家庭内戦争、新たなる伝説へ 『嫁姑の拳Z』 1巻

嫁姑の拳Z 1 (A.L.C.DX)

嫁姑の拳Z 1 (A.L.C.DX)

人並み外れた身体能力と戦闘力を有した超人一家・羽場家。
平和な一般家庭で巻き起こる嫁と姑の諍いは今日も周囲を巻き込み・・・
昼ドラと泥沼人間模様の定番である嫁姑戦争。
大胆な表現とダイナミックな格闘シーンを交えて
ギャグとして昇華させてしまった衝撃の本作。

タイトルにドラゴンボールよろしく「Z」が付き、
あらゆる面でパワーアップした今回は向かうところほとんど敵はなし。
もうちょっとだけ続くんじゃとか言っておきながら、
それ以上に長く続いたZ編の如くぶっ飛んでくことになるのでしょうか。

某月の戦士よろしくR⇒S⇒SSとか付くパターンも考えられたけど、
格闘シーンの多い本作の場合はやはり「Z」が実によく合います。
実質6巻目と言う事もあって、
少々敷居の高さを感じてしまう人もいるかもしれませんが心配無用。
元々一話完結のギャグだから基本設定さえわかればどこからでも入れますし、
今回に至ってははじめての人でもわかりやすいように、
これまでに登場した主だったキャラが紹介と共に総登場し、
恒例の嫁姑バトルシーンに息の合ったツープラトンと、
基本のノリが集約された第0話が最初に収録されています。

第0話は描き下ろしエピソードではあるものの、
同誌掲載作の単行本、具体的には花のズボラ飯とかの折込に
丸ごと収録されたものが入っていたりしますから、
そちらを見てからでも遅くはありません。
間もなく震災から一年が経ちながらも完全復興は遠い現在。
本作で盛大に笑い飛ばし、羽場家のアグレッシヴさにパワーを貰うのもいいですね。
この一家だったらどんな災害に直面しても生き残りそうですわ。


今回は全てが「対決」だ!
タイトルだけではなく、細かい部分にも変更が加わった今回。
これまでは各エピソードは話数の通番しかなかったのだけれども、
サブタイトルが付くようになったのも新鮮ですね。
本編見る前にサブタイの時点から異様に熱くて笑えますし。
表紙デザインも大幅に変更されてレディース誌っぽさが出ていて、
若干ポップな雰囲気を醸し出しているから書店でも手に取ってもらいやすくなったかな?
実際は裏表紙でコブラツイストかましてるような内容ですけどね。
まぁこのあたりは今までの表紙が濃すぎたとも言いますか。
炎をバックに二人が対峙してたり白黒で顔芸のアップだったり、
完全にインパクト勝負に出てた感はありましたので。
そんな今回の本編は全体的に「対決」が描かれることが多かったかなと。
ぃゃ、大幅リニューアルされた本作そのものが売り上げとの対決に出てるとも言えますがね。

嫁・風音は商店街の腕相撲大会で優勝商品のカニ食べ放題を賭けてマッチョと戦い、
姑・梨々衣は意地と勘違いで旧知のライバルであるトメとバレエ対決をする。
そしてこのいつもの二人が直接戦うのは言うまでもあらず。
全てが無駄に熱い上に本人たちは大真面目だったりするから、
黙ってても動いてても全て笑ってしまいます。
リリィさんが師事した先生と踊るバレエデュオはひたすらにキモくてヤバかった・・・

見開きでこんな表情が唐突にどアップで出てきて笑うなって方が無理。
恒例の嫁姑バトルシーンもお約束なのに毎回始まる経緯が違っていて無駄に凝ってます。
本当にしょうもない理由からリビング崩壊までが本作におけるお約束テンプレ。
リビング壊して修繕する分の累計で家が何軒建つんだろうか。


濃い新キャラ、これまでと違った面を見せる既存キャラ。
本編始まっていきなり登場したおっさんからしてヤバい。
熊の群れと仲良く暮らしているのは百歩譲ってよしとしましょう、
焼き魚の火力が足りないからってポリタンクから燃料大量投入して家まで焼失って、
自分はミスター味っ子か何かの世界でも見ているのでしょうか・・・
実は羽場家の血筋の人間だったりするし、やはりこの一族は人外すぎる。
熊が食卓で飯食ってたりするシュールさも、
本作においてはもはやツッコミどころですらありません。
しかしそれ以上に凄まじかったのが既存キャラたちのはっちゃけぶり。
リリィさんはアフロに瓶底眼鏡で変装してトメのバレエ教室に入門。

一体どうしてこうなった・・・
何気にリリィさんアフロになるのも二回目だし。
と、メインの二人は勿論のこと、爽と武はもっと大変なことに。
二人ともこれまでは羽場家の中においても常識的な存在であり、
数少ない良心だったはずなのに・・・
喧嘩のストッパーとしても機能していた爽は今まで怒っても泣いたり拗ねるくらいでした。
が、今回は大事なものを壊した上に、
リリィさんがやったことにしようとした風音に対して本気でキレたり。
幼稚園にして野獣のような目つきで睨み付ける様は目力ありすぎて怖いわ。

一方で夫・武はこれまでのキャライメージそのものが崩壊するくらいに大変なことに。
と言うか、所々に出てきては黒さ発揮しまくりです。
腕相撲大会では露骨なまでの煽りっぷり、
泥棒相手には容赦なくバンジージャンプさせようとする。
少なくともラリアットかますようなキャラではなかったような・・・
本当に全てにおいて凄くなりましたわ。