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2015-06-13

ラブライブ!The School Idol Movieの狂気〜嘘が現実を乗り越える物語〜

| 01:27 | ラブライブ!The School Idol Movieの狂気〜嘘が現実を乗り越える物語〜を含むブックマーク ラブライブ!The School Idol Movieの狂気〜嘘が現実を乗り越える物語〜のブックマークコメント

最高に面白かった、ラブライブ!The School Idol Movie。

見てない人は是非見たほうがいい。この作品は本当にすごい。

ラブライブ!1期、2期の狂気を煮詰め、テーマメッセージ思想に溢れ、それでいて面白く、美しく、泣ける物語

ということでネタバレ有りの感想を書くので、見てない人は見てから読むことを薦めます。


京極尚彦狂気

とにかく狂ってる作品だった。

まず前半の海外編。

京極尚彦の独壇場。

ラブライブ!の京極尚彦監督コンテ演出について考える - WebLab.ota

で、一番最初に引っかかるのはやはり、ラブライブ13話(京極尚彦コンテ回)のこのシーン。

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どういう時間の流れで、空港から講堂のライブシーンに繋がるのかよくわからない。

(中略)

「当日いきなりの告知でこんなに人集まらないんじゃ?まして親御さん見に来てるし…ということは、かなり前から穂乃果・ことりに隠してライブの準備してたんじゃないのか?」とか

ことりちゃんの制服はいったいどこから……一度家に帰ったのかしら?」とか

ことりちゃんの髪型変わってるし(リボンがついてる)」とか……

ってんで、時間経過がよくわからん。無理やり考えれば理屈は付けられるんだろうけど、その理屈を説明するカットを本編では描いていない。


というか、この時間経過がよくわからない」「居るはずのところに居ない・居るはずのないところに居る」というのが京極尚彦コンテの特徴のような気がする。

なんかで解説したけど、京極さんはマジでトチ狂ってる。

Music S.T.A.R.T!!のPVでもその狂気は見せていたが、それを劇場で、堂々とやり切るとは思わなかった。


お話としては、「海外番組がμ'sの取材をしたいと言ってきているので、新曲引っさげてライブをやりに行く」というものだが……

という感じ。

本来必要と思われるシーンをごっそりカットして、いつもやってるミュージカル的な歌のシーンをもっと過激にしたやつを入れたり

夢なのか現実なのかよくわからない「高山みなみ」と意味深な会話をしたり……

もうね。すごい。

海外から返ってきたあとに

これって夢かな?

じゃあ、いつから夢だったのかな?

海外に行ったことが?

それとも学校廃校になるってとこから?

みたいなことを言っている。

ラブライブ!はリアルじゃないところに凄さがある - WebLab.ota

徹底した嘘(虚)の先に辿り着く場所

マンガ☆ライフ |『ラブライブ』に存在する「ゆらぎ」について

しかしそもそも『ラブライブ』というコンテンツは「現実にμ'sがいる」という想定でコンテンツを展開してきている。

前述したような演出から考えると、アニメ版は「事実を元にしたドキュメンタリードラマ」という創作作品で、台詞が繋がっている事や芝居がかった演技をしているのは「この作品ドキュメンタリードラマである」ということを意識させるための演出であり、一話のEDで穂乃果達が踊れている事も「アイドルとしてデビューした後の三人が実際に踊っている」と考えると納得がいく。

現実にμ'sがいる」という想定→根底の嘘

そのμ'sのドキュメンタリードラマアニメ→嘘の嘘

アニメ物語上の日常=今の穂乃果達→嘘の嘘の日常

アニメ物語上の夢=一話のED(PV)→嘘の嘘の夢

アニメ物語上の乗り越える壁=1stライブ→嘘の嘘の現実


彼女たちは嘘(虚)の世界に生きている。しかも、1stライブの描き方、日常シーンの描き方から、自覚的に嘘(虚)の世界で生きることを強いられている。

嘘に嘘を重ね、その中でウソっぽい日常で嘘の夢を見ながら、嘘の現実に負けるのである。

とか

ラブライブ!を花田十輝から読む - WebLab.ota

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この、「ああ、これからいったいどうすれば」「どうすれば」「どうすればいいの?」「(歌)だって可能性感じたんだ、そうだ進め。後悔したくない。目の前に僕らの道がある」のシーケンスに突然突入するところは、どっからが本当にあった話で、どっからが脚色・後日撮り直した(と思われる)シーンなのかさっぱりわからない。

まさに虚実皮膜なシーンである。

あたりを自覚している感じの台詞であり、シーンの連続。

本当にどこからが夢で、どこからが本当にあったことなのか、まったく分からない。

花田十輝狂気

ラストシーン

ラブライブ12話:私は何故花田十輝を信じられなかったのか? - WebLab.ota

今後の展開について

もう、準備を怠らない。13話に備えて準備をする。

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まさか、1期12話放送後に予想した展開を見せるとは。

ラストは、本当に花田十輝らしい展開だった。

まぁ終始、花田十輝らしい(京極尚彦もかなり貢献しているが)虚実皮膜な世界だった。

※ 参考:ラブライブ!はリアルじゃないところに凄さがある - WebLab.otaラブライブ!を花田十輝から読む - WebLab.ota

海外に行った意味は? 〜タイムスリップ

花田十輝的、京極尚彦的な虚実皮膜な世界であることの宣言。

「どこからが夢でどこからが本当なのかわからない世界ですよ」という告知の意味

タイムスリップをするための舞台装置であったと私は考えている。

ラブライブ!の嘘とドキュメンタリー 〜花田十輝と京極尚彦の狙い〜 - WebLab.ota

ついでに、アニメラブライブ!物語時間の流れは、大体2010年2011年ごろの現実世界ラブライブ!というコンテンツの流れと一致してる。

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(参考:ライブも近いからラブライブ!について勉強する - WebLab.ota)

なんかで絵を作ったが、1期、2期の物語時間では、2ndシングルのスノハレをリリースした時期まで行った。

しかし、今回の劇場版は「夏色えがおで1,2,Jump!(2011年8月)」「もぎゅっと love で接近中(2012年2月)」をすっ飛ばし

Wonderful Rush(2012年9月)」まですっ飛んで飛行機海外に渡り、

日本に返ってきたら、秋葉原のどこもかしこもμ'sで染まっていて、私の記憶違いでなければ、下図のポスターが貼られている……

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4thライブ(2014年2月)近くの日本に帰ってくる。

もう何万ものμ'sのファンがいる、そんな、我々の今の時間に近いところまで物語時間が進んだ。


ついでに、今回の劇場版は、2016年2月に行われるはずの、未来まで具体的に示した点で面白い。

10人目のμ'sというテーマ

ラブライブ!二期は何を語り出すのか - WebLab.ota

一期では、(1) 「廃校を食い止めるため」の手段として集団(組織)を創り、 (2) 目標を失った後、何を根拠とした集団(組織)であるか?を明確にした(アイドルを続けたい集団(組織)という定義)。

二期では、(3) アイドルを続けたい集団(組織)を、集団(組織)として維持するための目標(9人で残せる最高の結果を目指す事)を決定した。

ラブライブ!と10人目のμ'sというテーマ - WebLab.ota

で、こんなμ'sに対して、二期3話でA-RISE「私達はただ純粋に今この時一番お客さんを喜ばせる存在でありたい、ただそれだけ。」宣戦布告

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もしドラでも、確か、「そうか、観客もステークホルダーだ!」って気づくシーンがあったと記憶しているが、このシーンはまさにそれ。

とかで書いた話の解答を今回の劇場ではしていた。


整理するとこんな感じ。

かっこいい。

いや、私も終わってほしくないよ。いつまで続いてほしいコンテンツだよ。

だけど、それは美しくない。

アイドル卒業ライブをすることで完結する。

アイドルマスターも、けいおんも、辿りつけなかった境地。

こんなに惜しまれながら、でも潔く、華々しく、有終の美を迎える作品はないと思う。

ステークホルダー(現実)とどう対峙するか?

ラブライブの穂乃果ちゃんに学ぶ『マネジメント』 - WebLab.otaなんかでも語ったけど、やっぱこの作品会社組織とかマネジメントみたいな文脈で読める。

1期は、「上場するのが目標!」みたいな感じの会社。どうやって天才をスピーディーに集めるか?それが勝負

2期は、「上場しちゃったけど、この後どうしよう」ってところから、ちゃんと「何が目標会社なのか?」を定義する話。

劇場は、「株主(ステークホルダー)がいろいろ経営に口出すけど、俺達は俺たちがやりたいことを、やりたい世界を実現するんだ!」って表明する話。


まさに、夢の世界。嘘の世界。でもその世界を本気で目指した世界

物語内(μ'sの物語)でも物語の外(花田十輝京極尚彦物語)でも。


1期、2期、劇場版も虚実皮膜を進んでいた。演出脚本物語内も。

それを自覚した製作陣であり、物語内のキャラだった。

普通続けるよ。そんな美しく終わろうなんて夢物語さ。

……

でも、それを現実にするのがラブライブ!

嘘をつき続けて、現実を乗り越える物語