古文書学入門より

佐藤さんの。補注三。

早川庄八『宣旨試論』(岩波書店)は、宣旨の発生が八世紀を遡ること、八−十世紀の宣旨が、受命者の作成する官庁内部の受命記録にとどまり、外部に発令される文書としての宣旨があらわれるのは十一世紀後半を下ること等を明らかにし、これによって、口頭伝達−伝達内容の記録化(受命記録の作成)−文書として外部に発令(文書化)、という文書発生史の段階を明らかにしたばかりではなく、文書としての宣旨の機能変化まで見通した研究である。