Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

北神戸線沿いに咲くユリの花

8月16日、ひさしぶりに車で神戸の実家にでかける。京都から名神高速で茨木まで行き、中国道に入り、西宮山口から阪神高速7号(北神戸線)の前開で下りる。京都から西神中央まで約2時間。お盆が終わり、帰省客の交通混雑は解消されていたが、いつものように宝塚あたりから数キロの交通渋滞があった。
 裏六甲の山並みに沿って作られた北神戸線は車の量も少なく、まるで高原を駆け抜けるような爽快な気分だ。日当りのいい山の斜面の道路脇には自生の鉄砲ユリが咲き誇る。

 私は花の中でもユリの花が大好きだ。ときどき部屋にユリの花を飾ると、強いユリの香りが、不愉快な湿気と雑貨や衣服の汗と混ざり合った嫌な匂いを追い出してくれる。それだけでなく人を元気にしてくれる。何となく落ち込んでいるとき、ユリの花の優雅さと勢いのよさに救われる。特に玄関の正面にユリの花を生けているときは、外出から帰ってきた時に優しく迎えてくれるのが嬉しい。
 ベッドカバーも、布団のシーツやカバーもユリの模様と徹底している。南アフリカケープタウン原産のベラドンナ・リリーに出会った時は、思わず車から降りた。ケープタウン大学のアッパーキャンパスの道路脇で、テーブルマウンテンの裾野にひときわ美しく凛と咲いていた。思わず斜面をはいのぼり、手に触れたほどだった。ピンク色の優雅なユリはやっぱり私を元気にしてくれた。


谷村新司ベラドンナ・リリーを「悲しい悪魔の花」と歌う。女はボレロを踊るダンサーで、男を虜にする。女は「光の届かぬままに、涙も忘れたままに、したたる汗だけが君の生きている証し。体に運命をまとい 両手で過去をあたため、ルージュで夢を隠した君を忘れられない」と。
 ベラドンナ・リリーは谷村新司をも虜にしたのだろうが、「日陰の花」でも、「悲しい悪魔の花」でもない。太陽に向かって堂々と、しかも凛と咲いている。