ファンタジウム 2巻 杉本亜未 モーニング2 講談社
『このマンガを読め!2008』で堂々の34位にランク・インしているのがさすがである、と言いたいところだが、それは結局のところ、おおひなたごう一人が積極的に推した結果でしかないのが寂しく、
おおひなた先生は1巻発売時も絶賛しています。
〈『ファンタジウム』は離読症という読み書きの出来ない障害を持つ天才マジック少年・長見が、マジックを通じて、どう社会と関わって行くのかがとても気になる。時折挟み込まれるマジックの解説も面白い〉という、おおひなたによる要約が、とても正確である。
日々だらくだるくさん
文字が読めない、書けないということはただ成績が悪くなるという事だけを意味しません。なんらかの特徴があることは即いじめに繋がる昨今の学校生活において、難読症で偏屈で類まれな手品の才能のある長見良は格好の標的です。
漫棚通信ブログ版さん
ここに描かれているのは、まさにわたしたちの住むリアル世界に類似した、複雑な人間たちと複雑なその行動。
ファンタジウム 1巻
もやしもん 6巻 石川雅之 イブニング 講談社
Prosawerkさん
フランス編終盤。登場人物の関係性の類似点を指摘されています。
できなかったことをできるようにすることだけが唯一の方法ではない。別の選択肢を探すことは「逃げ」ではないのだ。
これは『もやしもん』の通底にある、ひどく抽象的だが重要なテーマの一つだ。
これは興味深い指摘。
■追加
犬の本棚さん
(『もやしもん』6巻の、飛び道具のような伏線)(画像アリ)
おそらく、伏線がなければ、6巻の長谷川の心変わりは分からないと思います。でも、4巻での台詞の描かれ方がとても印象的なので、読者が見逃すことはほとんどないと思うんです。上手いですよね。
360度の方針転換さん『マリーのワイン』
逆に考えるんだ。自分にしかないもので直保を悦ばせればいいさと考えるんだ……。
3月のライオン 1巻 羽海野チカ ヤングアニマル 白泉社
「ハチミツとクローバー」の作者、羽海野チカ先生の新作は、「青年誌での連載」「将棋がテーマ」ということで多くの人に衝撃を与えました。ついに1巻発売です。
ひとりで勝手にマンガ夜話さん
長文レビュー。タイトルの元ネタになった映画との関係など。
彼が川を眺めるということは、どちらの感情も受け入れずにすむ安堵から来るもなのか・どちらの世界にも属さない孤独から来るものなのか。そして、零は橋の上でこれから何を見つけるのか。あかりの照らす暖かさか、ひなたの温もりか、それとも、盤の上に川の空気を求めるのか……
【オススメ】 羽海野チカ/3月のライオン | マンガ一巻読破さん
半ば過去形として描くことで、読み手にざらついた刃をそのまま見せることなく、オブラートに包んで提供している。そこにあるのは、リハビリの過程。
フラン☆Skinさん
誌面から滲み出るかのような優しさ、暖かさ、そして寂しさ―。
それらが複雑に絡まり合いながら読む者に伝わってくるんですよ。
真・業魔殿書庫さん
羽海野先生は強さも優しさも、弱さも脆さもしっかりと描く作家だと思います。
どんなに強く見えて優しい人でも、それだけじゃない。
人間だから弱さもある、と。
主人公は16歳の少年棋士。両親を失い、養父からも離れて、ひとり都会をさすらう少年の孤独な日々が淡々と綴られていく。今年最も注目を集める作品のひとつだろう。
●追加
三軒茶屋 別館さん
『ハチワンダイバー』で菅田が将棋という「戦い」に特化していき(他を切り捨てて)内に内に進んでいく物語であるというのとは真逆に、『3月のライオン』は他を切り捨てて将棋の世界に特化してきた桐山零が外の世界を知っていく物語なのではないかなあ、と思いました。
やまなしなひびさん
徐々に見えてくる人間関係、主人公が「何もない」と言われていた背景、想像の余地を残す程度に与えられる謎と伏線、画面いっぱいを存分に使い切る絵の美しさと言葉選びの美しさ。そして、『ハチクロ』同様にダイレクトにこちらの心を鷲づかみにしてくる力強さ。
マンガソムリエさん
男では乙女チックすぎると真っ直ぐ向き合えないジャンルを、乙女度は全くうすめないままで、少年漫画的要素(ギャグ)をぶち込むことで中和するという力業。
ギャグを入れるタイミングというか、ギャグに対するコマの裂き方というか、そういうことに対する嗅覚が尋常じゃない。
イン殺さん
憎いわけでも嫌われたいわけでもないのに、その道を選んでしまったがゆえに、どうしようもなく殺さざるを得ない苦悩。かねてからヤングアニマルを愛読しているわたくしは、このテーマにとても見覚えがあります。
ベルセルクとふたりエッチとキミキスとDMCと3月のライオンが同居してるからマンガ雑誌ってのは面白いんだよな。女はもっと少年漫画を読み、男はもっと少女漫画を読めば良い。
たまごまごごはんさん(ギャルゲ脳で読み解く「3月のライオン」)(画像アリ)
自分は「ちょい、3月のライオンの女の子攻略してみたくね?」というギャルゲ的な感想を書こうと思います。
主人公の目線から女性キャラを読み解く。
すずめ休憩室さん
そこまでも自分を責め続け孤独を抱え続ける主人公・零と零を取り巻く人達のほんわかとした小さなエピソードがページを読み進めるごとにまるで縦糸と横糸のように重なり合い、癒しという色をまとい、物語という1枚の布を織り上げているかのようです。
桐山と二階堂、あるいは明るいものと暗いもの(『3月のライオン』)
『3月のライオン』は意図的に明るいもので物語を埋める一方で、ただ一人暗闇の中にいる桐山が孤独になるよう作られているのですね。この明るいものと暗いものの対比は、『ハチミツとクローバー』から引き継がれたものです。(画像アリ)
受け継がれる明るさと暗さ(『ハチミツとクローバー』)(画像アリ)
『ハチクロ』に比べて、『3月のライオン』は暗くて驚いた、という意見も聞くのですが、それは正確なものではないんです。どちらも明るさと暗さがテーマで、ただスポットの当てられている人が違うんですね。
『3月のライオン』における神様と契約の話(画像アリ)
桐山は将棋という手段によって、生きるという目的を達成しようとします。はぐみは生きることによって、絵を描くという目的を手に入れます。
(以上、犬の本棚さん)
一連の流れを持ったレビューなので、「桐山と二階堂、あるいは明るいものと暗いもの」から読んでみてください。
積ん読パラダイスさん
生真面目で、真っ直ぐな天才棋士ゆえに追い込まれざるを得なかった孤独。そこからの回復を、羽海野チカならではの可愛らしさ、賑やかさが出た絵やエピソードによって描かれた漫画からは、家族でも友人でも、誰かと生きる素晴らしさがにじみ出る。
未来日記 5巻 えすのサカエ 月刊少年エース 角川書店
大炎上さん(画像アリ)
未来を予知する未来日記を得た12人。最後に残った者だけが時空王 デウス・エクス・マキナの後継者となれることである者は進んで、またある者は否応なしにこのサバイバルな殺人ゲームに巻き込まれていく。
マダオの戯言さん(画像アリ)
乙女な一面を不意に見せるというのが、スイッチが入ったときの彼女の狂気を何倍にも増幅させるんでしょうね…。
●追加
360度の方針転換さん
中身ではあいかわらず超ストーカーが観察対象に懸ける常軌を逸した想いの強さが輝いていた。自爆も辞さず、あらゆるものを犠牲にして相手の幸福だけを願っている――自分の極端な行動がユッキーを不幸にするという想像力は清々しいほど欠如しているが。
■関連
マダオの戯言 新たな所有者。 - 未来日記 Diary28;Dummy game -
コメ蘭にて未来日記所有者の名前とローマ神話の関係性についての考察。
何が言いたいかというと、日記所有者の
名前はローマ神話の十二神を
もとにしたんじゃないかということです。
まじもじるるも 1巻 渡辺航 月刊シリウス 講談社
どうしてこうも渡辺航のノリは楽しいのだろう。
(中略)
本質的なおかしさは(中略)テンポとか「間」などと呼ばれるものであるような気がする。
●追加
渡辺航/まじもじるるも | マンガ一巻読破さん
シリアスな設定、だがそれをコメディに転化し、ラブコメのように転がし、かつエロ要素も若干。
ライトノベルだとよくありそうな設定だが、でも設定を濫発せず、抑制をきかし、シンプルな初期設定だけを生かしているところが本作の本当の魅力。
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枳棘庵漫画文庫さん
るるもは力を封じられていて自分の意志では魔法が使えず、むしろ柴木によって護られる受動的なヒロインの立場に。
従来の魔法少女モノとの違い。
ポトチャリポラパさん
背景などもすごく丁寧に描いてあります。こういうわりとアタリマエのことが目につくのは逆に、最近のエロコメをはじめとするマンガのほうがおかしな状況にあるってことでもあるんですよね。とくに背景描写ってのは大きいかもしれません。渡辺氏はすごく律儀に背景を描いてらっしゃいますね。
東京マーブルチョコレート 1巻(追加)
20周年を迎えたプロダクションI.GとBMG Japanのコラボレーション・アニメ作品『東京マーブルチョコレート』の漫画版。とはいえ、ストーリーはアニメ本編より以前のチヅルと悠大を描いたもので谷川史子オリジナル。
アニメとの違いに言及しているのが、気になっていたんでありがたいです。
東京マーブルチョコレート 1巻