うさみ日記

東京都日野市からまいりました宇佐見直人です。ITとかマーケとかの話や、勉強した話なんかをするよ。

綾小路きみまろについて本気出して考えてみた、という話。

なんかのCMで綾野剛さんと綾小路きみまろさんが出てるじゃないですか。
あのー、あれ、グリル。あ、ガスコンロのCM。
綾野剛さんはかっこよく、綾小路きみまろさんは情けなく、
それぞれの役割を果たしつつそんなに面白くもないあのCM。


で、綾小路きみまろのおもしろさって15秒のCMではぜったいに伝わらないよなー、
って思ったんでここにメモ。


音だけでも映像でもライブでもいいけど、聞いたことあります?
綾小路きみまろのネタ。
すごいの。
とてつもないの

どこがどうとてつもないのか、みたいな話。

とりあえず箇条書きしてみよう。
1.正確なターゲティング
2.普遍性がある
3.リズムがある
4.徐々に高揚する組立て
5.失敗時のリカバリーは準備済
6.クライアントに寄り添う
7.無駄の排除


まるで
マッキンゼー出身の凄腕マーケッターが書いたビジネス成功の法則」
の本みたいでしょ?
これ、ほんとなんですよー。


では、以下解説。

1.正確なターゲティング

ターゲットは中高年女性です。
言われなくてもわかると思うけど、中高年女性。
本人も「中高年のアイドル」って言ってるけども。


平日の昼間に喫茶店にいるような、
朝からデパートにいるような、
「だんなさんはどっかの会社で今頃働いてんだろうなぁ」
というような中高年女性。
で、ライブを見に来てくれる人か、CDを買ってくれる人。


少子高齢グローバルIT化が進む昨今ですよ。
これ、人数も多いし予備軍もまだまだ多い、お金も持ってる人たちですよ。
若者に刺さるような新しい笑いではなく、
あれから40年!若者だったあの頃から40年経った女性に届ける笑い。
スマホばっかいじってる若者はこっちから圏外。

2.普遍性がある

そう、あれから40年!
みんな同じような体験をしてるんです。
だって同じような体験をしてる人たちがターゲットなんだもん。


誰にでもウケるような笑いじゃないけど、
分厚い人数がいるし、
絞り込んでるからこそ、
ネタが特化できるし、多数を獲得できる。


結婚して30〜40年経った女性がコアターゲットで、
その前後を巻き込むことができるんです。
しかも若者向けの「新しい笑い」のように、
数年で飽きられることもない。


中高年に向かって中高年が中高年の話をするから理解される。
誰でも昔は若かったし、誰でも歳はとるし、
一度歳を取ったら後戻りはしないのだから。

3.リズムがある

はいここで記事引用。
綾小路きみまろの駄洒落&ジョーク入門【2】 (2/3) | プレジデントオンライン

吸う、吐く、吸う、吐く。リズムが合わないと、客席は凍ります。
しかしそのタイミングさえ合えば、私が投げたものをお客さんが受け止め、
見えないキャッチボールが始まるのです。
すると会場の2階、3階まで、うわーっと波打つように笑ってくれます。

ハイこれ!


話の内容が伝わってるかは当たり前で、
呼吸のリズムまでも意識しているんです。
女性同士の会話って、
呼吸やリズムも含めて盛り上がるじゃないですか。
あれをね、訓練してできるようにしてるんですよ。
大勢の前で話すことの修業をしっかり積んでるんですよ。


「あれから40年!」とか「がんばっていただきたいのです!」
といった決めフレーズもリズムを作るポイントですね。
最初は意味を理解してから笑ってるのに、
だんだん決めフレーズが出ただけで笑うようになってくる。


大爆笑後も、笑い声が終わりかけてから次に入ってます。
笑いが少し残っている間、
笑いが消えてからではなく。

4.徐々に高揚する組立て

徐々にペースアップ&笑いの大きさがアップするんです。
以前twitter
綾小路きみまろってナイツの上位互換だと思うの。」って書いたんですが、
ナイツのネタも徐々に高揚してるんですよね。
ただし昨今のテレビ番組的な笑いを意識せざるをえない、
立ち上がりも早いが最大風速が上がりきらない(そこが好きでもあるけど)。
マリオカートで言うとピノキオ的なんです。


そこへ行くと、ほぼ劇場orCD専門だから時間が取れて、
だからこそマリオカートクッパ大王がスター取ったくらいの笑いが作れる。
誰もが大爆笑の幸福な空間です。

5.失敗時のリカバリーは準備済

綾小路きみまろの駄洒落&ジョーク入門【2】 (2/3) | プレジデントオンライン

呼吸が合わないときは、逃げる、謝る、あきらめる。選択肢がいくつもある中で、
私は扇子を持って、講談のように1回パーンと叩きます。すると犬でも猫でも動きが止まり、
呼吸が揃い、再びスタートラインに立つことができるのです。


はーそうですかー。


って思うけど、誰かこれができる技、ある?
例えば緊張感のあるプレゼンでなんか失敗して立て直すための
定番のワザって持ってる?
ふつう無いと思います。
あ、ライブ慣れしたミュージシャンの人とかだとあるかも。


うまくいく道筋の練習はするけども、
失敗とリカバリーも組み込むってすごい。
組み込んでるんですよ。
失敗するのが当たり前だと思ってるんです。
そして失敗から立て直せるだけの経験がある。

6.クライアントに寄り添う姿勢

毒蝮三太夫綾小路きみまろ
どちらも毒舌なのにどちらも中高年に愛される。


単純に歳が近いから受け入れられてるんじゃないの?
というとそんなことはなく、
毒を吐いた後には自分をもっと貶める。
真正面からぶつからず、
同じ方向を向いているから受け入れられる。
プレゼンでも「相手と方向を共有できるか=目標を共有できるか」が、大事でしょ?


そして、しかも蝮さんときみまろさん、
つぶしあってないんですよ。
ターゲットは似ていても実はまったく違うビジネスモデル。

7.無駄の排除

ハイまた引用!
綾小路きみまろの駄洒落&ジョーク入門【1】 (4/4) | プレジデントオンライン

たとえば「するんですね」の語尾についている「ね」は、必要なのか。余分だと思ったらカットする。こうやってそぎ落としていって、主語と述語だけが残ればいいぐらいのイメージを持つ。最後には主語も述語も省いて、黙っているだけで笑いが起きるのが私の理想です。

Oh...
He is a real cool guy.
He is The ZEN Master.
最高。


資料とかサイトとか作る時にさー、
なんか無駄なもの入れちゃうことってあるじゃん。
がんばって作った図だから削らないけど、落ち着いて見直すといらないような。
最初から作り直すとしたらぜったい入れないような。
さて、ここまで読んだ奇特な人はぜひこれを見ていってください。

ついでに書いとく話。音楽とお笑い。

音楽業界はどんどん形を変えていってると思うんです。
レコード→テープ→CD→ダウンロード→ストリーミング
という接触方法の変化に伴い、ライブの重要性や位置づけが変わったり、
テクノロジーの進化に沿ってやり方が変わってきている。


でも、なにげにお笑い業界って70〜80年代のからの進化ルートから
変化が少ない気がするんです。
テクノロジー的変化が「テレビの普及」以外に少ないからかな?
スピードや密度は変わったけど、
マイクやカメラが良くなってもお笑いはあんまり変わらない。
学校の教え方もおそらくそんなに変わらない。


そんな中、特化した成功事例としての
綾小路きみまろオンステージ&CD販売ですよ。
これはバカにできない話だと思うんだよね。
市場をこれだけ独占してるプレイヤーが
いるって、すっごい話だよね。


なんか思いつくまま書いてたら長くなっちゃった。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。


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