よくあること

 今日の100円ショップでのできごと。
 私が食品を6点レジに持って行き、店員は何点あるか数える素振りを見せつつ、
「864円です!」
と言い放つ。
 1点100円なのに消費税か何か分からんが高すぎでしょ、とかうんざりしたが、精算待ちの人が後ろに並んでいたのでとりあえずそのまま言われたとおり精算を済ませる。

 100円ショップなどに限らず点数を読み上げたり確認したりする(いわゆる指差喚呼など)のは新人が不慣れだからやらされているわけではなく、販売が適切に行われる確度を上げるまたは維持することが目的である。
 消費者にとっては、その適切性が何かはいうまでもないが、販売者側にとっては、適切性が損なわれた多くの結果はマイナス側の違算となって現れ、当然ながら純粋な損失となる。
 要は1点売っても売価から原価等を差し引いた額しか残らないのに、1点取りっぱぐれたり消えてしまうと先の原価等+ちょい(特にフランチャイズ系だと色々・・・)のマイナスになるからだ。(棚卸しが後でレジの違算だけだと処理の仕方は色々で、瞬間的には売価がマイナスになることもある、というか一般消費者向けの現金取引な小売は大概そうだが)
 それゆえ、販売者側のうち経営者側にとってはそういったところに躍起になるわけだが、それに対する具体的対策、方法といったものは、消費者にとっていかなるものかはありきたりな話(そうでもないこともそれなりには存在はするが書かないし書けないし云々)なので割愛するとして、登場人物の残された者の領域においては少し違ってくる。
 単純な話、金銭的なふところが先の二者とはまた違う、ということなのだが、雇用が存在する販売業においては当たり前の形態であり、結構見落としがちなところではあろうと思うし、また自身が雇用される側で業種が違っていたりすれば立場的に認知が難しいこともあろうかとも思う。
 回りくどく書いているが、要はその立場における内引きのことで、消費者には見えないところで経営者側と残りの者とが空中戦を繰り広げていたりする。
 そういったところは、結果的に法的な面で色々ニュースになったりすることでその一端を見ることは可能ではあるが、残りの者のうち悪意を持った者については、その戦い方が例えば衛生兵を意図的に誤射させて訴えるレベル(何か日本語おかしいがまあいいか)なこともなくはない。
 要するにきめごとをかいつまんでそれを悪用し盾にすることで継続的に利を得るという手法が多く見られる、という話に過ぎない。

 レジの列がはけたので、精算した店員がいるカウンターに、
「6点買ったのですが、8点買ったことになってまして・・・」
と私がレシートを見せながら商品の入ったレジ袋をカウンターの上に置くやいなや、
「ごめんなさい、6点でした?、ごめんなさい、6(繰り返し)」
と店員は気持ち悪いほどにこやかにレジを操作し始める。
 ここまで、店員はレジ袋の中の商品は確認していない。
 しかし、2点打ち間違えた商品を正しく減算していく。
 そして、差額をドロア(最近の自動つり銭POSレジなら違うかもだが、こっちからは当然見えない)からお金を取り出す際に初めて、
「商品を確認してもいいですか?」
とその店員は言ってくる。
「どうぞ」
と私はにこやかに返したつもりではあったが、多分かなり引きつっていたんじゃないかと思う。
 不審すぎるからだ。

 人間は間違えるものだ。
 機械も間違わないわけではないが。(結果的な成果がスペックアウトするかどうかみたいなものも含めて)
 ただ、機能を絞り込んでいるものとそうでない複雑系のものとを比べると人間の方が間違い自体も分かりにくくなりがちで、さらに言えば、間違いか当人が正しく意図した行為かも分かりにくい。
 ただ、今回の件で不審な点は、点数を消費者(ここでは私)に分かるレベルで確認し、金額を読み上げるなどのエラーを回避する対策を実行しながらも間違えていること、レジ袋の中の商品を確認しなければどの商品を訂正しなければならないかわからないにも関わらず自信をもって正しく訂正したことが挙げられる。
 一応疑えばきりがないという世界ではあるので、この不審な点も理由をつけられないことはないし、そもそも買った私が清算してもらえたのでそれでいいじゃんという話ではある。
 とはいうものの、例えば100均などの小売であれば、
 1)点数が多めで同じカテゴリの商品を数えずに買う客にねらいをつけて多く入力
 2)多く入力した商品を棚卸しの間隔内に内引き
 3)同一商品の在庫差異に影響しないので防犯カメラのチェックもされにくい
といった手法は、ありきたりすぎるポピュラーなものなので書くまでもないのだが、偶然だとしても、表面的な状況だけみれば、あまりにはまりすぎていて正直引いてしまう、という感じだった。
 先述のとおり消費者としては悪意の有無とは無関係に清算されれば結果として直接的にはどうでもいいといえばいいわけだが、もし仮に内引きが多いとするならば、例えば回りまわってオーナーがやる気をなくして店がなくなるなんてことは消費者にとってデメリットになる。(今回のパターンでは消費者に付け替えるタイプなのでさらに間接的にはなるが、およそ内引きが多いところはその手法も多彩なことが経験上多いので)
 1000円渡したら10万円って入力されたレシートを出されたことがあって店員と笑いあった頃がなつかしい、そんなことを考えながら店員の名札を見ずに店をあとにした。
 何となく癖で意識的に見ない。
 もはや離れた世界なので勘弁して欲しいってかもうこりごりなんで。