自分の身を守れるのは自分だけ! 『大江山流護身術道場』 2巻

大江山流護身術道場 2 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

大江山流護身術道場 2 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

空手歴10年のお嬢様相手に対等以上の戦いを繰り広げた素人同然の睦月。
この一件は武とは何か、強さとは何かを深く追求してゆくこととなり・・・
ジャンル的には萌え系に分類される作品でありながら、
本格的な護身術の基礎実用書としても使えるのではないかと言うくらい
非常に格闘理論についても細かく描かれた本作、待望の第2巻。
同氏の別作品であるプリティベルとかでもそうだったけど、
こと格闘方面についての理論・描写は非常に細かいですね。
護身術に主眼を置いていることもあって、
日常生活ってものがいつ何時誰に襲われるかもわからない、
薄氷のようなものであると思い知らされます。
しかし武術的なものもそうだけど、変態的な方面でもすごい作品でした。
ちょっと後半は駆け足で打ち切りっぽい空気が全開のため
(特に最終回開幕の超展開がすごかった)、
色々と消化不良なところは見受けられますが、
全体的には良くまとまってたのではないでしょうか。
何はともあれ、寝起きでマッパのなっちゃんがたまらねぇ・・・


悩める変態が導き出した究極の結論とは・・・
ずっと話の裏側で暗躍していた世界変態同盟。
睦月の未洗濯下着を手に入れるべく苦悩する姿はひたすらに馬鹿極まりないです。

本気なのかギャグなのかわからない紳士っぷりがもうね。
『黒い稲妻』こと睦月のストーカーが
何としても下着を手に入れるべく考えた結果がヤバすぎます。
ストーカーと本人も認めているところではあったけれど、
根本的に好きだったからって気持ちは偽りなき真実だったわけだし、
黙ってればそれなりにイケメンだったんだから、
素直に告ってればよかったのにねぇ・・・
その結果が告白は告白でも売買取引交渉かよ!

ダメだこいつ、変態以前に馬鹿すぎた。
更には暴走して強硬手段に出ちゃうし。

才能の無駄遣いとはこういう事を言うんですね。
惜しむらくは今後も使い勝手がありそうな連中だった筈なのだけれども、
そのまま出番がフェードアウトしてしまったところ。
むしろこいつらメインのギャグとかも見てみたかったなぁ。


前半は世界変態同盟が大活躍だった半面、
それ以外の部分はかなり真面目なシーンが多かった印象。
確かに前半部分でも同じ『武』であっても、
『武道』と『武術』の違いは何か。

いくら格闘技の心得があっても不意に背後から刺されれば死んでしまうのに、
それでも何故己を鍛えるのか。
こうした違いを見出すために思い悩む姿などが描かれていますが、
後半では何故大江山流護身術が誕生するに至った理由など、
もっと根本的なものについて話が及んでいます。

誰かに襲われたとき、助けてくれる人がいるとは限らない。
結局己の身は己自身で何とかするしかない。
一番基本的にして、一番大事な考えですね。
何事も危険な状況に陥らないことこそが究極ではあるものの、
どうしようもない状況ってものはありますからね。
本作には実に色々なものを教わりました。
でも軍曹モードの先生は怖すぎてちょっと教わるのは気が引けるかも。


基本は真面目に格闘指南と実践との内容ではあるけれど、
ギャグ方面とかネタも色々とぶっ飛んでました。
さりげなくプリティベルからイタカさんがゲスト出演しているのは序の口、
何と言っても露骨に打ち切りであることをネタに暴走する描き下ろし部分ですよ。
キャラ対談と称して開幕から打ち切りについて言及してますし。
とにかく発言の何もかもがネタにまみれてるので、
ある意味この対談部分だけでも十分すぎるほど読む価値があります。
フェードアウトしてしまった変態同盟もそうだけど、
メインスポットが当たることなく同じくらい不憫なまま終わってしまった沙織&かなえとかもまた。
こっちに至っては設定を回収しきれなかったことに本編の中で言及してたり、
カバー下でもこのことがネタになってたり。
本編の中でこういうメタ発言してしまう時点では既に不惑状態だったんだろうなぁ。

かなえの方はスピンオフで見てみたいかも。
と言うか一番びっくりしたのが、ショート回で大江山親子が見ていた
アホな動画ことベルサイユの刃牙が本当に存在してたことです。
確かにこれは笑ったわ。