Ways on the Moon

2015-12-31

今年一年の楽しみを振り返る 2015

今年も良い作品にあふれていた。年の終盤にちょっと忙しくてあまり映画を観に行けなかったのは残念。

映画

花とアリス殺人事件

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親の都合で引っ越してきた中学生・有栖川徹子(アリス)は隣家の窓からの視線に気づく。『花とアリス』(2004年)の主人公二人の出会いを描く前日譚。

観ているうちに「ああ、アリスの母親ってこういう人だったわ」「花ってこういう子だったわ」と前作の情景が懐かしく思い出された。岩井俊二の叙情的な演出によって、中学生の日常に潜むささやかな非日常が鮮やかに描き出される。10年前の映画の前日譚を同一キャストで演じるという難題にアニメーションという回答を出してきたのも見事というしかない。

パレードへようこそ

D

1980年代、イギリス炭鉱ストのさなか、炭鉱労働組合を応援しようと立ち上がったのは同性愛者団体だった。

立場の異なる者同士が互いを認識し、理解し、尊重する。一人の思い付きから始まった行動が大きなうねりとなっていく姿に涙が止まらない。差別と偏見を乗り越え我々は進歩していくのだと強く心に刻み付けられる。

LGBTを扱った作品は、白でも黒でもない灰色を認識し尊重するという『彼は秘密の女ともだち』もよかった。

心が叫びたがってるんだ。

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幼少時のトラウマで人としゃべれなくなった女子高生・成瀬順、彼女とクラスメートらが地域交流会の実行委員に任命されたことから始まる青春群像劇。

岡田麿里脚本らしいヘビーな滑り出しにのめりこみ、それぞれの気持ちを言葉にしてぶつける描写に惹きつけられた。繊細な表情の変化や、「青春は走ってなんぼ」とばかりに自転車で走り出す場面も素晴らしい。

マイ・インターン

D

ファッション系ネットベンチャーの社長・ジュールズのもとにやってきたインターン生・ベンは何と70歳。二人の織り成すコミカルなハートウォーミングストーリー。

個人的にネット系企業のインターンシップに参加したこともあれば受け入れる側になったこともあるので、共感する場面も多く楽しんで観られた。ネットベンチャーというラフな職場でスーツをびしっと着込みビンテージ鞄を抱え、人生の先輩としてふるまうベン (ロバート・デ・ニーロ) の姿がとにかくかっこいい。

老人のかっこいい映画という点では、ナチスに略奪された伯母の肖像画の返還を求めて老女が立ち上がる『黄金のアデーレ 名画の帰還』もあった。

サニー 永遠の仲間たち

D

主婦イム・ナミは、癌にかかって余命わずかの高校の友人ハ・チュナと再会し、高校時代のグループメンバーに再度会いたいと頼まれる。

2011年の映画だが今年初めて鑑賞。現在と過去とのスムーズな場面の切り替わりにどんどん惹きつけられていく。時にお互い衝突しながらも未来を信じていた高校時代と、決して幸せばかりといえない現在の対比に胸が締め付けられ、積み重なった感情がラストのダンスシーンで弾けだすようだった。


ほかにも、アップテンポで狂気を描く『セッション』、二宮和也のしゃべりと黒木華の存在感が際立つ『母と暮らせば』、おしゃれ + キュートなスパイアクション『コードネームU.N.C.L.E.』などが印象に残っている。

『くちびるに歌を』(合唱部)、『幕が上がる』(演劇部)、『ガールズ・ステップ』(ダンス部)といった青春部活物の邦画も豊作な年だった。

アニメ

SHIROBAKO

アニメ制作会社に勤める宮森あおいと、彼女の高校時代のアニメ同好会のメンバーらを描く群像劇。

昨年から引き続いての放映。後半では声優志望・しずかの状況に一喜一憂しながらの視聴となった。夢が結実しさらにその先はと考える展開に、つい自分の仕事と照らし合わせてしまう(ちなみに私はアニメ制作会社でいうならアニメーター的な役割)。

響け! ユーフォニアム

高校に入学し吹奏楽部に入った久美子、そこには中学時代に気まずい発言をしてしまった相手・麗奈もいた。

京都・宇治の高校を舞台に繰り広げられる青春部活物。最初は何となくで吹奏楽を続けただけの久美子が、新顧問・滝のもとで音楽への情熱に目覚めていく姿がまぶしい。「好き」と「特別になりたい」の競合など、各部員それぞれのドラマも魅力的で毎週の放映を心待ちにしていた。

マンガ

ラストゲーム
ラストゲーム 8 (花とゆめCOMICS)

ラストゲーム 8 (花とゆめCOMICS)

すべてに恵まれた少年・柳が初めて出会った勝てない相手・九条、10年を経てライバル心は恋心へと変わる王道恋愛ストーリー。

7、8、9巻と1年に3冊も出て物語が大きく動く。相馬の奮闘っぷりはたたえてもたたえきれないほどであり、それに対して九条もよくぞ応えてくれたというところ。まさに「片思いものなら天乃忍」である。8巻カバー画像で、これまでカバー画像ではすまし顔だった九条がついに微笑みを見せた(それも柳とハートマークを作って!)のも見どころのひとつ。

福島鉄平短編集「スイミング」「アマリリス」
スイミング (ヤングジャンプコミックス)

スイミング (ヤングジャンプコミックス)

アマリリス (ヤングジャンプコミックス)

アマリリス (ヤングジャンプコミックス)

クラスが同じ、スイミングスクールも同じという接点しかないオサムくんとマドカさんだが、中三となりマドカさんはスイミングスクールをやめてしまう。(『月・水・金はスイミング』)

サムライうさぎ』の福島鉄平が贈る短編集。いってしまえばなんてことのない一通りの会話に過ぎないけれど、そこに至るまでの心の揺れ動きが丁寧に描かれているので、読んでいるこちらの心も大きく掻き立てられる。思春期の小さな、しかし確かな成長を何度も読み返したくなる。

ライトノベル

この恋と、その未来。

東京を離れ広島の全寮制高校に入学した四郎、彼のルームメイト・未来は性同一性障害(身体的には女性、性の自己意識は男性)だった。

森橋ビンゴのシリーズがついに4巻突破! 濃密な青春に読む側はただただ悶えるばかり。4巻終盤ではついに爆弾が炸裂し、今後どうなるのか目が離せない。

来年の標語

禍福は糾える縄の如し

2015-06-01

琥珀ブーム

この2年くらい、私の中で「琥珀」が静かなブームを迎えています。ここでいう琥珀とは寒天を使い表面を乾燥させた干菓子のことで、「干琥珀(ひこはく、かんこはく)」「琥珀糖」ともいうそうです。

俵屋吉富 貴船の彩

私がはじめて知った琥珀菓子がこちら。遠方の友人への手土産を選んでいたときに気になり、自分用に買ってみました。

ガラス棒を乱切りしたかのような不思議な形、飴のような硬さを想像していたのに、シャリっとした表面からプルっとした中身が飛び出したときの驚き――琥珀の何が気に入ったかといえば、この表面シャリシャリ中身プルプルの食感の妙です。

霜月 琥珀

西加茂にあるこちらのお店の琥珀は季節ごとに色とりどり。正月向けの「福来心琥珀(ふくごころこはく)」は甘酒を炊き込み、コタツで寝入るときのようなやさしい味でした。

「加茂の七石」という七色の琥珀詰め合わせも扱っており、こちらは大勢への手土産にもぴったりです。

永楽屋 琥珀紅玉

口の中いっぱいに広がるりんごの風味は、飲み込むのが惜しくなってしまうほど。食感としてはりんごジャムを煮固めたような程よい柔らかさです。秋冬限定。

柏屋光貞 おゝきに

ほかの琥珀が「シャリっ、プルっ」ならこれは「サクっ、モチっ」とでもいいますか、一口でつまめるサイコロ状なのもあいまって、つい手が止まらなくなります。四色のキューブがきっちりと(しかし少々不ぞろいに)箱詰めされた姿もかわいいところ。

2014-12-31

今年一年の楽しみを振り返る 2014

今年観た・読んだものであり、今年公開とは限らない。順序は基本的に観た・読んだ順であり、ランキングではない。

映画

チョコレートドーナツ

D

1970年代アメリカ、同性愛者のポールとルディは育児放棄された少年・マルコを引き取るが、社会の偏見と差別が彼らを引き離す。

差別と偏見によって一人の人間としての幸せが顧みられなくなるという不条理に怒りと悲しみを覚える。今年は青森での同性婚不受理など、日本でもLGBTに関して大きな動きがあった。

砂の器

1974年製作。蒲田で起きた殺人事件、被害者が残した東北訛りの「カメダ」という言葉を頼りに今西警部補は秋田へと向かう。

終盤のシーケンスにただただ圧倒される。本来なら自分も加わっていたであろう児童の輪を見つめる千代吉や、子を思う父の取った行動に涙を禁じえない。映画とはかくも心を揺さぶるものなのかと感じ入った。

マダム・イン・ニューヨーク

D

インドに住む主婦・シャシは英語が話せず家族から軽んじられていると感じているが、姪の結婚式の手伝いでニューヨークへ行くことになった。

主人公がニューヨークで一念発起し、そこでの出会いによって尊厳を取り戻していく様が心地よい。家族がお互いを対等に感じ、決して相手を決め付けないようにという呼びかけが心にしみる。サリー姿も美しい。

6才のボクが、大人になるまで。

D

6歳の少年が親の離婚などを経て18歳になるまでの姿を、同一キャストと12年の撮影期間で描き出す。

観終わった後に、よくぞここまで育ってくれたという感慨が身を包む。男児から少年、そして青年へと、淡々と描かれる成長の姿に、この子(もはや「子」ではないが)の将来に幸多からんことをと祈らずにはいられない。

(500)日のサマー

D

2009年製作。冴えない青年・トムは同じ職場のサマーに一目ぼれし、これぞ運命と思いを寄せていく。

観ている間、「うんうん、そうしちゃうよね」と主人公に同調する視点、「とはいえその行動は『不正解』だよなあ」と傍観する視点、「でも自分がその立場に置かれたらその『不正解』をなぞってしまうんだろうなあ」と再度自分と重ね合わせる視点が生まれ、引き込まれていった。個人的に「運命」は結果論だと思う。


次点として、終盤明かされる「真実」におののいた『小さいおうち』、人生のまさに輝かんとするときをコミカルな映像で綴る『グランド・ブダペスト・ホテル』、聾唖の青年と彼を取り巻く二人の女性の人生を楽しくも切なく描いた『バルフィ! 人生に唄えば』、圧巻のSFである『インターステラー』を挙げる。

ライトノベル

この恋と、その未来。

女性優位の家庭から抜け出すため全寮制の高校に進んだ主人公・四郎、しかし彼のルームメイト・未来には重大な秘密があった。既刊2巻。

「東雲侑子」シリーズの森橋ビンゴが、新シリーズでは性同一性障害を真っ向から描く。苦く、ままならず、やるせない、濃厚な青春に悶絶寸前。「東雲侑子」シリーズ登場人物の影もちらつき、前シリーズファンとしても大満足だった。

七姫物語
七姫物語〈第6章〉ひとつの理想 (電撃文庫)

七姫物語〈第6章〉ひとつの理想 (電撃文庫)

群雄割拠の時代、「姫」として担ぎ上げられた少女と、彼女が見つめる世界の姿を描く中華風ファンタジー。全6巻

読み始めたときは滅びの物語かと思ったが、読み終わってみれば優しくも凛と立った物語だった。未来を感じさせつつ無事完結してくれたことを祝福したい。


ライトノベルではないが、きれいな花園の地中で絡み合う根を描いた桜庭一樹青年のための読書クラブ』、友情の誕生とその喪失が心に残る竹宮ゆゆこ『知らない映画のサントラを聴く』も面白かった。

マンガ

神様がうそをつく。
神様がうそをつく。 (アフタヌーンKC)

神様がうそをつく。 (アフタヌーンKC)

小6の少年・なつるはふとしたことから同級生の少女・理生の秘密を知ってしまう。少年と少女、秘密を抱えた夏が今、始まる。1巻完結。

初めて入った書店のマンガコーナーで、背表紙がすっと目に入ってきて購入。どうしようもない現実に、それでも立ち向かいたいという思いが胸を衝く。映画『誰も知らない』『スタンド・バイ・ミー』を思い起こさせる。

メイド諸君!

地方から東京に出てメイド喫茶でアルバイトすることになった千代子は、店の常連客・鳥取とプライベートでも知り合う。全4巻(新装版全2巻)。

ネット上では「なんで処女じゃないんですか!?」のコマで有名な作品。「紳士的なオタク」たらんと振舞ってきた鳥取の、その陰に隠れた臆病と不信があらわになっていく展開に、わが身を切られるような痛みを感じる。予定調和を踏み外したラストに、これぞまさしくキヅキアキラ+さとうなんき作品と唸った。

聲の形
聲の形(1) (講談社コミックス)

聲の形(1) (講談社コミックス)

小学生の石田将也はクラスに転校してきた聾の少女・西宮硝子をいじめ、再び転校させてしまう。5年後、いじめられっ子に転落していた石田はすべてを清算するため西宮に会おうとする。全7巻。

主人公の取ったのと行動と同じことが主人公自身の身にも降りかかるのに、人と人とが関わる因縁の妙を感じる。マンガであることを最大限に活かした大胆な表現にも圧倒された。


少女マンガと女性向けマンガの境界を漂う物語が新鮮な草川為『今日の恋のダイヤ』、二人姉妹の閉塞感がどこか物悲しい小川麻衣子『魚の見る夢』、イラストレーター・庭(作者の別名義)の魅力が詰まった紀伊カンナ『海辺のエトランゼ』も印象に残る。

アニメ

凪のあすから

海中にも人が住む世界での青春群像劇。昨年から引き続き視聴。「優しくなりたい」と「嬉しくなりたい」の重ね合わせなど、はっとさせる台詞に満ちていた。

グラスリップ
グラスリップ 1 [Blu-ray]

グラスリップ 1 [Blu-ray]

福井を舞台にした青春群像劇。思わぬ展開の連続になかなかストーリーをつかめなかったが、何より印象的だったのは登場人物の表情、台詞よりも立ち振る舞いに感じ入る作品だった。特に、3話で祐の言葉を待つ幸と、11話で陽菜の伝える「姉の言葉」を聞く母の、それぞれ相手が言葉にしていないことに感づき見守ろうとする表情がよかった。

SHIROBAKO

アニメ製作会社の新人・宮森あおいを中心に、アニメ製作の現場を描く群像劇。トラブルの連続に見ていてハラハラがとまらない。私の場合、自分もこう人に心配をかけているのかしらという部分で胃がキリキリする。


振り返ってみればP.A.WORKS無双の一年だった。それ以外では、動く志村貴子キャラを久々に見れたのが嬉しい『ALDNOAH.ZERO』がある。

来年に向けて

  • 整理
  • 一陽来復

2014-10-13

普段着に和服を取り入れて 2 年

はじめに断っておくと、以下はすべて男物の話である。

週 2 回くらい和服を着るようになって 2 年が過ぎた。

年間の組み合わせ

季節が二回りすると大体の組み合わせも定まってきて、今は下表のようになっている。もちろん、ある時点できっちり替えるわけではなく、季節の変わり目には混在したりする。

1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月
防寒着 とんびコート とんびコート
マフラー マフラー
長着 ウール単 綿単 麻単 綿麻単 ウール単
襦袢 モスリン長襦袢 綿立襟シャツ 麻長襦袢 綿立襟シャツ モスリン長襦袢
綿角帯 / 綿ポリ角帯
肌着 V ネック T シャツ V ネック T シャツ
ステテコ ステテコ
ヒートテックタイツ ヒートテックタイツ
足元 綿足袋 / ポリ足袋
足袋インナー 足袋インナー
履物 雪駄

数もそろってきたので、冬 (ウール) は 1 枚だがそれ以外の季節は 2 枚ずつ着回している。

去年の初夏、麻が涼しいと聞いたのでネットショップで古着を見ていたら、能登上布の長着があったので購入した。これが大当たりで、洗濯した後の乾きの早さと風が吹いたときの涼しさは感動物だった。

襦袢は半襦袢にしようかと思ったが、お店の人が「麻の長襦袢なら肌着なしでも着られます。暑さは綿の半襦袢と変わりません」と言うので、素肌に直接麻の長襦袢を着ている。最初はちょっとちくちくする気がしたがすぐ慣れた。

盛夏も麻・麻の組み合わせで過ごしているが、「涼しいか」と聞かれれば「風が吹けば」としか答えられない。私は大体冷房の効いた屋内にいるので問題ないが (もともと洋服のときも冷房下では長袖を羽織っている)、一日中外を歩くとなるとつらい気がする。

秋冬春

昨年の京都は 10 月に入っても真夏日になるような暑さだったので、麻の長襦袢を直接着る時期も長引いた。やっと涼しくなってきたと思ったらすぐ肌寒くなり、といってコートを出すには早く、そんなときはスタンドカラー (立襟) シャツが活躍する。

コートを羽織るようになると袖口が隠れるので下は長襦袢でもよくなるが、最高気温が 5 度を下回るような寒さの厳しい日にはヒートテックタイツ、ステテコ、T シャツ、スタンドカラーシャツの上にモスリン長襦袢、そしてウール長着と三重四重に着込んでいた。

マフラーを巻くときは端を衿元に入れている。胸の部分が直に外気に触れることもなくなり、胸から腹にかけてもちょっと暖かくなった気がして快適だ。時代劇映画を見たりするとマフラーっぽい布をさまざまに巻いていて面白く、参考になる。

春になってコートを着るか迷うときにもスタンドカラーシャツが便利だ。私の中ではすっかりモスリン長襦袢と麻長襦袢のつなぎとして定着している。

着方

最初は長襦袢・長着とも腰紐を締めていたが、半年くらいで長着は腰紐を締めず直接帯を巻くようになり、今では一切腰紐を使わずに着ている。着るときに前身頃をしっかり体に巻きつけるからか、意外とこの方が衿が崩れにくい。

順を追って説明すると以下の通り。

  1. 肌着・足袋を身に着ける。
  2. 襦袢を羽織る。
  3. 長着を羽織る。
  4. 襦袢の袖を長着の袖に入れる。
  5. 襦袢と長着の衿の背中心を合わせる。
  6. 襦袢と長着の袖口上部を重ねてつかみ、腕を伸ばして軽く振り、襦袢の袖を整える。
  7. 襦袢の右前身頃、襦袢の左前身頃、長着の右前身頃、長着の左前身頃の順で体に巻きつけていく。
  8. 右手で長着の左衿先を右腰に押しつけておき、左手で腰の辺りの背中心が大体真ん中に来ていることを確認する。
  9. 右手は腰に押しつけたまま、左手で帯を取り手先を右手に挟む。
  10. 反時計回りに帯を巻く。帯を回すのは面倒なので自分が回る。
  11. 体の前で帯を片ばさみに結ぶ。
  12. 体の前後で帯を上からつかみ、時計回りに半回転させる。最後にちょっとだけ反時計回りに戻し、お尻のあたりの背中心が大体真ん中に来ていることを確認する。
  13. 左腕を襦袢の袖の中に引っ込め、左手を肌着と襦袢の間に差し込んで襦袢の右衿をつかむ。右腕を長着の袖の中に引っ込め、右手を襦袢と長着の間に差し込んで襦袢の左衿をつかむ。それぞれつかんだ部分を後方に引くような感じで、襦袢の衿を整える。
  14. 左腕を長着の袖の中に引っ込め、左手を襦袢と長着の間に差し込んで長着の右衿をつかむ。右腕は袖から出し、右手で外から長着の左衿をつかむ。それぞれつかんだ部分を後方に引くような感じで、長着の衿を整える。

書き出してみると結構長いが、時間にすれば 5 分をちょっと越えるくらいか。急いでいるときは背中心の確認や最後の衿の調整を省略することもある。

半衿

古着の麻長襦袢には半衿がついていなかったので、自分でつけている。長着と帯を持って半衿のお店に行き、「これに合わせる半衿を探しているのですが」「気軽に洗濯したいので」と伝えると、お店の人がポリの半衿をいくつか出してくれる。その中から気に入ったものを選ぶという具合だ。

季節によってお店の品揃えも変わってくるようで、春から初夏にと 4 月に買ったものは楊柳、夏に向けて 6 月に買ったものは絽、秋用にと 9 月に買ったものはしぼのない生地だった。

半衿のつけ方」というページを参考に付けてみたところ、最初は 1 時間近くかかった。次に付けるときは縫い目を荒くしてみた (6〜7 cm くらい) ので 40 分ほどでできたが、着るときに縫い目が引っかかったりしてちょっと不安になった。ある程度縫い目が粗く、でも糸が表面に出ないようにと耳ぐけにしてみたら、かえって手間取って 1 時間半以上かかってしまった。

端から端まで一気に縫おうと糸を長く取っているから、よれて絡まないよう慎重に縫い進めることになり、逆に遅くなっているのかもしれない。縫い目の粗さなどもよい塩梅にして、もっと早く付けられるようになりたい。

足袋

着物を着始めたときにそろえたストレッチ足袋だが、1 年ちょっと、60 回ほど履いて同じ数だけ洗濯すると、さすがに親指に穴が開く。新しいものを買うに当たってストレッチでないものを試してみることにした。

靴よりワンサイズ (0.5 cm) 小さいものがいいと聞いたので、まずそれで買ってみた。お店で試し履きしたときは、ちょっときつめだけどこういうものかなと思ったのだが、実際に一日中履いているとどうも足が痛くなる。洗濯による縮みを考慮し忘れたのかもしれない。

靴と同じサイズのものを買ってみたところ、足はよいのだが足首の部分にやや隙間ができ、コハゼがちょっと外れやすい感じだった。既製品でジャストサイズのものを探すよりは、ストレッチ足袋にしたほうが楽かもしれないと思い始めている。

下着

トランクスを穿いていたのだが、自由すぎるのが気になってボクサーブリーフに替えた。ふんどしはトイレ (特に洋式トイレで座って用を足すとき) の手間が気になって、試してもいない。

洗濯

冬は月 1 回ほど、春秋は 4〜5 回着るたびに洗濯機で洗っている。汗をかく季節になってくると、長襦袢のほうは洗濯機と別に毎回洗面台で衿だけ軽く手洗いする。夏場、長着は 2〜3 回着たら、長襦袢は着るたびに洗濯だ。

面倒なので半衿を外して洗うということはなく、付けっぱなしで長襦袢ごと洗濯機にかけている。アイロンもかけておらず、干すときに衿を手で叩いたり全体を軽くひっぱたりして伸ばしている。

一度、古着で買った長着を洗濯機にかけたら 5 cm くらい縮んでしまったことがあった。幸い内揚げに余裕があったので和裁士さんに丈出ししてもらった。綿と思って買ったのだが和裁士さんの見立てでは正絹であり、家で洗うにしても押し洗いでとのことだった。

繕い物

古着だと微妙にサイズが合わなかったり、着ているうちにほつれたりするので、適宜繕っている。小学校のときの家庭科の裁縫セットを使い続けているが、洋針だと麻の生地に通しにくかったので、和針 (四の三) だけ新たに買った。

f:id:nanto_vi:20140817140006j:image:medium:left 古着の麻単長着。店頭で羽織ったときはちょうどいいくらいかと思ったが、買って帰ると思ったより丈が長かったので、裾を三つ折りにして三つ折りぐけで縫いとめた。

f:id:nanto_vi:20140817140134j:image:medium:left 古着の麻長襦袢。裄が短めの長着と合わせると襦袢の袖が少し飛び出してしまうので、肩上げをして裄を縮めた。

f:id:nanto_vi:20140817152016j:image:medium:left f:id:nanto_vi:20140817152121j:image:medium:left 古着の麻長襦袢。ネットショップで購入したもの。ショップの写真でもシミ・黄ばみが確認できる状態であり、何度か洗濯したら肩の衿に近い部分が破れてしまったので、裏から布を当てて補強した。継ぎ布に使ったのは破れた綿 Y シャツの布地。

自転車

一度尻端折りして自転車に乗ってみたところ、袖や裾は思ったより邪魔でなかったが、かかとの固定されていない履物でペダルをこぐのが怖かったので (雨上がりの夜道だったのもあるかもしれないが)、以後乗っていない。小学生のときはビーチサンダルで自転車を乗り回していたはずなのだが。

しかしながら、浴衣の裾をちょっとたくし上げて自転車に乗っている人や、着物にモンペを穿いて乗っている人を目にすることもあるので、着物で自転車に乗ること自体は不可能ではないと思っている。

旅行

和服で泊りがけの旅行にも行った。夏に麻長襦袢 1 枚 (着たきり) で 1 泊したときは、ホテルでシャワーを浴びるのと同時に襦袢を水洗いし、バスタオルで軽く水気を吸って、室内に一晩干して翌日も着た。バスルームの洗濯紐を使おうと思ったら、襦袢の下半分がバスタブの側面に引っ付きそうだったので、結局袖に腰紐を通し、その両端を電気スタンドとクローゼットに結び付けて干した。

旅行中ずっと和服で通すのなら洋服のときと荷物の量は変わらないが、和服と洋服両方持っていくとなると荷が多くなってしまう。特に履物をそれぞれ用意しないといけないのが結構かさばる気がする。

よそ行き

持っている和服はみなカジュアルなものばかりだが、結婚式の二次会くらいまでならそのカジュアル (着流し) で参加することもある。さすがに披露宴となるとそれではまずいだろうから洋装で行くようにしている。

まとめ

もう和服を着ることが習慣というか、服のローテーションの一環という感じになっており、人からなぜと聞かれたときもそのように答えている。

2014-06-22

九州南半分乗りつぶし

冬の終わりか春先かという時季に、九州へ行った。

初日

f:id:nanto_vi:20140221120512j:image:medium:right 移動日。朝に京都を出て新幹線で福山まで。呉線経由で広島に着き、駅ビル内「麗ちゃん」のお好み焼きで昼食。そばのボリューム感がすごかった。

f:id:nanto_vi:20140221173528j:image:medium:left f:id:nanto_vi:20140221173012j:image:medium:left 山陽本線で西へ西へと向かい、宇部線小野田線を通って日が沈むころ長門本山駅に到着。1 日 3 本しか列車の来ない駅、海越しには街の灯と船の灯。f:id:nanto_vi:20140221173317j:image:medium:right

関門トンネルを抜けたところでこの日は終了。小倉駅のかしわうどんの、甘辛く煮た鶏肉が空腹にしみる。九州に来たのだからと駅前のコンビニでブラックモンブランを購入。

2 日目

f:id:nanto_vi:20140222055015j:image:medium:left にちりんの DX グリーン車で日豊本線を一気に南下し宮崎空港駅まで。南宮崎に戻ったら今度は日南線に乗り換え。

f:id:nanto_vi:20140222141756j:image:medium:right 終点の志布志駅で折り返し列車を待つ間、何かないかと案内板を見たら志布志市役所志布志支所の隣に大慈寺というお寺があるので寄ってみる。本堂の脇の鳥居をくぐって裏山を登っていくと小さなお堂があったり、「河童の庭」という石庭があって河童像がお出迎えしてくれたり。f:id:nanto_vi:20140222143234j:image:medium:left f:id:nanto_vi:20140222144809j:image:medium:left 思わぬ発見に満ちていて、これも旅の楽しみの一つ。

f:id:nanto_vi:20140222163651j:image:medium:right 日南線を戻る途中、南郷駅で乗り換え待ち。駅前のお菓子屋さんで「なんごうマンゴー」という語呂のよさに惹かれおやつにと購入。南宮崎に戻ったら再び日豊本線を南下、都城で一泊した。

3 日目

f:id:nanto_vi:20140223082834j:image:medium:right 車窓に桜島を眺めつつ鹿児島中央駅へ。九州新幹線で熊本に移動し、熊本〜三角間を特急「A 列車で行こう」で往復。車内のバーカウンターで天草焼きドーナツとデコポンのハイボールを買い求め、昼間からほろ酔い気分。f:id:nanto_vi:20140223102400j:image:medium:left f:id:nanto_vi:20140223104010j:image:medium:left

f:id:nanto_vi:20140223112008j:image:medium:right 再びの新幹線で久留米に向かう間、熊本駅の駅弁「鮎屋三代」をつまむ。鮎の甘露煮と焼鮎出汁で炊いたご飯の組み合わせに箸が止まらない。久留米からは乗りつぶし目的で久大本線を日田まで往復、新幹線で博多に出てはすぐ折り返し、新八代まで移動。

f:id:nanto_vi:20140223162445j:image:medium:right f:id:nanto_vi:20140223170130j:image:medium:right 新八代から川内までは肥薩おれんじ鉄道の観光列車「おれんじ食堂」。沈む夕日を眺めつつディナーをいただく。車内で絞った濃厚なフレッシュジュースに始まり、噛み応えのあるブリ燻製や箸で切れる和牛スネ肉赤ワインソース煮など、地元の食材を堪能した。

f:id:nanto_vi:20140223171459j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223164614j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223172728j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223173356j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223173956j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223175306j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223180344j:image:medium f:id:nanto_vi:20140223181638j:image:medium

川内からこの日 5 回目の新幹線で鹿児島中央、日豊本線で都城に戻りもう一泊。

4 日目

f:id:nanto_vi:20140224111945j:image:medium:right f:id:nanto_vi:20140224115626j:image:medium:right 吉都線で吉松に出たら肥薩線に乗り換え。えびの高原を見下ろす車窓を楽しみ、人吉からは九州横断特急で熊本経由の大分まで。人吉駅の駅弁「くりめし」に舌鼓を打ち、雪をかぶった阿蘇五岳を眺めた。

f:id:nanto_vi:20140224143436j:image:medium:left 大分からは特急「ゆふいんの森」で久大本線を日田まで。おやつには車内ビュッフェで購入した山荘無量塔 P ロールとカボス生ジュース。豊後森機関庫や慈恩の滝が車窓を流れる。

f:id:nanto_vi:20140224161036j:image:medium:right 日田焼きそばを食べたら日田彦山線で小倉に戻る。小倉からは新幹線で一気に帰洛。行きは 12 時間以上かかって九州入りしたのに帰りは 2 時間半、新幹線様々である。

後日談

帰りの新幹線にお土産の紙袋を忘れ、着払いで送ってもらうはめになった。