やってることは第9地区とほぼ同じ「エリジウム」


「貧富の差がその言葉通り「天地」ほど離れてしまった世界で、不平等な世の中を正すために、貧乏人が立ち上がる」という大筋であるが、やっていることは第9地区からまったく進歩していない。

アホみたいにインフレを起こした特殊効果を存分に使い、オッサン同士の大人げない喧嘩を淡々と描く。

インテリ役人vs貧乏人という構図は非常に汎用的で、第9地区のアホな傭兵vsアホなエビvsアホな乞食&アホな役人というムチャクチャだったものに比べると、ぶっ飛んだ感触は薄らいでいる。
しかし、人体破裂、顔面破壊、四肢切断と相変わらず冗談みたいな(スラップスティックと表現した方がしっくりくるくらい)人体破壊描写は健在。
併せて高性能スタビライザーミサイル、電磁シールドといった未来的な武器に毎度お馴染みAKやら日本刀なんかも交え、第9地区同様のハイテクな乱闘劇が楽しめる。

正直、乱闘以外は第9地区以上にストーリーが荒すぎ。医療ポッドの設定やエリジウムのシステムやら殆ど解説されないし、あの強化骨格エクソスーツもイマイチ活用できていないように思える。しかし、この手のツッコミはきりが無いので、あまり深いことを考えずハイテク乱闘を頭空っぽにして楽しむが吉である。

第9地区の悲劇の役人、ヴィカス役のシャールト・コブリーが今回は雇われ傭兵役で「特攻野郎Aチーム」見せたキチガイ以上のブチギレ芝居を見せている。今回もまた全てアドリブの台詞なのか知らんが、個性が強すぎてマット・デイモンより印象的。彼の顔面崩壊っぷりも楽しい。

それにしても、貧乏な地球住民は英語とスペイン語を話し、裕福なエリジウム住民は英語とフランス語を話すというイヤミな設定はどうにかならなかったのか。