権利制限の一般規定

今回の「中間まとめ」は、米国型フェアユース規定の導入は退けた。一方で、人物写真の背景に美術作品が写り込む場合や、音楽再生技術の開発の際に必要な複製などに限って認める「権利制限の一般規定」を設けることとした。例えば、著作物の「付随的」利用を認めるといった、抽象的表現の規定を想定しているようだ。可能な分野から一般規定を導入するということなのだろう。しかし、様々に解釈されかねない規定は、知的財産権の侵害につながる恐れがある。やはり、著作物の利用は学校教育や報道など公共性の高い分野に原則として限られるべきだ。ビジネスのための利用なら、まず権利者の了解を得るのが筋だろう。(2010年7月6日読売新聞)

著作権は、著作者固有の権利ですから、原則として著作者の許可なく利用することはできません。ところが、権利者の利益を不当に害さない範囲で著作物を許可なく利用できる一般規定を著作権法に導入する方針が検討されています。これを、「権利制限の一般規定」と言っております。
2010年6月23日、社団法人日本新聞協会は「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に対する反対意見を明らかにしております。それを受けてか、上記に紹介した読売の社説も、「まず権利者の了解を得るのが筋」と、一般規定には否定的な論調のようです。
一方で、権利制限の一般規定導入の必要があるとの意見にも傾聴すべき点はありますから、もう少し、議論を見守りたいと思います。