3画面に角度をつけたときの3D Visionの最適化(Windows10/DX11)

iRacingでは、3画面の3D Visionで画面に角度をつけると(Multi-Projectionをオン、旧Render each screen separately)、3Dの視差が通常の1/3になる不具合があります。3Dメガネを外して画面を見たとき、遠くにあるオブジェクトがおよそ2cmの幅でブレて見える状態がこれです(正常な視差は65mm)。

不具合の対処法がWindows7/DX9時代と変わっていますので、改めて紹介します。


レジストリを編集して画面の大きさを実際の1/3に設定する

視差が1/3になる不具合は、レジストリWindowsの設定)を編集すると解消できます。まず、レジストリを編集するアプリ、「レジストリエディター(regedit.exe)」を起動しましょう。Windowsの検索ボックスに「regedit」と入れて起動するか、Cドライブの「Windows」フォルダ内にある「regedit.exe」を起動します。

レジストリエディターを起動したら、画面の左側にあるツリーを操作して、
「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\WOW6432Node\NVIDIA Corporation\Global\Stereo3D」
を選択します。

この中に、「MonitorSize」という項目があるので、ダブルクリックして開きます。
表記の項目で、「10進数」を選択すると、「値のデータ」が自分が使用しているモニタサイズの倍の数字になります(27インチモニタでは54)。

3DVisionの視差が1/3になる不具合は、この「値のデータ」を1/3にすると解消します。
27インチモニタでは18(54の1/3)
24インチモニタでは16(48の1/3)
と設定すればOKです。


レジストリの値を編集不可に設定する

レジストリでモニタサイズを編集しても、iRacingを起動すると値が戻ってしまいます。そのため、システムが3DVision関連のレジストリを編集できないようにします。

レジストリエディターのツリーにある「Stereo3D」のフォルダアイコンを右クリックし、「アクセスの許可」を開きます。
「グループ名またはユーザー名」の項目で「System」を選び、画面の下にある「アクセス許可」の「フルコントロール」と「読み取り」の「拒否」にチェックを入れたあと、「OK」を選択します。

以上の操作で、3D VisionでMulti-Projectionをオンにしても、正しい視差で表示されるようになります。

Nvidiaのドライバのアップデートをするときは、上記のアクセス許可の拒否を解除して元の状態に戻してください

FOVと輻輳距離はあらかじめ設定しておく

上記の操作でレジストリを固定すると、輻輳距離の設定をしても設定の保存ができなくなります。そのため、輻輳距離はレジストリを変更・固定するまえに設定しておきましょう。

3D VISION用「リアル輻輳距離」の設定方法はこちらを参照してください
http://d.hatena.ne.jp/naoyanagai/20150627/1435383169

作業手順としては、Multi-Projectorのオプションをオンにする→FOVの設定をする→輻輳距離の設定をする→レジストリの編集と固定、の順番となります。


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OSW(Open Sim Wheel)レビュー(2017年2月修正)

今年2月、OSW(Open Sim Wheel)を導入しました。OSWは、2014年ころからiRacingを初めとするレースシム関連のForumで情報が出始めた、新世代のステアリングコントローラです。従来のステアリングコントローラよりも強力かつ正確なForce Feed Back(FFB)を発生させられるのが特徴です。

日本人iRacerのあいだでも話題になっており、すでにたくさんの方がOSW導入に向けて動き始めています。今回はOSWの解説・レビューと、iRacing向けの設定などを書いていこうと思います。


Direct Drive Wheel時代の大本命

これが我が家に導入したOSWです。ステアリングのすぐ後ろにあるのがモーター(写真はKollmorgen AKM53)です。見ての通り、巨大なモーターを使っていますので、Logicool G27比で10倍以上、ハイパワーを誇るFanatec Club Sport Wheel Base v2(CSWv2)比でも約4倍と、非常に強力なFFBを発生させることが可能です。小型PCのようなものはFFBコントローラで、モーターにFFB情報と電力を供給する役目を担います。




OSWはモーターとステアリングが直結した作りになっていますが、これはDirect Drive方式と呼ばれています。OSWのほかには、SimxperienceのAccuForce、Leo BodnarのSimSteering FFB SystemといったステアリングコントローラがDirect Drive方式を採用しています(FrexやThrutmasterもDirect Drive方式のステアリングコントローラを発売予定です)。Drect Drive方式のステアリングコントローラは、モーターとステアリングをギアやベルトで繋ぐ必要がないため、高出力のモーターを使用することができます。

OSWは、Direct Drive方式のステアリングコントローラのなかでもトップクラスの性能を持ち、なおかつ低コスト(モーターの種類による)で導入が可能であることから、コストパフォーマンスの点で最も優れていると言われています。今後、より質の高いFFBを求めるシムレーサーにとっては、OSWが本命となっていくのは間違いないでしょう。なお、モーターには、サーボモーターやステッピングモーターなどの種類がありますが、OSWではサーボモーターを使います。

OSWの優れた特徴を簡単にまとめると、

・ハイパワー(約30Nm)
・正確なトルク出力
・スムーズな回転
・高レスポンス
・低コスト

※Nm=ニュートン・メートル。トルク(ねじりの強さ)を表す単位

などが挙げられます。それぞれの特徴については、後に解説します。


OSWがもたらす革新的なドライブフィール

OSWとiRacingとの組み合わせで得られるドライブフィールはまさに感動的です。OSWのハイパワーかつ高レスポンスなFFBによって、ステアリングから得られる情報量は飛躍的に増加しました。

OSWでドライブすると、荷重移動、路面の起伏、車の姿勢等によって刻一刻と変化するフロントタイヤのグリップを、FFBから的確に感じることができます。すると驚くべき事に、FFBの強弱から最適なステアリング角度を判断したり、ステアリング任せで車の動きを修正することが可能になりました。フロントタイヤと相談しながらドライブできるようになった、という表現で伝わるでしょうか。 アンダーステアオーバーステア、突然のスライドなども遥かに対処しやすくなるため、タイムアップも望めるでしょう。 iRacingはレーザースキャンによって微細なバンプを再現していますが、それらもすべてFFBから伝わってきます。

もちろんこれらのFFB情報は、ステアリングコントローラの種類に関係なく、これまでもiRacingからは出力されていました。しかし、従来のステアリングコントローラはFFB自体が弱く、なおかつレスポンスも悪かったため、細かなFFBの変化をほとんど感じられなかったのです。

下の動画は、RUF C-Specでニュルブルクリンク・ノルドシェライフを走行したものです。この動画からも、OSWのFFBが非常に細やかで、得られる情報が豊富であることが分かるかと思います。この豊かなFFBのおかげでミスは減り、安定したラップを刻むことが可能になりました。

動画の4分20秒〜では、ノルドシュライフェで最も有名なコーナーであるカルッセルをクリアしていますが、ステアリングの暴れ方が激しいのがわかると思います。カルッセルでは急角度のバンクによってタイヤに大きな荷重が乗るうえに、コンクリート路面にバンプや継ぎ目があるため、このようにFFB変化が大きくなるのです。この感覚が、今までのステアリングコントローラでは味わえませんでした。

スパ・フランコルシャンのオールージュでも、急激にステアリングが重くなります。急勾配を一気に登るので、フロントタイヤにとても大きな荷重がかかるからです。パワステのない車だと、ぐっとステアリングを抑えつけないと曲がりきれません(もちろん調節できます)。今まで何百回と通ったコーナーも、OSWではとても新鮮な気持ちで走れます。

下のRadical SR8のドライブでは、低速コーナーからの立ち上がりでリアタイヤがスライドして何度もカウンターステアを当てていますが、これはすべてOSWのFFBが、自動でステアリングを修正(セルフステアによるスライドキャッチ)してくれています。これまではカウンターステアが間に合わずにスピンしていたような場面でも、OSWのレスポンスのいいFFBが一瞬で車の挙動を修正してくれるわけです。

自分のドライビングを客観的に動画で見てみると、物凄く細かくステアリングを修正しながら、頑張って走っているようにも見えますが、実際に運転しているときはほとんど何も考えていません。車の挙動に合わせてステアリングを修正したり、コーナー出口でカウンターステアを当てたりということは、OSWのFFBが半ば自動でやってくれている感覚があります。


OSW導入前は、ステアリングをどのくらい切るか、どう修正するかに神経を使っていましたが、今は狙ったラインに乗せることだけを考えておけば、あとはステアリングコントローラ任せで走ることができています。OSWは車が何をしたがっているかを教えてくれる、ドライブを簡単にするという評判をよく耳にしますが、まさにその表現がピッタリ当てはまります。


OSWのFFBから得られるインフォメーション

それでは、FFBからどのような情報が得られて、それをどう活かせるのかということを、自分の経験をもとにいくつか書き出してみます。

・フロントへの荷重移動
まず、基本中の基本から。コーナーへの進入では、まずブレーキで荷重を前方に移動させ、フロントタイヤがしっかりグリップするようにしますが、ここでちゃんと荷重移動が出来ていると、ステアリングを切ったときにFFBがぐっと重く感じられるようになります。荷重移動が出来ていないと、FFBが軽く、手応えがなくなるので、アンダーステアが出ているのが分かります。

・起伏による荷重変化
ノルドシュライフェのようなサーキットで実感できるのが、起伏による荷重変化です。下りから急に登りになる場所では、FFBが一気に重くなり、タイヤに大きな荷重がかかっているのを実感できます。また、起伏の頂点では車が浮き上がり、FFBも当然軽くなります。

・タイヤの最大グリップ
コーナーでステアリングを切り込んていくと、タイヤが横方向のグリップを発生させるに従って、FFBは重くなります。さらにステアリングを切り込むと、FFBの強さはピークを超えて少し軽くなりますが、このときタイヤのグリップは最大値に達します。この特性を知っておけば、FFB情報を元にタイヤが最大グリップを発揮するゾーンを探れるようになります。

・コーナーごとの最適なステアリング角
FFBからタイヤのグリップが分かるようになると、ステアリングを切る量もFFB任せで判断できるようになります。高速コーナーではステアリングを少し切っただけでもFFBが急激に重くなるため、ステアリング角は小さくなります。反対に、低速コーナーでは、ステアリングを切った時のFFBの増加も緩やかになり、ステアリング角も大きくなります。つまり、ステアリングにどの程度力をかけるかを身体で覚えておけば、最適なステアリング角をFFBから知ることができるようになるわけです。コーナーの途中で速度が変化する複合コーナーなどでは、スピードの変化に合わせてに半ば自動でステアリングが切られて(または戻されて)いくのがよく分かります。

・スライドキャッチ(セルフステア)
FR車ではコーナーの出口付近でアクセルを開けたとき、リアタイヤが唐突にスライドを始めてスピンしそうになることがあります。このスライドをカウンターステアで止める技術をスライドキャッチと言いますが、車は基本的に、このカウンターステアは自動的に当たるようになっています。これをセルフ(カウンター)ステアと言います。OSWはFFBのレスポンスが非常に良いため、ドライバーが反応する前に、セルフステアによって姿勢を安定させてくれます。トラクションコントロールのないハイパワーFR車ではとくに効果的です。

・足回りのセッティング
フロントのスプリングやダンパー、キャスターなどのセッティングを変えると、FFBに変化が出ます。セッティングを変えてFFBが滑らかになれば、タイヤがより路面に追従するようになったことがわかります。反対に、FFBが固くゴツゴツしたものになれば、タイヤがバンプや路面の起伏で弾かれているのが分かります。この情報を活かせれば、正しいセッティングの方向性を見つけられるでしょう。

パワステの有無による違い
パワーアシストステアリング(パワステ)は、ステアリングを回すために必要な力を減らし、キックバックを軽減する効果がありますが、OSWではその効果もはっきりと感じられます。パワステのあるMazda MX-5ロードスターやGT3はFFBは比較的軽く、スムーズに回ります。パワステのないSkip BarberやFormula Renault2.0はFFBが非常に重く、バンプに乗った時にはゴツゴツしたショックを感じます。実車と同様に、パワステが無い車のほうがタイヤの状態をよりよく感じることができます。

・路面のバンプや材質
iRacingはレーザースキャン技術で路面の細かなバンプをすべて再現しています。OSWであれば、サーキット表面の細かなバンプから材質の違いまで、そのすべてをFFBから把握できます。鈴鹿サーキットのような路面の滑らかなサーキットと、セブリング・インターナショナル・サーキットのようなバンプの多いサーキットとでは、FFBから得られる情報は全く違います。セブリングではアスファルト路面とコンクリート路面の違いもFFBから分かります。

・タイヤのライフと発熱
タイヤのライフが減り、グリップが落ちてくると、FFBは軽くなります。アンダーステアが出やすくなりますから、より注意してドライブする必要があるでしょう。ピットで新品タイヤに交換すると、FFBが一気に重くなるのが感じられます。また、路面温度が低いとタイヤが温まるまではタイヤはグリップしませんから、FFBも弱くなります。タイヤが暖まってくると、FFBも重くなっていくのが分かります。また、コーナーでステアリングを切りすぎるなどしてタイヤを必要以上に発熱させてしまったときも、タイヤのグリップが低下してFFBは弱くなります

以上のように、FFBから得られる情報が豊富になると、FFBの増減だけでタイヤの状態が分かるようになり、最適なステアリング角度を判断できたり、不必要なスライドを止められるようになります。これはタイヤの切り過ぎ、スライドのさせすぎを防ぎ、より良いタイヤマネージメントを可能にします。


「ステアリングのトルク不足=情報不足」ということ

現在はOSWでiRacingのFFBの素晴らしさを感じられていますが、以前は不満もありました。

前述のように、iRacingはパワーステアリングも忠実に再現していますが、おそらくその影響で、車種によってはFFBが単調で、ステアリングから得られる情報が少ない印象がありました(G27やT500RSではとくに。CSWv2でだいぶ良くなりましたが)。なかでも、Mazda MX-5ロードスターのようなタイヤのグリップが低く、なおかつダウンフォースのない車は、FFBがスカスカに感じられてしまい、タイヤの感触を掴むのが困難でした。

しかし、OSWを使ってみて分かったのは、結局のところ、この種の不満の原因はステアリングコントローラの表現力不足によるものであったということです。それもそうでしょう。実車でステアリングコラムシャフトにかかるトルクと比べて、その10分の1とか、20分の1というようなトルクのFFBしかないステアリングコントローラで、ちゃんとした情報を感じられるようにしろというほうが、無茶な話です。

しかし、実車に迫るトルクがあるOSWを使えば、パワステがついた車種でも、情報量の多いFFBを感じられます。前述のMazda MX-5ロードスターでもしっかりとタイヤの感触を得ながら走ることができるのです。iRacingをプレイしていて、自分と同じような不満を抱えている人は多いのではないかと思いますが、そのような方にこそOSWをおすすめしたいです。


OSWの導入方法とコスト / Simucube登場

OSWの入手方法について説明します。結論からいうと、OSWというステアリングコントローラが一般に売っているわけではありません。OSWとは、自作PCのようにパーツを一つ一つ買って、それを組み立てて作るステアリングコントローラの総称になります。

使用するサーボモーターやステアリングの種類は、予算に合わせて選べますので、自由度は高いです。自由度が高いぶん、悩むところも多いですが。

OSWは、サーボモーター、ステアリング、FFBコントローラから成り立っています。このなかで飛び抜けて大変な(大変だった)のが、FFBコントローラの構築です。FFBコントローラは、小型のPCのような構造をしていて、電源、モーターコントローラ、USBコントローラ、ケーブル、抵抗、ケースなど様々なパーツを自分で揃え、配線もすべて自分でする必要がありました。

しかし、2016年に入って、状況は一変しました。6月にフィンランドのGranite Devicesが発売予定のFFBコントローラ、SimuCubeによって、誰でも気軽にOSWを構築できるようになりました。SimuCubeは、非常に簡単に組み立てられるキットとして発売されるほか、完成品としても購入可能になる予定です。
GRANITIE DEVICES製品一覧

6月3日現在は正式な価格は発表されていませんが、一般発売時は500ドル前後になると予測されています。ちなみにSimucubeは、今年3月から、事実上の先行予約という形で、Indiegogoというクラウドファンディングタイプのサイトで出資が集められ、目標金額を大幅に上回ることに成功しています。Indiegogoでの出資には、僕を含めて日本人iRacerも多く参加しました。あとは先行版の発送と、一般発売を待つだけです。

このSimucubeと、4万円弱のMiGEというサーボモーターを組み合わせれば、ステアリング抜きで10〜12万円前後でOSWが出来上がるのではないかと見込まれています。CSWv2と比べても極端に高いわけではありませんから、今年一気にブレイクしそうな予感がしますね。

SimuCubeについての情報と、各種必要なパーツ、組み立て、設定などについては、発売後に紹介できれば思います。


工業用サーボモーターが強力なFFBを発生

OSWに使うサーボモーターは、工業用のものを使います。FFBの強さはモーターの種類にもよりますが、最大で30Nm以上にもなります。G27の最大トルクが2.3Nm、CSWv2でも7.1Nmほどですから、そのパワーは驚くべきものです。

ここで、おもなステアリングコントローラの最大FFBトルクの値(Nm)を見てみましょう。

logicool G27:2.3 Nm
logicool G29:2.1 Nm
・Thrustmaster TX:3.9 Nm
・Thrustmaster T500RS:4.4 Nm
・Fanatec Club Sport Wheel Base:4.8 Nm
・Fanatec Club Sport Wheel Base V2:7.1 Nm
・Simxperience AccuForce:9.3 Nm

・OSW(MiGE 130ST-M10010 / 通称SmallMiGE):20Nm
・OSW(MiGE 130ST-M15015 / 通称BigMiGE):30Nm
・OSW(Kollmorgen AKM53):32Nm

※( )内はサーボモーターの種類。トルク値はiRacing開発者David Tucker氏の計測値及びメーカースペック値による

これを見るだけでも、OSWのトルクがいかに飛び抜けているかがわかりますね。自分は、AKM53というドイツ製のサーボモーターを使用しています(AKM53サーボモーターの最大トルクは32Nmですが、ArgonタイプのFFBコントローラによる制限で最大25.6Nmで使用しています)。

※2017年2月修正:現在はAKM53からMiGE 130ST-M10010に切り替えています。

果たして、このような強力なFFBが必要なのか、そして扱えるのかと思う方もおられると思いますが、自分は必要だと思いますし、また十分に扱えると思います。そもそも、常に30Nmというような強力なFFBが発生するわけでは決してありません。通常のコーナーでは10〜15Nm、特定のコーナーで縁石に乗った時などに一瞬だけ25〜30Nm近くになる、というイメージでいいと思います。30Nmというサーボモーターのパワーは、表現力の向上に活きて来るわけです。


シンプルな構造で回転もスムーズ

OSWの構造はとてもシンプルです。ステアリングとサーボモーターが直結していますので、G27やT500RS、CSWv2などと違って、ギアやベルトなどの駆動パーツはありません。回転抵抗になるものがないので、FFBの伝達ロスがないのが大きなメリットです。また、例えばG27やCSWv2では、大きなFFBが発生した時に、内部で部品がカタカタと音をたてますが、あの不快な音もありません。

サーボモーターの長所として、回転がとてもスムーズだということがあります。GTFProやDFGT、AccuForceでは素早く左右に回すとギーギーと音がなって抵抗も感じますが、こういうものがありません。極めてスムーズに回ります。ブラシレスモーターを使ったCSWv2に近いフィーリングと言えます。

なお、無通電状態では、サーボモーターのコギングトルク(モーターがカクンカクンと6度ずつ回転する)を感じますが、通電してFFBが発生しているときは、コギングはほとんど気にならなくなります。

ちなみに、モーターの回転音自体はほとんどありせんが、激しいFFBが発生するとどうしても振動音はしますし、それにコックピット全体が揺れますから、騒音対策はこれまで以上に必要になるかと思います。マンションなどで階下への騒音を気にされる方は、バランスディスクをコクピットの下に入れる、ディスクふにゃふにゃシステムをおすすめします。
SimVibeにディスクふにゃふにゃシステム:Groovy Clotch
3D VISION・SIMVIBE対応SUSコクピットの紹介


iRacingのFFBの算出方法

ここからは、FFBの計算や設定について掘り下げていきますが、最初に、iRacingのFFBはどのように算出されて、ステアリングコントローラに出力されているかを簡単に解説します。流れは以下のとおりです。

1.iRacingのシミュレーションで、走行中のステアリングトルク(車のステアリングコラムシャフトにかかるトルク。単位Nm)を計算する
2.Max Forceの値(FFBの強さを決める値。iRacingのオプションで設定)にもとづいて、ステアリングトルクをステアリングコントローラへのFFB出力(0〜100%)の値に変換する
3.FFB出力(0〜100%)をもとに、ステアリングコントローラがモーターを動かしてFFBトルク(単位Nm)を発生させる

と、なります。なお、これ以降ステアリングコントローラのFFBの強さを説明するときは、FFBトルクと表現します。

・ステアリングトルク(Nm)
・Max Force
・FFB出力(%)
・FFBトルク(Nm)

この4つの数値はこのあとの解説でも度々登場しますので、関係を頭に入れておいてください。


OSWはFFBクリッピング問題を最小限にする

レースシムをプレイするにあたって、これまで避けて通れなかった問題が、FFBクリッピングです。FFBクリッピングとは、コーナー中にステアリングコントローラへのFFB出力が100%に達し、FFBトルクが最大値で一定になってしまう状態のことを言います。

FFB出力が100%に達すると、さらに大きなFFBトルクが発生する状況であっても、ステアリングコントローラはそれ以上のFFBトルクを発生させることができません。その結果、FFBトルクが最大値で一定になるのです。このとき、本来発生すべきFFBトルクが切り取られ(クリップ)てしまい、ステアリングから得られる情報は一切無くなります(ただ重く感じるだけになります)。正しいドライブフィールを得るためには、FFBクリッピングは最小限にすることが求められます。

iRacingであれば、FFB出力を緑のバーで確認することができますが、このFFBバーが振りきれて赤色になっているときが、FFBクリッピングが発生している(FFB出力が100%を超えた)合図です。

下のグラフは、RUF RT 12R Trackでスパ・フランコルシャンのオールージュをクリアしたときの、ステアリングトルクのテレメトリーデータです。青色で示した範囲は、ステアリングコントローラが表現できるFFBの範囲の一例です。この例では最大10Nmまでの範囲となっていますが、これはiRacingのMax Forceの値によって変わります(詳しくは後述)。

ステアリングトルクが青色で示す範囲内であれば、その増減に合わせてFFBトルクも変化します。しかしステアリングトルクがこの範囲を超えると、FFBトルクは最大値で一定になってしまいます。つまり、赤い範囲内にあるトルク情報は、すべて失われてしまうわけですね。これがFFBクリッピングです。

FFBクリッピングが発生するのは、タイヤへの入力が非常に大きくなっているときです。本来は、この領域にこそ重要な情報があるはずですが、従来のステアリングコントローラでは体感できない(しにくい)のが当たり前になってしまっていました。

下のデータは、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのカルッセルで、FFBクリッピングが発生しているドライバー(CSWv2使用)と、そうでないドライバー(OSW使用)のステアリング角を示しています。FFBクリッピングが発生しているドライバーは、コーナー中のステアリング角がほぼ一定になってしまっていることが分かります。これは、FFBに変化が無いためです。

FFBクリッピングは、Max Forceの値を大きくすると発生しやすくなるという特性があります。Max Forceを上げると、FFB出力が100%に達しやすくなるためです。Max Forceを下げると、FFBクリッピングをなくすこともできますが、そうするとFFBが全体的に弱くなり過ぎてしまい、結果としてステアリングから得られる情報が減ったように感じられるというジレンマがありました。

FFBクリッピングを効果的に解決する唯一の方法が、最大FFBトルクの高いステアリングコントローラを使うということです。OSWはパワーに余裕があるため、Max Forceを下げても十分なFFBを確保でき、FFBクリッピングを最小限に抑えられます。これまでクリッピングで失われていた、本当のFFBを感じられるようになるのです。


実車と同等のFFBで走行することも可能

OSWであれば、FFBクリッピングを最小限にしつつ、実車と同等のFFBトルクでドライブすることも可能です(車種によります)。

下のグラフは、Global Mazda MX-5 Cupで鈴鹿サーキットを1周したときの、ステアリングトルク(Steering Wheel Torque)とステアリング角(Steering Wheel Angle)のテレメトリデータと、そのときの動画です。グラフを見ると、ステアリングトルクはコーナの途中で約8〜10Nm、縁石に乗った時などで最大20Nmとなることが分かります。

このテレメトリデータを見ると、20Nm以上のFFBトルクを発生させられるステアリングコントローラを使えば、FFB情報を一切クリッピングすることなく、シミュレーションで算出された値通りのFFBで走れるということが分かると思います。iRacingのFFBは実車のデータと擦りあわせてテストされているので、シミュレーションで算出された値通りのFFBで走れるということは、限りなく実車に近いFFBで走れると言うことができるでしょう。

実車の仮想体験という視点でレースシムを見たとき、ステアリングの重さと、ステアリングから得られる情報が実車と同等になるということは、非常に大きなステップアップだと言えます。

このときのFFBの設定方法については後に解説します。


OSWに使用するサーボモーターの優れたトルク特性

レースシムが計算、出力したFFBを、ステアリングコントローラが正確に再現できるかどうかは、モーターのトルク特性にかかっています。

モーターの理想的なトルク特性とは、FFB出力が0〜100%に直線的に増加するとき、FFBトルクも直線的に増加していく状態です。FFB出力が減少するときも同様で、FFBトルクが直線的に減少していくのが望ましいです。

下のグラフは、理想的なトルク特性を持つステアリングコントローラ(FFBトルク最大値5Nm)が存在したと仮定したときの、FFBのトルク変化を示しています。

このように、理想的なトルク特性を持つステアリングコントローラであれば、FFBトルクの変化は完全な直線になります。これは当然のことようにも思えるかもしれませんが、実は従来のステアリングの多くは、この直線的なFFBトルク変化を実現できていませんでした。

iRacing開発者のDavid Tucker氏が、代表的なステアリングコントローラのトルク特性を実測したデータを公開していましたので、グラフで見てみましょう。
David Tucker氏によるステアリングコントローラのFFBトルク試験

ほとんどのステアリングコントローラで、トルクグラフが理想的な直線状ではなく、不規則な曲線になっているのが分かります。FFB増加時とFFB減少時で特性が違うステアリングコントローラもあります。これでは、ステアリングから正しいFFBを感じるのは困難だと言えるでしょう。

このなかで唯一、正しいトルク特性を描いていると言えるのが、FanatecのCSWv2です。理想に近い、直線的なトルク特性を示していますね。CSWv2はFFBがわかりやすいという評価がされている理由は、このトルク特性にあったわけです。

次に、OSW(サーボモーターは最大トルク20NmのSmallMiGE)のトルク特性を見てみましょう。

OSWに使われるサーボモーターは最大トルクが極めて高いだけでなく、トルク特性も理想的であることが分かります。これは、サーボモーターの特徴である、正確なトルク出力とレスポンスの良さを見事に表しています。このトルク特性が、抜群のFFBを生み出すことになるわけです。

※2017年2月修正:Tucker氏の実験では、トルクがモーターのメーカースペック値の最大値に付近で一旦下がっていますが、これはFFBコントローラの設定で十分な電流が流れるように設定すればきれいな直線になります。

OSW向けのiRacingのFFB設定

ここからは、FFBの設定について見ていきます。iRacingにはいくつかFFBの設定があります。中には間違えるとOSWで不具合がおきたり、違和感のあるFFBになるものもありますので、ここで推奨設定とTipsを紹介します。

・Use Linear Modeをオンにする(Option画面 / Drive)
Linear Modeとは、シミュレーションで計算したステアリングトルクを、調整を加えずにFFB出力に変換するモードです。

これをオフにすると、FFBトルクが弱い領域で、FFB出力より大きく誇張するようになります。これは、モーターの最大トルクが小さいステアリングコントローラでFFB変化を感じやすくするための設定です。OSWでは不具合を引き起こしますので必ずオンにします。

・Min Forceを0にする(Option画面 / Drive)
Min Forceとは、ステアリングのセンター付近の遊び(FFB出力がある程度大きくならないとFFBが発生しない領域)を減らすための設定です。OSWでは必要ありませんので、0にしておきましょう。

・Max Forceをトルク表示にする(マイドキュメント/iRacing/app.ini)
通常、FFBの強さを決めるMax Forceの値は、オプション画面のスライダーで、0〜59.8の間で調整できます。これをトルク表示に変えることができます。

マイドキュメント/iRacingフォルダ内にあるapp.iniをテキストエディタで開きましょう。[Force Feedback] displayLinearInNmを0から1に変えて保存すれば設定完了です。

すると、Max Forceの値を8500Nm〜5.7Nmの間で調節できるようになります(Linearモードオン時のみ)。8500NmのときがFFBが一番弱く(ほぼ0)、5.7Nmが一番FFBが強い設定となります。

・Max Force(Nm)とFFB出力の関係
Max Forceをトルク表示にすると、

・ステアリングトルク(Nm)
・FFB出力(%)
・FFBトルク(Nm)

の関係がより明確になります。

例えば、Max Force(Nm)を30Nmと設定すると、ステアリングトルクが30NmになったときにFFB出力が100%になります。このとき、ステアリングトルクが30Nm以上になると、FFBクリッピングが発生します。

つまり、Max Force(Nm)の値は、FFBクリッピングが始まるステアリングトルクを示していることになります。

・Max Force(Nm)の決め方
OSWでは、Max Force(Nm)の値は、サーボモーターの最大トルク(Nm)と同じにするのが基本になります。例えば、サーボモーターの最大トルクが30Nmであれば、Max Forceも30Nmに設定します。すると、シミュレーションで算出したステアリングトルクと、実際にステアリングコントローラが発生するFFBトルクの値が一致します。

Max Force(Nm)をサーボモーターの最大トルク値より大きくすると、ステアリングコントローラのFFBトルクは弱くなっていきます。例えば、最大トルクが30Nmのサーボモーターを使用したとき、Max Force(Nm)を50Nmとすれば、実車の60%の強さのFFBが発生することになります(30Nm/50Nm=60%)。

【注意】最初からMax Force(Nm)をサーボモーターの最大トルク(Nm)と同じにすると、予想以上に大きなFFBが発生して、怪我をする恐れがあります。最初は必ずMax Force(Nm)を十分に大きくした(Nmの数値を大きく、FFBを弱めた)状態からテスト走行をしてください。

以下に、今回動画で紹介した走行例のステアリングトルクとステアリング角のテレメトリデータを示します。Max Force(Nm)を決めるときは、このようなテレメトリデータも活用するといいでしょう。






※2017年2月修正:iRacingがシミュレーションで算出するトルク(Nm)は実車と比べて高すぎる場合もあることが分かりました。FFBが重すぎると感じるときは、Max Force(Nm)をFFBクリッピングとFFBのフィーリングのバランスを見ながら調節していきましょう。


・FFBスムージングはできるだけ0にする(マイドキュメント/iRacing/app.ini)
app.iniに、[Force Feedback] steeringFFBSmoothという項目があります。これは、FFB出力の変化をスムーズにするためのオプションです(1.0がスムージングなし。値を減らすとスムージングがかかる)。

スムージングをかけるとFFBが滑らかになり、FFBのガツガツした感じが減ります。しかし、FFBに遅延が発生するというデメリットがあります。FFBの遅延は好ましくありませんので、できるだけ1.0にしておきましょう。FFBに遅延が大きいと、走行中にステアリングが左右に暴れる原因になります。

・ダンパーモードの設定(マイドキュメント/iRacing/app.ini)
[Force Feedback] damperModeは、FFBにかかるダンパー効果の種類を決める設定です。ダンパー効果の種類は、0 = Damper(ダンパー) 1 = Inertia(慣性) 2 = Friction(抵抗)、の3つがあります。実車では、本来この3つが同時に存在しますが、iRacingではそのうちの1つのみ選択できます(好みで選択してください)。ダンパーの効果は、Option画面 / Driveの中にあるDampingの値を上げると効果が現れます。ダンパー効果を加えると、FFBが効いていないときでも、ステアリングを回した時に抵抗を感じるようになります。ただし、レスポンスは落ちます。

app.ini内には、ダンパーに関係する設定がほかにもあります。damperSaturationとsteeringDampingFactorはいずれもダンパー効果の大きさに影響しますが、ダンパーの強さはDampingの値だけで十分に調節できるので、以下のように初期値のままで大丈夫です。

・damperSaturation=10000
・dampingSliderSetsFriction=1
・steeringDampingFactor=0.050000
・steeringDampingMaxPercent=0.000000 (ダンパー強さ。ダンパースライダーで上書きされるため0でいい)

上記の設定で決めたダンパー効果は、Max Forceの値によらず、強さはかわりません。Max Forceの値を最も弱めてFFBが発生しないようにしても、ダンパー効果だけは残ります。

・Dampen oscillations(Option画面 / Drive、マイドキュメント/iRacing/app.ini)
Oscillationsとは、細かいFFBによってステアリングが左右に振動することです。レースシムでは停車中〜低速で走行中に予期せず起きることがあります(当然ですが実車では起こらない現象です)。Option画面 / DriveにあるDampen oscillationsをオンにすると、時速0〜10キロのときのみ、FFBの出力を下げてOscillationsを減少させます。

時速0〜10キロでどの程度FFBを下げるかは、app.iniの[Force Feedback] steeringForceParkedPctの値で決めます。これに加えて、時速0〜10キロでのみステアリングにダンパー効果をプラスする[Force Feedback] steeringDampingParkedMaxPercentが設定できます。

おすすめの設定例は、

・steeringForceParkedPct=0.3000000
・steeringDampingParkedMaxPercent=0.300000

です。停止中のFFBを大きく減らした分、少しダンパーを加えます。

しかし、ごく一部の車種はまだOscillationsが発生する場合があります。やや極端ですが、

・steeringForceParkedPct=0.0000000
・steeringDampingParkedMaxPercent=0.000000

としてしまってもいいでしょう。ただし、この場合でも通常のダンパー効果は残っており、これが原因でOscillationsが発生する場合もあります。場合によってはDampingの値も0にする必要があるかもしれません。Oscillationsはかなりやっかいな問題ですので、設定不要でベストなフィーリングが得られるようにiRacing側の対応を願いたいところです。

・SteeringBumpStopを設定する(マイドキュメント/iRacing/app.ini)
ステアリングを左右に最大まで回転させたとき(車種ごとに自動設定されるロックtoロックの最大値に達したとき)、モーターの反力で勢いよく跳ね返されることとがあります。これが不快に感じるときは、SteeringBumpStopを設定します。SteeringBumpStopを大きくすると、ステアリングを最大まで回したときに、スプリング効果を発生させて、急激な跳ね返りを抑制します。

・SteeringBumpStop_Deg=180.000000

としておくといいでしょう。ただし、ロックtoロックが小さい車種では、効果がない場合もあります。

・FFBが切断されるのを防ぐ(マイドキュメント/iRacing/app.ini)
OSW導入後、走り始めにFFBが完全に切れてしまうことが何度かありました。

・FFBAlwaysReset=1

としておくと、走り初めにFFBをリセットし、FFBが切断されるのを防げます。


MMos ForceFeedback Toolの設定

OSWでは、ステアリングのローテーション角やセンタリング、FFB最大値を、MMos ForceFeedback Toolというアプリケーションで設定します。この設定方法を解説します。

・Rotation:ローテーション角(ロックtoロックの角度)を180〜2160度の範囲で調節できます。推奨値=1080度(iRacing)。他のシムでは車に合わせて設定する必要がある場合が多いです。

・Center Steering and save offset:ボタンをクリックするとセンタリングをします

・Steering Stop / Gain:ステアリングを最大に回した時の跳ね返り強さの設定です。Max Forceと合わせて設定します。推奨値=1.00x

・Steering Stop / Max Force:ステアリングを最大に回した時の跳ね返り強さの設定です。Gainと合わせて設定します。推奨値=15.00%

・Overall Filter:FFBにフィルタリングをかけます。iRacingのFFB Smoothingと同じで、値を大きくするとFFBが滑らかになります。ただし遅延が発生します。推奨値=OFF〜5

・Min Force:FFBの遊びをなくすための設定です。OSW自体には遊びはありませんので通常は0でいいです。レースシムの種類によって、センター付近に遊びを感じる場合は上げても良いかもしれませんが、効果は未確認です。

・Max Force:FFBの最大値です。100%にすると、サーボモーターの最大のトルクを発生させられます。最大トルク発生時は、モーターのスムーズさが少し低下し、またモーター独特のブーンという音も発生します。これを避けたい場合は、80%ほどにFFBを落としてもいいでしょう。推奨値=80〜100%
 
・Effect Filter:後述のDesktop Effect / User Effect で設定できる各種エフェクトにフィルターをかけて滑らかにします。推奨値=128

・Desktop Effect:OSWのFFBに、Spring(スプリング)、Damper(ダンパー)、Friction(抵抗)、Inertia(慣性)のいずれかの効果をかけます。OSWは元々回転抵抗が少ないため、回転が軽すぎると感じることがあります。そのときに設定します。
Spring、Damper、Friction、Inertiaからタイプを一つ選び、横にある2つのスライダーで強さを調節します。
Desktop Effectは、パソコンのデスクトップ画面でのみ効果があり、レースシム内では無効になります。FFBフィーリングのテストに使用します

推奨値
・Damper=5.45%
・Saturation=5.45%

・User Effect:上記のDesktop Effectと同内容です。User Effectは、レースシムを起動しているときのみ効果があります。

・FFB Configuration:各種コンフィグ値を保存します。Epromに保存するとFFBコントローラのメモリーに設定が保存されます。FFBコントローラの電源を切っても設定は消えません。
Defaultに保存すると、MMos ForceFeedback Toolの初期値として設定が保存されます。好みの設定を見つけたら、EpromとDefaultの両方に保存しておきましょう。名前をつけてコンフィグ値を保存することもできます。

なお、MMos ForceFeedback Toolで設定するダンパーなどのエフェクトは、Effect Filterを大きくかけておけば、Oscillationsが発生しにくいという特性があります。そのため、iRacingではダンパーは設定せずに、MMos ForceFeedback Toolでのみダンパーなどを調節するのも手です。ただし、iRacing側の設定とは異なり、車種ごとに保存できないのがデメリットです。


総評

自分は、約3ヶ月OSWを使用してきましたが、これは本当に素晴らしいステアリングコントローラだと断言できます。パワーはもちろんですが、その繊細なFFB表現と情報量には、日々驚かされています。レースシムそのものへの価値観が変わるほど、大きなインパクトがあったと言っても過言ではありません。もうレースシムは10年ほどやっていますが、これまで体感したことのない世界がそこにはありました。

自分はこの1年半、最良のFFBを求めて、Thrustmaster T500RSからFanatec Club Sport Wheel Base v2 (CSWv2)、Simxperience AccuForce、OSWと、次々とステアリングコントローラを変えてきました。

CSWv2もとてもいいものでしたが、唯一パワーだけが不満でした。パワーを求めて買い換えたAccuForceは悪いステアリングではありませんが、パワーやスムーズさという点でやや期待はずれでした。SimCommanderというソフトでFFBを細かく調節すれば良いフィーリングは得られましたが、それでも不満は残りました。そんなこんなで、AccuForce到着から約2ヶ月でOSW乗り換えを決断したわけです。

OSWも実際に使ってみるまでは、どれほどのものなのか、半信半疑なところがありましたが、使い始めてすぐに、すべての懸念が吹き飛ばされました。今、OSWには100%満足していますし、iRacingで走るのが楽しくて仕方がありません。

OSWは、初代GT Forceから数えると自分にとって7台目のステアリングコントローラですが、買い替えはおそらくこれが最後になるのではないかと思います(モーターの買い替えはあるかもしれません!)。そう思えるほど、OSWの完成度は素晴らしいです。あとは、iRacingを始めとするレースシムが、より良いFFBを出力してくれるように進化するのを待つことになるのだと思います。

Simucubeの登場でOSWの導入は大幅にハードルが下がることになりますが、それでも不明点はあろうかと思います。しかし、日本人iRacerに限ってみても10名以上の方が導入準備を進めていますので、みんなの知恵を集めれば決して難しい話ではなくなるでしょう。導入の詳細については、今後皆さんのブログ等で詳しい情報が出てくると思いますので、ぜひ参考にしてください。また、Twitterなどでも気軽に聞いてくださいね。

※今回の感想はサーボモーターにAKM53を使用した場合のもので、モーターが変わるとフィーリングも変わる可能性はあります。別のモーターとの比較も今後報告していきます。


OSW使用時の注意点

最後に、重要な注意点を記載しておきます。

一番は、怪我を防ぐことです。OSWでは、クラッシュ時などに予期せず強力なFFBが発生することがあり、油断をすると怪我に繋がってしまいます。現実でもそうであるように、レーシンググローブを装着すること、危ないと思った時はステアリングから手を離すことを覚えておいてください。

また、不用意にステアリングを持つ力を緩めると、Oscillations(予期せぬ振動)が発生することがあります。これも怪我に繋がる原因になりますので、走行中はしっかりとステアリングをホールドしてください。

また、OSWはすべてのレースシム(ゲーム)に適合するとは言えません。レースシム(ゲーム)の中には、FFBに過剰な演出を加えているもの、FFBに不要なノイズが混ざっているもの、そもそもシミュレーションが正しくないものなどがあります。OSWでは大げさな部分や間違った部分も従来のステアリングコントローラの数倍に強調されてしまうため、OSWを導入したことで違和感が出たり、操作不能に陥ることもあります。最悪の場合、異常なFFBによって怪我をする危険もあるため、十分な注意が必要です。

快適にプレイできるのは、妥当なFFB計算をしているレースシムに限られます。個人的には、iRacingとAutomobilista、Richard Burns Rallyが良好という印象です。

rFactor2は縁石やコースアウト時にやや過剰な振動が発生しますが、この点を除けば良好と言えます。振動が気になる場合はrF2側でスムージングをかけて下さい。ただし、路面のバンプが過剰なコースModの仕様は控えたほうがいいでしょう。

Assetto Corsaは注意が必要です。起伏によるFFB変化が非常に大きく、ノルドシュライフェのように起伏の激しいサーキットでは、ステアリングが突然大きく暴れて怪我をしそうになったことがありました。どうしてもOSWでプレイする場合は、ゲーム中のFFB Gainを高めに設定し(わざとFFBクリッピングを発生させて必要以上に強いFFBをカットする)、さらにOSW側で最大FFBを十分に弱めて下さい。

Race Room Racing Experience(RRRE)は、停車時に非常に強力な異常振動が発生します。サーボモーターにダメージを与える恐れもありますので、今後のRRREのアップデートで異常振動が解決するまではプレイしないことを推奨します。

上記以外のレースシム(ゲーム)をプレイするときも、必ずOSWのFFBを弱めた状態から開始し、問題がないことを確かめながらFFBを強くしていってください。

以上の注意点に気をつけて、OSWでのドライブを楽しんでいきましょう。

iRJL GT3 2015シーズン3終了とシーズン4展望

8月21日の第5戦モスポート(カナディアンタイアモータースポーツパーク)、9月4日の最終戦岡山をもって、iRJL GT3 2015シーズン3もついに終了しました。レースはどちらも2位と悔しい結果になりましたが、無事に今シーズンのチャンピオンが決定。これで今年のiRJLは3連覇。ありがとうございました。

シーズン3は、開幕戦をFordGT3で走ったあと、残りの5戦はRUFにチェンジ。以前はRUFのコントロールに苦労していましたが、8月のスパ24時間レースに備えてたっぷり練習したことで、かなり自分のものになった感じがします。結果も、PP3回、優勝2回、2位4回という、満足できるもの。2015年はずーっとPPも優勝もないまま、最終的にポイントだけトップという、もやもやした結果が続いていたので、今シーズンのチャンピオンは気持ち的にもすっきり。嬉しいです。シーズン3から導入されたタイヤモデルV6が自分にあっていたのが好結果に繋がったのかもしれませんね。

iRJL以外でも、スパ24時間レースのSplit2で2位、スパGPで4位、鈴鹿1000キロレースにも出場し完走、などなど、シーズン3は盛りだくさんな内容でした。いずれも大きなミスやクラッシュ無く、レースを完走できたのがとてもよかったです(モスポートでいちどスピンしましたが)。

さて、目前に迫ったシーズン4に目を移すと、大きなトピックが2つ。ひとつは路面変化(Dynamic Track、New Surface Model)です。レースが進むにつれて、タイヤにラバーが乗り、さらにレーシングラインの外にマーブル(タイヤカス)が溜まっていくというものです。ラバーとマーブルを100%にして走ると、路面は黒々、タイヤカスが沢山あって、実際のレースの終盤に見かける光景にそっくり! さらにマーブルの上を走ると、ちゃんと走ったところは掃除されて綺麗になっていくんです。スゴイ!

とはいえ、短いレースではそんなに急にラバーが乗ったり、マーブルができたりということはないようで、これまでとそれほど変わりなく(というかあまり気づかない)走ることができまました。フルレングスのオーバルや、3時間を超える耐久レースでは影響が出てくるかな? グラフィック的にも少し重いので、普段はオプションでマーブルオフにして走るかもしれません。

2つめのトピックは、タイヤモデルV6の変更。修正点をiRJAさんの翻訳から引用すると、「v6 タイヤに、以前の(v1-5)タイヤに欠けていた横剛性の計算項目が含まれました」という、たったこれだけのものなのですが、実際に走った感じでは、これまでにないほどのレベルで挙動に変化があります。

RUFをBaselineセットアップで走って気づいた変化は、
・簡単にはリアが滑り出さなくなった
・低速コーナーの立ち上がりが楽
・滑り出したあとの修正が楽になった
・荷重を乗せないとアンダーステアが出やすい
・FFBの情報が増えた
このくらいでしょうか。大きい変化なので、シーズン4では求められるドライビングスタイルやセットアップも変化するでしょうね。セットアップが出来てくると、また印象は変わるとは思いますが、どうなるか見てみましょう。ちなみに、iRacingは以前から滑ったら止まりにくいことは知られていて、ForumでもよくiceRacingなどと言われていましたが、今後はきっとそういう言われ方はしないでしょうね! 個人的にはかなり乗りやすく、そして攻めやすくなったので、気に入っています。

また、シーズン4は、iRJA FLAT SIX RACINGでブランパン耐久シリーズに本格参戦します。このシリーズで上位に入れば、耐久のワールドプロライセンスを獲得できるので、気合が入ります。全6戦をそつなく走ればいい結果に繋がるとは思いますが、果たして? 応援よろしくお願いします(^O^)

以下iRJLよりギャラリーと結果

第5戦モスポートより



■レース結果(リンク)
・シリーズ:iRJL GT 2015s3
・コース:Canadian Tire Motorsports Park
・車種:Ruf RT 12R Track
・予選2位/決勝2位(参加18台)

第6戦岡山より




■レース結果(リンク)
・シリーズ:iRJL GT 2015s3
・コース:Okayama International Circuit - Full Course
・車種:Ruf RT 12R Track
・予選2位/決勝2位(参加18台)

iRJL GT第3戦スパ、第4戦シルバーストーン連勝!

7月24日に行われたiRJL GT 2015シーズン3の第3戦スパ・フランコルシャン、続いて8月7日に行われた第4戦シルバーストーンで連勝を飾ることが出来ました! とくにスパは、iRJLでは今年初となる久しぶりの優勝。昨年のシリーズから数えても実に15戦ぶりの勝利となりました。

第3戦のスパ・フランコルシャンは、8月1日に行われたスパ24時間レースの前哨戦となったこともあり、参加台数も多く、とても賑やかなレースになりました。実にレベルの高い戦いでしたが、24時間レースに向けて入念に準備をしていたことも功を奏し、ポール・トゥ・ウィンを飾ることが出来ました。タイヤと燃費のマネージメントも上手くいきましたね。

「iRJA GT Racing」のエースでもあり、現ワールドプロの@Tomonoさんを久しぶりに撃破できたのも自信に繋がります! 「iRJA FLAT SIX RACING」のチームメイト、@ukfunkさんも3位表彰台と、耐久レースに向けてとてもいい流れをつかめました。

■レース結果(リンク)
・シリーズ:iRJL GT 2015S3
・コース:Circuit de Spa-Francorchamps - Endurance
・車種:Ruf RT 12R Track
・予選1位/決勝1位(参加23台)

第4戦のシルバーストーンは、スパ24時間レースで2位表彰台を獲得した勢いそのままに出場。こちらもポール・トゥ・ウィンとまさに絶好調! 今回もチームメイトの@ukfunkさんが2位を獲得し、「iRJA FLAT SIX RACING」の1-2となったのもとても嬉しいことです。

この良い流れを作っているのは、やはりチームの存在ですね。シルバーストーンではいまいちセットが決まらなかったのですが、@U_G_31さんに頂いたセットがドンピシャでした。個人練習だけでは越えられない壁も、チームメイトの協力があれば超えられるということでしょう。

次戦は8月21日、第5戦モスポート(Canadian Tire Motorsports Park)です。激しいバトルが期待できる高速サーキットでシリーズチャンピオン獲得に向けて一歩前進したいですね!

■レース結果(リンク)
・シリーズ:iRJL GT 2015S3
・コース:Silverstone Circuit - Historical Grand Prix
・車種:Ruf RT 12R Track
・予選1位/決勝1位(参加17台)



iRJA FLAT SIX RACING、スパ24時間レースで2位表彰台獲得!

8月1日、この夏最大の耐久イベント「スパ・フランコルシャン24時間レース」が開催され、自分が参加する「iRJA FLAT SIX RACING」が、GT3クラス2位表彰台(Split2)を獲得致しました!


※画像は@U_G_31さん作

チームメイトの@ukfunkさん、@kaerutomokiさん、@U_G_31さん、残念ながら決勝に参加できなかった@sr20saさん、そしてこれまで一緒に準備してきた「iRJA GT Racing」「iRJA GT Ford Team」の皆さんには感謝、感謝です。

今回のスパ24時間レースには、約320チーム、1300人のiRacerが参加。デイトナ24時間レースなどと並び、iRacing最大級のイベントとなりました。Ruf RT 12R Trackを駆る「iRJA FLAT SIX RACING」は、6つのSplitのうち、上から2番目のSplitにエントリー。Split2の参加台数は、P2クラスのHPD ARX-01cが17台、GT3クラスが34台の、合計54台と、これまでの耐久と比べても非常に多いです。

22時過ぎから行われた決勝は、GT3クラス4番グリッド(予選タイム2:18.265)からスタート。スタートドライバーを務めるのは、iRJLでは最大のライバルでもある@kaerutomokiさんです。24時間レースで最もプレッシャーのかかる第1スティントで、19秒台にも入る素晴らしいハイペースで上位をキープしたのは流石の一言。序盤は、GT3クラスが激しく順位を争っているところを、P2クラスが何度も追い抜いていくため、落ち着いて走るのがとても難しいんですね。チームメイトはスポッターになり、後方から来るP2との距離や台数を通知して、なんとかドライバーが安全に走れるように努めました。


その後は、2番手出走の@U_G_31さん、3番手の僕、4番手の@ukfunkさんと順調にバトンを繋ぎ、ほぼ何ごともなくラップを消化。周りの車が事故で順位を落としていくのを見ると、この何事もなくというのが本当に難しいのが分かります。

唯一危なかったのが、18時間を経過した455Lap目、クラス4位走行中に起きた事故。6台以上が密集した状況で、P2に道を譲ろうと減速した際に追突され、ダメージを負ってしまいます。万事休すかと思われましたが、2分という比較的短いリペアで問題なく走れるハンドリングにまで修理が完了。トップスピードは多少落ちましたが、かえって運転しやすくなるというサプライズもあり、ほとんどペースを落とすこと無く走行を続けることが出来ました。

そして、残り5時間となったところで予想外の事態が発生! クラス4位を争っていた「DWS RACING」、さらにクラス2位の「GTL-VRT TITANIUM」、さらにさらにクラス1位の「KRT GT Motorsport」が相次いで事故に合い、緊急ピットイン。なんとこの間、わずか30分です。こんなこともあるんですねぇ……。耐久の真の恐ろしさを垣間見ます。

この一連のアクシデントにより「iRJA FLAT SIX RACING」は一気に2位に浮上! 3位とは2周近い差があったので、ここからはより慎重に、安全に走行を進めて、無事に2位表彰台フィニッシュとなりました。

自身初の24時間レース完走が、これも日本人チーム初となる2位表彰台というこれ以上ない結果になり、大満足のレースとなりました。24時間耐久レースは、その長さ自体も大変ですが、チーム戦という独特の緊張感、プレッシャーがありますから、無事にゴールできたときの喜びはひとしおです。特に、今回のレースは約2週間前から入念に準備してきたというのもあります。ちなみにセット作成のやりとりや当日の走行スケジュールなどは下記のドキュメントシートに残っているので、今後耐久レース参加に興味がある方は見てみると面白いかもしれませんね。

スパ24時間準備用スプレッドシート

次回の耐久は、10月10日ロードアトランタでのPetit Le Mans(プチルマン)です。また参加したいですね!

■レース結果(リンク)
・シリーズ:24 Hours of Spa
・コース:Circuit de Spa-Francorchamps - Endurance
・車種:Ruf RT 12R Track
・予選4位/決勝2位(参加34台)


写真ギャラリー





COCKPITカメラの位置を調整しよう(位置修正ファイル配布あり)

iRacingでは、COCKPITカメラ(ドライブ中のカメラ)の位置を簡単に調整できます。カメラの調整は車ごとに個別に設定、保存ができます。

また、デフォルトのCOCKPITカメラの位置は、シム中で表示されているドライバーの目の位置とズレていることがよくあります。車によっては、ドライバーの後頭部あたりにカメラがあることもあり、この場合は20センチほどのズレになってしまいます。今回、このズレを修正するためのカメラファイルを用意しました。この修正によって、視界やハンドルとの距離が変わってきます。

ただし、ドライバーの目の位置は、本来ドライバーの体格やシート調整でいくらでも変わるわけですから、修正後のCOCKPITカメラ位置が絶対とは言えません。ですので、修正したカメラ位置を基本としたうえで、実車の構造的に妥当と言える範囲で自由に変更して下さい。例えば、フォーミュラでシートを後ろに下げる行為は不自然ですが、ヘルメットの高さを低くするといった修正は妥当です。

では、最初にカメラ位置を変更する基本的な方法を紹介します。

■手順1:リプレイ中にCOCKPITカメラにする
COCKPITカメラの修正は、リプレイ画面で行います。車を降りたあと、リプレイでカメラをCOCKPITにしましょう。

■手順2:カメラオプションでシート位置を変更する
「Ctrl+F12」でカメラオプションを表示します。下記の操作でカメラを移動させます(位置は一定の範囲内でのみ移動可能です)。

おもなカメラ操作

・W=前進
・S=後退
・Ctrl+W=上を向く
・Ctrl+S=下を向く
・Alt+W=上に移動
・Alt+S=下に移動


■手順3:ファイル名を決めて保存する
カメラ位置を調節したら、カメラオプションにある「SAVE CAR」ボタンを押して保存しておきましょう。ファイル名は任意で大丈夫です。次回、この車に乗った時は、最後に保存したカメラファイルが自動的に読み込まれます。


■修正用ファイルの配布
ここでは、カメラ位置をドライバーの目の位置(両目の中心)に合わせて移動させた修正ファイルを配布します。まず、以下のファイルをダウンロード、解凍して下さい。

COCIPITカメラ修正用ファイル(Download)

解凍してできた「cameras」フォルダを、マイドキュメントの「iRacing」フォルダにそのまま入れて下さい。

ファイルを読み込むには、「Ctrl+F12」でカメラオプションを表示し、「LOAD CAR」ボタンを押します。ファイル選択画面で「realcar.cam」を選択すると、修正後のカメラ位置に変更されます(修正不要の車種もrealcar.camファイルを用意してあります)。

以下は、今回の修正ファイルでの修正値です。X(Offset X)は前後、Z(Offset Z)は上下の修正値です。単位はメートルです。上記の修正ファイルを使えば個別に入力する必要はありませんが、参考にしてください。

車種別COCKPITカメラ修正用数値

・Aston Martin DBR9 GT1:修正不要
BMW Z4 GT3:修正不要
・Cadillac CTS-V Racecar:X=0.700、Z=-0.035
・Chevrolet Corvette C6.R GT1:X=0.030、Z=-0.020
・Chevrolet Impala Old Class B:X=0.100、Z=0.050
・Chevrolet Impala-COT:X=0.120、Z=0.010
・Chevrolet Monte Carlo SS:X=0.150、Z=0.020
・Chevrolet Silverado - circa 2013:X=0.100、Z=-0.015
・Dallara DW12:修正不要
・Dallara IndyCar - circa 2011:X=0.030
・Ford Falcon FG V8:X=0.020、Z=0.000
・Ford Falcon FG01 V8 - circa 2012:X=0.050、Z=-0.030
・Ford GT:X=0.070、Z=0.020
・Ford GT GT3:X=0.080、Z=0.020
・Ford Mustang FR500S:X=0.060、Z=-0.020
・Holden Commodore VF V8:X=0.020
・HPD ARX-01c:X=0.080、Z=0.020
・Kia Optima:X=0.030
・Legends Ford '34 Coupe:X=0.060、Z=0.015
・Legends Ford '34 Coupe - Rookie:X=0.060、Z=0.015
・Lotus 49:X=0.050
・Lotus 79:X=0.090、Z=0.015
Mazda MX-5 Cup:X=0.080、Z=0.025
Mazda MX-5 Roadster:X=0.080、Z=0.010
・McLaren MP4-12C GT3:X=0.040、Z=0.015
・Modified - NASCAR Whelen Tour:X=-0.030、Z=0.050
・Modified - SK:X=-0.030、Z=0.050
NASCAR Camping World Chevrolet Silverado:X=0.030、Z=-0.010
NASCAR Camping World Toyota Tundra:X=0.030、Z=-0.010
NASCAR K&N Pro Chevrolet Impara:X=0.090、Z=0.050
NASCAR Sprint Cup Chevrolet SS:X=0.030、Z=0.015
NASCAR Sprint Cup Ford Fusion:X=0.030、Z=0.015
NASCAR Sprint Cup Toyota Camry:X=0.030、Z=0.020
NASCAR XFINITY Chevrolet Camaro:修正不要
NASCAR XFINITY Ford Mustang:修正不要
・Pontiac Solstice:X=0.200、Z=-0.030
・Pontiac Solstice - Rookie:X=0.200、Z=-0.030
・Radical SR8:X=0.100、Z=-0.045
・Riley MkXX Daytona Prototype:X=0.120、Z=-0.015
Ruf RT 12R AWD:X=0.200
Ruf RT 12R C-Spec:X=0.200
Ruf RT 12R RWD:X=0.200
Ruf RT 12R Track:X=0.200
・SCCA Spec Racer Ford:X=0.145、Z=0.025
・Silver Crown:修正不要
・Skip Barber Formula 2000:X=0.065
・Sprint Car:X=0.065、Z=0.025
・Star Mazda:X=0.100、Z=0.010
・Street Stock:X=0.100、Z=-0.040
・Super Late Model:X=0.025、Z=0.015
VW Jetta TDI Cup:X=0.040、Z=0.010
・Williams-Toyota FW31:X=0.055、Z=0.005

外部カメラをリアルFOVに設定して実車の迫力を体感

3D VISIONの楽しみのひとつが、外部カメラで車を眺めることですね。ここで「車が実車と同様の大きさに感じられる」ようにするには、いくつかの条件が必要になります。その条件とは、

・3D深度が100%である
輻輳距離が正しく設定されている(下記ページ参照)

3D VISION用「リアル輻輳距離」の設定方法 - iRacingレポート
・外部カメラのFOVが「リアルFOV」(正しい視野角)である
・カメラタイプが「Static Fov」である

の4つです。

ここでは、外部カメラのFOVを「リアルFOV」に設定する手順を解説します。

■手順1:COCKPIT視点で表示される範囲を覚えておく
まず、好きな車に乗り込みましょう。ここでは「Ctrl+T」(デフォルト時)を押して、3D VISIONを切っておくといいです。つぎに、COCKPIT視点で表示される範囲を覚えます。これは頭で覚えるよりは、写真を撮るなどしておくといいかもしれません。

■手順2:カメラオプションで外部カメラ用リアルFOV値を確認
リプレイ中のCOCKPIT視点で「Ctrl+F12」でカメラオプションを起動して下さい。ここで「Ctrl+Z」を押すと、フリーカメラに切り替わります。すると、FOVがぐっと広くなったかと思います。

つぎに、キーボードの"[キー"と、" ]キー"を使って、手順1で覚えておいた表示範囲と同じになるように、FOVを狭くしていきましょう。表示範囲が手順1と同じに戻ったら、カメラオプションにあるFOVの値を覚えて下さい。これが、「外部カメラ用のリアルFOVの値」になります。


自分の環境では、コクピット視点でのFOVは103度。外部カメラ用リアルFOVの値は39.60度となりました。

■手順3:外部カメラのFOVの値をリアルFOVの値にする
手順2で計測した「外部カメラ用リアルFOV」の値は、「Chaseカメラ」や「RF Suspカメラ」のように、カメラタイプが「Static Fov」に設定されているカメラにのみ有効です。「TV1」などは基本的にカメラタイプが「Zoom」になっていますので、カメラオプション内で「Zoom」→「Static Fov」に切り替えて下さい(「Ctrl+M」でも切り替えが可能)。

これで、カメラのFOVを設定ができました。早速3DをONにして車を眺めてみましょう。「Ctrl+F12」でカメラオプションを起動しておけば、カメラを自由に動かして様々な角度と距離から車を眺めることができます。きっと、実車がまるで目の前にあるかのように感じられることでしょう。

おもなカメラ操作

・W=前進
・S=後退
・A=左へ移動
・D=右へ移動
・Ctrl+A=左を向く・Ctrl+D=右を向く
・Ctrl+W=上を向く
・Ctrl+S=下を向く
・Alt+W=上に移動
・Alt+S=下に移動
・Ctrl+Z=フリーカメラ

フリーカメラ時の操作
・マウス左クリック=前進
・マウス右クリック=後退
・マウス操作=視点移動
(通常のカメラ操作も機能します)