無表情なボーカル+打ち込み=良質ポップス、中谷美紀

ABSOLUTE VALUE

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名前はよく知っていた教授の曲をそれと意識して耳にしたのは、彼女の曲が初めてだったように思います。
不思議な感覚のする複雑な、しかし、透明感のある聴きやすい曲。そういうようなイメージで興味を持ったことは覚えているものの、デビュー当初はテレビやラジオでたまに耳にする程度で、それ以上積極的に聴こうとはしませんでした。初めてCDの媒体で聴いたのは、大ヒットした「砂の果実」で、それでもレンタル。それ以降は目立ったヒット曲も出ず、私のリスナー人生とはイマイチ絡み合わないまま、いつの間にか彼女は歌手活動を休止してしまったようです。
さて、先日このCDを中古で購入しました。フォーライフレコード時代の彼女のベストアルバムです。
全曲を通して同じような雰囲気の曲が並んでいます。基本的には打ち込みメインのバックトラックに彼女のボーカルが乗っているだけなのですが、このボーカルが非常に無表情なのです。小松未歩などに通じるものがあるかもしれません。打ち込みと無表情なボーカル。一見冷たく機械的な曲になりそうですが、これが教授のメロディーに乗れば、良質なポップスとなって私の前に表れます。
やはりシングル曲「MIND CIRCUS」、「STRANGE PARADISE」、「砂の果実」、「天国より野蛮-WILDER THAN HEAVEN-」、「いばらの冠」は、非常に爽やかで聴きやすく、これだけで購入の価値ありでした。当時の感覚は、間違いでは無かったようです。その他は、一風変わった曲調のものが多く、シングル曲に比べれば親しみにくいのは否めません。しかし、同じような雰囲気の曲が続くアルバムにあって、メリハリを付ける役割は果たしているのではないかと思います。こういう評価もどうかと思いますが(笑)。
教授プロデュースのポップス歌手はあまり知らないのですが、このアルバムを聴く限り、他のも期待できます。買って正解の一枚でした。正解のCDしか紹介しませんが(笑)。