厚生労働省の調査で、今年3月に高校や大学を卒業し、企業側から採用内定を取り消された学生らは2083人であることが分かった。又、入社後の自宅待機や入社日延期にあった新社会人も1023人にものぼるという。依然として、深刻な雇用環境にあるとのことである。
 また、厚生労働省は内定取り消しの防止を目的に、同じ年度に10人以上の採用内定を取り消し、学生の新たな就職先を確保しなかった13社の企業名を公表したようである。
 この問題は、政治が悪いのか、企業が悪いのか・・・。
 昨年度においては、未曾有と言われる経済危機の前に内定出してしまった企業が多いはず。無理に新入社員を採用し、企業の運用が行き詰まるなら、内定取り消しもやむを得ない選択の一つなのではないだろうかと思われる。端的に言えば、リストラか内定取り消しかのどちらかを選んだだけのことと思っている。企業名を公表する等、罰則らしきものを設け、新規雇用の拡大を図ったとしても、現状の経済状況のままなら、ワークシェア、労働時間短縮等、既存の労働者にしわ寄せが行き、賃金面において労働者の生活が満たされる事には繋がらない。ましてや100年に一度の未曾有の経済危機という状況ならば、企業側の努力の範囲を超えた結果(内定取り消し)だったということも考えられなくはない。これは、政治の失策を企業に押しつけた部分も多い問題かと。
 景気の浮揚等については政治に責任を持って対処してもらうとして、企業側にも学校側にも出来ることを考える努力はすべきである。企業に言えば、今までのように新卒に拘った採用を重視するのではなく、中途や通年採用にもウエイトを置く等、門戸を少しでも広くするぐらいの努力はするべきであろう。そして、学校に言えば、3月のみの卒業にするのではなく、年2回ぐらいに分けて卒業を認めるなどの改革を行うべきである。先の読めない経済状況の中を生きていくには、柔軟で弾力的な制度が必要だと思われる。