狂王の試練場やりたくなった「迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?」

 一昔前に話題になったWeb小説「和風Wizardly純情派」のリライト版。当時、私の周りでも盛り上がっていたんだけど、小説は紙じゃないと読めない古い人間なのでスルーしていたんだけど、良い機会なので読んでみた。
 これは予想外にまっすぐな青春小説。Wizだから主人公は、ラノべっぽく十代半ばかと思っていたら、ふつーにビール呑んでいるよ。設定はWiz1だし、かなり対象年齢高めな印象。いいのか、GA文庫
 ボーパル・バニーとかマーフィーズ・ゴーストとか、元ネタを考えるのが愉しい一方、やっぱり用語はそのままの方が面白かったかなーとか。もちろん権利関係で無理だろう事は承知の上で妄言。あと、設定周りに違和を覚える点も。その辺は石野休日さんに完全同意自衛隊仕事しろ!
 主人公が戦う理由が見えないのも、感情移入を妨げる。まあ、彼の青春小説なんだから、それが今後描かれる、のかな?
 総じて感じたのは、この話を一番愉しめたのは、Web上で連載されていた時に読む、だったんだろうな、とか。すべての登場人物に死亡率2%が付与され、主人公格でさえ死ぬ可能性を秘めた物語、その続きを毎日のように待つライブ感。本では得られないものもあるのだなあ。
 最後に本書発売を記念して、三大Wiz小説を書いてみる。「隣り合わせの灰と青春」元祖Wiz小説。「アラビアの夜の種族」いわゆるワードナ視点の話。「迷宮街クロニクル」本書。Wizの情報不足な世界がかえって想像力を刺激し、こんなに多くの傑作を生み出しているのだろう。

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)