『ダラス・バイヤーズ・クラブ』※ネタバレ注意
やっと見たのだが、とてもいい映画だ。断言できる。
ジャレッド・レト扮するトランスジェンダーのレイヨンが、マッシュー・マコノヒー演じる主人公のロンとは対蹠的に、刹那的で、自らの生を食い尽くしてしまうような、不埒な生活をやめられないところを描いているのがこの映画のミソだろうと個人的には思っている。
レイヨンはけれど、とてもお茶目で、かわい気がある。そこがまたいい。憎めない。そして、そんな彼(女)が、病が進行し果てた末のその痩身をベッドに横たわらせながら、マーク・ボランが(そしてそれに合わせてレイヨンの恋人?がボランに扮して)歌う「Life is strange」を聴くシーンはとにかく泣ける。
O god, life is strange, People come and people go, Some move fast and some move slow, No, no, no, no, no.
「人生は、早く過ぎ去ってしまうものもあれば、よりゆるやかなものもある(そしてそれらは同じ人生として等価だ、人生は不思議だ)」という意味にとれるこの歌詞を聴き、レイヨンは、早く過ぎ去ってしまう側に属する自分自身の生も、その他大勢の生きながらえる人生も、どちらも泡沫のようにはかない点では変わりはないと、一瞬ふわりとこの世の有様を俯瞰する高みに上昇したはずだ。しかしそのすぐ後、やはりというべきか、急降下するように「死にたくない!」と叫ぶのだった。このシーンの演出の妙。
当シーンを含め、この2人の演技にとりあえず圧巻されっぱなしなのだった。
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