2008-04-03 工事進行基準/第4回 日経ソリューションビジネス
■[ビジネス]工事進行基準/第4回 日経ソリューションビジネス
「日経ソリューションビジネス(2008.2.29) より概要をまとめた。
ITサービス会社がプロジェクトに関係なく同じレベルで原価を見積もるためには、見積手法や見積支援ツールを標準化しておくのが望ましい。ソフトウェア開発費の大半は人件費が占めている。導入している見積手法や見積支援ツールを活用してプロジェクトに参加させるべきエンジニアのスキルレベルや人数などをはじき出す。これらの結果にスキルレベルに応じたエンジニアの単価を掛け、人件費を算出する。そしてタスクごとの標準工数を基に、人件費を積み上げ、プロジェクト全体のコストとする。標準工数を決めておけば迅速かつ、正確に見積総原価を修正できる。契約金額を決める際、プロジェクト管理者だけで実施しないことが重要である。プロジェクト責任者が見積総原価の妥当性や契約金額の妥当性、プロジェクトに内在するリスクなどについて承認するルールを導入すべきである。さらに、利益率が社内基準値を下回るプロジェクトについては、必ず審査委員会に見積詳細書の妥当性についてチェックしてもらうようにする。
■人件費を自動集計できる仕組みを
人件費の集計には手間がかかるため、自動化しておくべきだ。たとえば勤怠管理システムに、プロジェクトメンバーが対象とするシステムに費やした時間や経費を入力する機能を盛り込んでいくといった方法である。こうしておけば人件費の計算の大部分を自動化できる。当然のことながら、交通費や会議費などの諸経費などもプロジェクトごとに集計する必要がある。社内の経費精算システムで計上されるデータをプロジェクトごとに振り分ける仕組みを作っておけば、諸経費管理業務を効率化できる。
■見積総原価を月次で見直す
工事の進捗度合いを原価比例法で算出している場合には、見積総原価の数値を修正し、工事進捗度も再度計算する必要がある。原価比例法とは、見積総原価に対する実際発生原価の割合を工事の進捗度合いとする方法だ。見積総原価を見直すタイミングをどうするか。この点については月次ベースが望ましいだろう。2008年度から上場企業を対象に、財務、業績の概況を四半期開示することが義務化されることを考慮すると、月次で実際発生原価を集計し、見積もりと実際の費用を比較し、適切に修正すべきである。実際発生原価すべてをプロジェクト管理者に任せてしまうと、管理者の裁量により、複数プロジェクト間で費用を付け替えるなど、不正が発生する可能性があるためである。こうした不正が発生しないようにするには牽制ルールを導入するしかない。見積総原価を修正しなければならない場合には、複数部門で確認するといったことである。
■進行基準を適用しなくとも損失額を公表せよ
工事進行基準の場合、もちろん工事完成基準を適用していても、損失が発生する可能性が高い場合には工事損失引当金を計上しなければならない。それを怠ると、内部統制上「問題あり」の企業として公認会計士に指摘されるケースが増える。赤字プロジェクトによる損失額をごまかすことは一切できなくなる。ITサービス会社はもう一度、損失計上のルールや組織体制を見直す必要がありそうだ。ただし、重要なことは赤字プロジェクトに陥らないようにマネジメントすることである。


