青の炎

言わずと知れた二宮和也(嵐)主演、蜷川幸雄監督で2003年に公開された日本映画。見よう見ようと幾星霜。先月テレビ放映があったのでやっと見ました。テレビサイズに編集されているかも知れないし、うっかりしたことは言えないと思って感想を寝かせていましたが、時間をかけてもうっかりしたことしか言わないだろう己や、一生寝かせたままにしかねない己に気づいたので思うがままに吐きだしてみます。
夏休み初日、彼はまぶしい光の向こうへ消えた。若さは失われるものであるから少年の命もまた失われたのだ。17歳の夏を超えて大人になるには、彼には想像力があり過ぎた。松浦亜弥演じる少女のやり方にならって好きなモノを数えて生きていくこともできたのにと思うとやるせないが、反面そこが救いでもある。彼はひとりじゃなかった。彼には理解者が多くいた。少女をはじめとするクラスメイト。合わせ鏡のような存在でそれゆえ殺害せざるを得なかった少年もそうだし、親子ほどに年の違う刑事もそうだ。繊細で純粋で傲慢で自信過剰。蜷川幸雄の演出で二宮は完璧に17歳を演じ切ったと言えよう。それはもう、どうしてまだ生きているのか問い質したくなるほどに。松浦亜弥はいいのだ。あのあややはもうどこにもいない。比べてクシモリ君を二宮に見つけることはずっと容易である。永遠の17歳もよいけれど、今後はもっと大人な二宮さんを期待します。見た目は徐々に17歳を脱しているようだから演技もそれに合わせて渋いやつ。これからが本当に楽しみです。