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柚の管理記録

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2017-10-29

そしてまた積み上げる


 最近の不祥事がらみの記事として「問われる日本企業の「完璧主義」 (10/27)」の日経の記事(有料記事でFTの翻訳ものだが)を読んでいて、国外から見るとそういった見方がある、というかそういった見方を内側から感じる外部の日本評というところから導くことが可能だったりすることでなるほどなぁ、とか感じたわけだが。
 もっとも、よりひねくれた考え方をすれば、日本の西洋かぶれした者向けに響くような記事にしてみたよ?ということもなくはない(親会社は日本だからね、一応組織の人としては云々)とか疑心暗鬼の闇に引き込まれていくわけだが、それは考えたところで益もないので放置することにする。
 で、記事の方向性はというと、有料記事なので具体的に書くといろいろありそうなので、大雑把にアテレコさせてしまうと、戦後完璧主義を選択し成長したが、完璧主義を体現する完璧主義っぽいシステムにはデメリットもあるわけだし、それが顕在化したのが昨今の老舗大企業による一連の不祥事なんじゃん?で、それにはやっぱ世界を知るべきっしょ!(脳内勝手CV森久保氏)的なものだったりするんではないかと。
 実のところ、元記事が「The Kobe Steel scandal reveals Japan’s perfect storm (10/25 Financial Times)」っぽいにもかかわらず、翻訳版から固有名詞が抜けているのは、国策とか政府のシステム、国内のシステムといった大きく包含する領域での特筆性から始まって、最終的に全体への予防医療処方箋を提示したものなので、忖度でないならば、外部から認知する順番と内部から認知する順番のある程度の差異を考えれば適切な読み替えのような気はする。
 さらには、具体的な不祥事については、『It could be restored by Japan's leading companies imposing tighter controls on their operations. Kobe Steel can stop falsely certifying the quality of metals, forcing companies such as Ford and Boeing to check their products are safe. Nissan can stop employing unqualified staff to approve cars.』(糞訳:神鋼日産のような大企業ならどうにかなんじゃね?)という形でほぼさっくり終わらせているところからしてもうかがえるように思える。
 個人的には、一部で『Those that polish scratches on components that consumers will never see must learn to relax; 』のくだりをそうそう、それが過剰品質なんだよな、と言っている者もいるのだが、そんな話はしていないと思うし、またそれだと直後の『those that strive to be right first time can launch quickly and update later.』に意味がつながらないとは思う。
 さらに日経側の訳で結構配慮されているなと思ったのは、訳を読んだ時に、記事全体が可能な限りカタカナ用語を用いない方向で訳されているように思えるのにもかかわらず、「relax」を意図して日本語に置き換えていなさそうなところからも読めるかとは思った。
 それは、だらけるとか基準に対して寛大であるとか楽をするとかにしてしまうと本意ではなくなるおそれがあると考えたからだろうと思える。
 およそ、「手を抜く」といった表現のネガティブさから連想できる偽装だとか改竄ということにつながる状態を指すものでは少なからずないと思われるからだ。

 それにしても書き方がいやらしいなぁ、と思ったのはソフトバンクのアーム買収やアサヒ欧州ビールブランドの物色といった成果に対する短期的ではない一定の評価がなされていなさそうな例は挙げているにも関わらず、TOLL、ウエスチングハウス、フジゼロックスオーストラリア、ランバクシーなどの件では、少なからず海外における「relax」が何か理解できなかったわけだし、ひどい場合、理解できないがゆえに表面的には同様な偽装、不正などというくくりの事案によって大きな損害を生んでしまう例さえ存在した。
 多分、分かった上で書いているからちゃんと避けているんだろうなぁ、と思うが、過去はそこそこ成功したが今後はまだ結果が見えないJTとか扱いが難しいところを持ってこないあたりがにくいところではある。
 で、結局、それを解く鍵というか示唆はあるのか?と思いつつも、最後の1文は『To a Japanese traveller the world is bound to look messy.』で冒頭のパスポートに貼られた上陸許可シールの整然としているさまにかかっているわけで、文章というか記事全体のまとまりという意味で技巧的に逃げられてしまったところもいやらしいとか思ってしまった(いい意味でだが)ところもある。

 あと、個人的によく分からなかった表現はというと、結構重要そうな個所である『But Japan needs to recognise these incidents as the symptoms of a hermetically sealed economic system that is reaching its limits. Rather than merely finding ways to impose order, the country must learn to live with imperfection.』で、ちょうど、記事に中間にあたることもあり、最後の『messy』に『imperfection』が対応するように、最初の『Perfectionism』に対応する表現がこの中にあるとすると『hermetically sealed』あたりになりそうなのだが、これを単に『密封』としてしまうと、どういうつながりにあるのか分からなくなってしまう。
 訳語のイメージから、外界と断つ、例えば企業内で駆動するシステムに関して外部要因を極小化するとか考えると、記事内で後述されるガラパゴス化という現象の一端を示すものではあろうが、完璧主義につなげるには強引過ぎるし「規律ある状態たらしめる方法をただ単に(悪意ある表現とすれば手段の目的化を伴うような盲従的な志向をもって)探すのではなく、むしろ」という部分に強引につなげようとすると、単に完璧主義が内向き思考にような属性しか表さないように思えてしまう。
 で、日経側の訳は『だが、日本はこうした不祥事を、限界に達しつつある密閉された経済システムの症状として認識する必要がある。日本はただ単に秩序を敷く方法を見つけるのではなく、不完全さとともに生きることを学ばなければならない。』となっていて、「???」となったために原文を探したのが発端である。
 というか、まぁ、表題にあるとおり原文を参照したところで、おおかたの予想どおり、分からないことを積み増すことにしかならなかったわけではあるが。
 実のところ、FT側のサブタイトルは『The country’s hermetically sealed industrial system is reaching its limits』とされていて、経済の構造なのか産業のそれなのかという違いはあれど、重要な個所な気はするのだが、まぁ、しょうがないさね。
 『industrial system』が密封というキーワードをくっつけると、市場開放とか保護主義経済の忌避なんてことばを思い浮かべてしまう(個人的な思考構造上、なぜか『economic system』のときのそれとイメージが異なってしまったりする。多分、普通は『economic system』の方が同じ経済用語扱いなので親和性は高いはずだが)ので、もしそれが根底にあったりするのなら偶像崇拝も甚だしいだろって気はするが、それだと記事自体に矛盾が多くなりすぎるしで、私の頭には難しい。
 押してダメなら引いてみな、押してばかりじゃ相手が押しつぶされる。
 そんぐらいの意味でとっておけばいいんだろうか。
 そんなことを考えながら、また積み上げるのである。

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