生活環境視察/下足番のわたし

 今日は現在母が滞在しているホスピスの理学療法士(無駄に睫毛が長いとは妹の指摘)+担当看護士(優しそうな女子)+フランスベッドの担当+ケアマネN氏がやって来ました。勿論、母もホスピスのスタッフと一緒に。
 わたしとしてはいろいろと意見なりがあるのですが、喋らせてなどもらえません。妹のワンマンショーと言うか謎にオシャレまでして押し出しのよい彼女の横で思いっきり普段着のわたし、客人からもスルーされがち。
 ましてホスピス・スタッフ+母はタクシーにての到来で(母は帰宅だけど)その時
 「あーホスピスからの車もうすぐ来るからお金持って下で待っててやってよ」
 そしてその御一行が御帰りの際は、まだ話があると仰有るケアマネN氏とあり
 「あー悪い!送り出しお願い」
…そんなんです。妹ときては。わたしは何者なのか?
 まぁ旅館で言えば下足番、とかってその職を貶める気はありませんしそれとて職業、働いているだけマシってか‥

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 解らぬのは死ぬと云う事に思える。
 亡霊は姉貴に抱かれて死んだとの事だが其は本人の謂で本当だか如何だか我輩の知る所ではない。彼の先生やら村上某もまして里佳子というのもよく理解せずに居る。
 我輩としては矢鱈と煙草は喫うし酒を飲んでは下手っぴな歌のようなものを発するが、姉貴が好きであるから其れだけで好いのではある、然し亡霊の話には矢張り何処とは知れぬが何か学習する所だ。

 「おい、ジョルジュ!いるのか?」
 またも不躾ではあるがマルの訪問である。
 「やあ、マル君。今日も御馳走に与かったかい?」
 「ふん、手前が良い物食ってるからって間抜けな挨拶をするんじゃねえ、今日はな、自転車屋のシロを散々遣っ付けてやった」
 マルの話によると我輩は未だ行かぬ坂の途中にある自転車屋、そこには同族の成す家族が居りシロというのはその母上の勢力をよい事に偉そうにして目障りなのだそうだ。
 「しかし、君の寝床や食事を強奪した様では無いし、偉そうというだけでかい?」
 「偉そうにされたらそりゃ業腹さ。まして母親の力迄借りようってのは片腹痛い」