”Winnie the Pooh”
「【産経抄】1月13日」より
→ http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090113/trd0901130301001-n1.htm
英国の作家、A・A・ミルンの童話「くまのプーさん」の続編が、英脚本家によって80年ぶりに書かれると、現地メディアが報じている。久しぶりに、児童文学者の石井桃子の名訳を読み返した。
▼昭和7(1932)年5月15日、犬養毅首相が青年将校たちの凶弾に倒れた。石井が、プーに出会ったのは、翌年のクリスマスイブ。犬養の蔵書を整理するアルバイトをしていた。孫の道子さん(現評論家)らにせがまれて、訳して話すうちに、物語に魅了されていった。
▼その後、書店で見つけて翻訳出版すると、物語に飢えていた戦時下の子供たちから圧倒的な支持を得た。プーはディズニーのアニメ映画になったこともあり、今も世界中の子供たちの人気者だ。陽気でハチミツが大好物のプーが暮らす森では、戦争や殺人、あるいは死が描かれることはない。
▼ただしミルン自身は、戦争によって、深い傷を負っている(『くまのプーさん 英国文学の想像力』光文社新書)。著者の安達まみさんによると、第一次世界大戦に従軍したミルンは戦後、平和主義を唱えていた。しかし、ヒトラーの野望が明らかになると、民主主義を守るために戦うことはやむを得ないとの、決意を固めるようになる。
▼プーの親友として物語に登場する少年のモデルとなった息子、クリストファーは、第二次世界大戦で、中東に出征する。3年後に復員した息子は、父親と絶縁する。「象徴的な意味で、ミルンは戦争で息子を失った」という。
▼シリーズ最後の作品で、プーは、一番好きなものは、と聞かれて答える。「外は歌がうたいたくなるようなお天気で、鳥がないてるっての」。そんな森を一度も見たことがない、今も戦火に追われる子供たちのことを思う。
『クマのプーさん - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%BC%E3%81%95%E3%82%93
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