Hatena::ブログ(Diary)

APEX代表理事のブログ

2015年12月18日

ブラウィジャヤ大学で講演

「適正技術と代替社会」の本のインドネシア語版が出てから、機会ある毎に大学などで話させてもらっていますが、今回は、東ジャワ州のマラン市にあるブラウィジャヤ大学で講演させてもらいました。2015年12月14日のことです。日本ではそれほど知られていませんが、インドネシアでは有名な国立大学で、14学部に約60,000人が学んでいるそうです。先月SATREPS事業の研修に参加された、機械工学科のデニー先生からお招きを受けて、講演させてもらうことになったもの。
 お隣のマラン国立大学キャンパスがつながっていますが、どちらも、広々とした、緑の多い敷地にきれいな校舎が立ち並ぶ、立派な大学でした。講義は機械工学科の大きな講義室でしたが、ずいぶんていねいに受け入れてもらい、わざわざ講義の横断幕までつくってくれたのです。
 参加者は主に学生でしたが、講師の方、研究者の方も含め、およそ50名の方が聞いてくれました。適正技術について、排水処理の実践、バイオマスエネルギー利用技術の開発、これからの技術のあり方などを話していきましたが、ついつい話が長くなり、2時間くらい話ました。終わりのほうで少しバテ気味になり、質疑の時間もなくなってしまったので、次からはもう少し時間配分も考えてくふうしなければと思いました。学生の人たちとやりとりする時間がとれなかったは少し残念でしたが、表情を見るかぎり、およそ半分くらいの人は、最後まで集中を切らさず聞いてくれた気がします。
 招待してくれたデニー先生は、牛の糞を原料にしたバイオガスの生産・利用や、マイクロ水力発電などのプロジェクトを手がけられているそうで、適正技術の話に多いに共感してくれました。これからも何かと連絡し合う関係になりそうです。
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講義のようす
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横断幕まで準備してくれました

2015年11月20日 コミュニティ排水処理システムの竣工式 このエントリーを含むブックマーク

今月は、中部ジャワ州テガール市のスレロックというコミュニティで、コミュニティ排水処理システムの竣工式がありました。2015年11月6日のことです。現在実施中のプロジェクトでは7基目、以前のプロジェクトの分も含めると9基目になります。テガール市では2基目です。
今回は、テガール市政府が地方政府予算で処理施設をつくり、私たちがJICA資金で管渠をつくる、という分担でした。それぞれの家から最寄りの汚水枡へのつなぎ込みは、住民の負担です。
このスレロックの施設は、これまででもっとも手がかかったものです。特に地方政府が契約した処理施設の工事業者がきわめて劣悪で、確認すべきことをはなはだしく怠り、処理水槽の方向を東西逆に設置してしまい、配管の引き回しで対応する、という考えられないことまで起こりました。何の目的で何をつくっているのかという意識がまるでないので、配管の勾配が逆になったりもします。水槽の漏えいも茶飯事のように生じ、マンホールを開けるべきところをすべてコンリートで固めてしまう等々。ただ、先方ばかりを責めるわけにもいかず、私たちの管理も甘かったわけです。
それでもひとつひとつ対応して、やっとできたと思ったら、今度は夜陰に乗じて、回転円板を駆動するモーターや減速機が盗まれてしまうという事件がありました。せっかくコミュニティの人たちによろこんでもらおうと思ってやっているのに、そういうことをする心無い輩がいるわけです。モーターや減速機だけでなく、塩ビの配管まで切って持っていかれてしまったのにはまいりました。これらはもう新たに追加する以外にありませんでした。ポンプもよく故障するので、スクリーンを増強し、ポンプも故障しにくいタイプに替えと、抜本的な改善をしました。普通、ポンプから出た水は、流量を平滑化するために、かなりの部分がまたポンプ室へ戻ってぐるぐると循環するのですが、新たに考案した、循環しなくても流れを均すことができるショックアブソーバーというものも導入していて、これで電気の節約もできます。
そんなことをやっているうちに、本来は2014年の1月にできるはずだったものが、えんえんと延びて、ついに今月、竣工式を迎えたわけです。住民の人たちが、よく途中で投げ出さずについてきてくれたと思います。まだつなぎこんでいる家は44軒ですが、家の中のあらゆる排水をただシステムに流せばいいのは、やはり快適なようで、徐々に接続がふえていきそうです。インドネシアで普通に行われている嫌気性処理だけの施設と比べて、処理水質は格段にいいので、処理水で魚でも飼ってみたら、といっておきました。
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2015年10月14日

ジャナバドラ大学で講演

バンドン工科大学、インドネシア大学に続いて、ジョクジャカルタのジャナバドラ大学(Universitas Janabadra)という大学で話をさせてもらいました。あまり有名な大学ではないのですが、1958年設立で、法学経済学、工学、農学の4学部に約4,000人の学生を擁する、それなりの伝統と規模をもった大学だそうです。
今回は授業の形ではなく、工学部機械工学科の創立19周年記念の、再生可能エネルギーに関するセミナーにお招きを受けたもの。講師は、ジョクジャカルタ特別州エネルギー鉱物資源局担当部長のエディ・インドラジャヤ氏と、ジャナバドラ大学で小規模水力発電の研究をされているイスマント講師と、私の3名でした。
参加者は90〜100名くらいで、おおむねジャナバドラ大学の学生や研究者ですが、他の大学や企業の方なども多少参加されたようです。私は、『適正技術と代替社会』に書いた適正技術の今日的意味の話や、開発中のバイオマスの流動接触分解ガス化を例に、これからの世界に必要とされる技術をどのように開発していくか、という話をさせてもらいました。
おそらく、話の趣旨を一番よく受け止めてくれた方の一人は、私の次に講演したエネルギー鉱物資源局の方で、私は、これから必要とされる技術が備えるべき要素として、環境に負担をかけないこと(environmentally friendly), 再生可能であること(renewable), 人々がコントロールしやすいこと(controllable), 人々が参加しやすいこと(participatory)の4つをあげたのですが、その方のお話の中で、それを何回も引用してくれました。ジョクジャカルタ特別州でも、海沿いの地域に風車を設置するなど、再生可能エネルギーの導入に向けた動きが始まっているようです。
イスマントさんの小規模水力発電の話がおもしろく、通常、水力発電は、落差のあるところで行われるのですが、落差はないものの、ある程度の流速のある、平坦地を流れる川の水流を利用して発電するものです。それに適するように、水力を受け止める羽根の形や動きがくふうされています。APEXで取り組んでいるコミュニティ排水処理システムは川沿いの土地につくることも多いので、こういうもので発電して、それで回転円板を回せないか、などと考えるのは楽しいことでした。
質問では、バイオマスガス化の経済性や、運転上の問題など、よくあるタイプの質問が出ました。学生の受け止め方からすると、インドネシア大学やバンドン工科大学の時のほうがホットでした。また、機会があれば、他の大学等にも出かけてみたいと思います。
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2015年08月23日

インドネシア大学で講演

『適正技術と代替社会』のインドネシア語版出版にちなんで、バンドン工科大学で講義ができたので、次はインドネシア大学かガジャ・マダ大学当たりで・・・と考えていたら、思いがけずインドネシア大学での講演が実現しました。

ただ、今回は大学のカリキュラムの中の講義という位置付けではなく、東工大留学生留学生OB・OGの方々が主催している、全国学生科学技術論文コンテスト的な催しの、有力候補者プレゼンテーション〜受賞者表彰イベントのキーノートスピーチを頼まれたもの。その会場がインドネシア大学で、参加者もインドネシア大学の学生が6割くらいでした。

本番の三日くらい前から、そのイベントの関係らしいSMSが私の携帯に入り始めました。はじめは、申込み状況を知らせるために、イベントの事務局が送ってきているのかなと思ったのですが、そのうち、もしかするとこれは、私の携帯番号が、申込み先として間違ってアナウンスされているのではないかと思いあたりました。実行委員会に問い合わせると、実にそのとおりだったのです。訂正のアナウンスはしてもらったものの、時既に遅しで、その後も続々と申込みが入ってきます。しかたないので、メールを転送したり、「まだ間に合いますか」的な問い合わせに答えたり、受付の事務も手伝い始めました。そのうち、もう100人収容の会場が満杯だというので、今度は来るメール、来るメールにお断りの返信を出しました。断った数15〜20名ぐらい。ただ、本番では、申し込んで来なかった人もいたようで、70名くらいの参加でした。断った人たちに申し訳ないことをしました。

本番は8月22日の午前中でした。インドネシア大学は、ジャカルタとボゴールの中間のデポックというところにあり、キャンパスは広大で、構内に鉄道の駅もあるくらいです。私の講演・質疑は約2時間でしたが、熱心に集中して聞いてくれる人が多く、こちらとしてもやりがいがありました。今回もインドネシア語でやりました。私の議論は、やや極端にとられやすい面もあり、近代化批判が、いわゆる「途上国」の人たちの反発を招くかもしれないのですが、参加者の顔色や彼らとのやりとりからして、おおむね受け入れられたようです。

質問もたくさんでましたが、今回は技術的な質問以外に、「企業はプロフィットをあげなければいけないが、『参加型の技術』とプロフィットをあげることは両立できるのか?」、「なぜインドネシアをフィールドとしているか、インドネシアは適正技術開発に適しているのか」、「適正技術開発を進めていくためにはどうすればいいか」、「原子力技術に可能性はあるか」、「どういう技術分野に取り組めばいいか」等、本質をついた質問や、自分たちも適正技術開発に取り組みたいという意思を前提にした質問が多く、かなり深いところまで理解してくれたと感じました。

そういう意思を持つ若い人たちをどうやって支援していくのか、こちらも大きな宿題をもらった気がします。

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2015年04月14日 バンドン工科大学で講義 このエントリーを含むブックマーク

『適正技術と代替社会』のインドネシア語版が出たので、コミュニティ排水処理の事業やバイオマスのSATREPS事業の紹介も兼ねて、ほうぼうの大学などで話をさせてもらうことを考えていましたが、それが意外と早く実現しました。それも、インドネシアの理工系では最高学府といえるバンドン工科大学の工学部での講義です。排水処理関係で15年来のおつきあいのある、チャンドラ先生が、来賓の講義としてアレンジしてくれました。講義はインドネシア語で行い、参加した学生は百数十名くらい。

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講義のようす

どうやって準備を進めるか、というより、最近は仕事が多いので、どうやって準備する時間を見出すかが問題でしたが、何とか間に合わせ、本番に臨みました。中には、スマホをやったり、あくびをしたりしている人もいるのですが、全般によく話を聞いてくれ、いちいちうなづきながら熱心に聞いてくれる人も少なからずいました。内容は、およそ本の内容に近いものですが、あまり準備にこだわらず、自由に思いつくことを述べていった感じがあり、なかなか気持ちよく話せました。

90分で話すつもりが110分くらいかかり、質疑の時間がとれなかったのが残念でしたが、それでも終わってから学生たちが寄ってきて、いろいろと質問を受けました。話は技術的な面と、哲学的・社会学的な面があるのですが、質問はおよそ技術的なことで、後者のほうを、どれくらい理解してくれたのかはよくわかりません。それでも、こういう風にしていけば、インドネシアの若い人たちにも、少しずつ伝えたいことが伝わるかもしれない、と希望が持てました。これからも機会を見つけて、こういうことをやっていきたいです。

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チャンドラ先生から感謝状をいただきました。