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Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな新館 このページをアンテナに追加 RSSフィード

"智に埋もれ 智を啜る怪物は 矛盾した砂の底で ただ空の高きを夢見る。"

2009-03-14

[]米沢嘉博記念図書館ホームページができてたので見てみた。


以前からコミックマーケットがらみで何度か言及され,「ホームページも作るよ!」って言われてた米沢嘉博記念図書館ホームページが3月12日付けで公開されてました。


http://www.meiji.ac.jp/manga/


米沢嘉博記念図書館は,2006年に逝去したコミックマーケット前代表・米澤嘉博氏の蔵書の寄贈を受けた明治大学が夏に開設を予定している,米沢氏のコレクションを中心とするまんが・サブカルチャー専門図書館


設置の話自体は以前からされており,コミケ側からコミックマーケット74のコミケットアピール(2008年6月頃告知があった)にて告知,明治大学側では,2007年度事業報告書(外部的な公開はアピールと同時期と思われる)中にこの件の記載があり,対外的には2008年7月に毎日新聞*1,2008年11月に産経新聞より報道されている


このへんの経緯などは以前にまとめたのなどを参照のこと。

とりあえず、まとめてみる――「コミックマーケット」見本誌図書館設立の希望 - Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな新館


C75の拡大準備会あたりで今後ホームページを作るという話もあったので,やっとそれが出てきたかたちですね。

じっさいに各ページをみてみましょう。


トップページ


http://www.meiji.ac.jp/manga/


記念図書館のイメージ図*2を中心に,右側に少女まんがの並ぶ本棚,左側に何かの設計図,ていうか「東京国際マンガ図書館*3ですねこれ。

米沢嘉博記念図書館 まんがとサブカルチャー」とある中央部をクリックすると第二のトップページ。


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/index.html


米沢嘉博記念図書館TOP」では右上にモロー氏画の米やん,真ん中に米沢氏自宅の写真。英語での正式名称は「Yoshihiro Yonezawa Memorial Library of Manga and Subcultures」になる模様。2009年夏開館予定。下にインフォメーションと連絡先。

左のリンクには「ごあいさつ」「施設概要」「米沢嘉博:人と仕事」「蔵書・所蔵資料」「ギャラリー」「企画ページ」「Q&A」となり,後ろ三つはまだ準備中。その下に協力団体と「寄贈・寄託者一覧」。このへんも面白いけどあとで。


一個一個リンク先を見ていく。


ごあいさつ


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/message.html


明治大学長,奥様の英子さん,コミケ準備会共同代表の三件のあいさつ。


学長からは記念図書館の位置づけが示されている。漫画・アニメなどの日本のサブカルチャーの資料保存が遅れていることを鑑み,「2008年4月に国際日本学部を開設して、この分野の研究・教育を推進するとともに、大学全体の取り組みとして、世界最大級となる漫画・アニメ・ゲームのアーカイブ施設を準備」し,「米沢嘉博記念図書館」はこの「取組みの第一歩」であるという。このへんは森川嘉一郎氏が「ちくま」No.452およびNo.455に掲載していた2回の記事で述べている趣旨と沿っている。


英子さんからは昔マンガのコレクターの方々と話していた「古いマンガの資料館があればいいのにね、みんなの本を持ち寄ればできるかも」という話とそれへの米沢氏の「それは無理だね、みんなコレクターだから」という感想の思い出が語られている。米沢氏の「ぼくはコレクターじゃないから」という言葉がかっこいい。

そのときの話と直接は関係ないかもしれないが,コミケ開催より以前に米沢氏らの出した『漫画新批評大系』創刊準備号にある「マニア運動体論 序説」*4には,同様にマンガを保存し公開する施設としての「マンガ資料館の設立」の提案がされている。これは,現状のマンガコレクターの態度(人気作家の作品ばかりが収集され,またその古本の価格が釣り上げられる状態)が批判され,そうではなくコレクターは「過去の掘り起こし、歴史の検証、資料の整備」という点に意義がある,とする文脈の中でされている。「みんなコレクターだから」と米沢氏が言った趣旨も,ここに沿ったものかもしれない。


コミケ三代表からは米沢氏の関心の広さと米沢嘉博記念図書館への期待,謝辞。

特に以下の箇所は「同人誌図書館」をお題にブログ同人誌を書いてる身としてちょっとぐっと来た。


コミックマーケット同人誌というメディアに特化してはいますが、可能な限り自由で新しい表現・作品をアピールする「場」、ファン活動におけるコミュニケーションの「場」、新たな可能性を求める人たちが作品に出会える「場」であらんと30年以上活動を続けてきました。一方で、図書館は、様々な資料を収集し、整理し、保存し、提供する「場」としての機能を有しており、新しい知の出会いや発見の礎となってきました。この米沢嘉博記念図書館という「場」からも、こうした新しい何かが生まれてくることを期待してやみません。


施設概要


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/facility.html


とりあえず画像だけ。文章だけ拾うと以下。

施設機能:専門図書館(まんが・サブカルチャー

館所在地:東京都千代田区猿楽町

アクセス:JR御茶ノ水駅より徒歩7分/神保町駅より徒歩8分

建築規模:地上7階 延床面積:約810?

※利用方法等の情報は順次追加・更新いたします。

※図は検討段階のイメージです。


3〜5F:閉架式書庫

2F:閲覧室

1F:展示室


各階の割り当てなどは森川氏が出してた同人誌とほぼ同じ内容。というか内部向けの資料の原稿を使ってたのでしょう。

ちなみに7階立ての残りの6〜7階は事務室だそうです。


「利用方法等の情報は〜」とあるところをみると,まだ具体的にどういう運用をするかは決まってないのでしょうね。


ちなみに場所はここ。



大きな地図で見る


米沢嘉博:人と仕事


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/profile.html


米沢氏への追悼同人誌米澤嘉博に花束を」に掲載された年譜をベースに詳細な年表が掲載されている。

もともとの年譜の出来がしっかりしてるので,この手の寄贈コレクションに付される人物年表のたぐいの中では非常に立派な印象。

ちなみに米沢氏の本名は「米澤」の字で,元の年譜もそっちに統一されてたが,ここでは「米沢」に統一されている。細かい点だけどちょっと気になったり。


蔵書・所蔵資料


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/collection.html


準備中の所蔵資料の段ボールの山の写真に圧巻。また岩田氏の蔵書もここに寄贈されたことが示されている。


主要蔵書:まんが雑誌・単行本、同人誌サブカルチャー(SF・アニメ・映画・音楽等)雑誌・関連書、カストリ雑誌、他

※整理の進行とともに詳細を掲載してゆきます。

故・米沢嘉博氏蔵書 4,137箱

故・岩田次夫氏蔵書   403箱

  推計十数万冊


ちなみに4,137箱というのがどれくらいなのかというと,保管に使ってる箱が同じと思われるコミケの見本誌が一回につき400箱くらい*5なので,その十倍。同人誌なら60万冊くらいは入ります。まあ同人誌は薄いがまんが雑誌等は分厚いので比較になりませんが。


協力


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/index.html


記念図書館TOPの左下の協力団体としてあげられてる4つのバナー。うっかり見逃しそうだが,ここがけっこう重要。


まずコミックマーケット。これはよくわかる。故・米沢氏の活動を代表する団体であるし,あいさつも載せている。コミケの見本誌の一部を(寄贈でなく貸与で)ここで展示する企画もあるとのことなので,今後もいろいろ関わっていくのだろう。


次にCOMIC 1。あまりにさらっと載っててちょっとびっくりした。2008年前半にCOMIC1で各サークルから預かった見本誌を明治大学に寄贈するという話があった*6が,このときの寄贈先がここだった,ということになるだろう。後述の「寄贈・寄託者一覧」にもCOMIC1準備会の名がある。


三つ目が現代マンガ図書館。いまのところホームページ上には記述がないが,実はこの企画のそもそもが,森川氏が自身のビエンナーレでの出展物を設置する施設について,2005年頃に米沢氏と現代マンガ図書館の内記稔氏に相談したのが背景にある*7産経新聞での報道時にもすでに賛同を表明しているコレクターとしてコメントを寄せている。

いまのところは施設の規模上,内記氏のコレクションを記念図書館に移設するのは困難だろうが,もし今後より大規模な施設(計画にある「東京国際マンガ図書館」)が実際にできたときには,現代マンガ図書館の蔵書がそこに加わることになるかもしれない。


最後に国立国会図書館が挙げられてる。実はこれが一番驚いた。国会図書館発行のカレントアウェアネスで内記氏コミケ代表の記事が載ったことがあるのでそのあたりかなとも思うが,直接記念図書館と関係があるわけではない。あるいはそれ以外にも何らかの協力をしているのかもしれない。


さらっとバナーを置いてるだけですが,それぞれかなり重要な関係がある。というか,明治大学ホームページ上から同人誌即売会へのリンクが貼られてる時点でなかなか意外。


寄贈・寄託者一覧


http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/donors.html


ここにもリンクがあるのは見逃しそうだけど,メンツをみると分かる人は驚くかもしれない。ページには名前しか記されていないので,簡単に説明を補うとこんな感じ。不勉強ながらあまり知らない方もいるのでツッコミ歓迎。


明石良信コミックマーケット最初からのスタッフ。この人の言葉がコミケ開催のきっかけになったという伝説がある。米沢氏の葬儀のさいは弔辞をつとめた。
池川佳宏コミックパークという古いマンガをオンデマンド出版するサービスで記事などを書いてるらしい。学習院大学漫画研究会OBOG会委員長
伊藤剛まんが評論家。『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ』著者。日本マンガ学会会員。
岩田次夫氏ご遺族岩田氏は有名なコミケ準備会スタッフ。イワえもんのモデル。同人誌コレクションで有名。2004年没
遠藤誉中国出身の物理学者。『中国動漫新人類 (NB online books)』著者。
川原和子マンガエッセイスト。今度『人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた』という本を出すらしい。
COMIC1準備会同人誌即売会準備会。代表はコミケ代表のひとりでもある市川氏。見本誌の一部を明治大学に寄贈することを以前から告知していた。
スウェーデン大使館スウェーデン コマ割り漫画」展というのを開催していたらしいのでこのためか。
藤本由香里明治大学准教授。『少女まんが魂―現在を映す少女まんが完全ガイド&インタビュー集』ほか著者。まんが評論家。日本マンガ学会理事。
森川嘉一郎明治大学准教授。本企画の立役者。『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』ほか著者。ヴェネツィアビエンナーレにおいておたくをテーマにした展示のコミッショナーを務めた。
米沢英子米沢嘉博氏の奥様。コミックマーケット準備会代表補佐。愛称ベルさん。コミケの開会・閉会のアナウンスは毎回この方がしている。

英子さん,岩田氏遺族はそれぞれ故・米沢嘉博氏,故・岩田次夫氏の蔵書の件。COMIC1準備会については前々から言っていた見本誌寄贈の件かも。ほかの方はどういうかたちで寄贈・寄託されるのかはよくわかりませんね。自著の寄贈とかでしょうか?


以上,一通りみてきましたが,今まで見かけなかった名前などもあちこちみえて,これからが気になるところ。全体に非常によくできていて(開館前の図書館としては十分でしょう)やはり明治大学の本気感が伺えますね。というか,ここまでやっといてもう後にはひけないでしょう。

夏に開館されたら是非いきたいですねー。wktk

*1:もう消えてるけど http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20080716mog00m200001000c.html

*2:以前に森川氏の同人誌に掲載されてたりした

*3:森川氏が構想中のまんが図書館の次段階。産経新聞報道で名前が出た。冬コミ配布の森川氏の同人誌で,これとほぼ同じ図案が掲載されている。なお以前は「日本先端文化複合アーカイブミュージアム」と称して掲載していた。

*4:『コミックマーケット創世記 (朝日新書)』 に再録されている。

*5:参考:CA1672 - マンガ同人誌の保存と利活用に向けて ?コミックマーケットの事例から? / 里見直紀,安田かほる,筆谷芳行,市川孝一 | カレントアウェアネス・ポータル

*6:参考:COMIC1 見本誌の明治大学図書館寄贈について - Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな新館 このときは和泉図書館と思っていたり。まだ猿楽町のビルの話が出てなかったのですよね。

*7:「ちくま」No.455の森川氏の記事より。同様の内容がC75頒布の森川氏の同人誌おたく博物館計画 ver.081230」にも掲載されていた。

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