ロングトーン♪

 
 久しぶりに楽器を出してみた。
 出したら吹いてみたくなった。
 音が出るか不安があったけど。
 
 本体にネックを組みつけ、リードをセットしたマウスピースを差し込んでみると、いちおう、楽器の形にはなっていた。
 
 モンダイは、きちんと音が出るかどうか。
 
 前歯をしっかり固定し、下唇を軽く巻き込んでリードに当て、唇全体でマウスピースを押さえる。
 
 このときの力加減が難しい。キツ過ぎても緩すぎてもいけない。キツいとリードが鳴らないし、緩いと息が漏れてしまうのだ。なあんてことを念頭におきながら息を吹き込んでみる。
 
 とりあえず“音”は出た。
 吹きながら、マウスピースに力をかける位置や力加減を調整し、“アタリ”を探っていく。
 
 

 
 
 コイツは、もともと“鳴り”のイイ楽器だった。
 
 楽器店で同じ型の新品を7〜8本吹き比べたときに個体差が大きいことに驚いたものだが、管じたいが持っている音色と響きのよさに惹かれたのだ。
 
「それは彫刻なしモデルですが、よろしいですか?」
 
「あ、ホントだ……、でも、コレが気に入ったので、コレください」
 
 彫刻なしモデルは彫刻ありモデルに比べて若干値段が安い。
 
 その価格差は、彫刻にかかる手間賃相当分だ。彫刻の有無によって楽器の性能(音色や響き)には影響しない。とゆーわけで、私は“アタリ”の楽器を“お買い得”価格で買ったとゆーことになるのだね。
 
 ってゆーか、私が楽器を選んだとゆーよりも、楽器が私を選んだとゆー方がアタっていたのかもしれない。なあんてことを思ったりしている。
 
 久しぶりに、イイ音で鳴らしてたくなっちゃった。
 
 

 
 
 ロングトーンを一発カマす。
 スケールを行ったり来たり。
 
 

 
 
 イイ音で鳴りやがるんだよ、コイツがさ。
 参っちゃうぜ、まったく。