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2012-02-25

アメリカ vs.日本

日本には原発事故に関する何ヶ月にもわたる事故対策検討委員会の会議の議事録が全く無いという信じられないような報道を聞いて唖然としていたら、アメリカから彼の国で行われたこの事故に関する独自の調査や議論の3200ページに及ぶ詳細な報告書が送られて来たそうである。そこには発言者の一言一句が詳細に書かれているという。日本の行政の稚拙さを世界に露呈した恥ずかしい話である。この事実に日本の閣僚や官僚のまともなコメントは聞かない。議事録は後追いでこれから作ると言うのだから驚く。(作成は後日メモなどをもとに76ページの体裁だけのお粗末なものが作られたと言う)

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このアメリカの報告書に照らして日本での事故の把握、対応に関しては大きな遅れがあったことが分かった。例えば3月11日の事故数日後にアメリカでは原発3基のメルトダウンを予測していたのに、東電が2号機のメルトダウンを認めたのは何と2ヶ月後だった。避難区域の設定も半径20kmと80kmと大きな差があった。日本の20kmはその後次第に広げざるを得なかった。これによる被害の拡大は将来に禍根を残すことになるだろう。避難計画の指標となる航空機による汚染地図の作成もアメリカが独自に3月17−18日に実施しているのに当事国である日本側の観測は連絡ミスによる遅れで25日以降になったという。

またSPEEDIという緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムを持ちながら誰もその存在すら知らずそのデータが活かされることも無かったと言う。何故そうなったか、誰がどう判断したかは議事録すらない今となっては闇の中である。悔やまれるのは得難い貴重な体験が今後に活かされず闇に葬り去られることである。

政府はパニックを恐れて事故をなるべく過小に公表したかったのだろう。でも本当は真実をありのままに伝えて国民に理解と協力を求めるべきだと思う。それによってもっとスピード感をもって対処出来ただろう。隠蔽や誤魔化しで国民が政府を信頼出来なくなれば混乱はより大きくなるはずで事実はそうだった。これらの事実は東電ともども日本の行政の隠蔽体質を露呈したものだと思う。また原発推進の関係者が原子力に関する安全神話を作り上げあぐらをかいていた結果でもある。

野田さんが昨年末に冷温停止をもって「事故収束宣言」を行ったがこれは誇張された言い廻しである。メルトダウンした炉の核燃料の状態がまったく分らないからである。また大量の使用済み核燃料が不安定のまま放置されている事も大きな問題である。完全な廃炉には40年かかるという。「収束」という言葉は如何にも現実から遊離しているし誤解されやすい。。

原発推進を進める経済産業省の中にチェック機関である原子力安全・保安院があるという組織的な欠陥も事故直後のIAEA査察団によって指摘されながらいまだに改善されていない。そのために事故後1年になるという今になっても今後の原発再稼動をどうするかという問題についての方向性が決まらない。

被災者の救済についてもスピード感がない。日本のみならず世界各国から寄せられた被災者への義援金の半分がいまだに使われず宙に浮いているという。行政の怠慢もしくは機能不全としか言いようがない。1年も経つ今頃になってやっと復興庁の看板が出来たという。

国家の危機に対して政治家は何をして来ただろう?一党一派一個人の権益を巡って醜い足の引っ張り合いをやっているだけで与野党一致協力して国難を乗り越えようとする気迫がまったく感じられない。これは自民、公明の野党に著しい。解散総選挙を叫ぶだけで政権を奪還したらこうするという訴えがまったく聞こえて来ない。与党の民主党でも党内派閥の存在で党の方針がさっぱり決まらない。今こそ野田さんには強力なリーダーシップを発揮してもらい、議員一人ひとりが心を入れ替えて議員定数や公務員の削減を始めとする政治行政の改革を断行して国民の不安を解消してもらいたい。そうでないと昭和初期のような議会解散、翼賛政治の時代に戻りかねない。すでにその芽が出かかっているように思えてならない。

2011-11-02

原発輸出・死の商人

野田首相は来日したベトナムのズン首相との間で原発の建設に協力するとの協定を結んだという。この話には勿論3月11日の原発事故より前からの経緯があるのだろう。でもこの大事故で苦しんでいる国民を尻目に日本政府が何の反省も逡巡もなく原発の輸出に踏み出すのにはまったくの違和感を禁じ得ない。次にはインドやトルコにもという話もあるらしい。

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勿論日本の技術を発展途上国に輸出することは相手国を援助し日本の国益に適うことだろう。しかし相手国が如何に評価しようとも日本の原発技術が欠陥だらけの砂上の楼閣であることは身をもって証明したはずである。まさか将来事故が起きても日本でないから構わぬと考えている訳ではあるまい。原発事故の被害は一国にとどまらない。原発の安全や使用済み核燃料処理の問題は早急に解決されなければならない深刻でグローバルな課題である。

原発輸出は道義的にも許されない。利益のために自らの失敗を顧みず危険を承知で売りつけるのは武器輸出にも劣らぬ「死の商人」と言えよう。国際的パートナーシップを築くのは信頼である。本当に信頼をかち得るためには安全な自然エネルギーの活用技術の開発と輸出を目標とするべきではないだろうか。ここで原発輸出を始める事は将来にわたって原発技術の向上開発の継続に口実を与えかねない。

原発事故の収束さえ目途が立たないというのに菅前首相が唱えた脱原発依存はどうやらすでに反古にされたらしい。「なまず」は地震を起すと言うが「どじょう」は一体何を起すのだろうか?脱官僚を放棄したことは彼の国会答弁を見れば明らかである。

原発のウソ (扶桑社新書)

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原発はいらない (幻冬舎ルネッサンス新書 こ-3-?)

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2011-08-01

中国vs.日本

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中国の高速鉄道事故には唖然とした。中国鉄道省は事故車両を壊して穴に埋め乗客の救出もそこそこに現場の検証、事故原因の解明も待たず僅か一日半で運転を再開した。そこには国家の威信の前には人命や安全は二の次であり失態の隠蔽が最重要であるとする体質が露わであった。言うまでも無く中国は共産党の一党独裁政権でありこの事件は天安門事件とともにその怖ろしさを実感させるものだった。

ところでこのニュースですぐに思い浮かべたのが日本の原発事故だった。放射能漏れについては枝野官房長官は「ただちに人体に影響を与えるものではない」を繰り返し、東電が原子炉のメルトダウンを認めたのは事故後二ヶ月も経ってからだった。いま5ヶ月近くを経過して曲がりなりにも原子炉の安定冷却に到達したというが今後の見通しについては予断を許さぬ状況が続いている。日々より広範囲での魚介類、農作物、家畜の汚染が明らかになりつつあり直接の被災者のみならず全国的に国民の不安は高まりつつある。

民主国家である日本の政治体制は中国のそれとは大違いと思われるが、政府や官僚の本質を見ると意外な共通点を持つことが分かる。原子力発電について言えばこれは国家的プロジェクトととして進められたがその推進や運営に関しては経済産業省と東電を始めとする全国7つの独占企業である電力会社の利権をバックとする密接な連帯のもとに進められた。

経済産業省の中に原発を推し進める資源エネルギー庁と安全を監督規制すべき原子力安全・保安院が同居していた。別に識者による原子力安全委員会が内閣府に存在したがそれはほとんど開かれることもなく機能していなかった。福島原発事故査察のため来日した国際原子力機関IAEAの査察団はいち早くこの体制の不備を指摘したがいまだに改善の動きは見られない。

それどころか最近もっと忌まわしい報道に耳を疑った。かって中部電力や九州電力の原発建設の地元で行われた国による現地説明会で電力会社や関連企業の関係者を動員して原発建設に例文つきで賛成の意見を述べさせたといういわゆるやらせ事件である。このやらせは安全・保安院が計画演出しメールによる根回しを行ったものだという報道を聞いて背筋が寒くなった。その説明会で会の進行を取り仕切っていた当時の保安院の課長が今は保安院報道官として堂々とテレビで解説をしている。これはまさに中国の隠蔽体質と同じではないか!

脱原発(個人的にだそうだが)を標榜する菅さんにはこの経済産業省改革にすぐにも取り組んで頂きたい。菅さんはこの構図は彼が厚生大臣時代に問題となった厚生省と製薬業界の癒着による薬害エイズ事件と同じだと述べている。


原発のウソ (扶桑社新書)

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2011-06-11

原爆と原発

東日本大震災から今日で3ヶ月経つ。福島第一原発の事故は収束のめども立たず日々環境汚染を拡大し続けている。広島、長崎と世界で唯一原爆の惨禍を受けたこの国は66年後今度は自らの作った原発の事故で苦しんでいる。何という皮肉だろう。自分も含めて何という愚かさだろう。

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福島の事故を受けてドイツのメルケル首相は2022年までに国のすべての原発を廃止すると宣言した。当の日本はどうか?菅さんは東海地震の予測される浜岡原発の当面の運転中止を中部電力に要請した。それは英断だったと評価したい。でももう一歩踏み込んで何故ドイツのように思い切った全面廃止の決断が下せないのだろう。メルケル首相の決断は賢明なドイツ国民の強い環境意識がバックにあるのだろう。一方地震国日本では効率と利権を追い求める国の原子力政策のもと根拠のない安全神話が吹き込まれ国民は洗脳された。核兵器廃絶を実践しながら原発も同じ核反応であることをすっかり忘れてしまった。

形あるものは必ず何時かは壊れる。絶対安全はあり得ない。日本に限らないが危険な使用済み核燃料の処理法も見出せないままに原発が稼動している。将来に質の悪い危険物を残す。そんなモラルのない無責任な政治があって良いのだろうか?

為さずんばなんぞ成らん!菅さんもこの原子力政策を180度転換するような明確な中長期ビジョンを打ち出すことが出来たらこの国のリーダ−として尊敬されただろう。震災をだしに政争に踊る与野党の党利党略に圧されて辞任を口にしてはもう首相として出来る事は何もないだろう。やっぱりそれだけの器量しか持たなかったのか。

さて次なる首相は誰か?悲しいことに大方の国民にはその顔が見当たらない。そして無党派層だけが増え続ける。

2011-05-05

脱原発

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東電は今回の原発事故の収束見通しの工程表を6ヶ月乃至9ヶ月と発表した。政府の圧力にそう言わざるを得なかったのだろう。政府としても工程表がなければ復旧計画の策定が出来ないし人心は安定しないのだろう。問題は見通しの根拠である。壊れた4基の原発の冷却系を修復または仮設出来ないかぎり収束はあり得ない。しかし二ヶ月近くを経過した今でも高濃度の放射線のために原発の建屋に人が入ることすら出来ていない。今やっていることは外部から水をかけ続けることだけである。これによって大量の放射能汚染水が溢れ続けその処理に窮している。高レベルの汚染水の量は何十万トンにもなるという。漏れ出した放射能は大気、海水、地表、地下水を汚染し続けるだろう。このままだと原発燃料の大部分がなしくずしに燃え尽きるまで水を掛け続けることになりかねない。最悪の想定は今一度大規模な余震が起こって津波が再び襲ってくることだ。そうなれば原子炉は大爆発を起こし放射能は東日本全体を汚染するだろう。

長い間続いた自民党政権の下で推し進めて来た原子力政策が安全神話を生み人々を洗脳して今日のこの事態を引き起こした。この小さな地震列島日本でそもそも原発が安全に運転出来るのか、あまりに甘い想定で建設が進められて来た結果と言わざるを得ない。事実今回の津波に匹敵する三陸大津波は1896,1933年に発生している。それを想定外に置いたのは理解出来ない。中曽根首相の下で通産大臣として原子力政策を進めて来た与謝野現経済財政政策担当大臣はそれでもこの原子力政策は間違いではなかったと反省の色もない。一体彼等の想定はどんな根拠に基づいて行われたのだろう?恐ろしいことに今や日本全国の海岸線に54基もの原発がある。それらは皆福島と同じ危険を抱えている。でも信じられないことにもうすでに自民党の中の原発推進派は原子力政策維持の強化を画策し始めているという。

最近のメディア世論調査によると現在日本で原発の廃止乃至縮小を望む人は約40%だという。残りの60%は現状維持又は拡大ということになる。如何に空虚な安全神話が深く人々に浸透しているか、如何に一度味わった豊かさに人々が虜にされてしまうかを物語る数字である。石原都知事も風や太陽で間に合うわけはない。原発は必要だと公言して憚らない。原発はコストが安いという人もいる。しかし果たしてそうだろうか?今度の事故による巨額の損失、復旧費用、さらに時間、空間および人の生活の喪失を考えれば答えは明白だろう。

飛行機が発明された時それは危険な乗り物だった。しかしそれを乗り越えていまは誰もがそれに乗る時代になったと言う人がいる。しかしいったんコントロールを失えば原子力は危険の規模が飛行機事故とは比べようがないほど大きい。被害は局地的でなく国境を越えて地球規模で拡がり、しかも影響は何十年も続く。チェルノブイリ、スリーマイルス島、それに今度の福島の事故がそれを教えている。

間違いなく今世界は核兵器廃絶を超えて脱原発の時代を迎えている。それを可能にするのは太陽光、バイオマス、水力、風力、潮汐、地熱など再生可能の自然エネルギーの利用技術の開発である。例えば太陽エネルギーについて考えてみよう。。コストや効率の問題は残されているがすでに実用化の時代に入っている。光合成の名で知られるように植物は太陽光を使って年間2000億トンもの炭水化物を効率的に作っている。そのうちの80%は最も原始的な生物、海洋プランクトンによるものだという。彼らは太陽光のエネルギーを使って水分子から電子を引き抜いているのだ。35億年も前に生まれた単細胞の生物が作った仕掛けが人間に出来ないことがあろうか。地球の生物は太陽のエネルギーに依存して生まれ進化して来た。将来もその道を辿るのが自然である。自然に優しいとはそういうことだと思う。

今野党のみならず与党の中でも政争がらみで大震災への菅政権の対応の遅さ、不手際を非難する声が大きい。単に批判することは易しい。未曾有の災害に迅速適切に対処することは難しい。しかしこの困難を乗り越えて安心安全な国家を根底から作り直すには脱原発が前提とならねばならないだろう。現政権には大災害を転じて大きな改革への好機と捉える気迫を見せてもらいたい。自民党を始めとする各野党には自分達の推し進めてきた原子力政策が間違っていた事をいさぎよく認めそれに代る政策を打ち出して現政権を批判してもらいたい。

2011-03-21

国家的危機と政治家

今週のお題東北地方太平洋沖地震

菅首相から自民党の谷垣総裁に今度の大震災に対処するため入閣の要請がなされた。谷垣さんは「唐突な話だ。政策協定もなく入閣出来るわけがない。責任を取らされるのはごめんだ。」としてこれを断ったという。公明党の山口代表も及び腰だった。

この国家的危機に超党派で対応しようという考えは野党の政治家には無いのだろうか?政策協定というが今この大災害に対する危機対策に優先する政策が他にあるだろうか?こども手当だとかマニフェストだとか言っている場合ではない。菅政権の支持率は低いし国民の評価は必ずしも高いわけではない。でも今すべきことは現首相のもと日本中が心を合わせて総力を結集して未曾有の国難を乗り越えることだろう。こんな時に党利党略しか考えられないとは情けない。

石原都知事の「天罰」発言は論外だが、「日本人のアイデンティティは我欲だ。津波で洗い流せ」の「日本人」は「日本の政治家」に置き換えるべきだろう。

2010-03-06

チリ津波

2月28日チリ津波が日本を襲った。奇しくも昭和35年のチリ津波から丁度50年後である。あの時は我々夫婦が結婚した年だった。当時は4畳半一間の新婚生活だったし勿論テレビも無かったから鮮明な記憶はないが、遠く地球の裏側から津波が到達するという事実に驚いた。気象庁もまったく予報が出来ず三陸地方の住民は6月24日未明にそれこそ寝耳に水の襲来を受け142名もの犠牲者を出したのだった。

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さすがにこの経験を踏まえかつコンピュータ予報技術の進歩もあって今回の気象庁の津波警報は迅速丁寧だった。ただ津波の大きさについての予想が実際よりかなり大きかったことについて気象庁は謝罪を表明したという。私はそんな必要はさらさら無いと思う。むしろ過小評価の危険の方がはるかに罪深いと思うからである。

警報に対する住民の対応には大きな問題が残された。避難所に避難した人はたった6%だったと言うし、第二波、第三波の危険が伝えられているにもかかわらず比較的小さな第一波が観測されると過半数の人は帰宅してしまったという。喉元過ぎれば暑さを忘れるのが人の性か、過去の苦い経験が少しも生かされていない。もっと驚くのは警報の出されている地区で1100人を超すビッグウェーブを期待するサーファー達が避難の呼びかけを無視してサーフィンをやっていたという。無知無謀、自己本位とはこのことだろう。

小さなことだが警報の出ている長時間にわたってテレビ(NHK)では派手に赤黄の点滅する大きな日本地図を流し続けた。周知徹底を図ったものだろうがいささか目障りだった。もう少し目に優しい工夫があっても良いのではないか。