ひとつだけウソじゃない

中居の日本一周シリーズの最新作が放送されました。


過去このサイトでも2度に渡って取り上げているこの企画。自分が最初にレビューした2004年末の作品(「笑いの文脈はウソでいい」12/26)は同じ年に放送されこれまた伝説となった「27時間テレビ」の打ち上げと称して行われ、27時間テレビにも登場した人たちを絡ませつつ、バラエティの歴史を踏襲していくという内容でした。ここで自分は「中居が虐げられるという虚構の世界を描いた文脈の笑いだ」と偉そうなことを書きました。


そして2度めは2007年頭(「ウソのなかの本当」1/7)。前作よりも「ウソ」の部分が大幅に増し、そのウソを検証した。今回もフォーマットとしてはかなり部分で前作に倣っている部分が多く、もはや最初から「これは日本一周というコントです」と開き直っている感すらある。そりゃバラエティ的にそっちのほうが「安全」ではあるけど、一応は「中居が日本一周の接待というていで虐げられるコント」という状態を保っておいてはほしいわけで、なんか違うよなという気はする。仕方ないことではあるけど、結果的にそうなったのと最初からそのつもりでは大きく違うわけで。


で、今回もウソのつき方があまりにあからさまなので検証するまでもないのだが、大雑把に羅列しておこう。


・北海道
「しあわせファーム」なんてものは存在しないし、代表の鈴木幸子も仕込みのタレント(ちゃんとスタッフロールに名前が出てる)。マントの着火は不自然で、あの部分に代役スタントを使った可能性も(さすがに怪我はさせられない)。何の脈絡もなくデーモンメイクだったのはスタント身代わりがバレないためか。バリバリに逆立ってた髪の毛が着火&消化直後にヘタっていたことにヒントがありそうだと勝手に思っていたけども、単にカツラが取れただけのことだったようです。「小坂スノーパーク」は実在する。っぽい。


・京都
ここは中居のチャレンジコーナー。京都に行ったのも「八坂圓堂」という店も本物だろうが、スタジオロケはどう考えても東京です。


・東京
トムクルーズは関係なし。ドラマ「婚カツ!」の宣伝は完全版に回されたためさらっと触れただけ。まだ放送スケジュールに余裕がある(岡村が登場する初回放送は20日)ので、以前放送スケジュール上無理やりに挿入された「ナニワ金融道5」のようなことはなかった。ここはテンポよく一安心。カラオケではめちゃイケメンバーとのカラミ。カラオケで「リンダリンダ」が流れる度に中居が無茶苦茶されるという流れ。安心して見られるコントです。


・沖縄
沖縄行ったのは本当。「ひよりちゃん」こと杉田ひよりは番組で完全なネタバレが行われているんで説明するまでもないが、本来なら匂わせるに留めたところをバラしたのは「子供を泣かせて笑いを取るな」の苦情対策なのだろう。検索してみるとドラマ「1ポンドの福音」に出演してます。しかしまあ中居に逆バンジーやらせるとは。中居の芸人魂はガチ。


・大阪
朝青龍とメシ。ここだけイマイチ企画の意図が分からんかった。一応「バブル景気でタニマチ遊び」「中居がまだ会ったことのないスポーツ選手」という説明はされていたが、ちょいとばかし唐突であり強引ではあった。


・オチ
今回もウォータースライダー。もはや「これが面白い」かどうかではなく、「オチとして分かりやすい」という理由でのみ採用されているとしか思えない。確かにバブルそのものの企画ではあるし派手なんだけども、これが3度めとなるこのオチで視聴者は満足するのか?という疑問あり。後述中居父の発言で、このオチに対するもっともらしさだけは漂わせていたけども、である。


・DGのサングラス
自分はブランド品に造詣がないので、あのサングラスが本物かどうかが分からない。本物だとすれば、本物のブランド品をメチャクチャにすることがブランドイメージを傷つけやしないかとか思うのだが「どんだけ頑丈やねん」と持ち上げているのでセーフなのかとも思ったり。


また、実際に天ぷらにされたりつみれにされたりしたサングラスが中居の私物かについてはクロよりのグレーだろう。前回の時計のように「リアルに高級」なものはおいそれと使うわけにもいかないだろうが、サングラスくらいの(くらいと言っても結構な値段はするんだろうが)ものなら、中居であればやりかねない。但し最初から「DGにハマっている中居」というわざとらしいエクスキューズがあったので、この段階から既に仕込み、つまりDGのサングラスがそもそも用意されたくだりだということも考えられる。そこらへんはファンじゃないから分からない。


・父中居正志
今回最大のギミックは中居の父。これは本物であるだろう。「ジャニーズの親がテレビ(バラエティだったかも)に出るのは初」と紹介されていたが、過去に「情熱大陸」に出演済であり、ここはコアなファンならウソをつくとバレてしまうので本物としていいだろう。スタッフロールにも「中居正志」と出ていたわけで、本物と考えていいだろう。


ただこれ本来の「日本一周」シリーズであれば、ニセモノを使ってもいい文脈ではあるんです。あくまで必要なのは「中居の父」という文脈であり記号であり、「中居の父」が登場して「ウォータースライダーが面白かった」といえば最後のオチに繋がるわけであって、本物かどうかは関係なかったりする。だから本来であれば、適当なオッサンを捕まえてきて「中居の父」とすればよかったものを、なまじ出演OKだったために本物が登場したということに過ぎないだろう。


もちろん視聴者からすれば中居の本物の父が登場することは驚きであるし、また中居本人にとっても驚きではあるんだろうけども、だからといって本物の父親登場が全体の「笑い」という文脈で機能的に成立していたからといえば「NO」であり、単にオチの誘導として使われたに過ぎない。


自分は「情熱大陸」に登場した中居の父の顔なんざ覚えていなかったので、最初の登場シーンを見たところで本物かどうかの判別はつきかねたけども、最後のスタッフロールで確信したに過ぎない。だから最後まで「実はあのオッサンは“中井”正志なのでは?」と少しワクワクしながら疑っていた。結果的には本物だったわけで、なぜかしら本物であることに少しガッカリすらした。



全体的に中居が理不尽な目に遭っているのは変わらないんだけど、既に中居が「コント」であることにノリノリになっているので、あまり理不尽さを感じなくなってきている。それは同時に「中居をいじめるな」という苦情対策にもなるんだろうけど、だったら何のための日本一周なんだという本末転倒な感じが出てきているのはどうかと思う。


オファーシリーズの「オカザイル」然り、過去のフォーマット焼き直しは確実に面白いんだけど、一発目が登場したときの荒削りながら激烈なインパクトには到底及ばない。シリーズにおける天丼も分からないではないが、天丼ありきで作られても困るという部分はある。あくまで天丼はシリーズ通じて見ているマニアのためのお楽しみであり、そこをメインに持ってくるのは何か違うんじゃないかとは感じる次第。これはこのシリーズに限らず最近の「めちゃイケ」全般の問題ではあると思うが。

フライデーナイトはお願い!エロ映画

本当に北海道ローカルもいいところな話題を。


金曜深夜にHBC(TBS系列)で「くの一五人衆VS女ドラゴン軍団」つう映画が放送されてました。蒼井そら主演であります。タイトルも「いかにも」ですが、蒼井そら主演ということで世の男性ならば誰しも「おっぱい!おっぱい!」となるわけです。


残念ながら自分は見ることが出来なかったのですが、調べてみると蒼井そらがおっぱいを出しているシーンは1度しかないらしく、天津木村のエロ詩吟「深夜にやってるちょっとHな映画を〜 期待して最後まで見るけど〜 もうオッパイ一個も出て来ない〜」を地で行くような展開だったそうです。唯一のおっぱいシーンを見逃したのにも関わらず最後まで見た悲しき中学生はどのくらいいるんだろうか。


でまあ、久しく北海道では地上波でこの手のちょいエロ映画を放送していなかったんです。ちょっと前までは日曜の昼間とかに意味もなくエロいだけの映画を流していたこともあったんですが、最近は風潮もあってか皆無。世の男子中高生には厳しい世の中になったもんです。ま、今の中高生はネットでいくらでも見てるんでしょうが。


それはともかく、今回気まぐれでHBCが金曜深夜に放送したのかと思いきや、なんとこの流れが今後も続くらしい。次の金曜に放送が予定されているのはほしのあき主演の「野獣(クーガ)の城 女囚1316」というタイトルの、これまた「ちょいエロ」を匂わせる映画。まあほしのあきは脱いでないでしょけど。さらに翌週も月刊誌の放送予定を見たら三津谷葉子主演の露出度高めの映画「クール・ディメンション」がスタンバイ。


遂にHBCは深夜のエロ映画復活に動き出したようだ。非常に心強い流れである。やはり男子中高生というものは深夜夜更かしをしてこの手の映画を過剰にワクワクして見ながら、「なんだよ!大してエロくないじゃねえかよ!」とどこにぶつけていいか分からない怒りを抱えなければならず、結局自前のオカズでオナニーして寝なければならないのである。これはもう伝承文化みたいなもんですから、どこかの局がやらなきゃならないことです。


というわけで、もし北海道在住で男子中高生の息子がいるお母さんは、自分の息子が金曜深夜に夜更かししていても目を瞑ってあげてほしいと思います。あなたの息子はふたつの意味で立派に育っています。