三匹が斬らずに拾う! 『ヒナまつり』 3巻
- 作者: 大武政夫
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/03/03
- メディア: コミック
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実家へ帰省した新田は取り返しの付かない爆弾発言をしてしまい・・・
傍若無人の超能力少女と巻き込まれ主夫ヤクザが織り成す非日常ギャグも3巻目。
3月3日と言うリアルで雛祭りの日に本作の最新刊を出してくる小粋さは、
2巻の時点から告知されていたのでずっと楽しみでしたが、
実に待った甲斐があったというもの。
見事に今回も笑わせてもらいました。
何てことの無い日常が舞台のはずなのに展開される非日常ぶり。
実は割りと身近な出来事のようで程遠い微妙な現実との距離感。
このシュールさと独特のセンスは一度ハマるととことん引き込まれますね。
今はまだ知る人ぞ知る作品かもしれないけれども、
ギャグ枠の中では飛び抜けてブレイクするポテンシャルを持っているのではないかと。
今回の場合、表紙のインパクトも相当なものですから、
少なからず書店で目を引いて手に取ってもらえる機会も増えそう?
実際の内容は表紙や帯を見ての通りヒナ、アンズ、瞳の三人娘が終始大奮闘していて、
若い女のパワーの凄まじさを肌で感じられます。
女三人寄れば姦しいと言うけれども、本作の場合は三人寄れば不協和音。
全くタイプの異なる三人が微妙にずれた掛け合いを繰り広げる様は、
トリオ芸人のライブでも見ているかのような感覚にさえ陥ってきますよ。
アンケートはがきの質問項目すらカオスだし攻防共に隙がありません。
げに強きは女の力。
前回は若干出番が少なめだった瞳も一気に出番が急増し、
サブキャラからメイン格へと大躍進を遂げてます。
開幕から詩子さんに正式にバーテンとして雇われちゃってますし。
まぁ中学生なので一悶着あるのですが、そのやり取りからして笑える。
詩子さん策士すぎる・・・と言うか黒い・・・
授業参観のときなんて露骨に心の中でクソガキどもとか言っちゃってるし。
世間の世知辛さを知った瞳が将来詩子さんみたいになりそうな予感すらしてきましたわ。
巻き込まれ体質は人との縁すら呼び寄せ、
アンズと知り合って友達になっちゃったり。
ぃゃー、友達できたりあやとり教えてもらったり、
目を輝かせてるアンズ可愛かったわー。
完全にホームレスが板に付いてるけど何だかんだで満喫してますよね。
ヒナは相変わらずだけど、
他の連中が全体的に濃くて暴走しまくってるから今回は若干大人しめかな。
とは言っても炸裂するときは思いっきりはじけてますけどね。
テレビのリサイクルするために新品買ってくるとかわけがわからないよ。
こんなのやろうとしてやれることじゃありませんて。
前回の生徒会演説のときもそうだけど、素でやってしまうあたりがすごい。
狙ってやろうとしたら絶対滑って白けさせそうだし・・・
そんな三人娘がはじめて一堂に会してリサイクル活動するのは色々とくるものがあった。
既に超能力あんまり関係なくなってきてるし。
こうして繋がりを持ってしまうこと自体が一番の超能力かもしれない。
ツッコミ役の家族は大ボケだった!?
まさかの新田の母親と妹が登場したりするのですが、
この家庭で何故この長男が生まれ育ったのか疑問に思えるほど、
実にフリーダムな家族でした。
ここでも女性陣がひたすらに強かった・・・
最初から最後までビール飲み続けてるわ、
客なのに新田に料理作らせるわ、
ヒナが娘なんて大嘘すら真に受けるわ。
終始酔っ払ってるような状態に加えて新田までテンション上がっちゃうし、
普段は自分のペースに相手を巻き込むヒナですら、
新田家の荒ぶるテンションに引いてましたからね。
夜の街とか出てくることが多いから酔っ払いが描かれることも多々あるけれど、
ここまでぶっ飛んでしまうのを見ると家飲みでも油断できませんね。
基本ツッコミ役だけど、たまに大ボケやらかしますよね新田って。
と言うか完全に主夫だし、家事スキルとか生活力高すぎですって。
何でヤクザなんてやってんだろう・・・
どっちかと言うと不憫な役どころが多い本作の男衆。
ヒナの授業参観と聞いて興奮しすぎて心臓発作起こす組長も大概だけど、
今回の成長株はヒナとか瞳のクラス担任の松谷先生。
一見まともなのに妙に暑苦しいし残念っぷりがひどい。
更に残念具合が進行すると大化けしそうなキャラですね。