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2009-04-19-Sun

近代経済学史研究会@関西学院大学梅田キャンパス

7時過ぎに起床。もう少しベッドの上にいたい。しかし、朝風呂をゆっくり楽しむことを優先する。「仮面ライダーディケード」を観てから、ホテルをチェックアウトし、東京駅へと向かう。

9時半東京駅発の新幹線に乗り、大阪を目指す。研究会会場である関西学院大学梅田キャンパスには13時前に到着する。13時半から拙著とN井さんの本の合評会。

拙著に対しては3人の院生およびODが合評の発題を務めてくれた。

最初の合評者U宮さんは、拙著の対象領域からずいぶんと隔たっているエッジワースの専門家であるにもかかわらず、丁寧に拙著を読み解いてくれた。苦労されたことだと思う。エッジワースがバーク論を書き残している事実について、僕はまったく知らなかった。ご教示ありがとう。*1

2人目の合評者N野さんは、18世紀イギリス(ロバート・ウォーレス)の専門家で、僕と数多くの問題関心を共有している。さすがに読み込みが深く、バークのテキストに関して「代名詞が何を指すか」にまで踏み込んでコメントしてくれた。そこまで細部にわたって拙著を読んでくれる人がこの世に存在したとは、本当にありがたいことである。

3人目の合評者M本さんは教え子なので、正直、面映ゆかった。拙著へのコメントよりも、彼の合評者としての力量が他のオーディエンスの目にどのように映ったのかのほうが、気になってしまった。しかし、こういう機会を設けていただいたことは、とても幸せなことである。研究者としての弟子を一人も持つことができない研究者のほうが圧倒的に多いのだから。

当然のことであるが、一昨日と比べると、経済学プロパーの研究会だけあって、経済学プロパーの質問ばかりであった。想定内の質問ばかりだったので、さほど困惑するようなことはなかった。

K峯さんが当日出されなかった質問にお答えしておくと、

  • (1)僕自身、フランス啓蒙とドイツ啓蒙とスコットランド啓蒙(さらにはイタリア啓蒙)の違いには十分に留意していますが、それらが同じ「啓蒙」の名で呼ばれる以上、共通する内容もあるはずで、拙著ではそれを「文明社会の擁護」というヴィジョンに求めています(ルソーのような文明批判者も存在するので、全てを漏れなく説明するような定義は困難ですが)。バークもマルサスもそのヴィジョンを共有している点では「啓蒙」的な思想家と呼んでよいように思われます。ただ、文明社会の擁護という目的を共有していても、その目的を達成するための手段は思想家によって様々です。それは革命的手段(急進的な変革)によってしか達成されないと考える者もいれば、漸進的改革(conserve=「保守点検する」、renovate=「修繕する」)によってしか達成されないと考える者がいます。バークやマルサスは明らかに後者の陣営に属するものです。彼らは「理性への過度な信頼がもたらす負の帰結」について多くの言葉を費やしています。文明(商業)化を基本的に認めつつも文明(商業)化がもたらす害悪を適宜「保守点検」「修繕」しようという態度が顕著です。こうした彼らの思想に対して、「啓蒙思想の完全な部分集合なのか、それとも相容れない部分があるのか」という問いをぶつけられた場合、「あなたは啓蒙をどのように定義しますか?」という質問返しをせざるをえません。「啓蒙思想とは何か?」という問題に対する答えは自明ではないからです。カント的な啓蒙の定義を採用するならば、その反宗教的な内容ゆえ、相容れない部分が出てきますが、僕のような定義なら完全な部分集合と言えるでしょう。「一変種」と書き方をしたのは、二人の思想の啓蒙的側面の想源はスコットランド啓蒙に求めることができるように思われるますが、二人はスコットランド人ではありませし、フランス革命批判と啓蒙とのポジティブ結びつきが一般的に認められていない現状を鑑みれば、決して啓蒙の本流と言えません。その傍流性を意味するには「一変種」という言い方が妥当だろうと思って、採用した次第です。
  • (2)僕はミルに詳しくないので、今後の検討課題となるはずの問題ですが、現在の知識レベルで回答させてもらいますと、ミルの場合、マルサスがゴドウィン的なものとして退けた「人間の知的・道徳的完成可能性」への強い期待が確認できるように思います。このような人間観は「保守主義の政治経済学」が想定するものではありません。ただ、マルサスが後年にゴドウィン的な立場に近づいていったことは確かなので、その意味で、バークによって産み落とされた「保守主義の政治経済学」は、次の世代のマルサスによって早くも解体し始める、と言ってよいのかもしれません。拙著第10章で論じた、マルサスにおける「存在の連鎖」の希薄化も、そのような「解体プロセス」として読むことが可能です。

梅田界隈で懇親会(1次会&2次会)。F本さん&K藤さんからミル&マーシャルについて多くのことをご教示いただく。院生の指導にもただちに役立ちそうだ。明日の授業に不安を感じつつ、長居してしまう。帰宅後、ただちに就寝する。

*1:実は、マルクスのバーク論についてもうっかり見落としていた。書き手がどなたかは存じ上げないが(日付からして相関研究会の出席者である可能性が高いが、そうであるならばラスキ研究者のあの方?)、以下のブログからご教示を頂戴した。この場を借りて感謝申し上げます。http://anglo.exblog.jp/8187350/

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