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20100416

[]Twitterのドラマの実況TLだけを見ながら考えたこと

 例のツイッターを題材にしたドラマだが、TLが無類におもしろかった。あのおもしろさはアニメのTLの比じゃない。

 俺がフォローしてる人は、基本的にはオタ趣味を持っている人が多い。ついったーやってる人の平均年齢は三十代くらいっていうけど、もしそうだとしたら、平均と比較して大学生の比率が高いと思う。ブログつながりで、はてなでブログやってる人もかなり多い。

 で、そんなTLがドラマの実況一色で染まった。

 俺は職場にいたので見てない。

 TLから受けた印象だけでざっと想像すると、扇情的な題材を並べた詰め込みすぎで急展開のドラマであり、実質、みんなが認識してる「ついったー」というものはほとんど反映していない。ドラマそのものの出来もそんなにいいものではなかった、というところか。

 思った以上に見てる人が多かったのは、まあ、単純に題材が気になるからだろっていうのは別として、昼からすでに今日ドラマがやるっていう情報が行き交っていて、これは実況盛り上がるんじゃないかな、という思惑がみんなにあったからだと思う。脚本家の名前は、俺みたいにあまりテレビ見ない人でも知っているほど知名度があるし、ちょっと調べれば、その人がどんなドラマの脚本をやってきたのかはわかる。さらに、事前に流れてくる「あー、これは無理っぽい」と思わせるに足る情報の数々。

 つまり、ドラマが「どんなものになるか」は、ある程度みんなわかってたんじゃないかと思うのだ。

 今回の盛り上がりは「来るかな、来るかな……やっぱ来たー!!」ということで、要はみんながみんなで「やっぱ来た!」を共有したかったんじゃないだろうか。


 このドラマの企画自体は成功だったんじゃないかと俺は思う。いまの段階では視聴率がわからないし、今後も稼ぎ続けられるのかどうかはドラマの出来次第なんだろうけど、実際のところ、ドラマのなかの「ツイッター」が、現実のそれを反映してるかどうかは、テレビの作り手の人にとってはどうでもよかったはずだ。だって、現実に反映してないんだから。そんでもって、現実にツイッターが「どういうものであるか」については、ドラマを作る人たちだって調べたはず。ためしにいま「ツイッター」でぐぐってみたけど、ページの5つか6つも遡れば、まずドラマのようなものではないな、ということは簡単にわかると思う。「ツイッター 雰囲気」でぐぐったら覿面だった(逆に、もしそれすらも調べていなくて、本当にわからなくて反映していなかったのだとしたら、本当に絶望的な事態だと思う)。だいたいこれだけ普及してるサービスで、ドラマの製作関係者のあたりだけ、ツイッターをアクティブに使ってる人がいない、なんてのは逆に考えづらい。

 簡単にわかることが反映されていないということは、そこには確信犯がいるということだ。俺が確信犯だとしたらこう考える。

「ツイッターという、言葉だけは知られているけど、実際にそれがどんなものであるか知っている人がいないツールは、題材として非常に好都合。なぜなら、どう扱ってもいいから。撒き餌として便利」

 ただし、この考えかたが成立するには、条件がある。まずひとつは、実際にツイッターやってる人たちが世論に与える影響力ってのがテレビの影響力よりも小さいという前提。そうでないと、TLで俺が見た「リア充怖い(笑)」「ツイッター(笑)」みたいな反応のほうが力を持ってしまい、ドラマのリアリティは根幹からずっこけてしまうから。

 もうひとつ。大衆はバカだと思ってること。バカにしないとこうは考えられない。

 あとひとつあった。自分たちの作ってるものが、しょせんその場だけの消耗品で、そこに誇りとかがないこと。これは重要。数字を稼ぐ道具だと思えなければならない。

 ツイッターを題材にしたドラマを見ようと思う層は、俺のTL近辺で見かけるような人たちは別として「言葉は知ってるけど、実際は知らない」という人たちで、そういう人たちにとっても、ツイッターの現実はまた「どうでもいい」。その人たちが見たいものは、ドラマのなかで描写された「ツイッター」の先にあるから。つまりパワハラとかリスカとか妊娠とかそんなような。「未知のツールの先にある、ドラマチックな世界」とでもいうか。扇情的な題材は、そうした需要に応える。この点でこの企画は成功だったと俺は考える。

 また、現実についったーやってる人も見ようと思うだろう。総ツッコミ状態であったことは、少なくとも一時的には話題になりやすい。現に俺、2話は見て実況に参加したいと思ってるし。来週もこの時間帯は仕事なのが確定してるけどな……。


 とまあ、もしここまで考えられて作られたものなら、うまい商売だなーと思うしかない。実際は知らね。うまい商売なんだけど、すげえやな商売だなーとも思う。

 いずれ現実をきれいさっぱり無視しさってるわけで、たとえドラマそのものがおもしろかったとしても、あとにはなんにも残らない。いや、金は残るのか。だけど、そんなこと繰り返してたら、信頼失うでしょう。最低限のリアリティも担保できてないんだから。次には次のブームが来るのかもしんないけど……なんか、そういうもんじゃねえだろう……。

 自分の商売でいえば、常に客に足元見られてるわけ。だって客は原価は売価より安いって知ってるわけで、その差額にはなにが入ってるんですかって思ってる。たとえば新商品の拡販なんかは、かなり詐欺に近いと俺は思う。もちろんそこには「新しい」っていう付加価値はあるんだけど、本当の意味で革新的な「新しさ」を提供できるような商品なんてほとんどない。「新しいから価値があるんだ」って直接結びついてて、その両者のあいだに実質的なものなんてなんにもないの。

 ほんとは原価と売価の差額には、たとえば家から近い場所にあるだとか、ジュースは冷えてるとか、接客は笑顔でとか、そういういろんな経費が入ってる。トータルでいえば「客にとっていい店」を作る以外に方法がない。そういう部分を無視する店はつぶれるね(立地がすごくいい店はド畜生除いて考えます)。だってコンビニは生活に密着していて、それで、ほとんどの人は自分の生活のプロだから。ごまかしようがない。騙せない。それでも騙せる部分があるとしたら、それは新商品だったんだよね。「新しいからどうぞ」って言って、客の生活に本来は必要じゃないもの買わせる。

 でもそういうのって、もう通用しなくなってきてる。いかに新しかろうとも、たとえば菓子でいうなら、そこらのスナックの新商品なんかよりも、100円菓子とかのほうがコストパフォーマンス高いとか。そこをあえて強引な手法で押し込んで売ったりすると、そのときは売れるかもしれないけど、いずれは「あの店が薦める新商品別によくねえよ」っていう評判ができてしまう。もう誠実にやるしか手がねえ。

 テレビだって、コンテンツって商品を売ってるわけなんだけど、昔っからなんかおかしいなーと思ってたのは、それがいい商品であるかどうかを判断する基準もまた、テレビ自体が提供してたんじゃねーかなーみたいなこと。「テレビがこれおもしろいって言ったらからおもしろい」的な。なんか「次はこういうのがいい商品です」って自分でルール提示しといて、まっさきに自分でそれ作る。そのルール内でのゲームでたとえば視聴率みたいなのが動いてて、見てる人も一緒になってそのルールで動いてますっていう気がして、気持ち悪かった。特にバラエティみたいなの。

 昔と違うのは、ネットっていうものが現にあって、それはテレビとはまったく別の理屈でここまでやってきた、ということだと思う。同じ人間が娯楽として消費するんだから、そりゃ一部では「おもしろいもの」の傾向は似てくるんだろうけど、でも、ネットにいる人たちって、テレビのこと、単なるコンテンツ提供装置としか思ってないよね。テレビの提供する「価値」そのものはあんまり届いてない。


 今回のツイッターのドラマが特におかしいことになってたのは、テレビとまったく関係ないやりかたで成長してきた「ツイッター」ってものを、テレビが、テレビの価値観で把握してネタにしちゃったからだと思う。あたりまえの結論でアレなんだけど、まあそれはいつものことか。かつてテレビは、全国の隅々まで「なにがいまいいものなのか」っていう価値観を、全国の隅々まで届ける、ほとんど唯一の媒体だった。だから、あえていやな把握のしたかをするなら、今回のドラマだって、きっとテレビの人たちは、ツイッターっていうものを「見つけてあげた」んだと思う。おまえら何様だよって聞いたら「テレビ様ですがなにか?」って返ってくる。

 かつてはテレビ様の前で人は平伏するしかなかったんだけど、すでにこの世界には「テレビ様wwwww」っていう視点がある。テレビの人たちは、ツイッターがどんなものであるかは調べたかもしれない。そのうえで現実に即しないドラマを作っちゃっていいと思ったのかもしんない。ドラマはある程度は「典型」を視聴者に与えなきゃいけないんだけど、まだこの「典型」は押してけると思ったのかもしれない。

 だけど、その人たちは、きっと「テレビ様すげえ(笑)」っていう視点がネットにあることだけは知らなかったんじゃないかな。仮に知ってたとしても、そんなもん黙殺できるレベルのものだと思ったのかも。

 でもさー、別に俺ら、黙殺されて黙ってる必要もないんだよね。ブログ書けるし、ついったーでなんか言えるし、Ustできるしラジオできるし。「ついったーそんなんじゃねえよwww」って思ったらそう言う。現にそういう声が存在しているっていうのは、ほんとに無視していいほど小さなことなのかな。

 俺にはあんまりそう思えないんだけど。だってネットって、連綿と「どんどん多くの人が声を上げられるように」っていう方向に来てるじゃない。この傾向は、加速することはあっても、ブレーキはかかんないと思うよ。

 しかしまーあれだよなー。題材とされている当のついったーでこそ、ドラマがもっとも激しく叩かれてるっていうのは、なんていうか……ぜんぜんダメだな……。もうちょっとこう、どうにかなんなかったのか。