20100815
■[そのた長文]売上750万円のコンビニ(核爆)
http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52356665.html
さて。このまとめだ。タイトルつけるにあたって「(核爆)とかつけるならここだ」と強く思った。なんだこの数字は。しまいにゃ勃起すんぞこら。
とりあえず、まとめに載ってる数字はそのまま信じることにする。なぜなら、妥当性のある数字だから。1日の平均90万というのは、まああの立地だとありそうな数字だ。
んで。コミケ会場そばのサンクスがいったいどんだけの売上を叩き出しているかについては、前から興味があった。イベント時はどこの店だって売上が上がるわけだが、あのイベントについてはちょっとケタが違う。参加者の人数はもちろんそうなんだが、実は参加者の人数そのものはそこまでの影響はない。なぜなら、コンビニの建物はそんなに大きくないので、一定以上の人間を処理しきれないからだ。たとえば、どんなにがんばったって、1日に10万人の客を処理できるコンビニは存在しえない。それだけの客が店内に入りきらないし、レジの処理能力の面でもそうだ。
もうひとつ、重要な問題がある。そこまでの在庫持てねーよ、ということだ。コンビニの商品の平均単価なんて、100円か200円がいいところだ。その商品を10万人に供給するだけの量を持つと、これは在庫がとんでもない量になる。店のなかに入りきらないのはもちろん(各種写真で、現に入りきっていない状況が散見されたが)、店頭にだって置ききれない。唯一の解決策は、配送センターに依頼して特別便を出してもらうことくらいだ。たぶん、例のサンクスではそうしてるんじゃないかと思うが。
んでだ。さすがにあの狂気の沙汰の行列を見ては、売上が気になりすぎるんで、以前、自分で推測してみたことがある。そのときの数字は550万だった。しかし、現実的には750万らしい。
750万。
まあ、ぱっと見にも相当に異常な数字なのだが、これがいかに異常な数字かを力説するために、平均的な数字を列挙してみる。
1日あたりの販売金額の平均だが、某7の字のチェーンでだいたい65万、青い看板のチェーンで50万くらい。ツタヤのカードでポイントが溜まる例のチェーンは青い看板のチェーンと同じか、もうちょっと多いくらいだろうか。サンクスもまあ同じくらいだと思う。45万くらいだったかな……最新のデータ洗ってないんで憶測だが、そうズレてるってことはないと思う。
つまりだ。あの店は、平均的なサンクスの16倍以上の売上を一日で稼いでいることになる。もちろんおそろしいのはそれだけじゃない。客数だ。
もしこのエントリを読んでる人が、コンビニでバイトをしたとしよう。もしその店が平均的な売上の店ならば、ピーク時は「うわ、思ったよりぜんぜん忙しいぞこれ」となると思う。もしレジ係が一人ならば、アイドルタイムらしきものがない住宅街立地の平均的な店であったとしても「ヒマって感じまったくしないんですけど」となるだろう(まあ店のレベルにもよるが)。そのレベルで、だいたい1日の客数は900人くらいだと思ってもらってかまわない。もしバイトをした店の平均客数が1300人くらいだったら「やばいバイト始めちまった」と思うことは確定的だ。数字的にはたかが400人だが、忙しさの質がまったく違う。
で、750万円の店はというと、平均的な客単価の600円(実際はもうちょい低いと思う)だとすると、客数は10000人以上だ。もしその現場で働いたとしよう。そのときに使える便利な言葉がある。
「意味わからない」
そう。たぶん現場は意味わからないことになってる。実際、10年前、俺がコミケに毎回参加していたころの段階では意味わかんないことになってたらしく、なにもかもめちゃくちゃになってた。あたりまえだ。ふつうの店は、店全体の商品の在庫金額が500万円くらいなのだ。そこに750万の購入力を持った客が押し寄せたらどうなるか。なんか、それはもう客じゃない。敵軍だ。
在庫の話が出てきたついでだ。真実におそろしいのはレジとかじゃない。750万円分の商品をどうするか、という問題だ。750万ったって、コミケ客がかつおぶしとか買う可能性は極めて低い。コンドームとか買うやつは銃殺だろう。会場で使うのか。行列待ちのときか。それともコミケが終わったあとか。俺はコンドームにこだわりすぎじゃないのか。穴あけてやる。750万もの同質の客が押し寄せるということは、売れるものが極端に偏るということだ。まとめにも出てたが、ドリンク剤とかはその典型例だろう。ほかにも、写真で見かけたが、ウィダーインや氷、もちろんジュース、あとはタオル、保冷剤、ま、いろいろだろう。
さっき、平均的な店は1日に50万くらい売ると書いた。当然ながら、納品のほうも(ごく大雑把にいえば)1日に50万円分くらい来る。通常は夜勤の時間帯に納品が来るのだが、それを2人のアルバイトで片付けるのがふつうだ。じゃあ750万は? どうなんの?
しかも売れるものに偏りがあるということは、ふだんどおりの陳列ではどうにもならないということだ。たとえばウィダーインエネルギーなんかは、ふつうの店だと1週間に20個も売れればまあいいほう(ちなみにうちの店はそういう需要まったくないので、週に5個くらいしか売れない)。例のサンクスは都心で駅前、ビッグサイトへの動線上であり、朝食需要も多そう、そのうえふだんから90万と高日販であることを考えればもう少し売れているかもしれない。だけど、それだって2列も並んでればまあ充分だろう。それがこれだ。売場を作り直す手間を考えると気が遠くなる。まして特殊なことになってるのはここだけじゃないはずだ。カロリーメイトだって冷えピタだって制汗剤だってえらいことになってるはずだ。本気でいちばんきっついのは、当日に至るまでの準備のほうだろう。店の人間がフル稼働するのはもちろん、おそらくサンクスの本社社員が相当に手伝いに来てるはず。「精鋭が集まってる」っていうのはたぶん、手伝いに来てる本社社員。花火大会で激混みする店舗なんかでも、よくこういう例はある。
それとねー、これは個人的な話なんだけど、俺、経営者としてはこういう極端なイベントあんまり好きじゃないんだよね。ふだんから利用してるお客さんが困惑するから。あれだけ人間が集まっちゃ、もうどうしようもないことなんだけどね。でも年間1億なり2億なりの売上を支えてるのは、ふだん利用してくれる人だから。
とまあ、ここまでで、いかに異常かは、ある程度は伝わっていると思いたい。実際にコンビニを経営してる人にとっては異常っていうより異世界に近い感じなんだが。
ちなみに、最初のほうに「推測した売上は550万」と書いたが、その根拠だ。1台のレジで1時間に処理できる客数の限界が、だいたい100人くらい(もちろん客単価による)。じゃあレジの台数を増やしまくればいいかというとそうでもない。店内に入れる客の数のほうに限界があるからで、俺がやった限りでは30分で300人来る店があって、その店ではラッシュ時間帯、ずっと店の半分が埋まっているような状態だったので、その倍で600人とする。コミケ時は客がずっといる状態なわけだから、そのままこれを客数とする。客単価は平均よりやや少ない500円。これで1時間にだいたい30万の売上となる。24時間をかければ720万となるが、実際は開場待ちの行列のときがピークだろうから、その要素を考慮に入れて減らした結果が550万だった。
ただ、コミケ時のサンクスでは店頭のどぶ漬け(氷の入った水槽みたいなのにジュースぶちこんであるやつ)とかもやってるみたいで、実質は処理できる客数はもうちょっと上がるだろう。午後7時とかにはコミケの影響はかなり少なくなるわけだから、減る分に関しては実質予測どおりとすれば、ピークの時間帯は俺が想像した「物理的限界」をはるかに超える客数が殺到していることになる。
ちなみに俺がいままでに聞いた最高の売上が、かつて江ノ島にあった某店舗の大晦日で、それが450万円だ。コンビニの数が増えたいまではもうこの売上を更新することはかなり難しいといわれていることを考慮すると、750万円という数字は日本一に近いのじゃないだろうか。
実際のところ、コンビニと親和性の高い客層が、コンビニだけを頼りに万の単位で行列している現場に店を構えている、なんてアホみたいな状況がそうそうあるはずもなく、ちょっとこれ以上の売上を叩き出すシチュエーションというのを想像しづらい。あるとしたら3食コンビニ以外に頼れない人間が万単位でひとつ場所にかたまっていて、それが24時間活動してるような状況なんだが……まともにレジが機能している前提で、ほかの店がみんな潰れた大災害の被災地くらいしか考えられんぞ、そんなの。
というわけで、例のサンクスは、俺が想像した「物理的限界」以上の売上を叩き出していたもようです。そんで、俺がこの「750万」という数字を見たときに最初に思ったことは「やりたくねえ、絶対この店ではやりたくねえ」ということでした。関係者の方々はお疲れさまです。オーナーはじめ、関係者の頭にあるのは、利益出るとかいうことよりも、どうやってこの戦争を戦い抜くか、ということだけでしょう。いやいや。もう。なにがなにやら。
※追記
TLでまなめさんに教えてもらったんだけど、これ、日本一の売上じゃなかったらしい。日本広すぎるっていうか、おまえらコンビニやめてほかの業態やれ。
