか判らなくなる自信があるので、今のうちにできる作業をチマチマと進めておきます。
例えば頭を良く見てみると、後頭部に生えているツノ状の4本のアンテナチックなやつ。

これを真鍮パイプと洋白線で置き換えるとこんな感じになります。

細かいところですが、結構効果が大きい。
ついでに後頭の下側のディティールも洋白線に差し替え。

左がキットの状態。右が差し替えた後。
まあ、こんなことをやりながらサザビーのほうのバーニアの塗装待ちなんですが、それだけじゃ寂しいのでこんな写真を撮ってみました。

はい、オーバーブースとモードのホワイト・グリント。

真鍮製のアンテナで、ブースト・モードでも中々の男前ぶり。

シナンジュ戦、という訳ではなく、ブースターのパイプ接続を作った状態という写真です。

このパーツ数、普通に処理するだけでも結構な手間なんです。

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さてさて、そんなこんなで今週はここまで。次週はいよいよサザビー完成編です。コメント、ご質問もどしどしお寄せください。
それでは次回も火曜日更新、乞御期待!!

少ない手間でバランス変更を試みてみる。「HGUCサザビー」二回目。

はい、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、某プラモコンペに参加させていただきました。いろいろな方とお会いして、非常に楽しませていただいたのですが、じつは次回開催までの「お題」としてこんなものをいただいてしまいました。
 出た! 最初に発売された1/100ガンダム!
いやー、懐かしい。これ、ポリキャップも何もなく、最大の必殺技は稼動させるとヒザ関節が「キィキィ」いうことだったりします。
しかもこれ、再販物ではなく貴重な初期型バージョンです。
 シールドのピッカリマークがデカール再現の初期型!!
これって、作るよりも保存しといたほうがいいんじゃないの、と思いつつ、いただいてきたからには作りますよ。さて、どんな仕上げにしたろうか。



というような近況報告はこれくらいにしておいて、今回はサザビー2回目。張り切ってまいりましょう。

さて、いつもの如く制作に入る前にじっくり模型を眺め回していたんですが、どうもプロポーションに納得がいかない。前回、設定画より細身な印象だと書いたんですが、全体のバランス自体が散漫な感じがするんです。でも大幅に切った貼ったをするのはいやだなぁ、と思うので、ここはひとつ知恵を絞って最小限の手間でプロポーションの変更をしてみたいと思います。


プロポーションを変更する場合、最も多い手法が各部の延長や短縮によるものでしょう。いわゆる「フトモモを○mm延長」とか「○mmカット」というような手法ですが、今回はなるべくそれを行わず、各パーツの取り付け位置や太さなどを変更してプロポーション変更をしてみようと思います。
 これはキットのまま。




さて、最初は足回りから。

まずポリパテを使って太ももの左右にボリュームを持たせます。ついでに下脚部との接合部やヒザパーツの先端もボリュームアップしておくとバランスがよろしい。


ポリパテはどんなに気をつけていても多少の気泡が入るので、溶きパテで修正しておきます。


続いてヒザパーツを切断、

右側の写真の黄色い線に沿ってエッチングソーで切り離します。切り離したパーツを接着し、アーマーパーツを取り付けるとこんなふうになります。

これをヒザの関節パーツに直接貼り付けるのですが、その前に関節部分のディティールアップをしておきましょう。


この真ん中のパーツ。


関節パーツの側面をディティールギリギリくらいまで削ったら、 ツインサークルIIの直径9mmの物を加工して取り付けます。

写真右の右側に写っているのがノーマルのツインサークル。左は下面1.5mm、上面0.5mmほど削ったもの。

組み付けるとこうなります。フトモモから関節部にかけてボリュームを持たせたことで、見た目に長さが短く見えるはず。おまけにヒザアーマーをフレーム部につけることでMGっぽい可動とヒザを曲げたときのスカスカ感がなくなります。



足首はポリパテで裏打ちし、側面をスリムに削りこみます。靴底パーツの前半分しかいじってませんが、先端部に1mmプラバンを貼ることでより細長く見えるはず。


はい、こんな感じで出来上がりました。未加工のものと比べてみてください。この後、各部のディテールを追加していきます。





腰のサイドアーマーは腰フレームを切断して、付け位置自体を他のパーツに干渉しないようギリギリに上げました。パーツの延長をするより楽チンです。この腰部アーマーの付け位置が意外と重要です。

今回唯一のパーツ延長箇所はフロントアーマー。何とかできないかと色々試行錯誤したんですが、ここだけは素直に延長したほうが良いと判断しました。長さ2mm、サイド部分に1mmプラバンを貼り、ついでにスラスター部分をくり抜いて市販パーツを組み込みました。裏は0.5mmプラバンでフタをしてあります。


リアアーマーは未加工、のつもりだったんですが、背部スラスターとスカートの排出口? 的なディティールの角度が微妙だったんで、その部分だけ切り取って新造パーツを埋め込みます。

詳しい理由は次号で書こうと思います。で、新しく作ったパーツがこちら。

プラバンの箱組みと市販パーツを使いました。毎度のことですがプラバン加工にはマスメツールが大活躍。

そして、組み付けたのがこちら。

この後ディテールを追加して仕上げます。




さて、続いては腕まわり。

どうも気になるのが二の腕にかぶさるスラスターカバーの断面がカマボコ型なところ。

そこでポリパテを盛って丸い形状に変更します。

右がキットのまま。左が修正後。


肩パーツは胴体から見て放射線状に上へ向かってボリュームが出るように。スラスターカバーは形状変更後内側を丸く削っています。


次は前腕部。

なんとなくピーナッツの殻みたいな形を、それなりに調子が付くように整えています。

取り付けてみると、立体感がました感じがして中々よろしい。

ついでに胸両脇のパーツもちょっと加工。整面でシャープにし、脇のスリットを開口しました。


さて続いては頭部の加工。

意外とあっさりなキットの形状。そこで後頭部のパーツのみをポリパテでボリュームアップ。形状変更します。

これは「小顔だけどインパクトがある形状」を目指して行ったもの。フェイスマスクの小型化をしなくても後ろ側をボリュームアップすれば小顔に見えるだろう、という魂胆です。ちょいとお遊びで小径バルカンなども装備できるようにしてみました。

中々男前になったじゃぁないか。



さて、この辺で、

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」


さてさて、今週のホワイト・グリントですが、本体も大分出来上がってきたのでVOBとの合体状態を見ていただこうかと思います。


大分出来上がってきたとはいえアマコアきっての大型キット。早々フィニッシュまでは持っていけず、細かい仕上げをコツコツ進めているところです。

三面はこんな感じになっています。

ブースター周りは「なんじゃこりゃ」状態で、思わず気が引けてしまいます。

「頭はどこだ?」と探してしまうのがこの機体の特徴。

はい、ここにあります。

表面処理も大体済んでいますので、スジボリなどの彫り直しと新規パーツの取り付けにかかります。
すいませんが、完成は気長にお待ちください。

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さて、てなところで今週もそろそろこの辺で、という感じですが、最後に今週の成果を見ていただきましょう。

はい、向かって左側が改造後。右側がノーマルです。ホワイト・グリントを見た後だとやけに平和に見えますなぁ。
この写真だとあんまり変わって見えないかもしれませんが、こうすると……

写真は最初のものを半分マスクしただけ。腰周りからヒザにかけて注目してください。デザイン・ラインが結構変わっているのがわかっていただけるかと思います。まあ、果たして切った貼ったとどっちが早いのかといわれると微妙ですが、こっちの方が簡単だったと信じたい。


今回はこのキカイダー状態でお別れです。この後左半身の加工をして、次週はディテールアップから塗装前まで行きたいと思っています。果たして間に合うかな?



というところで今週はここまで。次週も火曜日更新です。
コメント、ご質問、スポンサードしてくださる企業の方もどしどし募集中です。

てな訳で、次週も乞御期待。

リクエストにお答えして、「HGUCサザビー」一回目。

はい、皆様ご機嫌いかがですか。
ここのところ脅威の忙しさで模型を作り続けていたわたくし線香亭。おかげで前回更新のはずのホワイト・グリントに手が着けられず、といった事態が生じていたわけですが、ここに来てやっとひと段落。お詫びの印にどんなものを作っていたのかちょびっとだけ公開しましょう。

はいPCfan誌に連載中の「ガンプラ・クロニクル」に掲載予定のMGジオングです。今回はこのジオングを中心に……
じゃなくて新ネタです。



はいこちら、HGUCサザビー
シャアの乗る最終兵器つながり、というわけではありません。実はある方から、ぜひこのBlogでやって欲しいというリクエストをいただきまして、恥ずかしながらお答えしようという訳です。皆様、しばらくHGUCサザビーでお付き合いのほどを。


ということで、早速仮組み。MG2体同時進行をやった後だと、HGUCがやけにスイスイと組めたりします。


三面はこんな感じ。

設定画と見比べると、結構スリムな印象です。
なかなか悪くありませんが、やはり気になるところがちらほらと。細部を見ていきましょう。





意外とシンプルな頭部ですが、首の取り付け位置がよろしくありません。妙に前のめり気味で、隙間が空きすぎています。動力パイプも差し替えかな?



碗部、脚部の関節は実にあっさりと処理されていますのでディテールアップのしどころです。腕の形状もちと気にかかるなぁ。



腰部アーマーのディテールの間の取り具合や、胸のでっぱりとの兼ね合いなど、ちょっと変えてやると良くなりそうです。



ノーマルで組むなら処理が一番面倒そうなバーニア類。ランドセルに3つ、腕一本に付き3つ、サイドスカートに3つ、写真に撮り忘れましたが脚部フェアリング内に4つづつ、合計23個のバーニアがくっついています。



ディテールアップ・ポイントとして忘れちゃならないのがこういう姿勢制御用バーニア。全部含めると一体いくつになるのやら。



さらに、スカート部分の露出メカやファンネルコンテナ、武器類など、今回も手を入れるところがてんこ盛りです。
手間はかかりそうですが、手を入れれば入れるだけ見栄えがしそうなキットです。次回より本格制作にかかりますのでご期待のほどを。




で、今週はちょいと新企画で、質問にお答えするコーナーを作ってみました。
実はメールで結構な数のご質問をいただいているのですが、記事内ではなかなかお答えできなかったりしますので、ひとつまとめてお答えしようという趣向です。
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まずは愛知県の高校生の方からのご質問。ご本人に掲載許可をいただいているわけではないので私が要約しますね。Q&A方式で書きますので敬称略で失礼します。
Q.「自分は手先があんまり器用じゃないのですが、プラモデルを作ることができますか?」
A. はい、できます。絶対できます。必ずできます。説明書のとおりきちんと順番に組み立てていけば必ず完成するのがプラモデルのいいところです。もし途中でめんどくさくなったら、ちょっと時間を置いて続きを組み立ててください。パーツを無くしてしまったり、壊してしまったりしたらメーカーさんのサービスで取り寄せることができます。とにかく最初のうちは考えるよりも先にやってみることです。もしそうやってできた完成品が自分の理想のものと違っていたら、どこが違うのか、どうやったらより理想に近いものが出来上がるのか、よく考えてみてください。そんなことに慣れてきたら改造や塗装にチャレンジしてください。このブログはそういう時の手助けになればよいなぁ、と思って運営しています。
同じような質問で「どうしても作っている途中で面倒くさくなって投げ出してしまうのですが、どうすればいいでしょうか?」といったご質問もいただいています。え〜、自分も作っている最中は面倒くさいなぁ、と考えていることが多いです。いつも「こういう仕上がりが欲しいので、これはやっておかないとなぁ」という部分とのせめぎ合いです。それが「面倒くさい」に勝ったときには、それなりに満足のいく仕上がりになりますし、そうでないときには「残念な心持」になることが多いです。きっと、「模型」という趣味はそういった部分も含めて「どこかに辿り着こうとする過程」を楽しむものなのではないかと思います。ただコレクションを増やしたいのなら良くできた完成品が沢山売ってますから。でも、たとえ仕上がりが上手でも下手でも自分で作った、ひとつだけの完成品には特別な愛着があります。それは、初めてプラモデルというものを作った7歳のときから変わりません。だからいまだに模型作りをやめられないのかもしれませんね。


さて、続いてのご質問。
Q.「自分はバーニアなどのメタルパーツを使うことを良しとしません。どうしてそのようなメタルパーツを使うのですか?」

A. この方、なぜメタルパーツを使うことを良しとしないのかを書かれていないので本意が定かではありませんが、メタルパーツって嫌いだな、という方は使わなくても全く問題ないと思います。
ほんのちょっと前まではこういったパーツが市場になかったので、みんなキットパーツを改造したり、良くできたキットから流用したりするのが普通でした。MSVの高速機動型ザクなんていうのはその代表格で、バーニアだけ流用されて胴体だけになったキットが2〜3個、押入れで眠っていたものでした。バーニアだけでなく、動力パイプやリベットなどでも、専用パーツがなかったころには虫ピンの頭を流用したり、市販の部材で流用できそうなものを使っていました。自分は六角のリベットが打ちたくて伸ばしランナーを六角柱に削り、その輪切りでリベットを再現したりしたこともありました。でも、そういったパーツが作られているのなら、それらを利用するのも方法論のひとつだと思うのです。
例えば今回のお題の様にバーニア類が全部で23個以上もくっついている模型を作るときに、全てのキットパーツの加工を手動でするより、条件が許すのならば市販パーツで置き換えて作業を減らしておいて、その分、塗装や他のディテールアップに時間を割いたほうがいいんじゃないのかな、と考える訳です。技術的に考えても、複数のバーニアパーツのフチを全く同じように加工するのは難しい、という方もいらっしゃるでしょう。そういった方には大きな助けになるのではないかと思います。また、「バーニアのフチなんか厚くったって全然気にならない」という方は、それでも全くかまわないと思います。
確かにメタルパーツの金属地丸出しというのを嫌う方も多いようですが、それならば塗装してしまえば良いこと。「そういったパーツは市販品だから個性がない」と、どこかで書いていたプロモデラーさんがいらっしゃいましたが、それならば市販品のインジェクション・モデルを使っている時点で同じことです。「改造していない模型は認めない」という乱暴な論理に発展しかねない。
模型趣味の良いところは、上手い人は上手いなりに、そうでない人はそれなりに、どんな人でもやる気さえあれば物作りを楽しめる、という所にあるのだと思うのです。まあ、バーニアにしろ何にしろ、その模型の中の1パーツでしかないのですから、それが使ってある、無しで模型の良し悪しは判断できないでしょう。問題はそういったパーツをいかに違和感なく使えているか、という所になるのではないかと考えます。答えになってますかね? というか自分の模型がそうじゃないならどうもすいません、ってとこですが。


さて、続いてはこちら。
Q.「塗装がどうしても上手くできません。どうすれば上手くなりますか?」

A. これは永遠の課題ですね。ええと……基本的なことを書くと、塗装が上手くいかないと感じる大まかな原因は2つあると思われます。ひとつは調色が上手くいっていない事。自分の理想とする色が出せていない場合ですね。もうひとつは塗り方自体が上手くいかない場合。例えばエアブラシの使い方が上手くいかないとか、筆の使い方が云々とかいう事です。
調色に関しては非常に色んな考え方があって一概に言えないのと、色の仕組みを書き出すと、それだけで3回連続の特集を組まなきゃならないくらい面倒なので簡単には言えないのですが、自分の場合、これだけは確かだというのは「その模型に塗る全部の色をあらかじめ作っておいて、それを実際にテストで塗ってみて配色の具合を確かめる」という事です。自分も配色で「こりゃ失敗した」と思うときは後付で配色した色がある場合が非常に多い。色彩感覚の非常に優れた人ならそんなこともないのでしょうが、どうも凡人の自分はそういう方法をとらないと上手くいきません。
さて、道具の使い方が上手くいかない場合ですが、これはもう経験を積むしかありません。エアブラシでも筆でも塗料の濃度、塗装順、塗料の含ませ具合など、色々と試していくことで経験を積んでください。実際にモデラー同士でも、同じような仕上がりを得るのに極端に異なった方法で塗装していることを発見して驚いたことがあります。でも、お互い仕上がりはきっちりしているので何の問題もない訳です。
と、こういうことばっかり書いていると答えになってないので、自分なりの経験を書いておくと、まず、エアブラシ塗装の場合、「上手くいかない」という人はたいてい塗料が濃い場合が多いように思います。エアブラシの塗料が薄すぎても数回に分けて吹き重ねることでフォローできますが、濃すぎるとまともに吹けません。それとエアブラシ塗装の場合、筆塗りと比較して、より気温と湿度に大きな影響を受けやすいです。自分の場合、目安として気温は18度以上、湿度は30%以下になるよう塗装環境に注意しています。もしそのような条件が整わない場合は、塗料にリターダーを混ぜる、ドライヤーを使う、などの対策をして塗装しています。
筆塗りの場合はより経験がモノをいいます。筆塗りが上手い人は本当に上手。そういう人にコツを聞いてみると、やはり塗料の濃度や筆への塗料の含ませ具合、といった答えが返ってくることが多いです。まあ、自分も筆塗りはあまり得意じゃないので精進します、ってとこですが。
色の仕組みに関しては一度じっくり書いてみたいと思います。たぶん。そのうち……。



さて、いただいた質問の中で、最も基本的だと思われる3点についてお答えしました。何かの参考になりましたでしょうか? 今後もご質問、どしどしお待ちしておりますので、ご遠慮なく。


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さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」

さあ、前回はお休みしてしまいましたが、今回はちゃんとやりますよ。

今回は「腕」。

右がキットを組んだもの、左はばらした状態。

まずは合わせ目消しから。

この腕の先端の蛇腹っぽいところがヒケていて結構厄介です。結局、プラパテで段差を修正しました。この後、全体的にモールドの彫り直し、面処理などを行っていきました。


肩パーツのスラスター? 部分はそっけない雰囲気だったので削り落としてデュアルパイプ3mmに変更。先端部にある○モールドは1.5mmに開口しました。



組んでみるとこんな感じ。裏側にはもう2箇所、同じようなモールドがあるので開口して2mmのデュアルパイプを埋め込み。メタルパーツの接着に関しては色んな方法があるのですが、最もポピュラーなのはコニシのGボンドをエナメル塗料用の溶剤で希釈して使うという方法です。Gボンドを買うときにはメーカーに注意してください。前に100均で同じようなボンドを買ったら溶剤成分が異なっていて全く希釈できないという事がありました。「コニシのGボンド」ですからね。

強度の必要がないところでは手芸などで使われるこんな接着剤を使ったりもします。粘度の低い木工用ボンドみたいなものですが、木工ボンドより、気持ち金属への接着力が高いようです。また、低白化の瞬間接着剤なども使います。自分の場合、強度の必要のないところでの一番の取り付け方法は「ギュッ」と押し込んで接着剤を使わなくてもそのまま固定できるよう取り付け穴を調整することだったりします。たまに、いつの間にか抜け落ちていて参ることもあるんですけどね。まあ、適材適所、状況に応じて使い分けてください。



そして組み立てるとこんな感じ。

右がキットのまま。左が改造後。殆んどいじってませんがそれなりの充実感。

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さてさて、それでは今週はこの辺で。コメント、ご質問もお待ちしております。次週も火曜日更新。
それでは来週もサービス! サービス!!

じゃなかった。乞御期待!!

滑り込みで完成。何とかできたぞZプラス四回目。


関東地方も入梅し、模型が塗りにくい日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回はギリギリで滑り込みセーフのZプラスの四回目。つい先程まで撮影をしてました。今回のように、何回かに一回、リアルにギリギリがあるんで困ったもんですが、まあ、出来上がったので良しとしよう。
では早速、完成品披露です。


見ておわかりのように、今回はグラデのロ−ジビリティ風とドットマトリクス迷彩の混合仕様。こんな手順で塗装しました。





塗装のイメージが固まったら、前回で終わっていた下地塗装の上にドット迷彩用マスキングテープ Mを貼っていきます。今回は立体に塗ったときのそれぞれの色の流れがポイントになりますから、最初のイメージ固めが特に大切です。



続いて2色目。ガイアノーツニュートラルグレーIII をベースにEx-ホワイト純色シアン純色マゼンタ等を加えながら作った寒色気味のウォームグレーです。



それが乾いたら3色目。2色目で作ったウォームグレーをベースにEx-ホワイトとニュートラルグレーI を加えて作った明るいグレーをイメージに合うようにグラデーションで入れていきます。



なんだかこの状態ではピンと来ない感じですが、組み立てた時に効果が出るように塗っているので、今のところはこれでOKです。この後、塗装が乾いたらデカールを貼り、最後にトップコートすれば完成です。トップコートにはEx-フラットクリアーに少量のフラットベースを加えたものを使いました。


え〜と、フラットでトップコートする時の注意点なんですが、決して一度に厚吹きしないことがあげられます。フラットの塗料は極微小の無反射粒子が入っているので厚吹きすると塗装面が白化する事があります。かなり薄めに溶いた塗料を数回に分けて吹くようにしましょう。私が使っているガイアカラーのフラット系塗料は非常に白化しにくいのですが、若干フラット感が鈍いと感じることがあります。そのためにフラットクリアーに少量のフラットベースを混ぜているんですね。ちなみに、フラットフィニッシュにすると若干色味が明るく見えるので、最初から気持ち暗めの調色にしておくとイメージに近い仕上がりが得られます。


さて、能書きはこの辺で、完成品披露の続き。

センチネルMSらしく俯瞰で撮ってみました。こうやって見ると普通のC1と大して変わらないなぁ。
今回の設定はこんな感じです。
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元来、大気圏突入能力を備えたMSZ-006C1であったが、実際に大気圏突入を果たすにはOSの書き換えや機体セッティングの変更等、煩雑な作業が必要とされた。そこでAE社が連邦に引き渡したC1用の余剰パーツを使用し、複雑な手続き無しで大気圏突入を可能にする機体のテストベッドとして制作したのが「ZプラスC1-d」である。機体自体に大幅な変更は認められないが、ジェネレーターや各伝達パーツ類の見直しが行われ、プロトZをベースとしたコンピュータ・システムの大規模な変更と相まって、セッティングの変更無しに大気圏突入が可能であったといわれている。
また、予定されていたスペックを早々にクリアしたため、各種迷彩塗装の実用実験や、ジェネレーターの効率化による腰部ビームキャノンの改良に使用されたと言われており、後の同系統機の開発に大いに貢献したといわれている。
因みに「ZプラスC1-d」という型番はあくまで開発上のペットネームであり、実戦配備されることのなかった当機の正式な型番は存在しない。
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てな感じです。このオレ設定に基づいて作ったわけですが……
 やっぱり長い。


細部を見ていきましょう。

上半身は若干スクェアな雰囲気になるように面出ししました。頭部は顔の小型化、頬辺りの小型化をしましたが頭自体はあんまり小さくしてません。その辺りの“バランスの妙”がZプラスの魅力だと思います。バルカンにはHDバルカン 1.8mmを、アウターパーツをガンメタルで塗って使用。センサー類には定番のミラージュデカールを貼りました。



腰部ビームキャノンは設定で考えたとおり「新型」の雰囲気を出すためにカラーリングを変更。銃身はフチの薄さ具合が気に入ってガンバレル1に変更。各部のデカールは殆んどがNCデカール05 1/100から。一部ガンダムデカールZガンダムVer.2.0用を使っています。各部の「AE」ロゴはホワイトデカールから切り出したものです。



ヒザ裏のパイプと取り付け基部は設定で考えた「各部伝達パーツの強化」。ドット迷彩は意外とシックに決まっています。靴底のブルーはウルトラブルーベースにニュートラルグレーI純色シアンに極少量のサンシャインイエローを加えたもの。スラスターの上部に姿勢制御用バーニアとしてデュアルパイプ2mmを仕込みました。デカールはNC05の合せ張りです。



プロペラントタンクは白を基調に間を持たせるためにグレーを配色。迷彩というよりタンクの継ぎ目くらいの感じです。タンクの取付け基部は火薬式のパージシステムと考えて、フラットモールドの2mmを追加してポイントカラーの赤で塗装。レシピはブライトレッドサンシャインイエロー、Ex-ホワイトを少量ずつ。



背部スラスターにはBSバーニア ショート 8mmを使用。形状が違うのもテスト機っぽくて良いかと。アウターはスモークブラックで塗装。インナーはそのままで、センターパーツのみスターブライトゴールドで塗装しました。



背部スタビレーターの迷彩の様子。普通に見るとただの迷彩だけど、スラスターと同じ角度になると色がつながっているという仕掛けです。





さて、続いてはウェイブライダー形態。
これが長くて上手く写真に納まらない。

この写真でわかっていただけるかと思いますが、今回の迷彩はウェイブライダー=WR形態をメインに考えています。MS形態のときは割りと普通のZプラスなんだけど、WRになるとちょっと違うという雰囲気。上手くいってますでしょうか?

なんせ長いんでバック紙の大きさが全然足りない。

機体の後方は結構良いつながりになってますね。

アニメのZガンダムではWRでよくこんなカットがありましたね。


この辺りの密度感が好き。



変形用サブユニットについているディスクレドームはSPプレート5.0mm用、3.0mm用、2.5mm用等でディティールアップ。レンズパーツはHiQPartsさんに無理を言って開発中のものを提供していただきました。いずれ今回使用したものより高品質のものが発売されるそうなので、皆さんご期待を。


キットには脚が付いてますので、しっかり塗装して取り付けてみました。裏側も良いでしょ。


裏っ返しついでにプロペラントのつけはずし。翼側のネオジム磁石は濃い茶色で塗ったんですが、殆んどわからない……。


ビームキャノンの中身はビームサーベルのグリップになります。取り付けたときにポイントカラーの赤が出るように考えました。


さて、この辺でいつものコーナー

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今週の「遥かなるホワイト・グリント」

のはずなんです

が……

すいません。今回殆んど進んでません。
何せ今月はグリント含めて4種類、合計7キットを完成させるというチャレンジャー月間になってるもんで、手が着けられませんでした。楽しみにしてくださっていた皆さん、ごめんなさい。次週がんばります。

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さて、今週はこの辺で。来週は何をしようかな、ってことで
次週も火曜日更新。乞御期待!!