確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで

昨日読了。

ブルーバックスシリーズとしては屈指の難解さを誇るかもしれない。単純な確率入門とウンチクかと思ったら、大数の法則の証明にはじまり、マルチンゲール理論や、ゲーム論的確率の理論、必勝戦略などなど、高度な話題がもりだくさんである。
確率論にまつわる気味悪さである「次の1回の確率」を避けるために、大数の法則が出された。しかし、大数の法則の記述には確率が必要で自家撞着。コルモゴロフは確率を公理から出発してこれを解決したが、主観的確率を理論立てる方法も模索されていた。フォン・ミューゼスは、コレクティーフという考え方で、確率を集団的現象とみなそうとしたが、理論として完成されなかった。シェイファー・ウォフクが2001年にゲーム理論の上で確率に対する考え方を構築し、大数の法則の証明に成功した。
サンクトペテルブルグパラドックス:賞金が1円から倍々になっていくコインゲームには1億円の参加費を払っても参加したほうがよい。マルチンゲール戦略:負けたら賭け金を倍々にしていけば必勝になる。
マルチンゲール理論。公平な賭け(マルチンゲール)とは「情報増大系に関して、現在の情報で未来の確率変数の推測をしても、今わかっていること以上には何も得られない」
シェイファー・ウォフクの定理。公平でない賭け、すなわち、コイン投げの確率が1/2に収束しない(振動でも)ならば、必勝戦略があり、その戦略は各試行時点(現在)の情報で記述できる。実際には資金を無限に分割する必要があるが、現代の為替等の取引では近似的に実現可能と言われている。