『にき鍼灸院』院長ブログ

不定期ですが、辛口に主に鍼灸関連の話題を投稿しています。視覚障害者の院長だからこその意見もあります。

モバイルルータに感じた不満から、一貫性のある医療を考える

 「なんでこんな便利なこと、今までやらなかったのだろう」と低価格でのモバイルルータ導入に成功、しかもLTEですで報告したように、外出先でのインターネットライフが定着してしまいました。
 本題は後半にあるのですけど、まずはどれだけモバイルルータだけで外出の状況が変わってしまったのかを少し報告です。

 「iPod touchを外出先でも使いたい」が導入のきっかけだったわけですが、実はノートパソコンを持ち出す方が遥かに多くなりました(しかも愛用しているのはレッツノートですから軽くて長時間動作します)。東京までの新幹線の間、今までも必要なデータ編集があればノートパソコンを持参していましたが、ちょっと下調べものができなかったり完成したデータをすぐアップできない、あるいは次の作業へ取りかかりにくいというストレスがあったので、音楽を聴いて寝ている方が多かったのです。ところが、朝が早いとブログを放置したまま出かけてきているので、まずブログの編集をしてすぐアップできたということ、この環境がとても快適でした。これにはまってしまい、子守をする時にもほぼ毎回ノートパソコン持参というパターンになりました。外出時には変な待ち時間も多いもので、これを無駄にすることなく本当に作業効率が上がっています。
 もちろんiPod touchを持ち出すこともあり、点字電子手帳と組み合わせての外出では場所を取りませんし、先日も家族の買い物につきあっていたのですが次男が熟睡になったのでカートで寝かせていたのですけど横で「そこまで普段は深く読まないだろう」というくらいまでニュースを読めていました。それに遠い場所ではニュースアプリだけでなく天気予報アプリが大活躍です。ツイッターの発言ができるようになれば、もっといいのですけどね。
 そして何といっても、外出先でradiko.jp経由でのラジオを聴けるのが大きいです。早朝に東京へ出かける時、胸ポケットのiPod touchでラジオがクリアに再生されているのは特に寒い冬の出発には何よりの心の暖房となります。小さな公園ではiPod touchのスピーカーから直接再生させながら点字の編集をしたこともありますし、パソコンならエディタの作業と同時に流していますから、情報を得ながら自分の情報発信の準備をするという二倍の効率ですね。「楽天ブロードバンドLTE」では高速通信のできるデータ量に限りがあるのですけど、範囲を超えて低速の100kbpsへ落ちてもIOSアプリ経由なら普通に再生できますし、パソコンでも何度かエラーは起こしますけどキャッシュを蓄積させることでブラウザから再生可能だと確認しています。しかも、視覚障害者のプログラマーが開発してくれた村尾DOS - 漢点字の世界 MuRadikoというラジオ再生ソフトを使えば一発で再生ができます。この"muradiko"ソフト、鍼灸院や自宅の無線LANで使っている時でも、大変重宝しています、作者さん本当にありがとうございます。
 それからradiko.jpは、IPアドレスにより地域判定をして聴取可能なラジオ局に制限を掛けているのですけど、モバイルルータ経由で接続させると必ず東京となります。IOS公式アプリでは位置情報を利用しているので一応エリアに対応したラジオ局となるのですけど(聞き続けているとエリア外になってもそのまま聴取できました)、位置情報を利用しないアプリではいつでも東京方面のラジオ局が聞けてしまうので夕方のニュース解説番組では使い分けて重宝しています。パソコンでもエリア判定が東京となるので、休日は関西とは違う番組を楽しませてもらっています。こういう状況ですから、全国どこでも好きなラジオ局が聴取できるようにして欲しいものです。


 さて、これだけ便利になったモバイルルータでの生活なのですけど、どうしても書いておきたいことがあります。前回にもNTT docomoの「L-04D」のマニュアルがひどかったことについて書いており追記でその後の様子は大体書いたのですけど、『これが日本企業凋落の原因じゃないの?』と直感する出来事です。
 まず前回の繰り返しになりますが、ネット上にマニュアルデータをおいてもらえることはとてもありがたいのですけど、全く意味のないPDFファイルのプロテクト制限、これは一体何なのでしょう?何のためにネット上にマニュアルをおくのかと意味を考えれば、一般的サービスのためではなくマニュアルの正誤表が出たり改訂版が出た時の大暑を迅速に提供していると書けば聞こえはいいのですけど、実際は一番安上がりに提供しているというメーカーサイドのお得になることではないでしょうか?
 先日に漢方鍼医会で発行した「取穴書」でも正誤表が既に必要なのですけど、会員へ配布するだけでも大幅な手間となるのですがホームページ上に正誤表を公開するという手は時間も労力も格段に軽減してくれます。「どうしても修正されたものを」と求められた時には、印刷物ではなくデータのみ提供をし直すことでの対処というのも考えられます。
 ユーザーよりもメーカーにとって有利な方法であれば、ファイルにプロテクトを掛けてしまうことに意味が分かりません。iPod touchiPadには分厚いマニュアルなど付属してこず必要であれば自分でPDFファイルをもらってくるという形式になっているのですけど、プロテクトは掛けられていません。簡単にAdobe Readerからテキストファイルへ変換して、その後はパソコンのエディタで読んだり携帯デイジープレーヤーのドキュメント読み上げ機能などで読んだりして事故学習で修得できました。情報を提供していても、自ら意味を半減させていますね。

 次に、責任回避のための注意書きの多さです。これは製造物責任法(平成6年)の第一条に、「この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするとあり、第二条の定義の2には「この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう」とあることから足かせを履かされているとはいうものの、それにしても注意書きだらけです。
 実際にマニュアルに掲載されているのですけど、最初の使用上の注意事項に「電子レンジなどの加熱調理機器や高圧容器に入れないでください。火災、やけど、けが、感電の原因となります」って、そんなことするはずないでしょ!仮に電子レンジの中へ入れたなら、スイッチオンでモバイルルータの方が壊れてしまうでしょう。トラブルシューティングにも、「使用目的以外のご使用はお避けください」って、当たり前すぎます。当たり前のことなのですから、もっとシンプルにさらっと書くだけで十分なのではないですか?どうしても法律のことが気になるなら、注意書きのプレートを別に付けて、簡易マニュアルだけ付属させ本格的なマニュアルはネット上で配布すればいいのでは?
 セットアップが終わり順調に使えている今になって読み返せば、「あぁそういうことを説明していたの」と各項目それぞれは文章が理解できるのですけど、一番大切なのはセットアップのための説明であるべきです。高度な設定については、その後にすればいいのに簡単マニュアルもなく、個人情報保護の二の舞で過剰反応しており、今でも全体的にいえば調べたい項目にたどり着けない何を説明しているのか分からないマニュアルにしか思えません。

 そして激怒したのは、接続のためのUSBケーブルのことです。トラブルシューティングに、次のようにあります。
   症 状 チェックする箇所
 microUSBケーブルで接続したパソコンが本端末を認識しない
 本端末が、microUSBケーブルで正しくパソコンに接続されているかどうかを確認してください。

 わざわざモバイルルータ(L-04D)を家電量販店へ持参してケーブルを購入したのに、パソコンと接続するとディスプレイには「充電中」と現れるのにドライバのインストールは行われませんでした。その後に別売りACアダプタを購入するとケーブル単体とほとんど変わらない値段なのにケーブルも付属していたので頭に来たのですけど、もっと頭に来たことはこのケーブルで直接パソコンと接続させるとあっさりドライバがインストールされたのです。何が違うのかよく観察すると、モバイルルータへ差し込む方のプラグには小さな突起が更に付いており、これでガッチリ端末との接続が確保されていたのです。
 つまり、最初からNTT docomo製のUSBケーブルでないとダメだったわけです。それならそれと、「ケーブルはNTT docomoから発売されているものでないと正しく動作しません」とハッキリ書け!ACアダプタにはケーブルが付属しているということも・・・。それから値段の記載もなかったし。

 悪口ばかりでは「院長ブログ」の記事になりませんから、このあたりで前向きな結論へと進みます。医事寸言(後半)、漢方鍼医会アプリを発明したいで私なりのスティーブ・ジョブズに関する感想を詳述しました。この中でもソニーは全ての部門を持っていたのにiPodiTunesを作ることができなかったことについて触れていますし、「これを使って何ができるのかまで提示しないと本当のクリエイティブさは伝わらない」ということもピックアップしました。まさに日本企業が世界との戦略で負けてしまっているのはこの点であり、"L-04D"を使って製品そのものはとてもいいのに不満を感じるのはトータルで製品が提供されていないことでした。
 本体開発とアクセサリー部門は連携していても一体ではないのでしょうし、マニュアル製作も出荷期日からすれば並行しての作業であることは理解できます。けれど「一通り揃わせましたから立派な製品です」というのは従来の日本製の形であっても、決してユーザーが求めているものではないのです。ユーザーが求めているのは難しくないマニュアルを読めば誰でも使えてアクセサリーの連動性もよく分かるものという一貫した製品なのです。本体開発チームは途中でマニュアルを読み、アクセサリーチームもマニュアルへアピールを出して、マニュアルチームは本体とアクセサリーの両チームへアイデアを出すなどの連動した作業をせねば一貫した製品にはならないのでは?また製品コンセプトの総合プロデューサーの存在も必要でしょう。
 これを気に入れば、同じグループの製品をまた使うことになるでしょうし、そうなれば一つのループが出来上がってどんどん同じグループのものばかりになっていくはずなのです。これを実現させているのは今のところアップルでしょう。もちろんアップルもスティーブ・ジョブズの遺産だけで未来永劫安泰というわけではないので、ループをより強固なものへと進化させる努力が外部からだけでなく内部からも求められるでしょうが。

 鍼灸の話で最後は強引にまとめますけど、少し自慢になりますが漢方鍼医会会員の治療室を訪れられた患者さんは同じようなループの中へ、ほぼ間違いなく入ってこられています。脉診や腹診という漢方独自の診察法だけでなく病理考察に基づく証決定があり、そして「ていしん」を用いれば痛みの全くない治療法であるため、旅行先や転居されたり友人へ紹介するなど別の場所で施術を受けるとしても同じ治療法を求められるからです。本体(治療法)とアクセサリー(用具)とマニュアル(全国組織)が、一貫性のあるブランドとして認識していただけるからです。
 課題も多くあります。現在開業している会員はそれでいいのですが、まずは鍼灸師全体に占める割合が絶対的に少ないことです。中国や韓国では国策として推進していますけど、日本企業と同じく国が保護しながら推進するということを全くしてくれていないので世界の中では海に浮かぶ小舟程度です。せめて空母くらいの大きさになって遠い距離にも影響力の及ぼせるような規模にならないと、存在感だけでなく日本企業と同じく将来の発展も危ういかも知れません。
 これを打破するためには「気」や「経絡」というものを、存在を可視化して明らかにすることだろうと思います。四千年も前から先輩諸氏が取り組んできた技術なのですから、そしてその中でも数値や目で見る形での証明は未だにされてこなかったものですから簡単な話ではないのですけど、一貫性のある医療として取り組みたい課題です。