何事もシンプルが難しい!(20mmのCuore)

ヴェネツィアンビーズ製作を始めて特に感じることは、何よりシンプルが一番難しいということです。今回の新作Cuore(ハート型)20mmは、中に金箔を封入するテクニックとハート型というヴェネツィアンビーズの王道(基礎?)とも言えるビーズですが、シンプルが一番難しいということを教えてくれるビーズだとも言えます。

特に今回新色の透明の赤は、探すことも、製作することも困難なやっかい者!?(笑)ですが、この赤を一度みたらその困難さを乗り越えても作ってみたい(手にしてみたい)衝動に駆られると思います。透明の赤いガラスは、カンナ(ビーズ用棒状ガラス)の状態ではその品質が良いかどうか、綺麗な赤が出るかどうかが分かりません。他の色と違い赤い透明色は、冷えた状態では薄い黄色で中心に帯状の赤いラインが見えるだけで熱したときの赤い色は、イメージできません。

その上、一度熱しただけでは、この燃えるようなヴェネツィアンガラスの赤い色は出ないので、一度熱し、冷ましてから冷め切らないうちにもう一度熱する、という作業を一つのビーズごとに繰り返さなければいけないのです。ビーズの中に金箔が入っているのに、ガラスを何度も熱するということは金箔が溶ける(壊れる)リスクがそれだけ高いのですが、やはり透明な赤のしかもハートの中はやっぱり「金」でしょう!ということで…「情熱の赤」でハート!です。Wow!

ビーズもこのくらいの大きさになると、シンプルな分、中の金箔の状態やガラス各々の色の品質が良く分かります。ガラスの性質、色の出し方、扱い方、金箔の性質を理解しないで作るとそれなりのものしか出来ません。シンプル(基礎)が大切なのは、料理などと同じで材料の品質を理解しないで(また理解する目を養わないで)扱っていれば、その後の発展的なものも作り得ないですし、この基礎(土台)を安定したものに築きあげるには困難さを伴う、と言うことだと思います。