撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

お師匠様その1の部屋で

胸が苦しい・・


お師匠様その1のところに来たわたしはそう訴えた
ふうう〜ん・・と私の顔をちらりと見ながら
お師匠様は夜のストレッチを続けている


だいたい楓ちゃんはさあ
エネルギーのかけ方がすっごく情熱まかせだよね
悪くないけどときどき倒れたりトチ狂ったりするよね


右に倒れたり左に倒れたりしながら師匠は笑ってる
それは自分でも分かってる
今までの恋もそうやってフライングして空回りして
自分で疲れ果ててそうそうに手放したりしたものが多い
でも・・ですよ
今回のは恋ではないと思うの
そういうのじゃなくて、なんていうのかなあ・・
もっともっと自分を高めるっていうか幸せに向かうっていうか
もうそろそろそういうおとな〜のやつをやりたいのよ、わたし


あはは!30年ばかり早いわよ〜
そんな自分の思い通りになるのなんて
恋愛もときめきも3回くらい卒業したっていった
その20年あとくらいにしか来ないって!
しかもそんなの単に大した盛り上がりじゃないだけだってば


師匠はストレッチを続けたままそういって笑う
その間にだんだんその屈伸が滑らかに深くなっていく
からだはすべて覚えてるんだって
でも使わないとすぐ怠けて忘れちゃうんだって
でも初めてのことじゃないから少し経てば
前に経験のあるところまではわりと早く思い出して
そこそこ出来るように戻るんだって


でもね、楓ちゃん
恋はそうはいかないわよ
パターンなんかに嵌めようとしたら失敗するから!
同じひとなんてふたりといないんだからね
そんなんで上手くいってると思ってるひとがいたら
それは自分でそう思ってるだけ
ホントの相手とのやりとりなんか全然してないのよ
ま、恋愛には成功も失敗もないんだから頑張ってね


で、師匠はその境地に達してるわけ?って聞いたら
卒業したって最後に思ってからまだ4年しか経ってないし
どうもまた現役に戻りそうな気がするからムリムリ!って


どひゃ〜!