iRacingレポート

2015-03-16

NVIDIA 3D VISION インプレと導入ガイド


最近、NVIDIA 3D VISIONを導入し、iRacingを3Dでプレイしています。導入してすぐに分かりましたが、これはすべてのシムレーサーに強くオススメしたい、素晴らしい3Dシステムです。インプレッションと導入方法を紹介をします。



NVIDIA 3D VISIONは実車同様の視覚体験を可能にする

NVIDIA 3D VISIONは、専用の3Dメガネと3D対応モニタを使用します。導入すると、iRaingなどをフルHD+60FPS(片目)の高品位な3Dで楽しめるようになります。機器さえ揃えてしまえば、システムの構築は驚くほど簡単。もちろん、3画面(NVIDIA SURROUND、3D SURROUND)にも対応しています。

レースシムを3D化すると、「実車の運転席にいるのとなんら変わらない視覚体験」ができるようになります。「実車同様の視覚体験」を得ると、3D導入前と比べて、目から入る情報が圧倒的に増えます。その結果、運転がとても楽になり、ミスも大きく減らすことができるのです。「3Dなんてちょっと飛び出すだけでしょ?」と思う方も多いと思いますが、文字通り全く次元が違います。

・実車の運転とレースシムで、感覚が大きく違う
・ライン取りが安定しない
・先がよく見えないコーナーが嫌い
・OptimalタイムとBestタイムの差が大きい
・昨日掴んだ感覚がなかなか思い出せない
・姿勢変化が分かりづらくスピンしてしまう
・速い車に乗ると目が追いつかない


シムレーサーが抱えがちなこれらの症状の改善に、特に効果があります。


車は両目で運転する乗り物である

そもそも人間は、左右の目で物体を捉えることで初めて、物の形や距離を把握できるようになります。そのため、片目を閉じると、とたんに立体感と距離感を失ってしまうのです。実車を運転中に片目をつぶると、距離感が分からなくなり、とても怖い思いをします。距離感を失うと、スピード感が鈍り、車幅間隔もなくなります。この原理は、そっくりそのままレースシムにも当てはまります。3D化されたレースシムでは、失われていた立体感、距離感、スピード感を得ることが可能になり、その結果として運転がしやすくなるということです。実際、3Dに慣れたあとで急に3D効果を切ると、目隠しをして走っているような気分にさえなります。

自分の場合は、3D導入以前は、鈴鹿のデグナーカーブや、茂木のビクトリーコーナー、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのコーナー全般が好きではありませんでした。先がよく見えないし、クリッピングポイントとの距離感が分かりづらく、ラインを外しやすいからです。しかし、3D導入によってこれらのコーナー、サーキットの印象は完全に変わりました。視覚で得られる情報が大幅に増え、コースの幅やRがひと目でわかるようになったことで、以前よりも何倍も安定して走れるようになったのです。

今から思えば、以前は2D化された情報を脳内で無理やり3Dへ戻す作業が必要でした。これは視覚から得る情報だけでできるものではなく、何度も何度もコースを走り、ミスをしながら少しずつコースの幅やRを頭に入れて、コースを体に覚えさせるような作業です。実車では不要な作業ですから、これが苦手だからといってレースシムが苦手ということにはなりません。2Dのレースシムは情報が足りなさすぎたのです。


3Dメガネを通してコクピットから見える風景

3D VISIONを使うと「100m先にあるものは、ちゃんと100m先にある」ように感じられます。近くにあるものは近くに、遠くにあるものは本当に遠くにあるように見えるのです。「目の前にサーキットが広がっているような開放感」は2Dでは体験し得ません。3Dなので、路面のアンジュレーションなども、とてもよく分かるようになります。オーバルのバンクも立体になると大幅に迫力が増しますね。周囲にいる他車の存在感も、もの凄いです。ロードレースでのテールトゥノーズ、プレートレースでバンプしているときはかなり興奮します。

フォーミュラでは、ちゃんとコクピットの1.5mほど前方にタイヤが存在しているのがわかります。バーチャルだとはわかっていても、明らかにタイヤがそこにあるので、最初は不思議な感覚に陥ります。箱車では、ボンネットの形や大きさ、フロントガラスの存在もよくわかりますよ。

後述する輻輳(ふくそう)距離を正しく設定すれば、コクピット内にあるミラーやボタンは、画面よりも手前に飛び出してきます。もちろん手を伸ばしてもすり抜けるのですが。さらに車を降りて外から眺めてみると、本当にその車が目の前に置かれているような感覚にもなります。立体になったことで、これまで気付かなかった凹凸や、エアロパーツのディテールが見えてくるのも新鮮ですね。

ただし、重要な条件がひとつあります。それはレースシム側でFOV(Field of View:視野角)を正しく設定すること。視野角が正しい値より広い(FOVの値が高い)と、違和感があったり、3D酔いに繋がりますので、その場合は後述する奥行きの値を小さくして下さい。正しいFOVを設定するために、3画面を推奨します。



レースシムの3D化で得られるメリットまとめ

レースシムを3D化すると具体的にどのようなメリットがあるのか、まとめてみましょう。

・距離感が分かる
あらゆる物体との距離が、視覚から分かるようになります。コーナー手前の距離看板であったり、クリッピングポイント、コーナー出口、オーバルでは壁との距離などが正確に把握できるようになります。これにより、サーキットを3次元で捉えられます。距離感の向上はブレーキングポイントの正確性にも直結します。

・ラインが正確に取れる
実車やカートではクリッピングポイントは滅多に外さないのに、レースシムではうまくクリッピングが取れないということはよくあります。3Dでクリッピングポイントとの距離を把握できていると、そこを通過するようにステアリングを切り込むのが容易になります。同じ理由で、コーナー出口に向かって加速していくのも楽になります。

・スピード感が増す
レースシムはスピード感がないとよく言われます。FOVを正しい値に設定していると、特にそういう傾向があります。しかし、3Dにすると実車同様のスピード感が得られるようになるのです。これは、3D化によって遠くにあるものが手前に近づいてくるという感覚が生まれるからです。

・姿勢変化が分かりやすくなる
実車では車の姿勢変化は、Gの変化で察知するものと言われます。しかしレースシムにはGがないので、視覚と、FFB、音などで把握するしかありません。3D化すると、このうちの視覚の情報が増えるため、アンダーステアオーバーステア、リアが滑りだした瞬間などを把握するのが格段に楽になります。横滑りをカウンターステアで修正するスライドキャッチも、より早く正確にできるようになります。

・アンジュレーションが把握できる
ロードアトランタやソノマなどのアンジュレーションがきついサーキットは、ブラインドコーナーが多いのが特徴です。3Dであればアンジュレーションを3次元で捉えることが可能になり、アンジュレーションの先にあるブラインドコーナーへの進入、または脱出のライン取りが楽になります。

・視線のトレーニングができる
3D VISIONを使うと、普段の生活と同様に、遠くを見るときは「遠くを見る目(両目の視線が平行に近くなる)」、近くを見るときは「近くを見る目(両目が内側を向く寄り目)」になります。実車を運転するときは、ブレーキングポイントやクリッピングポイント、コーナー出口を確認するときに、自車のポジションによって「遠くを見る目」と「近くを見る目」を頻繁に使い分けることになります。2Dでは「近くを見る目」だけで運転しますが、3D化すると実車同様の視線のトレーニングをすることができます。

また、「近くを見る目」だけで運転を続けると、目の筋肉が疲れやすいです。3D化で「遠くを見る目」を多く使うことで、目がリラックスした状態で運転できるようにもなります。

・ベゼルが半透明になる
3画面環境でとても困るのがモニタの枠、ベゼルによる死角です。ベゼルが邪魔になって目標物やクリッピングポイントが見えなくなるのは、3画面でプレイするときの永遠の悩みでした。しかし、3D VISIONを導入すると、ベゼルが半透明のようになり(2重にはなりますが)、ベゼルの先にあるものが見えるようになります。原理は、自分の顔の前に指を立てても、その先にあるものが問題なく見えることと同じです。自分の環境ではベゼルによる死角が左右に4センチほどずつありましたが、3D導入によって死角は無くなりました。



【総評】レースシムを実車体験に近づける最高の架け橋

3D VISIONの導入はレースシム経験の中で最大の衝撃でした。3D化は、レースシムを実車体験に大きく近づける、最も重要なカギであり、架け橋となるものであると断言できます。オンラインでレースを戦うという意味においては、3D VISIONの導入は他のドライバーに対しての大きな武器ともなるでしょう。

何度も言うようですが、コクピットから見える世界が違います。3D導入前と導入後では、レースシムが本当に別次元のものになるのです。個人的には、イライラしか感じなかった難関コースすら乗っていて楽しいくらいなので、これまでの何倍もレースシムを楽しめているのでしょう。フリーカメラでサーキット内をウロウロするのもこれまでになく面白い。Richard Burns Rallyのように、コースのすぐ脇に草木があるものはさらに楽しいですよ。後悔があるとすれば、もっと早く導入していればよかったということくらいです。

ただ注意点としては、3Dメガネが体質的に合わない方も少なからずいらっしゃるということです。自分は3D VISIONのメガネや、映画館の3Dメガネを長時間装着していても特に疲れは感じないのですが、これには個人差があることはよく知られています。3D VISIONと同様のアクティブシャッター方式の3Dメガネは、家電量販店のテレビコーナーに置いてある場合もあるので試してみてもいいかもしれません。

「百聞は一見に如かず」は3D VISIONのためにあるような諺ですね。ぜひ一度体験してみて欲しいです。問題がないようなら、ぜひ3画面で。きっとレースシムライフが大きく変わるでしょう。日本で3D VISIONを導入している人はまだ少ないのが現状ですが、海外には熱烈なファンは大勢いるようです。導入の敷居は確実に下がってきていますので、ぜひユーザーが増えて欲しいですね。

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【補足】3D映画や3DSとの違い

3Dと聞くと、3D映画、3Dテレビ、テーマパークの3Dアトラクション、3DSなどを思い浮かべると思いますが、これらと「3D VISION+レースシム」で得られる体験は全くの別物だと言えるでしょう。なぜなら、これらの3D映画や3Dテレビなどでは、画面サイズの問題や、子供への悪影響防止などの理由により、3D効果がとても小さくなってしまっているからです。3D効果が小さいと、本当は100mの奥行きがある場面でも、ほんの数m、場合によっては数センチの奥行きにしか感じられないので、正しい3D体験はできません。これらの「正しくない3D体験」をしたことで、3Dそのものを敬遠している方もいるかと思いますが、「3D VISION+レースシム」を体験すると、きっと3Dへの考えも180度変わるはずです。

3D映像は、よく紙芝居(人物などがペラペラ)のように見えると表現されることがありますが、これは奥行きが不自然に抑制(圧縮)されたことによる結果なのですね。3D VISIONがあれば3Dブルーレイを観ることもできますが、24〜27インチ程度のモニタでは、上記のように奥行きが非常に小さくなってしまいますので、3D VISIONはあくまでゲーム用と割り切ったほうがいいでしょう。
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NVIDIA 3D VISION導入に必要なもの

ここからは、3D VISION導入に必要なものについて説明します。必要なものはおもに以下の3つです。注意点がたくさんあります。
・3D VISION2ワイヤレスメガネキット(3Dメガネ)
・3D VISION2対応モニタ
・NVIDIA製のグラフィックボード

参考
NVIDIA 3D VISION(公式)
http://www.nvidia.co.jp/object/3d-vision-glasses-jp.html

NVIDIA 3D VISIONシステム要件(公式 情報古め)
http://www.nvidia.co.jp/object/3d-vision-system-requirements-jp.html

NVIDIA 3D VISIONユーザーガイドPDF(公式)
http://www.nvidia.co.jp/content/3dvision/docs/3dvision-universal-install-guide-aug12.pdf

ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力(4Gamer)
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20111113012/


3D VISION2ワイヤレスメガネキット

いわゆる3Dメガネです。3D VISION「2」となっている理由は、「初代3D VISION」が別にあったからで、それのアップグレード版になります。3D VISION2は、以前のものよりも大幅に性能がアップしました。3D VISION2対応メガネと、3D VISION2に対応したモニタを使うと、明るく、クロストーク(ゴースト)の少ない3D映像が楽しめます。

3Dに見える原理はシンプルです。モニタ上では、右目用の画像と左目用の画像が、秒間120回(片目60回)の早さで交互に表示されます。それを、高速シャッターを内蔵した3Dメガネを使用して、右目は右目用の画像だけ、左目は左目用の画像だけが見えるようにすることで、3D体験を可能にする仕組みとなっています。3D VISION2対応メガネは、NVIDIAから発売されているものだけで、1種類しかありません。モニタと同期させる信号を送る赤外線エミッターが同梱されたものを購入すれば大丈夫です。エミッター内蔵のモニタを使用するときだけ、メガネ単体で購入して下さい。

3Dメガネ
NVIDIA 3D Vision 2 Kit GV1431-3DV2R 22000円〜
http://www.amazon.co.jp/NVIDIA-3D-Vision-Kit-GV1431-3DV2R/dp/B006D9WLKO

アクティブシャッター方式を採用した3Dシステムの仕組み

画像引用:https://msc.sony.jp/member/mail/mysony/feature/20100715_1/


3D VISION2対応モニタ

モニタ選びは、3D VSION環境を構築するにあたって、最も注意しなくてはならないポイントです。必ず知っていないといけないのが、「3Dで3画面化するときは、3画面とも同一機種で揃えなくてはならない」ということです。通常の3画面化では、モニタの解像度や同期極性が合っていれば構築できますが、3Dの場合は機種も揃えないと動作しませんので、十分に気をつけましょう。また、3D VISION2対応モニタには、残像を減らす「Light Boost」という機能がついています。モニタを選ぶ際は「3D VISION2対応」などの表記や「Light Boost」の有無を確認して下さい。

次に注意が必要なのが、3D VISION対応モニタに装備されている端子の種類です。 フルHD+60FPSで3D化できるのは、DVI-DL(DualLinkDVI)、DisplayPortの2種のみです。「3D対応のHDMI1.4端子」があると書いてある製品もありますが、FPSや解像度に制限がありますのでレースシムには使用できません

1画面で3Dを楽しむなら、

Acer GN246HLBbid [24インチ] 26000円〜
http://kakaku.com/item/K0000675985/
(3D入力はDVI-DL)

のような比較的安価な製品が出ています。

3画面化するときは、各モニタを実際に接続するときに使用する端子の選び方が大切です。
・DisplayPort×3
・DVI-DL(DualLinkDVI)×1+DisplayPort×2
・DVI-DL(DualLinkDVI)×2+DisplayPort×1
・DVI-DL(DualLinkDVI)×3(難点あり)

の4つの選択肢があります。

このうち、「DVI-DL(DualLinkDVI)×3」は、1枚のグラフィックボードにDVI-DL端子が3つ備えられた製品が存在しない点が問題です。グラフィックボードを2枚使用するSLIにするか、DisplayPortをDVI-DLに変換するアクティブタイプの変換ケーブル(5000円以下で売られているものはおそらく使用できません。USBで電力を補助する2万円前後のものは機能する可能性はあります)を使用する必要があるのです。ただ、SLIはコストやマザーボード、電源などのハードルが高く、さらにiRacingでは不具合が起きる可能性もあります。そして、DisplayPort→DVI-DL変換ケーブルは機器との相性問題が起きやすいことを考慮すると、「DVI-DL(DualLinkDVI)×3」は避けたほうが無難です。

以上から考えると、簡単に3画面化できる製品というのは非常に限られてしまい、自分がオススメできそうなのは以下の4つです。

ASUS VG248QE [24インチ] 35000円〜
http://www.asus.com/jp/Monitors_Projectors/VG248QE/
http://kakaku.com/item/K0000484133/
(3D入力はDVI-DL、DisplayPort)


BenQ XL2420T [24インチ] 中古30000円〜
http://www.benq.co.jp/product/monitor/xl2420t/
http://kakaku.com/item/K0000317890/
(3D入力はDVI-DL、DisplayPort 注:公式HPにはDVI-DLのみ対応とありますが最新ドライバで動作するようです)

BenQ XL2420Z [24インチ] 37000円〜
http://www.benq.co.jp/product/monitor/xl2420z/
http://kakaku.com/item/K0000659446/
(3D入力はDVI-DL、DisplayPort 注:公式HPにはDVI-DLのみ対応とありますが最新ドライバで動作するようです)

ACER XB270HAbprz [27インチ G-Sync対応] 58000円〜
http://www.acer.co.jp/ac/ja/JP/content/model/UM.HB0SJ.A01/
http://kakaku.com/item/K0000685918/
(3D入力はDisplayPort。他の端子は一切ありません)

このうちACER XB270HAbprzは価格が高く、G-Syncは3Dとは併用できませんので、選択肢にはなりにくいでしょう。3Dではモニタとの距離はほとんど意識しないので、大きな画面が欲しい場合でも27インチを選ぶよりは、24インチモニタを近づけて使ったほうがいいかと思います。


NVIDIA製のグラフィックボード

頭にGTXがついている、GTX980などのNVIDIA製グラフィックボードはすべて3D VISIONに対応しています。しかし、スペックはできるだけ高いものを選んだ方が安心です。なぜなら、3Dで60FPSを維持するということは、非3D環境で120FPSを維持することと同じだからです。1画面では特に問題ないかと思いますが、3画面の場合は現行のGTX970、GTX980や、一世代前のGTX770、GTX780を推奨します。iRacingはCPUでもFPSが左右されるので、CPUも世代が新しいものが望ましいです。

また、GTX970などのチップの名前は同じでも、搭載されている端子の種類と数は、製品によって異なります。「DVI-DL×2+HDMI+DisplayPort」というものもあれば、「DVI-DL×1+HDMI+DisplayPort×3」というものもあります。3画面化時に「ASUS VG248QE」のようにDVI-DLとDisplayPortの両方を備えるモニタを使う場合は、どちらでも構いません。


3D VISIONの導入

必要な機器が揃ったら、機器の接続と3D VISIONのドライバーなどをインストールするだけで準備は完了です。3Dを有効にするには、「NVIDIAコントロールパネル→ステレオコピック3Dを設定します→ステレオコピック3Dを有効にする」のチェックをオンにします。これ以降は、基本的にはiRacingなどの対応ゲームを立ち上げただけで、自動的に3D VISIONがオンになります。あとは3Dメガネをかけて、メガネの電源を入れるだけです。


奥行き距離の設定は100%にする(重要)

「NVIDIAコントロールパネル→ステレオコピック3Dを設定します→奥行き距離」の設定は、必ず最大の100%に設定します。これを100%以下にすると、本来遠くにあるものも近くに見える、奥行きが圧縮された空間になってしまいます。正しく設定されていれば、3Dメガネを外した状態でモニタを見た時、遠くにある物体の右目用の画像と左目用の画像の差(視差)が、65mmになります(モニタの大きさによらず一定)。この65mmという値は、一般的な成人の両目の間隔です。両目の間隔が65mmの人が、視差65mmの物体を見ると、非常に遠い距離にあると感じられます。



Multi-Projection(旧Render each screen separately)をONにするか、OFFにするかの選択

iRacingを3画面でプレイするとき、Multi-Projection(旧Render each screen separately)をONにするか、OFFにするかは大きな選択になります。ONであればFOVを大きく取ることができ、ヘアピンコーナーの出口を確認したり、横に並んだ他車の位置の確認などがしやすくなります。OFFににすると、FOVが狭くなります。

問題は、同機能をONにすると、グラフィックの処理が非常に重くなることです。描画が軽いコースであれば問題ないこともありますが、描画が重いコースの場合は、3D時に60FPSをキープすることが非常に困難になります。後述する画面の設置方法なども参考に、どちらを選ぶか選択して下さい。個人的には、同機能をOFFにしてFPSを稼ぐことをオススメします。


iRacingにおいてMulti-ProjectionがON時に起きる奥行きの不具合と対策

3画面環境で、iRacingのMulti-Projection(旧 Render each screen separately)をON(画面に角度をつける)にしていると、奥行き距離が小さくなるという不具合があります。本来は「3Dメガネを外した状態でモニタを見た時、遠くにある物体の右目用の画像と左目用の画像が、65mm離れている」状態が正しいのですが、Multi-ProjectionをONにすると、左右の画像の視差が65mmだったものが、1/3である約22mmになってしまいます。これでは、本来遠くにあるものも近くに見えてしまいます。

この不具合には、回避方法があります。レジストリを変更して、NVIDIAドライバ側にモニタの大きさを本来の1/3の大きさであると錯覚させる方法です。

この手順について、記事内容をWindows10、DX11時代で使えるように更新しています。

3画面に角度をつけたときの3D Visionの最適化(Windows10/DX11)
http://d.hatena.ne.jp/naoyanagai/20161230/1483084757


輻輳距離の設定(重要)

自分の近くにある物体の描画距離を正しく設定するためには、「輻輳(ふくそう)距離」を調節する必要があります。「NVIDIAコントロールパネル→ステレオコピック3Dを設定します→キーボードショートカットの設定→詳細インゲーム設定を有効にする」のチェックをオンにしましょう。すると、3D VISION起動中にCtrl+F5を押すと、物体が手前に移動してきます。Ctrl+F6で逆に物体が画面の奥へと移動します。輻輳距離が大きく設定されていると、脳は車がとても巨大なものであると錯覚してしまい、大変な違和感が発生しますので注意して下さい。輻輳距離は、ダッシュボードやステアリングが手で触れるくらいの距離になるように設定するといいでしょう。設定した輻輳距離はCtrl+F7でアプリケーションごとに保存できます。



クロストーク(ゴースト)を減らすには

3D VISIONを使用している時に、もっとも気になるのが、クロストーク(ゴースト)です。クロストークとは、右目で見た時に左目用の画像が少しだけ見えてしまう、左目で見た時に右目用の画像が少しだけ見えてしまう現象です。このクロストークによって、物体が最大3重に見えてしまい、とても煩わしい思いをすることになります。クロストークを減らすのに効果的なのが、モニタのコントラストを下げることです。コントラストが高いと明暗がはっきりしますが、過剰なコントラストはクロストークを増大させてしまいます。コントラストをモニタの初期設定値より少し下げると、クロストークを減らすことができます。

また、「LightBoost」機能がついた3D VISION2用モニタでは、「3Dゲームを開始してから30分ほど経つとクロストークが減少」するという特性があります。この現象はモニタの「ウォームアップ」と呼ばれます。ですので、クロストークの調節をするには、3D機能を使用してから30分ほどウォームアップ、その後、クロストークが気になるようならばモニタのコントラストを下げる、という流れがいいでしょう。また、コントラストを下げると画面が少し暗くなり、暗部が見えにくくなる場合があります。そのときは、モニタのガンマ値を下げるといいでしょう。


FPS LIMITを58に設定する(描画を滑らかにする)

iRacingや一部のレースシムでは、FPS(フレームレート)にLIMITを設定することができます。iRacingではグラフィックオプション内に設定項目があります。FPSが60FPS付近から上下すると、スタッター(カクツキ)やティアリング(ちらつき)が発生し、空間にノイズが乗ったり、亀裂が走るような現象が起きることがあります。FPSを変えながら実験したところ、FPS LIMITを58に設定したときが、もっとも描画がスムーズになりました。

また、グラフィックオプション内で設定できるV-Syncは、ゲームのFPSをモニタのリフレッシュレートと一致させて、スタッターとティアリングを防ぐ機能です。しかし、V-SyncをONにすると描画遅延が発生し、操作が遅れるのでまともに走れなくなってしまいます。必ずOFFに設定しましょう。


モニタの設置方法(Multi-ProjectionがOFFのとき)

3画面を導入した方の多くは、左右のモニタに角度をつけて、モニタがすべて自分の方へ向けるように設置していると思います。しかし、iRacingでMulti-Projection(旧Render each screen separately)がOFFのときにモニタに角度をつけると、3画面の両端に表示される部分が大きく横に伸びてしまい、大変な違和感を生じさせます。そのため、同機能をOFFにするときは、3つのモニタに角度をつけずに平面に並べる設置方法をオススメします。このように設置すると、3画面の両端はナナメから見ることになるため、両端に表示される部分が横に伸びる違和感を、ほぼ相殺できます。中央のモニタは自分と距離が近く、左右のモニタの両端はとても離れた状態になりますが、3D VISION使用中は基本的にモニタとの距離は意識しませんので、違和感はありません。この設置方法は、Multi-Projectionに相当する機能がないRichard Burns Rallyのようなレースシムでは特に有効です。

モニタの設置方法(Multi-ProjectionがONのとき)

3画面でMulti-Projection(旧Render each screen separately)をONにする場合は、左右のモニタに角度をつけて、モニタを自分の方へ向けるように設置すれば大丈夫です。同機能をONにすると、OFFの時と比較して、FOVを大きく取れるメリットがあります。例えば、中央のモニタ(24インチ)との距離が70cmほどのとき、同機能がOFFのときはFOV105前後、ONにすると135前後になり、より左右が見れるようになります。さらに、Multi-ProjectionをOFFにして3画面を平面に並べた場合と比較して、左右のモニタの奥行き表現がより正確になります。ただ、同機能はグラフィックの負荷が高いのが難点として挙げられます。最新のグラフィックボードを使用し、なおかつグラフィックの設定を下げたとしても、周囲に台数が多い時などは60FPS(3D時)を下回る場合が出てきてしまいます。前述の、「iRacingにおいてMulti-ProjectionがONの時に起きる奥行きの不具合と対策」も必ず適用して下さい。

また、3つの画面を配置するとき、ベゼルによる死角を減らすために、ベゼルを重ねて設置する方法がありますが、3D VISION使用時はベゼルは重ねないで下さい。モニタの境目で明らかに距離感が変わり、空間に段差ができてしまいます。3D化すると前述のようにベゼルによる死角は無くなるので問題ありません。

※Render each screen separatelyは現在ではMulti-Projection


アンチエイリアシングの設定

3D VISIONをONにしていると、ゲーム側でアンチエイアシングの設定を4x以上にしても、自動的に2xへと下げられ、さらに赤字で警告が出てしまいます。これを回避するには、まずゲーム中ではアンチエイリアシングの設定をOFFにします。つぎに、「NVIDIAコントロールパネル→3D設定の管理→アンチエイリアシングモード」を「アプリケーション設定の変更」にします。そのうえで同コントロールパネルでアンチエイリアシングを4x以上に設定すれば大丈夫です。

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おまけ

iRacingのミラー
iRacingではバーチャルミラーは問題なく立体になるのですが、サイドミラー、ルームミラーは2Dになってしまいます。

その他のシムの3D対応
・Assetto Corsa
・rFactor
・rFactor2
・Game Stock Car Extreme
・Richard Burns Rally
・Euro Truck Simulator2
は問題なく動作しました。ただし描画が重いものは頻繁にFPSが60以下に低下します。

3Dメガネはちらつく? 暗い? 疲れる?
3D VISIONのメガネは片目60Hzという早さでシャッターが動作することもあり、チラツキはまったく感じません。暗くはなりますが、明るめのサングラスをかけているというような程度です。しばらくかけていると、目が慣れてきて明るく感じられるようになります。個人的には特に疲れはないのですが、どうしても個人差があります。とても疲れるという方もいらっしゃいます。

AMD? 3D対応TV? プロジェクター?
現状ではAMD製グラフィックボードで3Dを楽しむのは容易ではなく、PCで3Dと言えばNVIDIAというのが一般的な認識です。また、3Dテレビは、3D TV Play機能を使用して3D VISIONを有効にできますが、フルHDではフレームレートに制限があるようで(30FPS)、レースシムには向いていません。一部のプロジェクターも3D VISIONに対応していますが、現状では解像度は1280×720が最高のようです。

G-Syncとの併用は不可
NVIDIAが推奨するG-Syncという技術があります。ゲームのFPSにかかわらず、スタッター(カクツキ)やティアリング(チラツキ)などを抑えて、V-Sync並に滑らかで、なおかつ遅延のない描画を可能にするものです。しかし、3D VISIONをオンにすると、G-Syncは自動的にオフになりますので、残念ながら併用はできません。

3D VISION vs 144Hz
3D VISIONと、144Hz(非3D)のどちらが優れているか、気になる方も多いと思いますが、これは断然3D VISIONをオススメします。60Hz→144Hzは滑らかさをもたらしてくれましたが、情報量が増えたとまでは行きません。144Hz→3D VISONは、滑らかさこそ減ったものの、圧倒的な情報量をもたらしてくれました。3D VISIONから144Hzに戻す理由は見当たりません。

SLI
グラフィックボードを2枚使うSLIは、3D VISIONと相性がいいと言われています。iRacing自体はSLIと相性が良くないことが知られていますが、FORUMを見ると、3D VISION+SLIはメリットのほうが大きいと言う方もいます。環境や設定にも左右される部分だとは思います。自分は非SLIですので、今後試す機会がありましたら報告します。

Oculus Rift
もともと立体視が好きだったので、Oculus Rift DK2も購入して試してみました。しかしやはり解像度が足りない。片目だと最大でも左右960ドットしかないので、遠くに何があるかはほとんど分からなくなってしまいます。今後の性能向上にもよりますが、現在3Dでレースシムをするなら、3D VISIONの方をオススメします。

Track IR
頭を動かすと視点が変わるTrack IRというガジェットがあります。これはなかなか3D VISIONと相性がいい。頭を前後、上下に動かしてみると「本当にコクピットにいる感」は増します。左右の平行移動は、少し違和感があるものの悪くはない。上下の振り向きと左右の振り向きに使ってもいいとは思います。

メガネ on メガネ
メガネをしている方は、メガネの上に3Dメガネをすることになりますが、3D VISIONのメガネは大きめに作られているので、メガネの上にメガネをかけるのも十分に可能です。