心が読めてしまうが故に巻き込まれる重大事件 『琴浦さん』 2巻

琴浦さん2 (マイクロマガジン☆コミックス)

琴浦さん2 (マイクロマガジン☆コミックス)

人の心が読めてしまうがために辛い思いをしてきた経験から
当初は心を閉ざしていた琴浦さん
様々なトラブルや人間関係を経て彼氏と親友を得たが・・・

累計アクセス数が500万超と言う凄まじい勢いのWebコミックの待望の第二巻。
今回は帯に門脇舞以を起用していたり、巻末にたまごまご氏のコラムが載っていたりと
ゲスト陣の充実ぶりからもいかに本作に気合が入っているかがわかります。
いわゆる超能力を持ったがための悩みとそれに正面から向き合う人々、
そしてそこから生まれる恋愛感情と重い話とラブコメ分とが融合した本作ですが、
前回の流れを引き継ぐラブコメ展開で、
嗚呼これで琴浦さんも幸せロードをひた走ることになるのかなー。
などと思っていたら中盤からの第三部でまさかの急展開となり、
再び重い話がやってきたりと実に起伏に富んでます。
確かに人間関係は変わった。
が、全てが解決したわけではない。
真のスタートはこれからと言わんばかりの急展開には驚きでした。
本作を4コマ作品そのものに例えると、
ちょうど第一部〜第三部で起承転結の『転』までやって来たって感じですね。


前半パートはひたすらにラブコメ展開の第二部。
開幕からクリスマスってビッグイベントから始まるし、
正月には琴浦さんの田舎にみんなで泊まりに行って
バレンタインを経てみんなで遊園地に遊びに行ったり。

今の関係に至るまでの第一部がかなり重い話だっただけに、
よかったねとなおのこと思ってしまいます。
当初と比べると本当によく笑うようになりました。
普通ここまでノロけられるとリア充めコノヤロウとか思ったりするけれど、
本作においてはそういう嫌味らしいものは感じませんね。
むしろ先の段階まで突入するのはいつだと思わず視線が生暖かくなってしまったり。
今までが色々あったんだ、これくらい幸せだっていいじゃないか。
それに何と言っても笑う琴浦さんは可愛いし。
胸のことを想像して小さいのを気にして牛乳を大量に飲むとか、もうたまりません。

森谷さんとも良好な友人関係の結び付きが強くなってきているし、
これだったら何があっても皆で乗り越えていけそうです。
そして真鍋は相変わらずエロくてこっちの方も安心でした。
琴浦さんの祖父とエロ仲間で思いっきり気が合っちゃってるし、
変態サイドは絶好調だなコノヤロウ。


幸せな一時が描かれたのはほんの束の間。
第三部に突入するや否や話は再び暗雲が立ち込め・・・
これでもかってくらいにラブコメしてた第二部の引きが意外すぎたので、
その時点からして嫌な予感はしたのですが、実際の内容は予感を遥かに上回るものでした。
読んだ心から伝わってきたのは殺人現場。
自分たちの住んでいる近くに殺人鬼がいる、目撃者は『例の子』だ。
疑心暗鬼はあらぬ噂として校内に伝播し、
再び初期のような不穏な空気が流れ始めたところで出てしまう被害者。
現場に遭遇してしまったことで容疑をかけられてしまったのが森谷さんで・・・

と、第二部が嘘のようにサスペンスロード一直線です。
何も悪くないのに琴浦さんは一体どこまで苦しめばいいのか。
根は深い・・・

これはこれで琴浦さんと森谷さんの間に結ばれた友情が
確かに強固なものであることを確認できたわけではありますがね。
しかしまだ犯人は捕まっていないことと、
被害者が琴浦さんの悪評を流していた人物であること、
この二つが真犯人の正体と、今後どのような結末を迎えるのかが気になってなりません。
(本家サイトでは既に第四部へ突入しているので殺人事件については決着が付いてるみたいですが)


殺人事件が起こってしまう手前、ある意味第一部よりも重い第三部ではありますが、
もう一つ描かれている重大な話の展開も見逃せません。
それが琴浦さんと母親との関係に関するエピソード。
心が読める能力と当時まだ幼かった身であるが故に
両親の仲が険悪になったことだけは初期に描かれていたものの、
実際に登場はしていなかったわけですが、
今回初登場した母親はなかなかに怖いお人です。
能力を信じず妄想・妄言だと言い切ってしまったり、
自分の子供の存在を否定して幼い娘を置いて家を飛び出した過去があったり。
母と娘の間に生じた溝は深いなぁ・・・

けれど、修復できないわけではない。
表面上は疎遠な関係となってしまってはいるものの、
心の奥底ではやっぱり母親としての気持ちってものが見え隠れしてるんですよね。
真鍋のエロスを我慢できずに思わず飛び出してきたり、

ちょっとした事情から琴浦さんの部屋に一泊することになったり。
かなり前途は多難だけど最終的に和解してくれることを願います。