こだわりの犬小屋とその工法・3
在来工法とは、正式名称を「木造軸組み工法」と言います。
↑加工した材料を、
↓下から順番に組んでいきます。
すると、↓のようになるんですね。
画像はちょっと黒ずんでいるように見えますが、
これは、柿渋という染料を塗ったためです。
(柿渋については、機会を改めてしょうかいします)
ご覧のように、「木で造った軸を組んでいく工法」ということで、
木造軸組み工法と言うんですね。
思いっきりそのまんまです。
本当の住宅の場合、このあとさらに細かい柱(間柱)を入れ、
その後で壁を作り上げていきます。
ですから、画像の作業(建前)は少しの狂いも許されません。
全ての基準となるからです。
壁をはるのも、建具をつけるのも、全て「軸」が基準となるのです。
とはいうものの、実際の現場では数ミリのズレはよくあります。
全国的にどうかは知りませんが、
私たちは、このズレを「芸者」と言っていました。
「芸者=遊び」
数ミリのズレは遊びだってことです。
しかし、「芸者」ってたとえも古いですね。
まあ、かといって「風俗嬢」や「キャバ嬢」にすればいいってもんじゃないのですが…。
話がそれましたね…。
ちなみにツーバイフォー工法(以下ツーバイ)には、この「軸」が存在しません。
壁と壁をつなぎ合わせて、構造体としての強度を保っているのです。
たとえは悪いのですが、段ボールと同じです。
私見ですが、ツーバイは非常に合理的な工法だと思います。
「楽に、簡単に」を突き詰めた近代合理主義の申し子と言っていいでしょう。
ですが、そういった利便性と引き換えに、
建築現場から仕事の面白みを奪ったのも事実です。
前にも書きましたが、私は決してツーバイがダメだと言っているのではありません。
こういう工法もあった方がいいに決まっています。
私が思うのは、「あってもいいが、主流になるのはダメだ」ということです。
なぜなら、日本の素晴らしい建築技術が、どんどん消えていくからです。
これは誰が悪いかというと、全員が悪いと思います。
安さばかりを求める消費者も悪い。
日本の伝統技術を守ろうとしない国も悪い。
工期短縮・経費削減で、金儲けに走る建築会社も悪い。
現場で実際に働く大工が、もっと声を大にして訴えないのも悪い。
こうして「悪い」が分散された結果、
誰も悪いと思っていない現状になってしまったのではないでしょうか?
ツーバイのことになるとどうしてもムキになってしまいます。
いけませんね。
話を戻しましょう。
「軸組み」の話ですね。
軸組みをするには、当然、部材を加工しなければなりません。
その作業を「切り込み」と言います。
下の画像は切込みが済んだところです。
整然としていて、気分がいいものです。
順序が逆になってしまいましたが、
この切込みをする前に、
部材に加工するための線をひく作業があります。
これを「墨付け」といいます。
↑画像はその墨付けを行なっているところです。
次回は、「墨付け→切り込み」と順を追って、
説明していきたいと思います。
更新予定日は6月15日頃です。