- 作者: 二村ヒトシ,青木光恵
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2012/12/02
- メディア: 文庫
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ともあれ、自分の肥大した自尊心(つまり本書で言うところの自意識過剰)など、他人にとってはキモチワルいものでしかないだろう。本書は、モテない男は、自意識過剰=「キモチワルい」のだから、モテたいのならば、まずなるべく他人からキモチワルがられないようにしようと説く。そのための方法は、あくまで具体的かつ実践的である。例えば、キモチワルがられないように女性と話す練習としてキャバクラに行ってみろ、となる。最低限、自尊心を保っていられる水商売の場で、まずは緩く練習してみるという実践法である。
しかし、本書で最も印象的な指摘は、モテようとするための他人とのやりとりで臆病になりすぎないために、「一人っきりでいても淋しくない」自分の居場所をもて、というものだ。自尊心をどうにかあやす手段は、もちろんモテることだけではない。筆者も、自意識過剰の世界から逃れることはできず、なんらかの意味で本書がいうところの「バカで臆病」だが、本書を読むことでモテようとすることをあきらめ、孤独を受け入れる準備ができたように思う。
本書は読者の根強い支持があり、1998年の初版以来、加筆を重ねてなんども再版されている。今回の最新版(2012年版)では、著者がモテてみた結果、大事なことは「大人になること」、すなわち「もう、そんなに長い時間は残っていないんだから、なるべく他人を幸せにしようと考えることだ」という結論に至る。しかしこの境地は、本書を最初から熟読して、一回モテてみないとその真意はわからないのではないかと感じる。かくして、やはり「すべてはモテるためである」のだ。どうしようか。。。