日々のなごはく。

名護博物館ブログ

出前授業で干潟の観察を行いました!

名護小学校4年生の皆さんと一緒に、屋部川河口域の干潟観察に行ってきました。
先月は学校で事前学習のお話をしたので、今回は実際に川へ出かけて、生きもの観察にLet's try!!

背景に嘉津宇岳。屋部川は、名護市の市街地(低地部)を流れるゆるやかな流れの川です。
河口域には、広い干潟があり、メヒルギを中心としたマングローブも生えています。


今回観察した場所では、まばらに小さなメヒルギが生えています。


足が沈むほどやわらかい泥がたまっているところ、
しっかりとした砂の足場のところ、
礫(れき)がゴロゴロしているところ・・・

いろいろな環境があります。
環境が豊かであることは、たくさんの生きものが見られる大事な条件です。


干潟にたくさんいて、目立つのは、シオマネキのなかま。
これは、ヤエヤマシオマネキ。


石の下には、色々なカニがかくれていました。
ケフサヒライソモドキ、ハシリイワガニモドキ、クロベンケイガニ、フタバカクガニなどが見られました。


これは、ハシリイワガニか、ハシリイワガニモドキだと思うのですが・・・


フクロムシに寄生されていました。
一見、メスがおなかに抱える卵のように見えますが・・・表面がなめらかなので、すぐわかります。
このおなかからはみ出ているのは、フクロムシのメスの生殖器だそうで、オスはメスに比べて極端に小さいとのこと。
こう見えても、カニと同じ甲殻類だというのだから驚きです。

ちなみに、これまでの観察結果から、この場所のカニはかなりの高確率でフクロムシに寄生されています。
魚類も、ウオビルなどに寄生されていることが多いです。
一体なぜなのか・・・興味深いです。


子どもたちが目ざとく発見した、ナンヨウツバメウオの幼魚。
見つけた子は「最初、枯葉かと思った」と言っていましたが、まさにそのように見えます。

このような枯葉のような外見、色は幼魚の頃だけで、成長すると別人(魚?)のようになります。


子どもたちが捕まえにくい魚は、投網を使って採集しましたが・・・

写真を撮るのをすっかり忘れていました!
ギンガメアジ(沖縄名ガーラ)や、シマヒイラギ・セイタカヒイラギ(ユダヤーガーラ)、コトヒキ(クワガナー)、ニセクロホシフエダイ(ヤマトビー)など、色々な魚が捕れました。


一通り観察、説明した後、捕れた生きものは川に返しました。

さて、今回の出前授業では、クラスごとの計3回で30種以上の魚や甲殻類を観察することができました。
また、サシバやミサゴなどの鳥類も見ることができました。

屋部川は市街地を流れているため、一昔前はひどく汚れていたそうで、そのイメージを持っている市民も少なくないと思います。
実際、今もきれいとは言えませんが、少し目を向けてみると、意外なほどたくさんの生きものがくらしていることに気づきます。

今回のような学習で、今まで目を向けなかった足元の自然に気づいてもらえたら、うれしいですね。

(NM)