クイズとは知識と記憶の戦争なり 『ナナマル サンバツ』 1巻

身長も低ければ運動も苦手な草食系文系男子の主人公・識。
高校入学二日目に、クイズ研究会と劇的な出会いを果たすこととなり・・・

90年代は時のクイズ王ブームに始まり、
本格的なものからバラエティ色の強いものまで、
実に様々な番組が放送されていたクイズと言うジャンル。

このジャンルを主題としたありそうでなかった部活動ものの新境地が登場です。
漫画である体系上、早押し独特のあのリアルタイムな緊張感とか、
一体どうするんだろうと思ったものの、
見ているうちに気分はアメリカ横断ウルトラクイズ
毎年楽しみに見ていたあの頃の自分を思い出させてくれました。

ウルトラクイズの決勝で後輩との激戦の末に準優勝し、
後にミリオネアに出演して1000万円を勝ち取ったクイズ王の第一人者・永田喜彰氏。
その見た目のインパクトのみならず、
パワーとスピードと直感の全てを兼ね備えて早押しでは圧倒的な強さを誇った西村顕治氏。
(幽遊白書でもネタになった「アマゾン川」だけでポロロッカを答えたのはもはや伝説)
時のクイズ王たちの姿が浮かんでくるようです。
今でも高校生クイズは毎年放送されているけれど、
どうにも最近は見る気も起こらない実情でしたからね。
さすがに震災影響とか風評被害とかで今は厳しいとしても、
いつかはもう一度ウルトラクイズをやってくれないかなぁ。
グァムの泥んこ二択、恒例ハズレ付きばら撒き、大声クイズに妨害クイズに・・・


勝負は単純な知識だけでカバーできるものではない。
当然それ相応の勉強とかで雑学知識を身に付けていることも必要ではあるにせよ、
本気で競技として行うクイズってのはそれだけじゃなかったんですね。
よくこの手の上位入賞者はクイズ研究会所属の肩書きをよく聞きますが、
単純にペーパー的な問題を解いてるだけの地味な活動だとか思ってました。

そういう問題って定番として覚えておくべき事項であって、
むしろ必要なのは問題文から解等を確定させられるポイントを如何に抑え、
如何に誰よりも早く早押しボタンが押せるかと言う・・・
そうか、そりゃそういう研究会に所属もしてりゃ上位になるってもんですわ。

ただ知識があるだけの素人とはそもそものスタートラインが違いすぎる。
まさに頭脳の格闘技。
今回はまだ王道の早押しだけど、フリップ解答するやつとかも同じように対策とかあるのかな。
しかし作中でのクイズに対する本気っぷりが凄まじい。
開幕に勧誘用に配られたチラシの中身が見開き丸2ページ使った
実際に読者も挑戦できるペーパークイズ70問とは・・・


クイズに情熱を傾けるヒロインは見た目に反して残念系。
ぃゃー、本作のヒロインである真理さんですが、
黙っていれば清純系の正統派に見えなくもないんです。
が、これがまたこの上ないくらいまでのクイズバカ。
何かといかにもなフラグばっかり無意識に立てすぎです。
識にパンツを見られるわ、言葉だけだと事後にしか思えない会話をするわ、
明らかにデートに誘ってる発言をするわ、弁当一緒に食おうと言い出すわ。

傍から見たらどれもが好きな相手へ対するそれを、
本人はそうと思ってないから人前で堂々と・・・
昨今のヒロインキャラってのは少しくらい変人じゃないといけない時代なんですかね。

とは言っても笑ったり照れたりしたときの表情が可愛いのはさすがヒロインです。