風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

執(と)り成すとは命懸けの行為

 さて、レビの子ケハトの孫でイツハルの子であるコラは、ルベンの孫でエリアブの子であるダタンとアビラム、およびペレトの子であるオンと組み、集会の召集者である共同体の指導者、二百五十名の名のあるイスラエルの人々を仲間に引き入れ、モーセに反逆した。彼らは徒党を組み、モーセとアロンに逆らって言った。「あなたたちは分を越えている。共同体全体、彼ら全員が聖なる者であって、主がその中におられるのに、なぜ、あなたたちは主の会衆の上に立とうとするのか。」
 モーセはこれを聞くと、面を伏せた。彼はコラとその仲間すべてに言った。(中略)
 モーセは更に、コラに言った。「レビの子らよ、聞きなさい。イスラエルの神はあなたたちをイスラエルの共同体から取り分けられた者として御自身のそばに置き、主の幕屋の仕事をし、共同体の前に立って彼らに仕えさせられる。あなたたちはそれを不足とするのか。主は、あなたとあなたの兄弟であるレビの子らをすべて御自身のそばに近づけられたのだ。その上、あなたたちは祭司職をも要求するのか。そのために、あなたとあなたの仲間はすべて、主に逆らって集結したのか。アロンを何と思って、彼に対して不平を言うのか。」
 モーセは人をやって、エリアブの子であるダタンとアビラムを呼び寄せようとしたが、彼らは言った。「我々は行かない。あなたは我々を乳と蜜の流れる土地から導き上って、この荒れ野で死なせるだけでは不足なのか。我々の上に君臨したいのか。(中略)我々は行かない。」
 モーセは激しく憤って主に言った。「彼らの献げ物を顧みないでください。わたしは彼らから一頭のろばも取ったことはなく、だれをも苦しめたことはありません。」
 モーセはコラに言った。「明日、あなたとあなたの仲間すべて、すなわち、あなたも彼らも、アロンと共に主の御前に出なさい。(中略)」
 彼らはおのおの香炉を取り、それに炭火を入れ、香を載せ、モーセとアロンと共に臨在の幕屋の入り口に立った。コラは共同体全体を集め、臨在の幕屋の入り口でモーセとアロンに相対した。主の栄光はそのとき、共同体全体に現れた。主はモーセとアロンに仰せになった。「この共同体と分かれて立ちなさい。わたしは直ちに彼らを滅ぼす。」彼らはひれ伏して言った。「神よ、すべて肉なるものに霊を与えられる神よ。あなたは、一人が罪を犯すと、共同体全体に怒りを下されるのですか。」
 主はモーセに仰せになった。「コラ、ダタン、アビラムの住まいの周りから離れるよう、共同体に告げなさい。」モーセは立ち上がり、ダタンとアビラムのところに向かった。イスラエルの長老たちもついて行った。彼は共同体に言った。「この神に逆らう者どもの天幕から離れなさい。彼らの持ち物には一切触れてはならない。さもないと、彼らの罪のために、あなたたちは滅びる。」彼らはコラ、ダタン、アビラムの住まいから離れた。
 ダタンとアビラムは、妻子、幼児と一緒に出て来て、天幕の入り口に立った。モーセは言った。「主がわたしを遣わして、これらすべてのことをさせられたので、わたしが自分勝手にしたのではない。それは次のことで分かるであろう。(中略)こう語り終えるやいなや、彼らの足もとの大地が裂けた。(中略)また火が主のもとから出て、香をささげた二百五十人を焼き尽くした。
 主はモーセに仰せになった。「祭司アロンの子エルアザルに告げ、焼け跡から香炉を取り出し、炭火は遠くにまき散らすように言いなさい。(中略)これは、イスラエルの人々に対する警告のしるしとなるであろう。」祭司エルアザルは、焼き殺された人々がささげた青銅の香炉を集め、打ち延ばして板金にし祭壇の覆いを作った。これは、アロンの子孫以外の者が主の御前に近づき、香をささげてはならないことをイスラエルの人々に思い起こさせるためであり、コラとその仲間のようにならないためであった。それは、モーセを通してエルアザルに語られた主の言葉どおり作られた。
 その翌日、イスラエルの人々の共同体全体は、モーセとアロンに逆らって、「あなたたちは主の民を殺してしまったではないか」と不平を言った。彼らがモーセとアロンに逆らって集結し、臨在の幕屋の方を向くと、見よ、雲がそれを覆い、主の栄光が現れていた。モーセとアロンが臨在の幕屋の前に進み出ると、「この共同体から離れなさい。わたしは直ちに彼らを滅ぼす。」二人はひれ伏した。
 モーセはアロンに言った。「香炉を取り、それに祭壇の火を入れ、香を載せ、急いで共同体のもとに行って、彼らのために罪を贖う儀式を行いなさい。主の御前から怒りが出て、もう疫病が始まっている。」アロンは、モーセの命令どおりに行い、集結している人々の中へ走って行った。疫病は既に民の間に広がり始めていた。アロンが香をたき、民のために罪を贖う儀式を行い、死んだ者と生きている者との間に立つと、災害は治まった。この災害による死者の数は一万四千七百人であった。コラの事件による死者はこの数に含まれていない。アロンは臨在の幕屋の入り口にいるモーセのもとに帰った。災害はこうして治まった。(民数記16:1~17:15新共同訳)


この、最後の場面で描かれているアロンの行動は、民の罪を神に執り成す行為である。アロンは、モーセの命に直ちに従って、疫病が始まっている共同体の中へと走って行き、儀式を執り行う。まさに命懸けの行動である。アロンのこの行動の故に、主はこの後不可思議な仕方でアロンを選び、モーセとアロンへの民の不平を治められる。



わたしの選ぶ者の杖は芽を吹くであろう。わたしはこうして、あなたたちに対して続いたイスラエルの人々の不平を取り除こう。(民数記17:20新共同訳)

 その翌日、モーセが、あかしの幕屋にはいって見ると、レビの家のために出したアロンのつえは芽をふき、つぼみを出し、花が咲いて、あめんどうの実を結んでいた。(中略)主はモーセに言われた、「アロンのつえを、あかしの箱の前に持ち帰り、そこに保存して、そむく者どものために、しるしとしなさい。こうして、彼らのわたしに対するつぶやきをやめさせ、彼らの死ぬのをまぬかれさせなければならない」。モーセはそのようにして、主が彼に命じられたとおりに行った。(民数記17:8~11口語訳)


杖にアーモンドの実が結ぶこの場面は本当に美しく描かれている、と思う。